転生チートトレーナーvs転生チートウマ娘   作:アリマリア

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 星を見上げたウマ娘視点、凱旋門賞中編。





スターゲイザー

 

 

 

 星。

 

 そう。

 私にとって、彼女は星だった。

 

 どうしようもなく暗くてつまらないこの世界を照らす、一等星。

 あるいは、導なき人生における、唯一無二の北極星。

 もしくは、その輝きから手を伸ばしたくなる、灼熱の恒星。

 

 ありとあらゆる意味で。

 ホシノウィルムは、私の星だったんだ。

 

 

 

 幼い頃の私、アンダースタンディブルにとって。

 世界は、暗くてつまらないものだった。

 

 こういう時、小説やドラマなんかではよく「色褪せた」とか「灰色の」なんていう形容を使うけれど、私にとっては「暗い」という表現が適切だったと思う。

 

 感覚的な話だから、どう言えば普通の人に伝わるかわからないけど。

 どこに何があるかわからなくて、何も掴むことができなくて、ふわふわと地に足が付かなくて……。

 

 何より、生きている実感がない。

 

 それが、私にとってのこの世界で。

 特に、競走ウマ娘としての世界では、それが顕著だった。

 

 

 

 今思えば、これは私が「困難」を味わっていなかったからだと思う。

 

 昔から、私は競走ウマ娘に対して、おおよそ敗北感というものを味わったことがなかった。

 先輩だろうが、G1ウマ娘だろうが、あるいは歴史に名を残す優駿だろうが。

 ……自慢っぽくなっちゃうけど、本気を出せば超えられる自信があったんだ。

 

 こうすれば、こう走れば、こう戦えば、彼女以上の走りができるだろう、と。

 いつも、確信じみた思考が働いたから。

 

 

 

 一度だけ、それが思い上がりなのか確かめたことがあった。

 PRか何かのお仕事で、私の故郷の地元に来ていたG1ウマ娘と、走ったんだ。

 

 自分の力を確かめたいのだと言うと、芦毛の彼女はちょっと困ったような顔をした後、苦笑と共に「ちょっとだけだよ? それに、皆には秘密ね」と言ってくれて……。

 

 ……私は、そんな優しいウマ娘を。

 グロッキー状態に追い込み、3バ身の差を付けて、下した。

 

 模擬にもならない野良レースで、状況は本当のレース程に整っていたわけじゃない。

 けれど、彼女の得意な距離、得意なバ場ではあったし、様子を見るに後半からは全身全霊の力を出していたようだった。

 

 それでも、勝ててしまった。

 何の支障もなく、想定通りに。

 

 芦毛のウマ娘は、どうやらその敗北で自信を叩き折られ調子を崩してしまったらしく、それ以降余り名前を聞かなくなってしまった。

 

 ……まぁ、でも。それも当然かもしれない。

 7歳の、身長120センチに満たない、明らかにまともにトレーニングも積んでいない子に、かなりの差を付けられて負けたんだ。

 現役のアスリートとしては、相当にショックだっただろうと思う。

 

 

 

 けれどとにかく、今大事なのは。

 私の直感は当たっていた、ってことだ。

 

 私が本気を出したら、勝てないウマ娘はいない。

 誰一人並ぶこともできず、誰一人影を踏むこともできない。

 

 その直感は、どうやらおおよそ真実だったようで……。

 

 だからこそ、つまらなかった。

 

 勝てるとわかってるレースなんて、ただ所定の行動をして所定の結果を得るだけの作業に過ぎない。

 言うならば、どこかに行くために歩くのと何も変わらないし、そういうのを楽しめるのは初等部の頃までだろう。

 

 だから、両親がどうしてもと懇願するから最寄りのトレセンに入りはしたけど、正直に言って、私は本気で走る気は欠片たりともなかった。

 

 程々に走って、両親を悲しませない程度にてきとうにG1をいくつか取って、衰えたような雰囲気を出してフェードアウトする。

 それが私の、中等部における人生設計だったんだ。

 

 

 

 ……まぁ。

 そんなつまんない計画、たった2分の動画で全部吹っ飛んだんだけどさ。

 

 

 

 故郷イギリスから見れば世界の裏側と言っていい、遥か彼方、日本のレース。

 東京優駿、日本ダービー。

 ホシノウィルムとトウカイテイオーが、凄まじい差し合いを見せた一戦。

 

 ボンヤリ見ていた動画サイトでおすすめに上がって来て、かなりの再生数があったから、戯れに覗いてみたんだけど……。

 

 私はそれを見て、初めて。

 競走ウマ娘に対して、()()を覚えた。

 

 彼女には、何をやっても勝てないと、そう思わされたんだ。

 

 

 

 ホシノウィルムは、絶望的な程に圧倒的だった。

 凄まじいスピード、埒外のスタミナ、常識外れなパワー、人外じみた根性、そしてそれらと比べるとちょっとだけマシに思える賢さ。

 彼女は競走ウマ娘として必要なもの、その全ての素質を有していた。

 更には、どうやらかなり早期にウマ娘の秘奥たる『領域(ZONE)』というヤツに開眼したらしく、私から見てもよくわからない不明な力も使っている。

 この世界にここまでのウマ娘が存在していいのかって、そう思わされる程の……怪物。

 

 それだけじゃない。

 彼女のトレーナーもまた、化け物だ。

 トレーナー曰く「多分ウマ娘のことを細かい数値レベルで分析できて」おり、まず間違いなく自分よりも高い能力を持っているとのこと。

 私のトレーナーも大概化け物だと思うんだけど、それを超えるってなると、もう人間なのかすら疑わしいレベルだ。

 

 そんな2人の天才が織りなす走りは、芸術品のように美しく、戦士のように荒々しく、マジシャンみたいに奇抜で、神話に出て来る竜のように恐ろしく……。

 

 ……そして、何より。

 きっと、私の本気の走りよりも、強い。

 

 

 

 知らず、スマホを握る手が震えた。

 傍目から見れば、きっと私は相当に奇妙に見えただろう。

 目を見開いて、手は震え、けれど口角は否応なしに上がっていたと思う。

 

 けれど、それも当然だろう。

 

 だって、やっとだ。

 やっとのことで、見つけたんだ。

 

 本気になっても勝てないかもしれない……いいや、きっと勝てないだろう相手。

 

 この暗い世界の中、私が本気で走るために道を照らしてくれる、ただ1つの導きの星を。

 

 

 

 * * *

 

 

 

 それから、1年。

 

 私は、ひたすらに星を見上げ、走って来た。

 

 

 

 ホシノウィルムの走りは、レースを経る毎にどんどん鮮烈になっていった。

 

 領域(ZONE)を開いて、理解不能な力を用い、付け込める隙はなくなり、良い意味で余裕ができて、2つ目の領域(ZONE)も開眼して、更に昇華して。

 そうしてついには、2つの領域(ZONE)を同時に使うなんていう、トレーナー曰く「あり得ないはずの挙動」までするようになった。

 

 彼女個人の能力も、技術も、もはやこの世界の誰も手の届かない次元に脚を踏み出しかけつつある。

 

 至高の天にある、ただ1つの星。

 強すぎる星の光は、もはや視線を逸らすことすら許さない。

 

 いつしか、ずっと遠くにある日本になんて興味を持っていなかった他のウマ娘たちも、皆彼女という星を見上げるようになっていた。

 特にシニア期もその勢いが衰えていないことがわかってからは、こっちでは欧州を挙げて打倒ホシノウィルムの流れができていたくらいだ。

 

 世界最強に最も近いウマ娘が、わざわざこっちに乗り込んできてくれるんだ。

 皆が、特に私が奮い立つのは、至極妥当な話だったと思う。

 

 

 

 彼女を迎え撃つため、この1年で、できることはした。

 

 起床して意識を取り戻した瞬間から、就寝して意識を失う瞬間まで、ほんの一時すら彼女の光を忘れたことはなかった。

 どうすれば彼女に勝てるか。どう走ればあの星に手が届くか。

 ただ1つの導きの光に向けて、わき目も振らず爆走してきた。

 

 当然ながら、自分を鍛え上げるのも徹底した。

 これまでは単調な作業に過ぎなかったつまらないトレーニングも、目指すべき目標が定まれば楽しい自己研鑽になった。

 そもそも、アンダースタンディブルは本気を出したってホシノウィルムには勝てないだろう。だからこそ私の星たり得るわけで。

 だからこそ、ひたすらに、私は自分に厳しくあれた。

 どこまでも能力を伸ばし続けなければ彼女には敵わないんだと思えば、その努力はいっそ爽快で心地良くさえ感じた。

 

 勿論、ホシノウィルムの出る凱旋門賞に出走するため、色んな策も凝らした。

 万が一にでも抽選漏れになったりしないよう、過密なスケジュールとローテーションで人気の確保に走った。

 私はデビューが遅くなった出遅れ組だ。こうでもしないと、1年弱で欧州圏で絶対的とまで言える人気を確保することはできない。

 その熾烈さは、並のウマ娘だと危険なラインらしいけど、トレーナー曰く私の脚は頑丈らしいので、ひとまず重篤な事故は起こらない程度のリスクらしい。

 その程度ならむしろ願ったり叶ったりだ。

 だって、星を掴もうと思えば、多少の無茶は必要だからね。

 

 

 

 ……それら全ては、あの星を摘み取るための努力。

 私の全ては、ホシノウィルムを超えるためにあったんだ。

 

 私の持つ、天才的と言っていいだろう素質はそれに完璧に応えてくれて……。

 

 

 

 そうして、時は流れ、10月。

 私は想定通り、凱旋門賞に出走できることになった。

 

 ……いや、違うな。

 今回ばかりは想定通りじゃないか。

 

 現実は、私の成長は、自分の想定すら大きく越えた。

 私の中にあるホシノウィルムへの憧れが、想いが、私の脚を動かした。動かし続けた。

 もう無理だと思うところでまだ走れて、これが限界と思えるところでまだ鍛えられた。

 

 結果として、私は数々のレースを難なく突破し、ティアラに相当する各国のレースを4つ破り。

 

 ……あの星に、もう少しで手が届くところまで来ることができた。

 

 

 

 理想を言うなら、あと1か月。

 あと1か月、凱旋門賞の開催が遅れていれば、あるいは私は彼女を追い抜いていたかもしれない。

 

 私の身体能力の上昇速度は、並のウマ娘を遥かに超えているらしい。

 あのホシノウィルムにさえ、あと一歩で手が届いただろう程に。

 

 ……いや、そうでもないのかな?

 あと1か月遅れたとしても、結局もうちょっと私の成長のスピードが遅れて、今と変わらない状況になったような気もする。

 

 最終的に、私はまだ手の届かない状況で、ホシノウィルムに挑むことになる。

 それが、定めなような気がするんだ。

 

 実際今回、イフなんてない世界に立ち塞がった現実はそうだった。

 トレーナーの目算で、私はまだホシノウィルムに届いてはいない。

 

 

 

 でも、そう言うトレーナーは、笑っていた。

 

 確かに今、君はホシノウィルムには届かない。

 けれど、君ならあるいは、今の状態からでも勝つことが可能かもしれないと。

 

 トレーナーの目は確かだ。

 彼が可能かもしれないと言うのなら、それは間違いないんだろう。

 

 そして……ホシノウィルムの出身国、自らのホームが余りにも離れている以上、この機会を逃せば、いつ彼女と走れるか、いつ彼女を越えられるかはわからない。

 

 

 

 だから私は。

 このレースで、あの星を、龍の背を超える。

 超えなきゃ、いけないんだ。

 

 

 

 * * *

 

 

 

 ぐずりと崩れかける土に脚を突き入れ、湿った芝を抉るように蹴り飛ばす。

 

 10月4日、凱旋門賞、当日。

 私は今、ロンシャンレース場を駆けている。

 

 環境は、最悪に近い。

 もはや泥と化した土は跳ねて靴と勝負服にまとわりつき、降りしきる白い雨で私の勝負服はびしょびしょに濡れ、肌にべっとりと張り付いている。

 

 重バ場に特化したウマ娘ならともかく、そうでないウマ娘にとっては、決して良いコンディションとは言い難い。

 

 けど……。

 

「…………ハハ、ハ」

 

 私の口からは、この状況にそぐわない、乾いた笑いがこぼれ出る。

 

 何故かって、そんなのは聞くまでもないだろう。

 

 

 

 私の目の前に憧れの人が、今を生きる神話が、憎きライバルが、最高の目標が、天上の星が。

 

 競走ウマ娘・アンダースタンディブルにとっての全てが、走っているからだ。

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

 ホシノウィルム。

 日本より来た刺客。凱旋門賞に出走するだけの力を持った、東洋最強のウマ娘。

 私が憧れ、心を焦がした、最高で最強のウマ娘。

 

 こうして実際に目にした彼女は、映像で見ていたよりも……。

 

 速く。

 そして、怖い。

 

 

 

 1か月と少し前、偶然を装って、彼女と会話したことがあった。

 その時も、これまでにない程の力と圧を感じて、私は震えた。思わず言葉すらたどたどしくなる程に。

 これが私の憧れかと。これが私の目指す場所かと。

 煌めく星の光に、憧憬はますます強まった。

 

 そうして2週間前、今度は本当に偶然、彼女のトレーナーさんと会い、会話した。

 その時にもホシノウィルムは現れて、その時は……なんというか、その、やっぱり彼女も普通の……普通の? いや、少しばかりフケを感じるような? ウマ娘なのだと思った。

 けれど同時、彼女のトレーナーさんとホシノウィルムの相性は、多分私とトレーナー以上にピッタリで。

 私とこれ以上なく意見の合う……つまりはレースを「よく分かってる」トレーナーが、あのホシノウィルムと完璧に連携を取れば、どれだけ脅威になるだろうと思わされた。

 

 先日の凱旋門賞の直前インタビューでも、彼女とは顔を合わせた。

 個人的な会話を交わすことはなかったけど、彼女はこれまでの「ウマ娘」としての顔でなく、世間に向ける「競走ウマ娘」としての顔をしていた。

 ぶるりと震えたのは肌だったか、あるいは魂だったか。

 彼女の、自らの走りに対する気高い誇り。絶対的な自信。それらが窺えて、頭に血が昇るのを感じた。

 これからこのウマ娘と走れるのだと、この大きな大きな壁を超えるのだと、そう思えば震える程に怖く、小躍りしたくなるほど嬉しかった。

 

 

 

 ……けれど、ああ。

 

 3度感じた恐怖も歓喜も、所詮はまがい物だったんだ。

 

 今、バ群のずっと先にある、輝く灰に彩られる背中。

 

 そのなんと小さく、けれどなんと大きく、なんと速く、そしてなんと遠いことか。

 

 

 

 恐ろしい。

 

 どれだけ鍛錬を積めば、そのような超ハイペースの走りが叶うのだろう。

 どれだけ心が強ければ、そのような破天荒な走りが叶うのだろう。

 どれだけ慣れていれば、そのような余裕ができるのだろう。

 

 何もかもが、わからない。

 何一つとして、彼女を理解できない。

 

 レースなんて簡単に勝てるもので、勝てて当然のもので、全部がわかって当たり前。

 ……そんな思い上がりを粉々に打ち砕く、理解不能な走りだ。

 

 ゾクゾクと、怖気と快感が背筋を伝う。

 まるで気色の悪い虫のようだとも、あるいは心地良い波のようだとも思えた。

 

 

 

 あまりにも遠い星。

 けれどその軌跡を追う旅は、冷たく暗かった私の心に、堪えきれない程の明かりと熱を灯し……。

 

 自然と、悟る。

 

 ああ、この瞬間。

 

 この瞬間のために、私は生まれて、そして生きている。

 

 

 

 ホシノウィルムと走る、凱旋門賞。

 

 ここが、私の魂の場所であり。

 この刹那が、私の魂の時なのだと。

 

 

 

 * * *

 

 

 

 レースが始まってすぐ、まだ直線の半ば辺りで。

 

「……く、は」

 

 踊るように、ワン、ツー。

 昂る心はそのままに、足並みを少しだけ変える。

 

 今、先頭のホシノウィルムが、少しだけ加速した。

 バレた。あれだけ慎重に、バレないように運んだレース展開を看破されたんだ。

 やっぱり、トウカイテイオーと同じ戦法は通じないか……それとも、元より警戒されていたか。

 

 どちらにしろ、レース全体のペースを少しずつ遅らせるプランは失敗した。

 ここからは……むしろ吊り上げなければ。

 

 

 

 私、自慢じゃないけど、ホシノウィルムの走りについては欧州で一番詳しい自信がある。

 彼女のレース映像は何百何千回と見て来たし、トレーナーとも何度も何度も解析勉強会をしたし、その情報は重要度を問わず徹底して集めて来た。

 

 故に、私は知っている。

 ホシノウィルムの強さも……勿論、弱点も。

 

 

 

 一般的に言って、競走ウマ娘ホシノウィルムに、弱点はない。

 掛かり癖はなく、バ群から悪い影響も受けず、序盤から終盤まで垂れずに駆け抜ける。

 まさしく理想的な大逃げウマ娘だ。

 彼女と並ぶには、シンプルに彼女を上回るスペックか、張り合える大逃げウマ娘を持ち出すしかない。

 

 ……と、思われがちだけど。

 それが間違いであることは、ホシノウィルムが最恐のライバルと語るナイスネイチャが証明している。

 

 ナイスネイチャは、その身体能力においてトウカイテイオーやホシノウィルム程の傑物とは言えない。

 私自身でさえ脅威を感じない程度の……つまりは、そこらにいる凡百のウマ娘と何も変わらない実力しかないんだろう。

 

 けれど、そんな彼女が、ホシノウィルムに「強敵」と認められている。

 つまるところそれは、ホシノウィルムにスペック勝負以外で付け込めるだけの隙があることを意味しているはずだ。

 

 

 

 その上で、私から見た、ホシノウィルムに現在残っているおおよそ唯一の弱点。

 

 それは……本能的で無意識な、相手とのペース併せだ。

 

 大逃げという破天荒で絶対的な走りをするホシノウィルムではあるけど、同時、彼女は誰よりも他のウマ娘のことを気にしている。

 ただ1人で心地良く走れれば良いという質ではなく、他の誰かと走る、他の誰かと比べることでより悦楽に浸るタイプなんだろう。

 

 正直なところ、その感覚は私には理解し難い。

 走ることを楽しまない私とは、あまりに違った感性だ。

 

 ……と。

 このレースが始まるまでは、そう思っていたんだけど。

 ホシノウィルムと実際に走って、ようやく分かった気がする。

 

 心に直接マグマを流し込まれるような、心臓を鷲掴みにされて揺さぶられるような、快感で脳が加速し過ぎ、おかしくなってしまいそうなこの感じ。

 

 これが、これこそが、誰かと走って「楽しい」と思う感情なんだろう。

 

 

 

 ああ。

 だからこそ、今ならホシノウィルムの弱点も理解できる。

 

 この快感、悦楽、充実は、他の何にも替え難い。

 

 どれだけ理性で抑えようとしても意味がない。

 もっともっと味わいたいと、もっともっと近くで感じたいと思ってしまう。

 

 ……しかし、なんとも噛み合わないものだね。

 ホシノウィルムが大逃げウマ娘でなければ、これは何の問題もないんだ。

 ただ横で走るウマ娘から、あるいは後ろから迫るウマ娘から、その熱を感じればいいだけ。

 

 けれど、彼女はバ群から大きく離れて走る大逃げウマ娘であるが故に……。

 レース前半で味わえなかった分、その熱を、後半で求めてしまうんだ。

 

 

 

 そう。これこそが、ホシノウィルムの弱点。

 

 あまりにも速く、凄まじい走りをするが故にこそ……。

 ホシノウィルムは、レース終盤、後ろのウマ娘に詰められることを許容する。

 

 本当はもっと早くから加速し、余裕を持って逃げ切れるような状態でも、敢えて1バ身差まで詰められることを許してしまう。

 領域の展開条件という事情もあるんだろうけど、彼女の終盤での戦略は、そういった気性面での理由もあってのものなんだと思う。

 

 ……とはいえ、彼女の溢れる才気は、大抵の場合そこからの逃げ切りを許してしまうんだけど。

 単純な話、彼女の圧倒的なステータスと常識破りの領域(ZONE)同時展開に打ち克てるウマ娘は、現在のトゥインクルシリーズには存在しない。

 残り1バ身差まで詰められようと、彼女が十分なスタミナを残している時点で、勝つ見込みがなくなってしまうわけだ。

 

 そして、それは私も例に漏れず。

 上手く彼女の弱点を突いたところで、結局のところそれだけでは、アンダースタンディブルはホシノウィルムには勝つことはできない。

 

 

 

 

「……あぁ」

 

 ずっと前で、泥を蹴り上げて走る背中。

 それを見て、私は祈るような気持ちで、想う。

 

 ホシノウィルム。

 私はずっと、どうすればあなたを越えられるかを考えていた。

 私はずっと、どうすればあなたを打ち倒せるかを考えていた。

 

 けれど、どれだけ考えたって、答えは1つ。

 私の力では、宙を舞う灰の龍(ホシノウィルム)は倒せない。

 

 仮にここでバ群全体のペースを速め、風除けを使って、インコースを走って、万全の抜け出しを決めて、無意識的にペースを上げようとしないホシノウィルムに迫っても……。

 そのスペックとスキルの差で、逃げ切られて終わる。

 

 特に致命的なのは、ホシノウィルムの埒外な領域(ZONE)

 未だ競走ウマ娘としては産声すら上げておらず、自らの走りに、人生に、明確な世界(ビジョン)を持っていない私は、どうしても彼女の領域(ZONE)の精度、そして数に対抗できはしない。

 

 ……ああ、けれど。

 

 

 

 * * *

 

 

 

 今から、1か月前のこと。

 

 世界観。原風景。

 競走ウマ娘の『領域(ZONE)』に必要らしいもの。

 

 それについて悩んでいた私に対して、トレーナーは静かに語った。

 

『……アン。誤解しないで聞いてほしいんだけど』

『こう言ってはなんだけど、「ただ1つだけの自分らしさ」なんて持ってる人はいないんだよ』

『多くの人と触れ合い、多くの状況を経て、それらから得た経験の欠片』

『誰かの物真似、何かのコピー。それらをモザイクアートのように繋げて、たくさん組み合わせることで、自分というものを創っていくんだ』

『だから、「自分らしさ」なんて探さなくていい。君は今からそれを作っていくんだから』

 

 その言葉に、私は、真理を見た気がした。

 

 私に『自分の世界』がない。それは当然だ。

 だって私は、ホシノウィルムに出会うまで走りに興味など持たず、そして未だそれを理解しきれない。

 ある意味において、私はまだ競走ウマ娘として生まれてすらいないんだろうとすら思う。

 

 卵の中の雛は、外の世界を知らない。

 故に、自らの世界(ZONE)を開くこともできない。

 

 きっと、ホシノウィルムと走ることで、自らの憧れとぶつかることで。

 私は初めて殻を破り、自分の世界を開くことができるのだろう。

 

 

 

 

 

 

 だから……決めた。

 

 まるで鳥の雛が、最初に自らと外を隔てていた殻を食べるように……。

 

 その始まりの1つ、最初に私に取り入れる1つは、ホシノウィルムのものにする。

 

 彼女の人生を、世界を、経験を、考え方を、走りを、命を。

 それを理解し、口にし、咀嚼し、呑み込み、そうして私の糧にしよう、と。

 

 

 

 

 

 

 誰かの技術のコピー、誰かの生き方の物真似。

 

 ある者は邪道だと批判するだろうし、ある者は冒涜だと非難するだろう。

 

 上等だ、好きに貶せばいいと思う。

 

 時に英雄とは殺戮者であり、時に王とは簒奪者だ。

 善悪美醜、そんなものは見方によって千差万別。

 

 ホシノウィルムのファンからすれば、私は勝手に彼女の力を使い、それを以て彼女を貶める悪役でしかないだろう。

 けれど、欧州圏に多い私のファンから見れば、ライバルの力から自身の走りを見出して彼女を越えた英雄と映るだろう。

 

 だから、貶したい人は好きに貶せばいいと思うし、同じように誉めそやしたい人は存分にそうすればいいと思う。

 結局のところ、人なんてそんなものだし。

 

 

 

 ……ああ、けれど。

 正直なところ、今の私にとっては、外の評価なんてものは心底どうでもいいんだよね。

 

 盗み取る側の私がこう言うのもなんだけど、結局のところ、力は力だ。

 誰が、何が所以だろうと、ただそれが上回ったものが勝ち、下回った方が負ける。

 

 戦いに貴賤などあるはずもない。

 結局のところ、偽物に負けてしまう本物なんて、所詮はそこまでってだけなんだから。

 

 

 

 * * *

 

 

 

 さて……時は来た。

 

 脚が逸る。

 その時が迫ることに、喜悦が止まらない。

 

「……はは、はははははは!」

 

 哄笑が、口からこぼれ出た。

 

 1000メートル以上の走行で疲れているはずなのに、脚には疲労が溜まっているはずなのに、息が切れ始めたはずなのに。

 

 それなのに、私は、溢れる笑いを止められない。

 

 

 

 

 

 

 だって、そうでしょう?

 

 私は……アンダースタンディブルは、今この時。

 

 ようやく卵の殻を破って、競走ウマ娘として生まれることができるんだから!!!

 

 

 

 

 

 

 遥か前を走るホシノウィルムをロックオンし、私は加速を始めた。

 

 抑えていた力を解き放つ。

 私を囲っていた退屈なバ群から強引に抜け出し、返す刀で内に切り込み、前へ前へと駆けていく。

 

 叩き付ける雨粒も、重くなっていく脚も、全く気にならない。

 ただ少しずつ迫る背中が見え、何故かよく聞こえるようになる観客の声だけが聞こえた。

 

 

 

 あと3バ身。

 

 

 

 フランス語や英語、その他の言語が入り混じる声を、私は聞き取ることができない。

 けれど、これまでには気にならなかったその悲喜交々の声が、まるで私の誕生を寿ぐ祝福のようにすら聞こえて。

 

 ならば、盛大にやろう。

 

 私があの天上の星に、夢を見たように。

 皆も私という英雄に、夢を見られるように。

 

 

 

 あと……2バ身。

 

 

 

 夢はいつか終わるもの。

 星は朝に溶け、人々は現実に見える。

 

 私に火を点けてくれた、ただ1人のウマ娘、ホシノウィルム。

 

 私は、あなたという夢を壊し、新たな夢となる。

 あらゆる人の憧れ。あらゆる人の英雄に。

 それによって、私は正しく今を生きる命として、ここに産声を上げるんだ。

 

 

 

 あと…………1バ身。

 

 

 

 ああ、短いようで長いモラトリアムが終わった。

 

 私の画策通り、フォルスストレートが終わる……つまりホシノウィルムの2つ目の領域(ZONE)を開く条件が整うとほぼ同時、この距離に詰め切った。

 

 これでホシノウィルムは、あの領域(ZONE)の同時使用を見せてくれるだろう。

 フォワ賞で披露した、もはや同じウマ娘とすら思えないような、次元の違う独走。

 絶対的で圧倒的な、唯一無二の走り。

 

 それを、その走りを、私は使う。

 

 新たな私の一パーツ、新たな私の一部分として。

 

 

 

 さぁ、見せて。ホシノウィルム。

 あなたの走りを、あなたの人生を!

 

 私の視線の先で、手を伸ばせば届きそうな距離で、ホシノウィルムは……。

 

 

 

 

 

 

 ……1つ目の領域(ZONE)を、使わなかった。

 

 私の視界に広がったのは、草原が燃える光景だけ。

 

 

 

 

 

 

 ……ああ、ああ! そう来るか、ホシノウィルム!

 

 一瞬、彼女の走りが乱れた。

 2つの領域(ZONE)……らしき気配を感じ、けれどその内片方は花開くことなく閉じたままに消えた。

 

 彼女は、察したんだ。

 私の力、私の狙いを!

 

 どうやったのかはわからない。

 彼女のトレーナーがその優れた観察眼で私の狙いを見抜いたのか、あるいは彼女のこれまでの戦いの記憶が直感的に働いたのか。

 

 でも、これもどうでもいい。

 

 ただ1つの事実は、「競走ウマ娘・ホシノウィルム」が私の作戦を見抜いたってことだけ!

 

 ホシノウィルム……本当に最高だよ。

 あなたはいつでも私に火を点けてくれる。私の想定を超えてくれる。

 

 愛している。

 あなたを、きっと心の底から。

 

 けど……今は戦場、レースの最中。

 この蕩けるような想いはさておき、やらせてもらう。

 

 

 

 1つは、開いたんだ。

 

 ……使わせてもらうよ、その世界!

 

 

 

 心の底から溢れる熱に、背を押されるように。

 

 私の視界の先に見えていた世界は、薄膜のように破れ去り、真実の世界がそこに広がった。

 

 

 

 * * *

 

 

 

「ああ……なんて、景色」

 

 私を構成する最初のピース、ホシノウィルムの領域(ZONE)

 

 それは、涙が出そうなくらいに、熾烈なものだった。

 

 

 

 自らの人生の全てを結集し、それら全てを燃やし尽くして加速する。

 ただこの時のために全てがあったと、この一瞬のために生きていたのだと。

 

 それは、ある意味でこれまでの全てを歪める行為だ。

 燃やすというのは、原則的に不可逆の変化。

 彼女のそれは、走るというその一点に自らの全てを注ぐため、それまでの悲しかった過去も楽しかった過去も全てを溶かし尽くして同一化する行為。

 正しく、尋常な人間であれば受け入れがたい、狂気の沙汰だ。

 

「自分の全てを燃やして走る。なんて、壮絶で、破滅的で……綺麗な。

 こんなにも……こんなにも! 私の目指す星は悍ましく輝き! 倒すべき龍は恐ろしく強い!」

 

 悍ましく、恐ろしい。

 そして同時に、熱く眩しく……望ましい。

 

 そうだ。

 ホシノウィルムの強さの根本は、そこにある。

 

 彼女の英雄神話における根源。

 ホシノウィルムの人生観の根幹。

 

 それは……。

 

 

 

 歓喜だ。

 

 

 

 この世界に生まれ落ちた僥倖。

 辛く苦しい幼少期、けれどそれがあったからこその努力の肯定。

 最高の相性と能力を持つトレーナーとの出会いという奇跡。

 自身を追ってくれるウマ娘たちとの幾度もの力比べ。

 

 その全てにおいて、彼女は、心の底から歓喜している。

 

 ……いいや。

 

 その全てを歓喜に塗り潰したからこそ、今、彼女はここにいる。

 

 

 

 控えめに言っても、彼女は狂っている。

 走りに人生全てを賭した、怪物だ。

 

 真っ当に考えて、1年前まで半端にしか走っていなかった私に、勝ち目はない。

 

 ……けれど。

 

 

 

「だから! だから、超えたい!!

 絶対に手の届かない星だから!! 絶対に勝てない相手だから!!

 だからこそ、私は、今この瞬間!! あなたに勝ちたいんですッ!!!」

 

 

 

 そんな狂った火に、私は憧れた。

 決して届かない天上の星だからこそ、私は越えたいと思ったんだ。

 

 ……ああ、今ならわかる。

 彼女に火を灯された今なら。

 

 その狂気こそが、競走ウマ娘に必要不可欠なファクターなんだ。

 

 私は分かっていなかった。

 

 ウマ娘とウマ娘は、本質的には同等だ。

 だから、相手に勝とうと思うのなら、その人生全てくらいは使う程度の覚悟はせねばならない。

 そのくらい、やって当然なんだ。

 

 私に足りなかったのは、その覚悟。

 私の最初の欠片は、その本気。

 

 ならばこそ。

 

「私は……!」

 

 

 

 いつしか立っていた、雨なんて気配すらない乾いた草原。

 

 それは、私の人生だった。

 

 ホシノウィルムの、冷たく優しいそれとは違う。

 無味乾燥で、何の意味もなくて、どこか仄暗いそれを……。

 

 ゴウ、と。

 赤い炎が焼き払う。

 

 

 

「あなたを、あなたのやり方で、打ち倒すッ!!!」

 

 

 

 私の過去を、人生を、あるいは未来までを、全て燃やし尽くす……。

 

 それはまごうことなく、アンダースタンディブルの命の炎だった。

 

 

 

 * * *

 

 

 

 熱い。

 自らの人生を焼く炎も、心の底から沸き上がって来る熱も。

 降りしきる雨なんて気にならない、むしろ全て蒸発させてるんじゃないかとすら思えるくらい。

 

 全部熔けて、溶けていく。

 今までの私の人生が、全て「この瞬間のためのもの」に集約されていく。

 

 グロテスクで、けれど心の底から楽しくて、充実して、笑えて、満たされて。

 

 ああ、これが領域(ZONE)

 ウマ娘の、魂の燃焼。

 

 幼い私には自らの景色はなく、彼女のそれを取り入れただけのものでしかないけれど……。

 

 それでも。

 確かに、私は今、ウマ娘の神髄に触れている。

 

 

 

「は……ははは! すごい、すごい、これ、すごいよ!

 これがウマ娘! これが私! これが本当の世界!

 これが、これが、この歓喜が! みんなが味わっている、本当の快感!! 生きてるっていう確かな実感!!!」

 

 それを現実で言っているのか、領域(ZONE)のイメージとして言っていると錯覚しているのか。

 私にはよくわからなかったし、どうでもよかった。

 

 だって、そんなこと気にならなくなるくらい、楽しいんだ。

 走るのが。競うのが。戦うのが。

 技術のぶつけ合い、肉体の比べ合い、その一時の判断の衝突に、彼我の魂の削り合い。

 

 それが……脳の何か大事な部分が千切れ飛んでしまうんじゃないかって思うくらいに、楽しくて、楽しくて、楽しい!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ。まったく、他人の領域借りパクしといてその笑顔か。

 呆れたウマ娘だね、あなたは。……いや、偶然を装って推しに接触する辺りからヤバさの片鱗は見えてたけどもさ」

 

 

 

 声が聞こえた。

 

 英語、じゃない。

 言語を介さず伝わる、不思議な言葉。

 

 それは、多分……領域(ZONE)の、魂の会話。

 

 燃え盛る赤い炎の中に、ちらと、青い色が覗いた。

 

 

 

「重なった、わけじゃない。同種の……同じロジックの領域だから、ちょっと混ざったのかな。いつもより深く繋がってる気がする。

 本当に呆れるよ。まさか他人の領域をコピーするなんて……流石に想像してなかった」

 

 

 

 私の炎が、青い炎によって、裂かれる。

 

 その先には、今もなお、青の炎に焼かれる草原が広がっていて……。

 その上で、一人のウマ娘が走っていた。

 

 たなびくセミロングの鹿毛に、一房の黒鹿毛。

 青白い瞳を鋭く細め、灰色の勝負服をまとった彼女。

 

 私の憧れ。私の理想。私の星で、恩師で、人生で、私の全てであるウマ娘。

 

 ホシノウィルム。

 

 彼女は苦々しく、けれど同時に晴れやかに、心底楽しそうに、横目で私の方を窺ってきていた。

 

 

 

「未熟であるが故の万能の可能性。何にでもなれる、英雄の器。あるいはワイルドの素質とでも言うべきかな?

 ともあれ、天晴だ。あなたは真正の天才だよ、本当に。おこがましいとは思うけど、私のライバルに相応しい素質の持ち主だ」

 

 

 

 ……嬉しい。

 心の底から、歓喜の感情が込み上げてくる。

 

 彼女に。私が追いかけ続けた星に、ライバルだと思ってもらえた。

 

 今、覇を競う彼女に対して、ようやく対等になれた。

 

 それが、すごく、すごくすごくすごく嬉しくて……。

 

 だから、答える。

 

 ライバルとして、あなたに勝ってみせます、って。

 

 

 

 ……けど。

 

 

 

「くく……『あなた』に勝ってみせます、か。

 やっぱり、まだまだ素質だね。育ち切ってない、文字通りの青い芽だ」

 

 

 

 ホシノウィルムは、おかしそうに笑う。

 

 何故笑うのかと考えて……けれど、答えは出ず。

 

 戸惑う私に、ホシノウィルムは、答えた。

 

 

 

「だってあなたが勝つべきは、私じゃない。

 

 『私たち』だよ?」

 

 

 

 その言葉と、殆ど同時に。

 

 私の領域(ZONE)は……。

 

 ……唐突に、閉じて、しまった。

 

 

 

 私が領域の中で最後に聞いたのは、「私は一人で戦ってるわけじゃないし、私たちは二人で走ってるわけでもないからね」という、とても楽しそうなホシノウィルムの声で。

 

 それと同時、最後に見えたのは……。

 

 

 

 

 

 

「…………ネディリカ?」

 

 一応頭に入れていただけで、まったくマークなんてしていなかった、1人のウマ娘。

 

 その領域(ZONE)に、私とホシノウィルムの領域(ZONE)が呑まれる光景だった。

 

 

 







 眩い星の光に目を焼かれれば、その星から目を逸らせなくなる。
 そして上ばかり見上げるようでは、足元がお留守になって、普段なら躓かないはずの小石にすら躓いてしまうかもしれない。

 凡人だろうと天才だろうと、それは変わりません。



 次回は一週間以内。龍と英雄の陰にいた者の視点で、凱旋門賞後編。



(追記)
 誤字報告をいただき、訂正させていただきました。ありがとうございました!
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