町長の建物を出て、町に出る。次は狼の捕獲だ。
傭兵にでも住処を聞くかな。案内人は用済みだ。どっか行け。
「あのお、報酬貰ってません。」
「え?貰うつもりだったの?」
「案内したじゃないですかあ。」
「チッ!仕方ないな。」
報酬の入った革袋を差し出す。案内人は驚いている。
「こんなにくれるんですかあ!」
「馬鹿野郎。一掴みだけ持っていけ。」
「……意外と気前良いですねえ。」
「意外は余計。」
私は気前が良いぞ。語り部の物語でもそう言われている。
あっ、こいつ両手でいきやがった。まあ良いか。
「じゃあ、オタッシャデー。」
「狼の住処に行くんですよねえ。」
「うん。」
「案内しますよお。」
「嫌。」
なんでこの男誑しとまた一緒にいかないといけないんだ。お断りだ。足にしがみ付かれた。ええい離せ。
「連れて行かないと泣きます!」
「ハナセー。」
「僕が泣いたら町中の男に狙われますよ。」
「クソガー。」
普通に喋れるなら喋れよ。こいつは本当に質悪い。
泣かれたら堪らないので、結局連れて行くことにした。
前回の反省を元に、まずは荷車を調達しなければ。
「荷車くれ。」
「駄目ッス。さっき自分を投げた罰ッスよ。」
「ねえ、貸してよお。」
「貸すッス!この後、ご飯でもどうッスか?」
「パワーさあん、行きましょう。」
しなだれかかるな。報酬渡したら懐かれてしまった。
私から毟り取るつもりだ。この悪じょ……おとこ!
私にお色気は通用しないからな。
「荷車に乗れ。今すぐ出るぞ。」
「はあい。」
案内人を荷車に乗せる。これならスピードが出せる。頑張れば今日中に狼を捕まえて帰って来れるんじゃないか。まだ昼だからイケるイケる。
「方向どっち?」
「あっちでえす。」
「あっちか。パワー号発進。」
「早い♪はやあい……ちょっと早すぎ!」
絶対今日中に帰るんだ。こいつと一晩明かしたら襲われそうだ。力では勝てるけど勝てない気がする。ブルブル。もっと速度を上げないと。
「後どれくらい?」
「おええええええ。」
「どれくらい?」
「おろろろろろ。」
駄目だ。役に立たない。ゲロゲロしてる姿も艶めかしい。どうでも良いから早く回復してくれ。
「ハァハァ……落ち着きましたあ。」
「後どれくらいで着く?」
「うぷ……もう少しです。ゆっくり行きましょうよお。」
「方向は?」
「こっちで合っていますよお。」
仕方が無い。ゆっくり焦らず、それでいて素早く、早歩きで行こう。早く帰りたい。
「休憩しませんかあ?」
「嫌。」
「そうですかあ。」
そうです。私は早く帰りたいから休憩しないのです。
残念そうな案内人を尻目に私は急いだ。