猫と虎を体の上に重ねていたら案内人が目を覚ました。
惜しい、猫虎アーマーで蒸し殺しに出来たのに。
「あ、暑いです。」
「よし、詰所に渡しに行くぞ。」
「水飲ませてくださいよお。」
「チッ。」
水筒を渡して飲ませる。何か艷やかだ。
周りの男が股間を押さえてる。こいつ男だぞ。
皆イカれてる。私も艶やかに水飲もうかな。
「こんちは。」
「パワーさんお疲れッス。早かったッスね。」
「余裕ッス。」
虎と猫を引き渡す。愛着が全く沸かなかった。
私より他の人に飼われた方が幸せだろう。
「イテテ。めっちゃ引っ掻かれる!パワーさんが町長のとこまで連れて行って下さいッス。」
「嫌ですわあ。」
「気持ち悪!ハッパ融通するッス!」
「やる。」
私は心が広いので引き受けることにする。
町長に会うのは人生初だ。生まれ故郷の町でも会ったことがない。どんな奴何だろう。
「言っとくけど、無礼な真似したら駄目ッスよ。」
「私は歩く礼節と言われている。」
「はいといいえしか言ったら駄目ッスよ。」
そもそも町長の使用人にでも渡せば済む話じゃないか。
町長に会う必要ないのでは。聞いてみるか。
「実は町長がパワーさんに会いたいって言ってるッス。猫の引き渡しを出汁にして会わせようって魂胆ッス。」
「言ったら駄目だろ。」
この町は駄目だ。私が10人いたら勝てそうだ。町長も碌でも無い奴だろうな。
「町長の所まで案内するッス。」
「お願いしまあす。」
「あっ!この後ご飯食べ行かないッスか?奢りッス。」
「考えときまあす。」
「行く。」
「パワーさんに言ってないッス。」
くたばれ。男とちゅっちゅっしてろ。
私に飯を奢らなかった事を地獄で後悔するが良い。
町長のいる建物に向かう途中で鉄十字野郎から奪った武器や服の事を思い出す。
「そう言えば武器と服代わりに売ってくれるって言ってたよね。」
「今総出で洗ってるッス。帰ってくるの早いんすよ。」
「良かった。横領されてたら暴れるとこだった。」
「ゲッ!ヴァーチャーさん殺した相手にやんないッスよ。」
「あいつの死体は研究所に届けた?」
「届けたッス。あいつら気持ち悪いッスね。」
「怖いよね。」
研究所の人達はヴァーチャーとかとは別のベクトルで怖い。その内、とんでもないヤラカシをしないか不安だ。
無限に増え続ける怪物とか作りそうだ。
「後でお金頂戴ね。」
「うっす。」
そうこう話していると町長のいる建物に着いた。
周りには壁、中には庭と水を貯めた穴がある。
私も住みたい。住ませろ。
「失礼の無い様にお願いするッス。」
「もう聞いた。」
私を何だと思ってる。やれやれとポーズをしながら、私は扉を蹴破って建物の中に入った。