不死身の俺は最後を見届けられたい。   作:曇らせ好きの一般男性

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爆ぜる身体と理性。

熱い。

相棒を横に押し出した直後、思考はそれに染まった。

熱い、熱い。

襲い来る炎はたちまち全身に周り、肌を焼く。

苦しい、熱い。

身を包んだ炎は酸素を燃やし、呼吸が出来なくなる。

痛い、熱い、苦しい。

酸素を求め、息を吸うと炎が喉焼き、肺を焼き、呼吸すらも許さない。

しかし、死なない。死ねない。

 

相棒大丈夫かな。

ふと、襲い来る苦痛の中で状況と似合わない考えが頭を過ぎる。

途端、苦痛に喘ぐ思考が晴れる。

(そうだ、相棒。出来るだけ遠くに突き飛ばしたけど、大丈夫か!?)

突き飛ばした方向を感覚を頼りに見やるが、目が焼けていて何も見えない。

(クソ、目が見えなねぇ。一旦魔術を使って火を消さねぇと。)

ぼとりぼとりと爛れては再生してる指先を伸ばし、魔術式を描く。

が、伸ばした指先が過程を描く前に第2波が来る。

立つのもやっとだった身体に強烈な衝撃と浮遊感が襲う。

「う、あ」

足元からの爆発。

炎で爛れグズグズになった足は爆発をもろに受け、消し飛び。力なく垂れていた腕も前腕を無くす。

そうして四肢がなくなり、達磨となって無抵抗に地面を転がる。

最初の燃やす事を目的とした一撃と違い、破壊を目的とした爆破は完全に獲物を塵も残さず殺すもので、明確な殺意を持っての攻撃だった。

「ぉ゛ぇ゛」

声帯を燃やされ、爛れた喉は煤でれた空気を吐き出した音を出しながら無惨に木へぶつかる。

幸いなことに先の爆風受けた事と地面を転がった事で全身を焼いていた炎は消えかかっており、身体の再生が追いつき始めていた。

とはいえ四肢を無くした上に火傷という再生がしづらい怪我を負ったことでいつもより遅い。

「あ゛い゛ほ゛う゛」

先に回復した視界で相棒を探す。

 

目に見た景色は赤に染っていた。

家や木は燃え、立ち上る黒い煙は空を汚し、先程まで賑わっていた人々は地に転がり、燃えていた。

ある者は水を求め、ある者は誰とも知れぬ名を叫んでいる。

 

その中で探して見つけたある者は(相棒は)、元凶と思しき者と戦っていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

それは唐突だった。

少しの贅沢をしようというアトリの提案を受け、レストランの前に立った途端、肩を強く押され突き飛ばされる。

軽く浮き上がった身体は咄嗟のことで受身を取れず強く尻もちを着く。

「痛ったい。どうしたのよ、きゅ……う、に……」

いきなり突き飛ばしたアトリに一言文句をつけようと目を向けた途端、アトリは横から吹き荒れる炎に巻かれる。

「あ」

思考が白に染る。

目の前の光景を信じたくは無いと思考が停止する。

 

しかし、現実は停止する事を許さない。

燃えるアトリの首がこちらに振り向き、垂れた片腕が上がろうとした時。

アトリが立っていた地面が爆ぜ、吹き飛ばされる。

「ぁあ」

信じたくない。見たくない。やめてほしい。

爆風と共に、ぼとりと、黒い何かが足元に転がる。

 

やだ。見たくない。理解するな。

びくりと身体が強張り、咄嗟にそれに目を向ける。

 

理解するな。見るな。理解するな。

黒くなったそれは、そう成り果てても何なのか理解してしまう。

「あぁああ」

 

それは、アトリの腕だった。

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!゛!゛」

見たくない光景を、現実だと理解した瞬間、理性が蒸発する。

「誰か!水を!店が燃えてる!」「待って!私の旦那と子供が!」「嘘だろ、そんな俺の親友が。」

私の絶叫を皮切りに、周囲は騒がしくなる。

しかし、そんな物はどうでもいい。

蹲り、頭を掻きむしる。いやだ、そんな、アトリ、置いてかないでよ、死んじゃやだよ。お願い、お願い、お願い、お願い。

 

 

 

 

「うるさ、どうしたの君?そんなに好きだったんだ。あいつのこと。」

ふと、周りの喧騒とは似つかない若々しい声が私に掛けられる。

「それは悪い事をしたね。大丈夫、そんなに置いてかれるのが嫌なら今すぐに送ってあげるよ。」

最初の言葉を聞く余裕がなく、二言目しか聞こえなかったが直感する。

 

「お前が」

「は?」

「お前がアトリを」

心の依り代を目の前で焼かれ、理性は蒸発し、残された本能は殺意に染る。

 

「殺したのね?」

「それがどうs」(刺突、対象::目の前の生物。)「死ね。」

答えを待たず、見えないように描き上げた魔術式を握り潰して振り返り、魔術を唱える。

地面が突起し、まだ幼い、2本の角を生やした少年を貫こうと襲い掛かる。

「いきなりとは危ないなぁ。」

不意打ちだったとはいえ対象の設定が甘く、簡単に後ろに飛ばれ、避けられる。

しかしそれでいい、距離を取ってくれるのなら好都合だ。

(2本の角といことは魔族、種別は不明。)

未だ収まらぬ殺意を持ちつつ頭の片隅で敵の理解を進めて確信する。

 

(それだけ分かれば殺せる。)

 

「我が視界に映るは我が領地、」

言葉に魔力を込め、魔術の詠唱を行う。

ぐわんと一瞬視界がブレると同時に魔力が減るのを感じる。

しかし、どうでもいい。

「彼の魔族を殺す聖地とならん!」

詠唱を終える。

「へぇ、君。なかなかやりそうだね。」

「死ね!」

余裕を持った笑みを浮かべる少年に二本指を立てる。

すると、足元の地面が蠢き、無数の柱となって少年へと向かっていく。

溢れた殺意が今、少年へと向けられた。




補足説明。
式を描き、出来上がった式全体に魔力を込める魔術式と違い、言葉による魔術行使は魔術詠唱と呼ばれ。
決まった詠唱文1音ずつ魔力を込める事で威力を上げる事で魔術式では出せない効果を出すことが出来る。
デメリットとして、魔力消費が激しく、燃費が悪いため短期戦、あるいは最後の切り札として使うのが鉄板。

設定やら何やらの説明を本編の最中に書くのと、こうして後書きに書くのどっちがいいでしょうか?
感想を頂けると励みになります。
次話は出ます。何年後かに。

設定やら何やらの説明記載場所。

  • 本編に入れる。
  • あとがきに入れる
  • 設定置き場に随時入れる。
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