カンカンカンカン。私は金属を叩く。
機械腕を手に入れる前と後で効率は段違いだ。
「ボス!これが私の最後の金属掘りだ!ウオー!」
「あいつ前にも増して元気だな。」
「金属掘りが天職だと思うぜ。」
今ナニカ言ッタ?
「ヒッ!目が合ったら殴られるぞ!」
今日は調子が良い。過去最高の採掘量が狙える。
これはボスに捧げる私からのメッセージだ。
「オラオラオラオラ!」
「うるせえ!イカれ娘!もっと静かにやれ!」
「?」
「お前だ!アホたれ!」
何と言うことだ。ボスのために働いていたのにボスに怒られるとは。
あーあ、やる気なくなっちゃった。不貞寝しよう。
ゴロンとその場で横になる。日が照っていて寝るには少し暑い。まあ良いか。
「こんなとこで寝るな!お前はどうしてそう極端なんだ。良いか?これから行く町の外はなあ……」
お説教が始まった。これは長時間コースだ。
その道10年のプロだから分かる。
仕方無いから語り部に聞いた物語を思い出しながらやり過ごそう。
「おい!お前聞いてないだろ!今日は大事だから聞いておけ!」
悪者を倒したくらいの所で、頭を叩かれて、私の意識は戻ってきた。
いつも真剣だけど、今日は特に真剣だ。聞いてあげよう。
◆
辛く長い戦いだった……。すごい説教だった。
ボスは私に出て行かれるのが寂しいに違いない。
他の人が出て行った時も隠れて泣いていたし……。
「これ持って行け。俺が傭兵の時に使ってたものだ。」
ドサリとズタ袋が投げ捨てられる。
「何これ?」
「クロスボウ。お前みたいに殴ることしか出来ないやつはすぐ死ぬ。」
「いくらで売れるかな。」
「アホたれ。役に立つ時が必ず来る。武器屋で同じものが買えると思うなよ。クロスボウは貴重品だ。」
「そうなんだ。」
貰えるものは貰っておくか。
「3日間で使えるようにしてやる。覚悟しておけ。」
「え?結構です。」
「良いから。日が出てから沈むまで教えてやるよ。」
そこから3日間の記憶は残っていない。
射っては矢を取り、射っては矢を取り、同じ作業を何万回しただろうか。
私ハ矢ヲ射チ矢ヲ拾ウ機械ダ。夢にも出てきた。最悪の日々だった。
「世話になったな。ボス。」
「あばよ、イカれ娘。死ぬんじゃねえぞ。」
「私は死なないよ。」
今までありがとうボス。5歳から10年間は世話になったかな。
浮浪児狩りから助けてくれて、それから飯を食わせてくれて。
私もボスみたいな人になるよ。
浮浪児集めて、パイプ吹かしながら金属掘らせる。3食寝床付きで。
「さよなら。ボス。」
あ、クロスボウ忘れてた。
「ただいま。クロスボウ取りに来た。」
「……」
ボスの目は何だか冷たかった。