私たちはロボットから逃れ、命からがら奥の部屋に辿り着いた。
早くロボットを破壊できるものを探さないと。
「しばらく待てば助けが来るぜ。そうだろ!」
「そんなわけ無いだろ!自己責任だよ!アホ!」
「死にたくない、死にたくない、死にたくない。」
この3人は心が折れたらしい。
邪魔なので隅っこに行ってもらいたいものだ。
あのロボットは鉈で叩いても良い音がするだけだろう。
破壊するには、鉈ではなく鈍器が必要だ。
「♪」
危機的状況なのに何だか楽しくなってきた。ついつい鼻歌を口ずさんでしまう。
3人は気味が悪いものを見る目で私を見ている。
この状況は語り部が話していた物語の状況と同じだ。
ギリギリで凄い古代の武器を見つけて、扉を叩いてるロボットを一撃で破壊するんだ。きっとそうに違いない。
ガンガンガンガン、扉を叩く音が強くなる。
あのロボットは良い金属掘りになれる。
金属掘り歴10年の私が太鼓判を押すよ。
考え事をしながら武器を探していると丁重に鉄の箱に入った腕を見つけた。
「何だこれ。機械の腕?」
酒場に来ていた傭兵が機械義肢を着けた人の話をしていたことを、ふと思い出す。
何でもあらゆる身体能力が上がり、ロボットも拳1つ、脚1つで破壊できるらしい。
横で話を聞いていて、それなら全身機械の械人が最強だろと思ったら、別の人も疑問に思ったらしく、同じことを質問していた。
「あいつら量産品の安物だから、しょぼい四肢しか持ってねえんだよ。」
「械人でも機械義肢に付け替えてるやつはいるぜ。そういう奴は大体町長とか傭兵団のボスとかビッグになってる。」
「最初から貴重な義肢をつけた械人はいねえんだよ。何でだろうなぁ?」
世界というものは案外公平だとその時の私は思った。
「ロボットが入ってくる!終わりだあ!」
昔を思い出していたら、扉を破ってロボットが入ってくる寸前の状況になっていた。
そういえば、どうやってこの腕を付け替えれば良いのだろう。腕を切断するしかないのかな?死ぬのは嫌だが、痛いのはもっと嫌だ。
あの役立たず3人衆に切らせるのは正直怖い。手元が狂って頭を切られそうだ。
そう思っていると扉を叩く音が更に強くなる。
覚悟を決めるときが来たようだ。
「おい!虫野郎!こっちに来い!」
「えっえっ?何よいきなり!野郎じゃないわ!」
「五月蝿い。いいから来い。」
ハシゴを降りている時といい、こいつは腹が立つ。
「私の右腕を切断しろ。」
「は?頭でも狂ったの?さっきからあなた変よ!」
「いいから。やれ。」
「あーもう!恨まないでよ!」
ザンッ!ボトッ!右腕が地面に落ちる。
虫人は見事な腕前で私の右腕を切断した。
見直したぞ。虫野郎。これでおあいこね。
やるじゃん、やるじゃんと左腕で虫人の背中を叩く。
「金属掘りより鉈振ってた方が良いんじゃない?」
「はぁ……一緒に死ぬのがあなたで良かったわ。」
虫人はくさいセリフを吐く。残念ながら死ぬのはロボットだ。
一緒に死ぬことは出来ない。