朝になった。狼以外何もなかったな。
案内人の頭を小突いて起こす。
「おはようございまあす。」
「おは。早く準備して。」
「はあい。」
にゃーにゃー五月蝿い虎たちに昨日の狼肉の残りを食べさせる。朝昼は暑いから寄らないでほしい。
食べきれなかった分は捨てていこう。
「行きましょうかあ。」
「うん。」
並んで猫の住処を目指す。虎が足元にじゃれついてうっとおしい。袋に入れて担いで行こうかな。
そう思っていると、案内人が虎を抱っこした。
「今、酷いことしようとしてませんでしたあ?」
「してない。」
誤解を解いておいた。私も抱っこするか。
体温高いから暑い暑い。
結局、何事もなく猫の住処に到着した。何もいない。
話が違う。
「何もいないよ。」
「虎がいるから隠れてるんですよお。」
「へー。」
そうなんだ。私は名案を思いついた。
虎を放てば捕まえて来てくれるに違いない。
行け!虎いちにいさん!
「何してるんですかあ!」
「虎を放った。」
しばらく経ったので案内人に肉を取り出させる。
あいつらアホだから肉に釣られて出てくるに違いない。
「あっ!戻ってきましたあ!」
「ほらね。」
虎達は各自2匹の猫を連れ帰って来た。でかした。
褒美に撫でてやる。こんなにいらないけど。転売しよう。
「さっさと帰ろう。」
「はあい。」
私の背中に2匹、両肩にそれぞれ1匹、正面に2匹。
猫アーマーだ。暑い。無理だ。
案内人は虎を背中に2匹、1匹抱っこしている。
「この状態で襲われたらどうしますかあ?」
「正面の猫を放り投げてぶん殴る。」
「安心しましたあ。」
にゃーにゃー五月蝿いし、暑いし、最悪の気分だ。
案内人置いて走って帰ろうかな。
走ったら猫が落ちそうだ。報酬が貰えないのは嫌だ。
早歩きで帰ろう。そうするには……
「抱かせろ。」
「えええ!僕は男が好きなのでちょっと……」
首と膝を持って、その上に虎と猫を乗せられるだけ乗せる。※お姫様抱っこで、お姫様役の人の上に猫を乗せてるイメージ。
完璧だ。これで走れる。
「ちょ、ちょっとお!」
「喋ると舌を噛むぞ。」
私は今までの鬱憤を晴らす様に全力で走った。
行きは2日掛かった道が、帰りは半日だ。
案内人は気絶していた。通りで途中から重い筈だ。
「ただいまー。」
「あっ、パワーさん。お疲れ様です。」
「うむ。」
兵士も私に敬語だ。鉄十字野郎ぶちのめしたからね。
その内、この町には私の像が建ち、パワー教始まりの地として語られるだろう。
「ニヤニヤしてないで早く通って下さい。」
「分かりましたあ。」
「キショクワル……」ボソッ
「は?」
案内人の野郎。起きたらぶちのめしてやる。