【The back rooms】   作:T@ma

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Rは緑の観覧車に乗り込む。乗るとゴンドラの扉は閉まり、ゆっくり上に上がっていく。

観覧車の見た目はごく普通のよくある観覧車だが、中に入ると植物が椅子に座るスペースを除き、あちこちに生えている。

植物の名前は分からないが、食虫花みたいな少し物騒な物はない。唯一分かるのは、コスモスくらいだろうか。コスモスも品種改良されているのか茎が短く、手入れしやすいようなサイズになっていた。

 

最近の技術の進化はこれ程までに進んでいるとは…と変に感心する。まるでここだけどこかの植物園の1部のスペースを刈り取ったような感じがする。緑が溢れているがしつこくなく、ちょうど良い多さである。

 

ここに小鳥などがいたら、もっと楽しくなるだろうかとも考えていると、本当に鳥の声が聞こえてきた。

こんな中に鳥を飼っているのか!?でも姿は…と探す。

 

 

 

いない。

 

 

 

成程分かった。もしかしたら警戒心が強い鳥なのかもしれない。だから姿を現さないのだ。他のゴンドラ内もこんな感じで楽しめるのだろうか。とても楽しみになり、身体を揺らされながらもう暫くこの風景を楽しむ。こんなに心が穏やかになったのも久しく感じる。

 

 

 

Rはあの歪な世界を抜け出して、地球に帰ってきた。

 

帰れた事をまず家族に報告したかったが、生憎Rに両親はもういない。かと言って親しい人がいるわけでもない。たまに両親の事を思い出すが、それも今では良い思い出だ。

 

思う存分にメンタルを治してから、あの世界で巡り歩いてきた出来事を記そうと決めていた。これまでに体験した出来事、出会った人、見てきた風景はにわかに人々からは、バカにされるだろうし、白い目で見られるだろう。だがそれはその世界に来た事ないから言える事だ。

 

何度も心を折られながら歩いてきたRは、これまでとは違いどこか表情が穏やかになっていた。何を思って考えているかまでは覗く事が出来ない。だがそんな事はちっぽけな事であり、これから生きる事に比べたら大した事でもない。Rは今迄起きた事を整理して書いて、また整理して書いて…何度も何度も書き殴り、一人悩んでまた綴る。

フィクションだと思われても良い。

 

ただ一人でも多くの人に読んで欲しいだけなのだ。

 

この物語を。この世界を。抗ってきた姿を。

 

書き殴るRの顔に少し輝きが見られた。この話を広めたくて!

大量に書いたそれらを手に、Rはネット掲示板を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大きな観覧車は、ゆっくりゴンドラを動かしている。

今日も見覚えのある遊園地は、通常営業して動いている。

ジェットコースターやコーヒーカップ、お土産屋さん…等、色んな建物やアトラクションで満ちている。

この遊園地の名物は、なんといってもジェットコースターよりも大きい観覧車だ。ジェットコースターよりも1.5倍?程の大きさがある。その為高所恐怖症の人にはおすすめされない。それ程までに高く天に届きそうな程に大きいのだ。

 

観覧車は何も変わらずゴンドラをゆっくり回している。

ただ一つゴンドラの中に、███ ██から生えるスノードロップを除いては。

 

 

 

 

 

【END ██:錯覚】

 

 

 

 

Rとこの世界をやり直しますか?

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