リコリス・リコイル─Shooting of the Phantom─ 作:九条 美琴
その日、空港は慌しい空気に包まれていた。
滑走路手前で静止している航空機、それを取り囲むように警察の特殊部隊が突入の合図を待っていたのだが───。
「状況は?」
「犯人の要求は身代金1億とアメリカへの国外脱出。更に爆弾を所持しており少しでも近づけば即座に起爆するとの事です。」
「あとどれだけ延ばせる?」
「色々と理由をつけても3時間くらいが限界かと思います。」
「3時間か・・・・・今すぐあいつに繋げろ!」
───。
「ん・・・・・。」
春の穏やか陽気。今日は何も起こらなそうだしこんな日は一日中寝るに限るのだけれど・・・・・急に緊急のアラートが端末から鳴った。
「うるさぁぁぁい〜。ふぁい・・・・・。」
どうやら仕事らしい。一日惰眠を貪るという予定は音もなく崩れ去った。
端末に現場の詳細なデータが送られてきた。
「眠い・・・・・。」
そうぼやきつつ青色の制服に袖を通した───。
───。
都内にあるとあるモデルガンショップ───。
あまり客入りが良くないように見えるが実はこの店”裏の仕事”も受け負っており・・・・・
後ろで髪を結んでいるその店主、
「おい、今なんつった?」
「だからこれのバレル延長と口径を上げてそれに合う弾を作って欲しいって言ったんだけど。あ、あと引き金は柔らかめで。」
「その後だその後!!」
「2時間以内?大丈夫、追加料金は払うから。」
「金の問題じゃねぇぇぇぇぇ!!!」
地下に響き渡る叫び声。普通なら一日程かかる作業をたった2時間でやれというのだ。叫びたくもなる。
「でもこんな無理を頼めるのは京平だけだから。」
「しょーがねぇ・・・・・そこまで言われたらやるしか無いじゃねえか。で、”今回は”何を狙う気だ?」
「3kmくらい先のボール・・・・・」
「まぁお前の腕とその”眼”があれば出来なくは無いか、て、聞いちゃいないか・・・・・。」
無茶な注文をしてきたその少女は備え付けのソファーで寝息を立てていた。
事件発生から約3時間後――。
視界良好、距離は・・・・・うん、大丈夫。
ここ、滑走路の一番端から向こうに見える旅客機まで約3km。まだ離陸まで少し余裕はありそう。
左眼を覆っていた眼帯を外すと必要な情報が表示される。
現在の気温、湿度共に問題無し。風向きと風速は・・・・・ちょっと強いけどこのくらいなら。
目標・・・・・確認───。
───。
「いったい何時間待たせる気だ!!」
『すまない、道が混んでいるためもう少しかかりそうだ。』
副操縦士のこめかみに銃を突きつけていた犯人の怒りは今にも頂点に達しようとしていた。
「いい加減にしろ!・・・・・いいか!!これ以上遅れるようならコイツの命は無い!!その後は乗客を1人ずつ殺す!!」
『落ち着け。身代金は必ず届けさせる。だからそれまで・・・・・』
「もういい!!死・・・・・」
「こ、こちら───便・・・・・」
『どうした!!』
「た、たった今犯人が死亡・・・・・しました・・・・・。」
正面から飛んできた銃弾がガラスを突き破り犯人の眉間を貫いていた。
───。
『任務完了。』
「ご苦労。帰っていいぞ。」
「司令、彼女何者なんですか?」
「ああ、あいつの事はDAの中でもトップシークレットでな。」
とある場所にある司令室で白いジャケットを着た女性・・・・・楠木はゆっくりと語り出した。
リコリスでありながら裏の世界でも暗躍し”神の眼”を持つ狙撃成功率ほぼ100パーセントの超A級スナイパー
通称───
元ネタ: AT PIN-HOLE!(所々変えてますがほぼそのままです)