準備は出来た。後は熊を待つだけだ。私はバリスタが撃ちたくて堪らないので、
バリスタの近くで寝転がっている。暇だ。
「あんた素手で熊殺したんだって?」
「うん。余裕。」
「普通は槍とか斧で殺すんだけどな。」
「槍か。でかい槍とかない?」
「バリスタのボルトならあるけどよ。何に使うんだ。」
「熊に突き刺す。」
「あー、槍使った方が良くねえか?」
「デカい熊対策。」
そうかー、とバリスタ射手が両手でバリスタボルトを渡してきた。
でかい重い鋭いの欲張りボルトだ。耐久性もありそうだから、振り回しても使えそうだ。
それにしても、皆ピリピリしている。確かにあの熊はでかいけど、これだけ人数がいて、
準備もしているから余裕で殺せると思うけどな。
暗くなってきた。熊はまだ姿を見せない。篝火が灯された。煌々と即席の陣地が照らされる。
眠くなってきた。寝ようかな。ピリピリ感も薄れてきて良い事だ。気が緩んでいるとも言う。
こういう時を狙って攻めると効果的だと語り部に教えられたな。
「熊だー!熊が出たぞ!」
「なにー!どこだ!」
皆てんやわんやだ。私はバリスタを守ることに専念する。動くのが面倒とも言う。
熊は20頭くらいだ。私が命からがら逃げたでかい熊はいない。
頭を叩けば、熊は賢いから逃げる筈なんだけど。何処にもいない。
あっ、熊愛護野郎がやられた。バリスタを放て。放てない?
「何で撃たないの?」
「巻き取り機構が壊れて弦が張れねえ。」
「ふーん。」
代わりに私が弦を引っ張る。セット完了だ。射手は驚いている。
もたもたしている隙に私が撃つ。熊愛護野郎の死体にヒットする。やったぜ。ざまあみろ。
いてっ。拳骨された。なんで?
「アホ!無駄撃ちしやがって!もう1回セットしろ!」
「はい。」
もう一度弦を張る。熊はもう射線にいない。顔を見合わせる。
責められてる気がしたので、バリスタから離れることにした。
熊狩り、熊狩り、楽しいな。
ボルトは最後の砦なので、地面に突き刺して、近くにいた熊の頭をチョップで潰す。
いちいち、飛び上がらないといけないから大変だ。
周りの人も人数差を活かして熊を狩っているが被害は甚大そうだ。
混乱は広がるばかり。熊強いからな。仕方ないね。
「何かデカいの来たー!」
「ああん……本当だ!でけえ!」
「あれは無理だな。」
あっデカい熊だ。混乱に乗じて来やがった。賢いレベルを超えてるぞ。
中に人間が入ってそうだ。私も入って大暴れしたい。
「おいっ!小娘!突っ込め!」
「は?」
「良いから突っ込め!」
「突っ込め!」
突っ込めの大コールだ。絶対に嫌だ。
ボルトを地面から抜いて熊がこっちに来ないように振り回す。
こっち来た。どうやら私の事を覚えているらしい。