アレルヤ   作:おもちぴん様

39 / 82
4章 6話

 町長の建物を出て、町に出る。次は狼の捕獲だ。

傭兵にでも住処を聞くかな。案内人は用済みだ。どっか行け。

 

「あのお、報酬貰ってません。」

「え?貰うつもりだったの?」

「案内したじゃないですかあ。」

「チッ!仕方ないな。」

 

 報酬の入った革袋を差し出す。案内人は驚いている。

 

「こんなにくれるんですかあ!」

「馬鹿野郎。一掴みだけ持っていけ。」

「……意外と気前良いですねえ。」

「意外は余計。」

 

 私は気前が良いぞ。語り部の物語でもそう言われている。

あっ、こいつ両手でいきやがった。まあ良いか。

 

「じゃあ、オタッシャデー。」

「狼の住処に行くんですよねえ。」

「うん。」

「案内しますよお。」

「嫌。」

 

 なんでこの男誑しとまた一緒にいかないといけないんだ。お断りだ。足にしがみ付かれた。ええい離せ。

 

「連れて行かないと泣きます!」

「ハナセー。」

「僕が泣いたら町中の男に狙われますよ。」

「クソガー。」

 

 普通に喋れるなら喋れよ。こいつは本当に質悪い。

泣かれたら堪らないので、結局連れて行くことにした。

前回の反省を元に、まずは荷車を調達しなければ。

 

「荷車くれ。」

「駄目ッス。さっき自分を投げた罰ッスよ。」

「ねえ、貸してよお。」

「貸すッス!この後、ご飯でもどうッスか?」

「パワーさあん、行きましょう。」

 

 しなだれかかるな。報酬渡したら懐かれてしまった。

私から毟り取るつもりだ。この悪じょ……おとこ!

私にお色気は通用しないからな。

 

「荷車に乗れ。今すぐ出るぞ。」

「はあい。」

 

 案内人を荷車に乗せる。これならスピードが出せる。頑張れば今日中に狼を捕まえて帰って来れるんじゃないか。まだ昼だからイケるイケる。

 

「方向どっち?」

「あっちでえす。」

「あっちか。パワー号発進。」

「早い♪はやあい……ちょっと早すぎ!」

 

 絶対今日中に帰るんだ。こいつと一晩明かしたら襲われそうだ。力では勝てるけど勝てない気がする。ブルブル。もっと速度を上げないと。

 

「後どれくらい?」

「おええええええ。」

「どれくらい?」

「おろろろろろ。」

 

 駄目だ。役に立たない。ゲロゲロしてる姿も艶めかしい。どうでも良いから早く回復してくれ。

 

「ハァハァ……落ち着きましたあ。」

「後どれくらいで着く?」

「うぷ……もう少しです。ゆっくり行きましょうよお。」

「方向は?」

「こっちで合っていますよお。」

 

 仕方が無い。ゆっくり焦らず、それでいて素早く、早歩きで行こう。早く帰りたい。

 

「休憩しませんかあ?」

「嫌。」

「そうですかあ。」

 

 そうです。私は早く帰りたいから休憩しないのです。

残念そうな案内人を尻目に私は急いだ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。