2章 1話
カンカンカンカン。私は今日も金属を叩く。
次の町に着いたは良いが悪徳商人に騙されて、有り金全部毟り取られてしまった。
強制労働中。慣れてるから余裕だ。
「イカれ小娘!こっち来て手伝え!」
「パワー!」
この町の金属掘りになって3日、採掘量は日に日に増えている。
金属掘りの現場監督はニコニコだ。
私だけ飯の量が多いが、誰からも文句は言われたことが無い。
黙々と金属を叩いていると現場監督が話し掛けてきた。
「傭兵辞めて金属掘りした方が良いぜ。」
「それは嫌だ。」
「まあ良い。このペースなら後1週間くらい働けば持ってた道具を返してやるぜ。」
「1週間かあ。早くパイプが吹きたいなあ。」
「それとお前、ここ出たら博打だけは絶対するなよ。」
「何で?」
「顔に出過ぎなんだよ。あの商人が良い奴じゃなかったら機械義肢も取られてたぞ。」
「へー、そうなんだ。」
あの商人は悪徳じゃなかったらしい。今度あったら助けてあげよう。
しかしこの町は虫人が多いな。虫人は力が弱い種族だから私は重宝されている。
荷物を運んだり、井戸水を汲んだり、私は力仕事の総合商社だ。
「でも意外だったぜ。」
「何が?」
「お前さん、頭はアレだが力はあるから、暴れて何も無かったことにするかと思ってた。」
「その手があったか!今から暴れて良い?」
「駄目だ。お前さんも大概お人好しだぜ。悪いことじゃねえけどな。」
暴れるのは辞めといた。私はお人好しだからな。
無駄な暴力は振るわないのだ。本当だよ。
◆
夜になると商人が訪ねて来た。毎日の様に訪ねてくる。
私に気があるんだろう。金返せ。暴れるぞ。
「パワーさん、労役が終わった後の予定はありますか?」
「お前を殴る。」
「おー怖い。冗談はさておき、近くの遺跡を探索する人を募集しているんですが、加わりませんか?」
「考えとく。」
「お願いしますよ。機械義肢を持ってる人は頼もしいですから。」
遺跡の探索か。碌な思い出が無いけど金は稼げるからな。
あっそうだ。分け前を聞いておくんだった。
私は頭が良いから分け前は事前に取り決めておくのだ。
◆
結局10日で金属掘りの労役は完了した。
監督や一緒に働いた奴らは名残惜しそうだ。
「パワーさん、マジで行くんすか?」
「後1週間!いや3日で良いんで一緒に働きましょうよ!」
「遺跡の探索終わったら来いよ。」
「嫌だ。私は傭兵だから傭兵っぽいことをする。」
ワイワイしてると商人が来たようだ。
後ろには遺跡を一緒に探索する人達がついて来ている。
「パワーさん、早速ですが遺跡に向かいますよ。」
「分かった。その前に道具返して。」
「はいどうぞ。」
久々に身に着けた背負袋、ゴーグル、外套は何だか輝いて見えた。