1章 1話
カンッ!カンッ!カンッ!金属を叩く音が響く。
私は今日も金属を叩く。それが仕事だから。
力の強い私は金属掘りで1番の働き者。
金を稼いで町の外に出ることを夢見る、どこにでもいる只人の少女だ。
金属掘りの仕事は3食麦粥寝床付きで少ない金も貰えるが、代わり映えしないし、面白もくない。
"町の外に出れば何か変わる"、そう言って出て行った金属掘りの知り合いは、腕や目を失って帰って来るか、そもそも帰って来なかった。
「遺跡の入り口が見つかったぞぉ!」
「入りたい奴は集まれぇ!」
ボスの声だ。
遺跡の入り口は偶に見つかる。遺跡の上に町があるから当たり前と言えば当たり前だ。
古代の武器、防具、服、装飾品、機械部品にその他諸々、売れば金になるものが沢山ある。
危険も沢山だ。暴走したロボット、デカイ生き物、狂った人、罠や毒ガス、何でもあり。
頭のイカれた自殺志願者か町の兵士しか潜らない。
だけどその日は私が別の何かに変われる気がした。
「私が行く。」
「お、俺も行く!」
「俺もだ!」
「アタシも行くわ!」
私以外にも命知らずがいたらしい。
甲人の男2人と虫人の女1人。名前は……忘れた。
それを見てボスが言う。
「今日は馬鹿が多いな!」
「潜るなら武器持っていけよ!武器!」
ガチャンと投げ捨てられた鉈が4本。固い金属の体を持つロボット以外なら殺せそうだ。
一応出たときの事を訊ねておこう。
「ロボットが出たら?」
「諦めろ。」
「……」
回答は非情だった。私達の命の価値はそんなものだ。
4人で地面にある蓋の所に集まる。蓋を開けるとハシゴがあった。
見つけた遺跡の入り口は、どうやら屋上の出入り口だったみたいだ。私たちはハシゴを降りる。
財宝を夢見て、熱に浮かされながら。
ハシゴを降りる途中、虫人の女が聞いてきた。
「金目のものがあったら皆はどうする?」
「肉と酒だな。3食麦粥は飽きた。」
「俺もだ!」
「只人のあなたは?」
「町の外に行く。」
「へー凄いわね。外は危険だから死なないようにね。」
何だか馬鹿にされた気がした。
そうやって話しているとハシゴを降りきっていた。
周りを見渡すと重そうな機械が沢山ある。
武器の類は無いため、武器工場ではないらしい。
古代の武器でも拾えればと思っていたが目論見通りにはいかないらしい。
「何もねえや。」
「こんな重いもの持って上がれないぜ。」
「もう少し奥に行きましょう。」
「そうだね。」
僅かな希望を胸に奥へ奥へ。皆の足取りは軽い。
ガタガタガタ!ガタガタガタ!
何かが動く音がした。
「何の音かしら?」
「何かが落ちたんだろ。」
「そんなとこだろ。気にすんな。」
「……」
ガシャン、ガシャン。動く音は段々と近づいて来ている。
「侵入者ヲ排除シマス。侵入者ヲ排除シマス。」
今一番会いたくないもの……ロボットが姿を現した。
「6本足のロボットだ!」
「逃げろ!逃げろ!」
「死にたくない!」
命からがら私たちは奥の部屋に逃げ込んだ。
あれだけ外に出る事を夢見ていたのに、何だか今は無性に金属を叩きたくなった。