【The back rooms】   作:T@ma

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【レベル52 η:薄暗い孤独】

好奇心か…はたまた足がまるでそこへ行けと言わんばかりに黒いタイルを足場にして、踏みに行った。

 

瞬時にいる場所が変わった。さっきまで連絡通路のような場所にいたが、今は全面白色の部屋と、意味をなさないドアと廊下がある場所に連れてかれていた。そこは薄暗くて、白色と分かるまで少し時間がかかった。

 

部屋の全体を見渡すと、廊下に何かが置いてあるのが分かる。1つのバケツと2つの木製の脚立が並んでいる。部屋にいても仕方がない為、バケツと脚立が置いてある方に向かう。

 

木製の脚立は何の変哲もない脚立だ。がっしりしていて、登る時に使う分には十分だろう。けれど、何に使うかは分からない。使えるような場所も特にない。

 

バケツは雑貨屋に売っていそうな金属のバケツだ。中を見ると少しだけ水が張ってあるようだ。特に何も映っていない。ここも収穫なしか…と目を離そうとした瞬間、何かが微かに映った。Rがそれに気づき、もう一度バケツの中を覗き見る。

 

水に映像が流れている。そこにはRと同じように覗き込むような感じでこちらを見ている見知らぬ女性のようだ。彼女は一体誰なのか。Rは水に映る彼女に声をかける。

 

――――――!!

 

しかし、彼女にはRの声は届いていない。彼女は何かを訴えているかのように、口を動かしていたり、キョロキョロと周りを見ている。だが、彼女の声は聞こえてこない。そんな光景に戸惑っていると、チラリと映った物があった。

 

木製で出来た脚立。そう、Rが移動してきた部屋にあった物と同じ物が映し出されている。彼女はRと同じ部屋に連れてこられているのが分かった。しかし今いる部屋には誰もいない。

 

この部屋は此処だけではない…?

 

Rはバケツの中にいる彼女に向かって、もう一度声をかける。

 

しかし、彼女の反応に変わりはなかった。

彼女は確かにそこにいるのだ。なのに、Rの声も姿も向こうには届いていないのだ。近くにいるのに遠くに存在を感じていた。

 

おかしい。

 

おかしい。

 

Rは声を大きくして再度話しかける。しかし返ってくる反応は変わらなかった。認知されていないし、会話も出来ない。彼女の姿は見えるが、声は聞こえてこない。これは連絡手段ではなく、ただ相手を見るだけの道具に過ぎない…?

 

そう気づいた時には――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

…部屋の中は、まるで先程まで誰かいたかのように、倒れたアーモンドウォーターと瓶が置かれていた。中身が残っているアーモンドウォーターは床にゆっくり流れ出していく。

瓶は何も変わりなく、蓋がしてある状態でただぽつんと置かれていた。そんな状態が、何年も…何十年も…もっともっと後か?

 

 

残酷にゆっくり進む時という概念は、この部屋を蝕んでいる。流れこぼれ落ちたアーモンドウォーターは、入れ物だけが取り残され空っぽになっている。音を発する事無く、ただそこにあるだけ。

 

そんな隣で置かれていた瓶は、形姿を変えることなく、ずっとその場に置かれている。またどれくらい時が過ぎたか分からない頃…蓋をしたままの状態から、瓶の中身にピンク色に近い色をした光がいくつも発生した。線香花火のようにパチパチと光る美しさには、何かと似たような思いがある。それが何だったかまでは思い出せない。

 

やがてそれは、星空のような優しい光へと変わった。その光は直ぐに消えることなく、暫く輝き続けていた。

だがそれもいつまでも輝くわけではない。いずれどんな時にも終わりが来るように、光もゆっくり消えていった。

 

 

 

Rがいた薄暗い部屋には、生命反応がなくなっていた。

 

 

【END3:孤独を望んだ貴方】

 

 

 

世界をやり直しますか?

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