6章 1話
械人の町に来て1週間、私は今日も今日とてコロシアムで戦っています。
何で?私が聞きたい。牢屋に入れられたら次の日からこうだ。
しかも両腕を使ったら駄目と言われて、渋々頭と足で戦っている。
「おら!パワーヘッド!」
「ぐへえ!」
「パワーキック!」
「うげえ!」
今日は1対4での戦いだ。残りは2人。同時に来た。
上体だけ反らし、攻撃を避ける。遅い遅い。
回し蹴りを浴びせる。残り1人。両足で首を締める。
落ちた。勝ったらダンスタイムだ。
罵声と共に物が投げ込まれる。
「くたばれー!」
「早く負けろー!」
「石頭!」
もう慣れた物だ。酒の残っている酒瓶を探して足で拾い上げる。
ラッキー。結構残ってる。今夜は酒盛りじゃあ。
「パワーちゃん、今日も人気ね。嫉妬しちゃうわ。」
「ドミニオか。世界が嫉妬する女だからね。」
「あーら、絶好調ね。」
こいつはドミニオ。男の体に女の心を持つ甲人だ。
ちなみに私は女の体に機械の腕を持つ只人。
コロシアムで戦っている人は皆仲間だ。
戦いが終わればノーサイド。一緒に酒を飲む。
「パワー!よくもやってくれたな!」
「痛えじゃねえか畜生!」
「めんご。酒あげるから許して。」
「俺も拾ってきたぜ!」
でかした。コロシアムは出来レース。
勝敗は事前に決まってる。私はヒールで育てたいらしい。
見る目がある。絶賛ヒール役として成長中だ。
ベビーフェイス役はいけ好かない只人の何とか。
嫌いだから名前も覚えてない。
「おーい!始めるぞー!」
「今行く。」
今は忘れて、勝利の美酒に酔おう。美味い。良い酒飲んでやがる。
クソ観戦者め。明日は肉が食べたいな。
飲んだら踊りたくなってきた。踊るぞ。
「いいぞー!踊れ踊れ!」
「私も踊るわよー。」
「ドミニオ姐さんも良いぞー!」
「俺達も踊るぞ!」
酒盛りの最後は皆で踊るのが定番化してきた。
明日どうなるか分からない。今を楽しむ。
ヘイヘイダンスダンス。見張りの兵士も酒を飲んで踊っている。
こうして夜は更けていった。
「おい!今日は猛獣と戦え!」
「猛獣?」
「行けば分かる。」
「腕は?」
「使うな!」
「はーい。」
コロシアムに入る。猛獣は向こうのゲートか。
何が来るかな?にゃーん、虎だ。
お腹が空いてるのかな。腕が使えないから面倒だ。
「!」
「危な!」
噛み付かれるとこだった。虎の分際で生意気だぞ。
回し蹴りを頭の側面に喰らわせる。にゃーんと倒れた。
何とびっくり。虎もやられた演技が出来るようだ。
仕込んだ奴は天才ブリーダーか?!
驚いていると罵声と物が投げ込まれる。
酒、酒は何処だ?ついでに肉も。
あっ!虎が肉を食べてる。先を越された。
今日は譲ろう。明日こそは肉が食べたいな。