『終わりのセラフ部隊』はカウンセラー(仮名)   作:ハマの珍人

1 / 4
 4章のめぐみんの荒れ具合、鼻血出したアーさんを見て思い立ったネタです。もしかしたら続くかもしれないし、終わるかもしれません。
ちなみに作者は4章のフラハン前で止まっております。


プロローグ

 突如として地球に飛来してきた生命体、『キャンサー』

明らかに地球上のどの生物とも似つかない、異形の怪物により、地球は危機に瀕していた。

キャンサーにはこれまで人類が生み出してきた兵器による攻撃が一切通じず、撃退する術を持たない人類は、敢えなく敗退した。

 高度な科学技術を誇るアメリカや欧州諸国ですら悉く打ち破られたのだ。島国である日本も例外ではない。

 

土地は放棄され、様々な国が戦禍に消えていった。今では陸地の大半はキャンサーの支配下である。

 

人類に残された時間は少なく、絶滅も覚悟したとき、ひとつの新兵器が開発された。

 

それこそが決戦兵器『セラフ』

それを装備した者だけがキャンサーに効果的な打撃を与えることができた。人類はセラフを操る術を手にした者たちをかき集め、最後の希望を託して『セラフ部隊』を設立した。

 

セラフを操れる者はひとつの共通項を持っていた。それは『何かしらの才能を持った少女』たちであることだ。

 

 

 

「なんとも嘆かわしい話ですよね」

 

 地球の存亡を、本来ならば保護されるべき立場の少女達に委ねなければいけない。

その現状にポツリと愚痴を溢す。

 

 

「世が世なら青春を謳歌してるはずなんですよ?」

 

 

 少なくとも日本の10代の少女ならば今のような戦争とは無縁のはずだ。

学校で友達としゃべったり、部活に汗を流したり、バイトしたり……少なくとも武器を手に異形の怪物と命懸けの戦闘などすることはなかったはずだ。

 もっとも命懸けの戦闘はそうだとしても、『才能を持った者』が一般的な青春を謳歌出来るか、といわれるとそうとは言えないだろうけど。

 

「耳が痛い話ね」

 

 そう言いながらも、目の前に立つ軍服に身を纏った麗人、手塚咲は表情を崩すことなく淡々としている。

司令官という立場である以上、そうそう表情には出すわけにはいかないだろうけどさ。

それじゃあこの手塚司令官は冷徹な人間なのかというとーー

 

「それがうって変わって命懸けの最前線にいる。常に死と隣り合わせ。青春を死神とデートとか洒落になりませんよ」

 

「そうならないために私達がいる。そのための日頃の訓練よ」

 

 少なくともそんなことはない。本人はおくびにも出さないだろうけど。

 

「でも、大半がせいぜい一般的な学生の体力ですよ? それがいきなり軍人レベルのハードな訓練。身体も心もボロボロになりますよ」

 

「あら……そのために貴女がいるのよ?」

 

「っ!」

 

 思わぬ反撃に面食らっていると、司令官は妖艶に、かつイタズラが成功した子供のように笑う。

 

「貴女が軍医として、カウンセラーとして彼女達のケアをするのよ」

 

 表向きは『彼女たちの動揺でセラフが正常に機能しなくなるのを防ぐため』とか言いそうだけれど。

 

(過保護というか、不器用というか……)

 

 これから始まる戦闘訓練、日々の座学、理不尽とも思われる24時間気が休まることのない任務。

『血も涙もない鬼司令官』と陰口を叩かれることがあるかもしれない。

それでも彼女は甘い部分を見せず、冷徹という仮面で己を隠しながらもセラフ部隊を鍛え上げる。

一人でも多く無事に任務から帰還できるように。

 

「ちなみに相談の内容は逐一報告する必要はないわ。重要性のあるものだけ報告してちょうだい。基準は貴女に任せるわ」

 

 スッと帽子を被り直す。これも話題を変えたり、気持ちをリセットするための彼女のクセ。まだ出会って短い期間ではあるものの、それは分かる。

 

「コーヒーでも飲みます?」

 

 一段落ついたところで提案する。

彼女が訪ねてきた時に提案したものの、『説明だけ』と断られていたのだ。思わず話し込んでしまったけど……

 

「いえ、この後もやることがあるので失礼するわ」

 

「その……お疲れ様です」

 

 司令官と言っても中間管理職みたいなもの。軍の上層部に報告をあげなければいけないし、研究班からの報告だってあがってくる。

こうしている間にも彼女の仕事は増えていくのだ。

 

「あ、それと明日から時間を見てセラフ部隊との顔合わせを済ませておいてちょうだい」

 

「へ?」

 

 出ていく寸前にとんでもないこと言わなかったか?

 

「まさか、『座って待ってればいいや』と思った訳じゃないでしょう?」

 

「そ、それは……」

 

 その通りである。

 

「ともかく、座学、訓練の合間を縫って全員と面談すること。必要とあればこちらから彼女達に連絡するから。よろしく」ガチャ

 

「ちょ、ま、セラフ部隊が何人いるとーー」パタン

 

 私の反論を遮り、司令官はドアを開けて出ていってしまった。

 

「マジか……」

 

 1部隊6人構成で現在8部隊。うち1部隊はまだ『来日』してない。

 

「それでも42人……」

 

 1人10分の面談だとしても420分。さすがに1日で済ませとは言われてないものの、いつ緊急事態になるか分からない以上は早めに終わらせるに越したことはない。

 

 訂正、やはり司令官は鬼なのかもしれない。私限定で。

 

「はぁ……」

 

 ため息1つついて、部屋のキャビネットからココアの粉末とカップ、ティースプーンを取り出す。

 

(2杯……いや、3杯でいいや)

 

 スプーンでココアをカップに入れて、お湯を少し注ぐ。スプーンでゴリゴリかき混ぜペースト状にしてまたお湯を注ぐ。

少し少なめにして、冷蔵庫から取り出した牛乳を加え、1口。

 

「確かにカウンセラーの必要性は分かるし、軍医だから仕方ないんだけどさ」

 

 名前……小縁かなた(こよりかなた)

 役職……軍医兼カウンセラー

 

「ボクも青春を謳歌したい年頃なんだけど……」

 

 所属……セラフ部隊31Z

 

 

 これは後に『死神』と称された1人のセラフ部隊隊員、兼カウンセラーの奮闘劇である。




オリキャラ

小縁かなた(こよりかなた)
所属 軍医(兼カウンセラー)、31Z部隊
身長  158㎝
髪   亜麻色の髪をポニテにしてる
目   碧色
服装  割とラフな服装を好む
セラフ 刀
コード 君の全てを知りたい
幼い頃に入院していた祖母が目の前で亡くなったことで、誰も死なせたくないという一心で医者を目指す。
単身ドイツに渡り、飛び級で医学部に合格。
軍では主にカウンセラーという立場でいる。

ストレスがたまると、アリーナでひたすらキャンサーを斬って発散している。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。