それから熊の襲撃が5回くらいあった。数頭まとめて襲い掛かってくるのもあって、
正確な数は覚えていない。あまりにも襲撃が多いから、困ったことに両腕が無傷の状態で熊を殺してしまった。
「いやったー!熊腕だー!」
「ヤッター。」
「馬鹿!早く腕をぐちゃぐちゃにしろ!」
無理だ。熊の腕を前に目が逝っている奴から熊の腕を奪うのは怖い。
お前がやれ、いや仕留めたお前がやるべきだみたいなやり取りをしていると、
イカレ野郎から話しかけられた。
「パワーさん、早速お願いします!」
「嫌だ。町でやろう。」
「えーお預けですかー!パワーさんのイケず!」
腹立つなこいつ。やっぱりここで皮を剥いだ方が良さそうだ。
熊に食われたことにすれば問題ない。早速やろう。
「あっ!新しい熊です!」
「チッ、運の良いやつめ。」
「何かデカくねえかあの熊。」
山の様にデカく見える熊が近づいて来ている。今まで、私の倍くらいの大きさだったけど、
今回の熊は3倍くらいある。
「サンパチだ……」
「サンパチ?」
「オソ38、伝説の熊です。」
おっさんと2人顔を見合わせる。完全に頭がイカレたらしい。
真剣な顔で伝説って、ぷぷぷ。面白すぎて腹を抱えて転げ回る。
あれ、陰ってきたな。今まで雲1つない快晴だったのに。
見上げればでけえ熊、クマハチだっけ?でけえ。やばい逃げよう。
「まじでやべえ!」
「うおー興奮してますよ!私は!」
「逃げるにはおとりが必要だ。」
私とおっさんは顔を見合わせる。足払いをイカレ野郎改めクマキチに喰らわせる。
避けられた!私とおっさんの足が絡まる。2人でこけた。
「甘いですよ!お二人とも!」
「クソ野郎!」
「クマキチ!戻ってこい!皮剥いでやる!」
前門のイカレ野郎、後門の熊、絶体絶命だ。私は覚悟を決めた。
突撃だ!私は防御を捨てて、熊に体当たりを喰らわせた。ボヨン。柔固い。
あまり効いてないようだ。熊は当然怒っている。
「許して。」
「グオオ!」
返事の代わりに熊パンチが飛んできた。後方に飛んで何とか避ける。
あの時遺跡で会ったロボットより絶対に力が強い。
足も速いし、世界最強かもしれない。
おっさんとクマキチは遥か向こうだ。後で会ったら皮を剝いであげよう。
またパンチだ。私も機械義肢のパンチで迎撃する。熊パンチは振り下ろし気味で重い。
腕は無事だけど肩がイカレた。強すぎる。熊も痛がってはいるが怪我はしていない。
勝てない、逃げなきゃと思っていると熊が帰りだした。危ねえ。
賢い熊で良かった。安全に勝てないなら逃げるのね。
そう言えば、クマキチが、熊は逃げる度に賢く、強くなるって言ってた気がする。
まさかね。私もさっさと町に帰ろうっと。右肩はそのうち治るでしょ。