飛び込んだ先は全くもって何も無い。真っ暗…いや、闇と言い表すとしても足りない程の暗い場所にRは訪れてしまった。光も音も…床も天井もない部屋に踏み入れたその瞬間に、Rは頭を下に落ちていった。
これは一体何なのか…
息が出来る為空気は満たされてはいるようだが、真っ暗すぎて何も見えないし、どこか足場についたとしても明かりがないと見えない。Rの身体はまだどこかに向かって落ちている。もしくは上がっているか。
Rはあることに気づいて自身の身体を触る。
…
持っていた荷物が無くなっている。触った感覚から分かるのは今何も手持ちがない。落ちている最中に、それも知らぬ間に虚空の闇がRから奪ったのだ。そして思い出したくなかった事を思い出すR。それは今でも懸命に、片隅に追いやって忘れてしまいたかった言葉。
ザ・ヴォイドは落ちたらずっと落ち続け、最期をそこで迎える。
Rはこの身で今正に、自分が誤った選択を後悔していた。
己の欲望と願いは通じなかった。地球に帰る事。また普通の生活に戻る事。たったそれだけだったのに。たった1歩踏み間違えただけで、この結果だ。同時にこの世界のレールから外されたのだ。
RはThe back roomsに負けたのだ。
Rは泣き喚いた。決められた未来に。為す術なく受け入れないといけない真実を。答えを。喉が痛くなるまで叫んだ。切り開く道を教えてくれる人は周りにいない。孤独。虚無。ただ独り。
そんな事をしても無駄なのに。諦めの悪い奴だ。
貴方の代わりのパートナーだったRはもう二度と歩く事も出来ません。誰かに会う事はなく、食べる事も飲む事もなく、永遠に空中を落ちながら餓死する未来がよく見えますよ。なんて優雅で愉快なんでしょう、選択肢を一歩間違えたその先は保証された死だなんて。
でも貴方はそれを望んでいたのでしょう?
…
望んでいたって言えよ。
地球は今日も平和に穏やかに時が流れている。
███がいた部屋は、あれから時が止まったかのように何も変化がない。質素な部屋、窓から差し込まれる光。穏やかな光。
███宛のポストの中には支払い願いの手紙は少しずつ増えていく。そんなポストの下に、風で剥がれてしまったのか、紙がふわりと舞って床に落ちた。その紙には写真が2枚載っていた。
【行方不明者:███ ██ 10/××より行方不明になっています。少しでも分かる事があったら××警察署まで○○○-○○○○】
【END2:神隠し】