「……それが、兄さんの過去。兄さんが囚われた、1つの呪いです。
あの人がもっと賢ければ『この世界はそういうものだ』と学びにしたでしょう。あるいはもっと器用であれば『自分が悪かったわけではない』と正当化できたはずです。
けれど、兄さんはそのどちらも足りなかった。自分のせいで1人の知り合いが死んだのかもしれないという事実に、真正面から向き合ってしまった。
結果として、兄は大きすぎる責務を負った。『常に動き続け、全ての人を救わなければならない』なんていうふざけた生き方が、身に沁みついてしまった」
昌さんの口は、そこで一度止まり……。
「それが兄さん……堀野歩という人間です」
その言葉を以て。
30分程続いた、昌さんの話は、終わった。
……私はそれを聞いた時、果たして、どんな顔をしていただろう。
歩さんが初等部だった頃の、思いもよらない過去。
それは、悲劇に他ならない。
子供特有の世界の狭さ、視野の狭さが招いた惨劇。
偶然にも出会い、その世界を交え、けれどお互いに救われなかった2人。
片や無邪気に将来の幸せを信じ、不幸な少女の手を取ってしまった無垢な少年。
片や不幸のどん底で、その手を取られ幸せを知ってしまった無辜の少女。
2人とも、悪いことをしたわけじゃない。
勿論、何を以て悪いこととするかにもよるけど……無知は罪ではないし、歩さんが最初に取った行動は善性のものだった。
最後の諦めに関しても、ただ子供に取り得る責任の領域を越えたというだけで、ある意味で当然の帰結だと言えるだろう。
少女も、ただ不幸の中で手を取られ、その温かさを知ってしまっただけだ。
私は……その感情を、よく理解できる。
なにせ、私も不幸の中で、歩さんの手の温かさに救われた子供だもの。
そんな中で再び不幸の冷たさを味わえば、助けを求めてしまうだろうことは想像に難くない。同じ状況になれば、私もその行動を選択しただろう。
……どちらも悪くない。悪くないんだ。
悪意はなくて、ただ子供特有の頑是なさだけがあって。
間が悪くて、運が悪くて、噛み合いが悪くて、環境が悪くて……。
結果として。
名も知らない少女は、恐らくその短い生涯を終え……。
歩さんには、二度と塞がらないような、深い傷が刻まれたのだ。
それを知った私は……ただ、愕然としていた。
以前ならば……冷たい世界にいた私ならば、あるいはその重さを理解できなかっただろう。
あの頃の私は、他人に興味がなかった。……いや、興味自体はあっても、手段と目的が逆転していた私にとって、他人は自発的に意識すべきものではなかったんだ。
だから、少年の味わったその絶望を、想像しきれなかったかもしれない。
……けれど、今ならわかる。
歩さんの直面したそれは、子供が負うにはあまりにも重すぎる経験だ。
それこそ、歩さんに出会うまでの私のように……呪いを負いかねない程に。
歩さんは今も、その日の残響に襲われ続けている。
「あの時何かしていれば、彼女は救われたんじゃないか」「あの時自分にできる最大限のことをすれば、状況は変わったんじゃないか」。
そんなイフの想像が、彼の心を焼き続ける。
止まるな、動け、もっと速く走れと、その心を急かし続けているんだ。
だから……。
だから、歩さんは、あそこまで……。
ずっと、違和感はあった。
いや、あまりにも違和感が強すぎて、逆にそれを当然の物だと思ってしまっていたのかもしれない。
歩さんが、いつも働きすぎる理由。
私たちのために頑張ってくれた理由は……それだったんだ。
あの日、白くて大きな月が見下ろす夜、歩さんが私と契約してくれて以来。
彼は私のために、凄まじい程に頑張ってくれた。
自分の体を労わることすらなく必死に、まさしく命を懸けて働いてくれた。
趣味らしい趣味も持たず、ただただトレーナー業に自分の全てを費やして……。
それこそ時には、このままじゃ死んでしまうのではないかと思うくらいに。
しかも彼は、その疲れを隠すのがすごく上手い。
普段から無表情気味なこともあって直接的にはわかりづらいし、血色とか毛穴の開き程度なら、軽い化粧で誤魔化してしまう。
それを窺うとすれば、会話のテンポのズレとか歩き方の誤差とか、あとは本当に微妙な表情の動かし方の遅れくらいのもので。
それだって、前世の記憶と経験を持つ私が、1年半の間歩さんと付き合って、ようやく分かるようになるくらいの本当に軽微な差だ。
そうして彼は人目を忍んで、ずっとずっと、文字通り死ぬ程頑張ってくれていた。
けれど……。
今思えば、なんで私は考えなかったんだろうか。
彼が、担当ウマ娘というだけで、ここまで尽くしてくれる理由を。
……いや、他のトレーナーさんに対してやっているらしいデータの共有や同期の仕事への協力を考えるに、担当ウマ娘だから、じゃないんだろうな。
歩さんは、相手を選ばなかった。
担当ウマ娘である私であろうと、自分の同僚であるトレーナーさんだろうと、あるいはライバルと言っていいウマ娘のトレーナーさんにさえも、平然と手を差し伸べる。
勿論、利益性の問題でもない。
私はともかく、ライバルのトレーナーさんを助けても、何もメリットがない。強いて言えば貸しを作れるくらいだろうけど、そんなものはシビアな世界の中ではなんら力を持たないだろう。
彼は「助けてほしい」と請われれば、その全てに応えてしまう。
たとえそこに利益がなかろうと、むしろ逆に損害になるだけだろうと、関係なく。
何故、そこまでするのか。
何故、そこまでして、人を助けようとするのか。
私はずっと、その疑問から目を背けていた。
最初はスパダリなんだと思い込み、付き合う内に担当ウマ娘だから、あるいは自分だからと落とし込んでいた。
……昌さんの言葉が正しいとすれば、「私のため」という側面は多少あったのかもしれない。
けれど、少なくともそれだけじゃない。
私以外のウマ娘も、人間たちも、皆を助けようとしていたんだから。
何故そこまでして、他者を救いたがるのか。
そこには、明らかな不明があって。
その先に、歩みなき停滞があった。
私はもっともっと、ちゃんと考えるべきだった。
大事な……私の大好きな、人のこと、だったのに。
忸怩たる思いに歯軋りする私に対して……。
「私はあの人の家族として、兄妹として、兄に救われてほしいと望んでいます。
そしてそのためには……きっと、あなたの存在が、協力が必要なんです」
そう言って、昌さんは頭を下げた。
深々と……とてもじゃないけど、一回り以上年下のウマ娘には、すべきでない程に。
「お願いします、ホシノウィルムさん。
勿論、私は全力を出します。取れる手段の全てを取り、あなたを支えてみせます。それでも、あの兄には届かないかもしれませんが……決して諦めず、最後まで責任を持って、サブトレーナーとしての職務に従事します。
だから、どうか……兄との契約をそのままに、有馬記念での勝利を刻んでください。
自分がいなかったから、自分が何もしなかったから勝てなかったのだと……また、救えなかったのだと。
どうか兄に、そう思わせないでください」
歩さんにとっての最大の恐怖は、中途半端に仕事を投げ出してしまい、誰かを救えずに終わってしまうことだろう。
それはそのまま、幼少期の破局の再現だからだ。
恐らくは、それを目にした時……彼は致命的な程のショックを受けてしまう。
「小柄なウマ娘のレース中の事故」という、とても近いとは言えない現実を前にしても、衝動的な自傷に走ってしまうくらいなんだ。
何が起こるのかは……考えたくもない。
そして……もしも歩さんが意識を取り戻した時、私がレースに敗北していれば、彼は何を思うだろうか。
自罰的で、自虐的な彼は、こう思うかもしれない。
『勝てたはずの勝負だった。自分が昏睡なんてしていたから、彼女の才能を潰し、殺した』……と。
彼の思考の不器用さ、愚直さは、昌さんの話からも明らかだ。
とてもじゃないけど、あの日の夜に自分を轢いた犯人に責任を転嫁したり、『偶然の事故だったから仕方ない』なんて逃げ文句で逃避できるとは思えない。
間違いなく、彼は直面してしまうだろう。自分のせいで、誰かが救われなかったという事実に。
致命的。
文字通りの、命に到る程の、傷。
それが再び、開いてしまいかねない。
絶対に……。
絶対に、それは許容できない。
私は、彼に救われた。
前世から生まれ変わった先で、私のせいで両親との仲と家庭が破綻して……。
その最果てにお父さんからかけられた、寒く冷たい呪縛。
ずっとずっと囚われているはずだったそれから、彼が解き放ってくれた。
走ることは、楽しいんだと。
誰かと競うことは、熱いのだと。
多くの人が私を見て、私を好きになってくれて、私を愛してくれていると。
そして誰よりも近くで、彼が私を見守り、導いてくれるんだと。
それを、すごく遠回しに、けれど何よりも確かに、彼は私に教えてくれた。
……いや、違う。
私自身の手で、その事実を掴ませてくれたんだ。
感謝してもし足りない。
今、ホシノウィルムが健常にこの世界を生き、走れているのは、彼のおかげなんだ。
だから、今度は私の番。
そうしてたくさん助けてもらった分、私も彼を救わなきゃいけない。
悔しいけど……本当に悔しいけど、私には彼を目覚めさせる力はない。
私の転生チートは酷く限定的で、ただただウマ娘として走ることに特化したものだ。
世界を作り替えることも、盤面をひっくり返すことも、誰かを癒すことも、歩さんを起こすことも……トレーナーなしで走り続けることもできない。
私にできるのは、ただ走ること。
そして、勝つこと。
ホシノウィルムとして、彼の担当ウマ娘として……いや、歩さんのウマ娘として。
私は、有馬記念に勝たなければならない。
絶対に、絶対に……勝つんだ。
勝たなきゃ、いけないんだ。
* * *
結局、それから数日経っても……歩さんが目を覚ますことはなかった。
ただ、いくつか進展したことや、わかったことはある。
まず、歩さんの事故に関して。
当時の監視カメラや事故を起こした車のドライブレコーダーで、この1件には事件性が認められた。
車の方が故意に轢いた……というわけではなく。
歩さんを、車道に突き飛ばした人間が、いた。
詳しくは知らないけど、40代の男性らしい。
通り魔……って言うのかな。別にトレーナーを狙ったわけではなく、衝動的で無計画に、そして無作為に行われた犯行だったと聞いた。
この事件に関しては、歩さんのお父さんが中央まで出て来てくれて、片付けてくれたらしい。
どんな形に落ち着いたのかは、私は知らない。
その男の人がどうなったのか、誰だったのか……そんなこと、興味がなかった。
それを知ることで、歩さんの目が覚めるわけじゃないし……。
そんな無駄なことを頭に入れる程、今の私に余裕があるわけでもない。
次に、昌さんを通して改めて聞いた、お医者さんの話。
歩さんが目を覚まさない理由ははっきりとはせず、いつ目覚めてもおかしくない状態ではあるらしい。
けれど同時、逆に言えば……いつまでも目を覚まさなくてもおかしくはない状態であるとも言っていた。
脳というものは現代医術を以てしても未解明な部分が大きく、その損傷や機能不全についても完全に解き明かされているわけではない。
トレーナーが陥っているのはまさしく「そういう状態」らしく、現代の医療技術では確実に彼を救い出すことは……不可能、なのだという。
通常、軽い脳震盪による昏睡状態は、2から3時間程度で終わるらしい。
これが6時間以上続くと、たとえ起きたとしても後遺症が残る場合があり……。
3か月以上経過すれば……植物状態と、見なされる。
そして、そのまま6か月が経過すれば……大半の場合、死亡する、らしい。
嫌。
そんなの、嫌だ。
嫌、嫌、嫌、絶対に、絶対に嫌!
……嫌、だけど。
どうしようもない。
私には……歩さんを、昏睡状態から回復させる手段が、ないんだから。
せめて今、私がすべきことは、ただ1つ。
彼が起きた時に「自分のせいでホシノウィルムは負けた」なんて思わせないよう、来たる有馬記念を筆頭に、あらゆるレースに勝つことだけだ。
不幸中の幸いと言うべきか、トレーナーは最悪の事態を想定し、私たちのためにトレーニングスケジュールを残してくれている。
今は余計なことも考えず、とにかくそれに沿ってトレーニングを心がけないといけない。
それしか……それしか、歩さんを助ける手段は、ないんだ。
……それなのに。
昌さんと、協力してくれるたづなさんの主導の下で行われる、日々のトレーニング。
……しかし、私はそれに、集中しきれないでいた。
「はっ、はっ、はっ……」
気分が、乗らない。
走っても、走っても、走っても、あの脳の中を風が吹き抜けるような爽快感が来ない。
たとえ「アニメ転生」を使おうと、その思考力が大幅に落ちている。
……端的に言えば、こう表せただろう。
ホシノウィルムは今、これまでにない程の不調に陥っている。
ゴールの前で待っていた昌さんの横を走り抜ける。
彼女は持っていたストップウォッチを止めて……私に声をかけてきた。
「ホシノウィルムさん、一旦休憩しましょう」
「……スケジュールでは、まだ時間は残っていたと思います」
「そうですね。ですが、色濃く疲労が窺えます。まだ有馬記念までは期間がありますし、少し落ち着いてから……」
「駄目です。トレーナーの組んでくれたスケジュール通りに進めないと」
トレーナーなら、私を勝たせてくれる。
今までもずっとそうだった。きっとこれからもそうだ。
だから、トレーナーのプランを守らないと。
今回のレースは、負けられない。負けてはいけない。
歩さんのために、絶対に、絶対に、絶対に、勝たなきゃいけないんだから。
そうしなきゃ、私は……。
「ホシノウィルムさん……」
「……行きます」
昌さんの、私を気遣ってくれている気持ちはわかる。
私に歩さんの過去を話した者として、責任を感じてしまっているのは、わかる。
私を止めようとするのも悪意ではなく、純粋な気遣いなんだろう。
けれど……私は、止まるわけにはいかない。
それが、歩さんのためになるなら。
それで、歩さんが助けられるのなら。
ホシノウィルムは、どんなことだってやる。
それが、彼女に救われた者の、最低限の恩返しだ。
だから……。
「……ふっ!」
走り出す。
もっと速くなるために、もっと強くなるために。
もっと、もっと、もっと、走らないと。
とにかくそんな言葉だけが、頭の中を駆け巡っていて……。
……そう、まさに。
足元がお留守っていうのは、この瞬間の私のことを言うんだろう。
「えっ?」
「なっ!?」
私はぬかるんだ地面に足を取られ、盛大に転んだ。
* * *
幸い、私の脚に大きな怪我はなかった。
精々が膝を擦りむいた程度で、それもウマ娘の体だから大したものにはならない。
保健室で消毒し、大きめの絆創膏を貼ってもらって、私はそのまま今日のトレーニングを終えることになった。
……昌さんには、「申し訳ありません、私の管理ミスです。大きな怪我にならなくて良かった。今日はもう休み、明日、しっかりとお話ししましょう」って言われてしまったけれど。
「……どうすればいいんだろう」
タオルで頬を拭いながら、病院までの道を歩く。
私はレースに、勝たなければならない。
いつか歩さんが目覚めた時のために、ホシノウィルムは勝ち続けなければならない。
でも、勝つためには、たくさん走って速くならなきゃいけなくて。
しかし走れば走る程に、私の脚は鈍ってしまう。
走るという行為自体が、レースと、その向こうにある目的、歩さんのことを思い出させる。
そして彼のことを思えば……恐怖してしまう。
もう彼が目を覚ますことはないんじゃないかという恐怖が、私の思考を散り散りにするんだ。
もっと走るためには、この意識的な繋がりを、絶たねばならない。
歩さんを意識せずに走れるようにならなければ……下手をすれば、私は、レース当日にも……。
「…………どうすればいいの?」
答えが、出ない。
出せるんだったらとうの昔に実行している。
今は、勝たないと。
歩さんのために、勝たないといけないのに。
私は、私は負けられないのに……!
「……ふぅ」
駄目だ。
落ち着かないと。
動揺してはいられない。動転している余裕はない。
とにかく有馬記念に向けて、しっかりと取り組まなければいけない。
とにかく、やらないと。
勝たないと。走らないと。歩さんの力にならないと。
私は……あの人の、ウマ娘なんだから。
* * *
そんなことを考えている内……。
私はいつの間にか、目的地に到着していた。
トレセン近くの総合病院。
静かで、清潔で、静謐で……その病的なまでの白さが、どこか死と寒さを想起させる場所。
その敷地内、いつか私が入院したところとは別の、人間用の病棟。
そこで、歩さんは眠りに就いている。
私は毎日、トレーニングの時間が終わると、面会時間いっぱいまでを、歩さんの病室で過ごしていた。
いつ彼が目覚めるかはわからない。もしかしたら今日、目を覚ますかもしれない。
もしも、もしもそうなったら……真っ先に「おかえりなさい」を言いたかったから。
……今のところ、その目標は達成できていないけれど。
何度かノックしてドアを開き、中に入る。
「トレーナー、来ましたよ」
そう言って中に入り、ベッドの上を窺う。
……やっぱり。
歩さんは……まだ、そのまぶたを、開いていない。
覚悟していたはずなのに、毎度のことながら、膝から崩れ落ちそうになる。
どうせ今日もと思いながら、けれどどこかに抱いていた希望が打ち砕かれる感覚は……何度体験しても慣れることはない。
私は倒れ込むようにベッド横の椅子に座り込み、歩さんの顔を覗き込んだ。
顔色は、良い。その傷も、治りつつある。
体調は、決して悪くないんだ。
それこそ、今に目覚めてもおかしくないくらいに。
……それでも。
歩さんは、起きてはくれない。
「…………歩さん」
思わずポツリと、小さなため息と共に、弱音を吐き出す。
「私、どうすれば、いいんでしょうか」
歩さんの力になるって決めたのに。
冷静に、落ち着いて、トレーナーのプラン通りにやるって決めたのに。
全く集中もできず、今日だってつまらないミスで、トレーニングの時間を台無しにして……。
私、何をやってるんだろう。
なんで、こうなっちゃったんだろう。
「歩さんのためにも、勝たなきゃいけない、のに」
視界がブレかけて、必死に目に力を入れる。
……駄目だ。
挫けるな。負けるな。こんなの全然大丈夫なんだから。
まだ時間はある。トレーナーは帰って来る。私はレースに勝てる。
全部上手くいく。最後はきっと、全部上手くいくから。
だから……だから、まだ。
その時。
「失礼しま~す……」
少し緊張気味だけど、私からすれば底抜けに明るくて……そして、どこか聞き慣れた声が、耳に届いた。
思わず振り返った、その先にいたのは……。
「あ、ホシノウィルムちゃん? ごっ、ごめんね、邪魔するつもりじゃ……!」
わたわたと手を振る、1人のウマ娘がいた。
丸みを持ったセミショートの黒鹿毛と中央に垂れた流星、綺麗な薄紫の瞳に、右耳に付けた紫のリボン。
……どうして?
どうして、彼女がここに?
「スペ、シャル、ウィーク……さん……?」
私が親しんだ、前世のアニメ、1期の主人公。
スペシャルウィークちゃんが、そこに立っていた。
次回は3、4日後。ホシノウィルム視点で、今、本当にすべきことの話。
(追記)
誤字報告をいただき、訂正させていただきました。ありがとうございました。