ここに連れてこられてもう何年経ったのだろうか
分かるのは私は島民全員に売られたって事、元々人間扱いもされてなかったけど
もう名前どころか顔すら覚えてない、まぁそんな感じだったんだろう
寧ろここに連れてこられて何年も生きてること自体が不思議だ
まぁ私が女だからってこともあるんだろうけど、痛覚と味覚はいつの間にか消えてた
痛覚があったら痛みが酷いから無くなったのは良かったんだろうけどね
そんなことを考えること数時間、冷たい石畳の床をコツコツと叩く音が聞こえてくる
どうやら今日もそんな時間になったらしい、鎧に身を包んで矛を持った兵士が二人、私を閉じ込めている牢屋の鉄格子前に現れる
「出ろ」
牢屋の鍵を開けながら無機質な声でそう言う兵士
もうちょっと感情込めればいいのになぁなんて思いながら出ると、首に鎖を繋がれる
奴隷みたいな扱いに心の中でため息をつく、まぁ奴隷なんだけど
さて、今日は何時間なんだろうか
早めに飽きてくれることを願うばかりだ
「…おぇ…口の中に何回も出しやがって…」
そんなことを小声で呟きながら冷たい壁に背を預ける
今日はどうやら気に入らない事でもあったらしい、そのお陰で何回もあの汚い物を突き立てられた
「それにいきなり突っ込んでくんなよ…死ぬかと思った」
まぁ連中からしたら奴隷が一人死のうが死ぬまいがどうでもいいことなんだろうけど
何があったかというと、まぁ訳の分からん果物を無理やり口に捻じ込まれた
丸々一個入れてきたから呼吸が止まって危うく死ぬところだったけど
話によれば『悪魔の実』とか言う訳の分からんものらしい、味が糞不味いらしいから私に食べさせたんだと
まぁ何か腰に巻いてたものに私が触った瞬間何も反応しなくなって、壊した罰で食べさせられた
唯一の救いは味覚が死んでたことだろうか、まさかこんなところで役に立つとは思ってなかったけど
「はぁ…糞が…」
そう言いながら睡眠をとろうとした瞬間だった
(何処だここは?)
…どうやら何年もこんなことされてたせいか、幻聴までが聞こえるようになったらしい
取り敢えず無視して瞼を閉じようとすると
(克己ちゃーん!また会えたわねー!)
(煩いわよ!変なおっさん!)
(悪いわね変なおっさんで…変なおっさん!?言ったわね!アンタレディに対して最大の侮辱を!ムッキー!!)
(あぁ煩い!京水!お前黙ってろよ頼むから!…おい賢!お前ちったぁ喋ろよ!)
(…いつもの事だろう)
なんか複数人の声が聞こえる、どうやら本格的に壊れ始めたらしい
まぁむしろ良く持った方かなと思う、取り敢えず寝るとする
(誰だお前は?)
…最近の幻聴は話しかけてくるものなのか?
そう思いながらもひとまず返事をする
「ただの奴隷だよ、これで満足?」
(奴隷?どういうことだ?)
幻聴と会話してるのか、いよいよ末期だね私も
「家族や島民に奴隷として売られたの、もういい?幻聴と会話してるとか気が変になりそうなんだけど」
(…もう少し聞かせろ)
「話す義理なんてないから」
そう突き放して私は目を閉じた
「改めて聞く、奴隷というのはどういうことだ?」
「…寝たはずなんだけど、というかここ何処」
目の前にいる男にそう返しながら体を起こす
辺りは一面真っ白で何もない殺風景そのものな世界、そんな世界を眺めていると
「ちょっと!傷だらけじゃないの!」
そう言いながら傷だらけになっている私の腕を取ってくるのは…変なおっさん
おっさんのくせに何故女口調なのか…まぁどうでもいいけども
「気味悪がってるじゃないの、変なおっさん」
「失礼ね!あたしは立派なレディーよ!オッパイだってあたしの方が大きいわ!」
「何言ってんのよ…」
ここに居る中で私と同じ女の言葉に心の中で同意する
というかこのおっさんそんなことを言いながら包帯とか巻いてるが…まぁ夢の中だし関係ないか
「相変わらずうるせぇな京水…というか細すぎるだろ体全体」
そう言いながら変なおっさんが持っている腕とは逆の方の腕を持ち上げてくる暑苦しいおっさん
所々露出している体は滅茶苦茶筋肉が付いている…暑苦しいったらありゃしない
「ここ数年間碌なもの食べてないからね、というか後ろで黙ってるやつ誰?」
「あぁあいつか?いつもの事だ、気にすんな」
いや気にすんなと言われても困るんだけど
今寄ってきてる連中の後ろで一人視線だけをこっちに向けてきてたらそりゃ気になるでしょ
「というか、あんたら誰?」
声からして寝る前に頭の中で聞こえていた声の連中だということは分かるけど
「俺たちは『NEVER』、傭兵集団だ、いや、だったというべきか」
「ようへい?」
「雇われの兵隊ってことだ、俺の名は大道克己、そして」
「あたしが泉京水、れっきとしたレディーよ!」
「男にしか見えないんだけど」
「気にすんな、いつもの事だからよ…あぁ、俺は堂本剛三、んで、あの黙ってんのが芦原賢、んでそこの木が強そうな別嬪ちゃんが」
「…羽原レイカ」
そう言ってそっぽを向くレイカ
嫌われているようだ、まぁ興味ないけど
「でだ、さっきの事を詳しく教えてもらおうか」
いつの間にか近くまで来ていた大道がそう聞いてくる
その視線は言うまで逃がさないというような、強い意志のようなものが見える
正直話す気はなかったけど…ま、いいか
「…ってわけ、OK?」
今までの経緯諸々含めて話せば、途端に静かになる『NEVER』連中
そちらから話せと言ったくせに話してみれば静かになるとは…矛盾にもほどがある
「辛かったわね…」
そう言いながら頭を撫でてくる京水の手を払いのける
一先ずこいつは雑に扱っても許される気がした
「んまぁもう!せっかく慰めてあげようとしたのに酷いわね!」
京水がそう言ってくるが一先ず無視
「酷い話だな、物語にしたらそれなりに稼げるだろうな」
そう言う大道、まぁそれに関してはどうでもいいんだけど
「で、もういい?話すことなんか何もないでしょ」
「お前は今のままでいいのか?」
話すことは話したと思って会話を打ち切ろうとしたら、唐突にそんな言葉を投げかけてくる大道
今のままでいいのか…ねぇ…
「そりゃ嫌に決まってるじゃん」
「だったら」
「けど現実は受け入れざるを得ない、あがいたところで何も変わらないさ」
生まれてずっとこんな人生だったんだから
親から褒められたいと思って頑張ったこともあった、島民から認められたかった
だけど自分に返ってくるのは罵倒や暴力
頑張ったって何も変わりはしない、所詮無駄な努力
無駄だとわかっていることをやる必要があるのか、ない
「だから何もしない、したところで無駄なんだから」
もういいでしょと言って今度こそ会話を打ち切ろうとしたその時、大道が私の胸ぐらをつかんできた
胸ぐらと言ってもぼろ切れだけどね
「本当にそれでいいのか?」
「…何が?」
「いいことを教えてやろう、俺たち『NEVER』は普通の人間じゃない、死人だ」
「…はぁ?何言ってんの?頭壊れてる?」
「壊れてるか、確かにその通りかもしれないな、だが事実だ」
「『NEVER』になると人間だったころの記憶や感情はだんだん薄れていく、俺も『NEVER』になる前は虫一匹殺せなかったんだぞ?信じられないかもしれないがな」
「だがお前は死人じゃない、まだ生きている人間だ、人間はどんなことがあろうとも立ち上がることができる、その人間であるお前が未来を諦めて立ち上がらなくてどうする?」
…諦めか
「死人の俺、いや、俺たちは未来という明日を目指して歩いていた、それなのに今までの事を言い訳にして未来を諦めて、進もうとしないお前は何なんだ?」
大道のその言葉に黙り込む私
確かに大道の言うとおりだ、未来なんて当の昔に諦めている
だけどそれの何が悪い?先なんか当の昔に潰えたんだ
「…ふん、興ざめだな」
そう言って胸ぐらから手を離す大道
その眼には明らかに失望の色が混じっている、まぁ失望されたところで何とも思わないけど
「一つだけ言っておこう、未来を見ようともしない今のお前は奴隷ですらない、家畜そのものだ」
大道のその言葉だけが、やけに脳裏に残った
「お前にはもう飽きたザマス、最期くらい楽しませるアマス」
朝早くにたたき起こされ、連れてこられてみればそう言われる
まぁどうせ短い命だということは分かってたけど、とうとうその日が来たかと思う
まぁ何とも思わない、どうせ生きててもいいことないし
「ちょうどいい物があったザマス、これでやってあげるザマス」
そう言って兵士たちが持ってきたのは赤くなっている鉄の棒
恐らくあれで殺されるのだろう、まぁどうとも
「泣いてるザマスね、その泣き顔面白いザマス!」
…泣いてる?私が?
そう思っていると、視界が何か滲んで見えることに気付いて、そこで泣いているということに気付く
…あぁ、そうか、結局私は
死にたいと願いながら生きたかったのか
未来を掴んでみたかったのか
…ははは、これじゃ大道の言う通りじゃないか
結局、今を言い訳にして未来を生きようとしなかっただけなんだ、私は
まぁもう…後悔しても遅いか
そう考えて目を瞑ろうとしたその時
部屋の一角で何かが眩しい光を放ち始めた
「な、何事ザマス!?」
天竜人が混乱した様子でそう叫んでるけど、私こそ知りたい
何が起こったのか分からずに混乱していると
(いい顔になったじゃないか)
突如大道の声が脳裏に響き渡る
(しかしお前までこっちに来てたとはな…エターナル)
「は、ちょっ、どういうこと?」
(説明は後だ、あのメモリとその隣にあるドライバーを取れ)
「めもり?なにそれ?」
(あの光ってるやつだ、生きたかったら早くしろ!)
大道にそう叱咤されて、私を取り押さえていた兵士を突き飛ばして、光を放っている物とその隣にあるドライバー?と言われるものを手に取る
めもり?とかいう物にボタンがあったから押してみると
『エターナル!』
そんな音声と共に光が収まる
「エターナル…」
(永遠という意味だ)
永遠…か
「何をやってるザマス!とっととそいつを殺すザマス!」
天竜人がそう言うと同時に、武器を構え始める兵士たち
「ねぇ大道、私気付いたんだ」
(何がだ?)
「結局、死にたい死にたい言ってたくせに本当は生きたかったんだって」
(…やっと気づいたか、そうだ、人間は最後まで未来を見たいと願う、ま、お前はそれを諦めてたんだがな、結局未来を見たかったんじゃないか)
「はは、確かにね…ねぇ大道」
(なんだ)
「私さ、生まれてから一度も外とか見たことないんだ、だからさ、ここ出たら未知の世界なんだ」
(それは俺たちも同じなんだがな)
「あぁ、そうなんだ…だからさ、私と一緒に外に出て生きてくれる?」
(一緒も何も俺たちはお前の頭の中にいるんだからな、それに俺たちもこの世界の事は知らない)
「でも?」
(それが、面白い)
「だよね」
(ちょっと!克己ちゃんは私の物よ!)
(京水!お前良いところなんだから黙ってろ!)
(ほんとに変わらないわね…変なおっさん)
(誰が変なおっさんですって!?)
(煩いって言ってんだろ!賢!お前はちったぁ喋ろ!)
(…相変わらずだ)
(それだけかよ!?)
なんか頭の中が騒がしくなる、けどそれもなんか新鮮
そう考えながらドライバー?を腰の前に持ってくると、自動でベルトが出てきて腰に巻きつく
(さて、行くか、死神のパーティタイムだ)
「何それかっこいい」
そう言いながらめもり?とかいう物にあるボタンを押す
『エターナル!』
(それをドライバーに差し込んでスロットを傾けろ、後は俺たちが手伝ってやる)
「ええと、こう?」
大道の言うとおり差し込んでみると、めもり?からよくわからないものが放たれている
「後は傾けるだけでいいの?大道」
(あぁ、それとだな、俺の事は克己と呼べ、大道だと正直慣れん)
「分かった」
そう言って腕を顔の横に持っていく
なんかかっこいい気がしたからやってるけど…どうかな
(いいんじゃないか、俺もやってたしな)
「あ、そうなの?」
(そうよ!あの時の克己ちゃんったら…もうビンビンに勃っちゃうわ!)
京水がなんか言ってるけど無視
(さて…こいつらを殺して新しい世界とやらを拝ませてもらおうじゃないか)
「そうだね」
そうして兵士たちに向き直って
「『変身!』」
そう言ってスロットを傾けると、体が白いボディに包まれる
体を見てみればベルトのようなものが巻き付いて、黒いマントが出てきていた
両手両足を見てみれば、なんか青い炎のようなデザインが出てきている
何より、力が入らなかった筈の体から、力が湧き出ているようにも感じる
「これが…」
(そうだ、仮面ライダーエターナルだ)
「仮面、ライダー…」
克己の言葉にそう溢す
何というか…かっこいい…
「と、そんなこと考えてる場合じゃなかった…ねぇ、なんか決め台詞見たなのあるの?」
(あるにはあるが…どうした?)
「いや、なんかかっこいいかなって」
そう言うとため息をつく克己
何でため息つかれたのか分からないけど、まぁいっか
そうして克己に決め台詞見たなものを教えてもらって、こちらを見て驚いている兵士たちに向き直る
そして片腕を前に持っていって、親指を立てる
「これでいいんだよね?」
(あぁ、さて…久々の運動と行こうじゃないか)
「『さぁ、地獄を楽しみな!』」
そう言って親指を下に向けて、いつの間にか手に持っていたナイフを持って、兵士連中に襲い掛かった
(そう言えばお前、名前はなんて言うんだ?)
天竜人どもを皆殺しにして、屋敷に火をつけて去っているとき、ふと克己がそう聞いてくる
「さぁ…思い返してみればないね…そうだ、克己がつけてみてよ」
(いきなりだな…)
(はいはーい!私良い名前思いついたわ!)
「却下」
(何で!?聞くぐらいいいじゃないの!)
「嫌な予感しかしないもん、こういう時の京水は危ないって剛三が言ってた」
(おっしゃる通りだわぁぁぁぁ!でも今回はいい名前よ!)
「じゃあ一応聞くけどさ、何?」
(エテルニタ、なんてどうかしら?)
「エテルニタ…うん、気に入った」
(決まりだな、これからよろしくな、エテル)
早速なんか縮められたけど…ま、いっか
NEVERのメンバーこんな感じで大丈夫かな