『終わりのセラフ部隊』はカウンセラー(仮名)   作:ハマの珍人

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 まさかのお気に入り登録ありがとうございます!

いきなりですが、変更点をいくつか

・主人公の名前

変更前 彼方小縁(かなたこより)

変更後 小縁かなた

(語感的にこちらの方がいいかと)

・一人称

変更前 私

変更後 ボク

になります。


case1 茅森月歌

 まさかのセラフ部隊全員との面談を手塚司令官より仰せつかってしまった。

いきなり初対面の人間に相談を出来るか、と言われるとまず無理なので仕方ないことではあるけれど。

そんなわけで昨日は寝る前に、軍のデータを送ってもらって一通りの情報は叩き込んだ。

顔と名前、誕生日、出身地、来歴……分かる限りのことは覚えた。

そんなボクは今ーー

 

「ホントにやらなきゃダメ?」

 

 絶賛ネガっていた。

 

「ダメです」

 

 そんなボクの問いかけに目の前の人物、七瀬七海は表情も声色も変えず、それでもバッサリと切り捨てた。

彼女は見た目こそ若いものの(実際年齢不詳だけれど)、手塚司令官の補佐をしている優秀な人だ。

 

「どうしても?」

 

「ダメです」

 

「そこをなんとk「なんともなりません」」

 

 いや、ボクだって仕事だしやらなきゃいけないのは分かっている。そうでもなきゃセラフ部隊のひととなりを確認なんてしないさ。けど……

 

「この子たちヤバすぎない!?」

 

『才能を持った』子達を軽く見すぎていた。せいぜいが高校のスポーツ推薦とか特待生みたいなものだと思っていたけど、有名バンドのボーカルだったりとか、ハッカーとか、戦艦の艦長、殺し屋……途中でカウンセラーを引き受けたことを後悔するくらいには彼女たちの経歴は凄まじいものだった。

 

「小縁さんも大概だとは思いますが」

 

「ボクの経歴なんて吹けば飛ぶようなものだよ!」

 

 セラフ部隊恐ろしい。あそこまで人外魔境とは思わなかった。

怯えるボクをジッと見つめる七瀬さん。

その顔には変化が見られないけど……次に飛び出すのは罵倒か叱責か……

 

「埒があきませんので、早速呼んできますね」

 

「ちょま!」

 

 止める間もなく、くるりと背を向けると部屋を出ていった。

こうなってしまった以上は腹を決めるしかない。いくら輝かしい経歴を持っていたとしても、同じ人間なんだ。会話さえ成立すれば意思の疎通も図れるだろう。

 

『31A部隊は面談を行いますので、第2診療室に集合してください』

 

「そんな大々的に呼び出ししなくても……」

 

 せめて授業中に友人同士が回すメモみたいにこっそりと呼び出して欲しかった。

 

 

 

 しばらくすると31Aのメンバーが来たのか、足音と話し声が聞こえてきた。『ミーティング』じゃなくて『面談』だし、『司令官室』じゃなくて『第2診療室』なのが不思議なんだろうね。

ちなみに第1診療室が所謂医務室みたいなもの。第2診療室は……まぁ半ばボクの自室になりつつあるかな。色々私物持ち込んじゃってるし。

 

「ーーーーー」

 

 お? 七瀬さんが説明してるのが聞こえる。

 

コンコンコン

 

「は~い、どうぞ~」

 

 ノックに対して返事をする。

 

「失礼します。31A部隊の皆さんをお連れしました」

 

「|来ちゃったか~。じゃあちゃっちゃとやりますか《ありがとうございます。では始めましょうか》」

 

「小縁さん? 心の声が漏れてます」

 

「おっと失敬。じゃあ、部隊長さんから入ってもらってください」

 

「分かりました」

 

 七瀬さんが一礼してドアを閉める。

うーん……ボクに一礼は要らないんだけどなぁ……

 

コンコンコン

 

 暫くしてまたノックされる。音からして今度は七瀬さんではないようだ。

 

「どうぞ~」

 

「失礼します」

 

 入ってきたのは、金髪ショートカットの美少女。

彼女が『切り込み隊』、31Aの部隊長で、伝説的ロックバンド『She is Legend』の元ボーカル&ギターの茅森月歌さん……

 

(初っ端からビッグネームだよ……)

 

 音楽に疎いボクですら知ってる。何度かテレビで見たこともある。

 

(思ったより背は低いなぁ……)

 

 テレビとかだとアップで映ってたり、引きでも大きく見えるけど、実際会うと意外とそうでもなかったり……あれってなんなんだろうね? オーラ?

 

「あ、どうぞ。座ってください」

 

 ついつい観察してて、茅森さんを立たせっぱなしになってしまった。というか、入り口から動いてないけどどうしたん?

 

(もしかして『カウンセラー』って聞いてたのに、同い年くらいのボクしかいないからビックリしてるのかな?)

 

「白衣着てない!?」ガーン

 

「突っ込みどころそこなの!?」ガーン

 

 まさかの斜め上の突っ込みに、こちらも思わず突っ込んでしまった。

 

「失礼。とりあえず座ってよ」コホン

 

「失礼します」

 

 気を取り直して再度座るように促すと、茅森さんは一礼してイスに腰掛ける。

 

「まぁ、面談というよりも今回は顔合わせみたいなものだから、気楽にしていいよ~。あとは敬語も要らないし」

 

 同い年のようだし、堅苦しいのがあまり好きじゃないしね。

なんというか、壁を感じちゃうし。

 

「そう? じゃあお言葉に甘えて~」グダー

 

 言うが早いか、テーブルに突っ伏して寛ぐ茅森さん。

こうして見ると、まるで猫みたいだ。

七瀬さんを『人に懐かないチェシャ猫』とすれば、茅森さんは『自由気ままな野良猫』のようだ。

 

「何か飲む~?」

 

「え!? ここ医務室じゃないの!?」

 

「第2だから、主に今回みたいなカウンセリングに使うだけだし~。まぁ、ボクの自室みたいなもんだけどね~」

 

「職権乱用だ!!」ガーン

 

「いやいや、色々必要なものを突き詰めた結果だし~? で、何がいい?」

 

 戸棚を開ければコーヒー、紅茶、緑茶もあるし、冷蔵庫の中には急遽準備してきたドリンク類はある。大体のオーダーには答えられるはず。

 

「じゃあド◯ペで」

 

「はい! グラス要る?」

 

 茅森さんのオーダー通りに取り出したるは、コーラ似にて非なるもの。嗜好性が高く、好みが分かれる炭酸飲料。

ちなみに私は独特の風味が苦手。

 

「あるの!?」ガーン

 

 ボクもまさかこの施設の購買部に置いてあるとは思わなかった。

誰か飲むかなぁ、と思っていたけど無駄にならないようで良かった。

 

「氷はいくつ? 2つ? 3つ?」

 

「いやいや、砂糖の数みたいに聞かないで!? あと普通のコーラでいいよ!」

 

「ありゃ? そうなの? てっきりバンドマンの必需品かと……」

 

「偏見だからね!? 確かにメンバーで飲んでたのもいたけどさ……」

 

 そうだったのか……とりあえず別な人が飲むかも知れないから、冷蔵庫に閉まって、替わりにコーラを取り出す。

 

「じゃあ早速だけど……面談始めるね~」

 

「フリーダムすぎる……」

 

 

 まぁ面談と言っても、今回はお互いの自己紹介で済んじゃうんだけどね。

あと、ボクのあだ名が『こよりん』になりました。『こよこよ』とか『コヨーテ』も候補に挙がったけど、1番マトモだったしね。

 

「じゃあ最後に……何か相談とか悩み事、質問はあるかな?

 

「……1つだけ」

 

 そう言って、茅森さんの真っ赤な瞳がボクを捉えた。

 

「刀削麺って知ってるか?」

 

 

 

 

「……はい?」

 

「刀削麺って知ってるか?」

 

 とうしょうめん……トウショウメン……刀削麺

 

「刀削麺……中国発祥の麺だよね? 小麦を水で練って生地を作り、生地を包丁で削り取り、沸騰したお湯の中に放り込むヤツ」

 

 ボクが答えると、茅森さんは鷹揚に頷く。

 

「えっと……それがどうかしたの?? 食べたいとか??」

 

「いや、ただ聞いただけ」

 

 あっけらかんと答える茅森さんに呆然としていると、

 

「ん~! 満足した。じゃあ、これからよろしくね、こよりん」

 

「あ、うん。よろしく……」

 

 立ち上がり伸びをすると、茅森さんは部屋を出ていった。

 

「何だったんだろ?」

 

 最後の最後に化かされた気分になった。

 

 

 

※お互いの印象

 

かなた→月歌

 

とっつきにくい感じはしなかった。

あだ名つけてもらった。

自由気ままな野良猫みたい

刀削麺……

 

 

月歌→かなた

 

ボクっ娘!

割とフリーダム

面白そう

 

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