メゾン・ド・チャンイチの裏事情 作:浅打
一護は強い子供だった、暴力が嫌いですぐに泣いちゃうけれど他人を思いやれる優しい子供だった。
テレビで見た正義のヒーローに憧れて空手道場に入門しても、結局同年代の子供たちに強く手を出せなくて女の子に泣かされていた一護。
だけど私が迎えに行くと目尻に涙を浮かべたまま笑っていて私を心配させまいとする一護の優しさが誇らしかった。
一心さんに似たのかな、なんて思う。あの日一心さんに助けられて、彼の人生を歪め居場所を奪ってしまった負い目を感じて一心さんの元に揶揄いついでに通い詰めた日々の事。
一心さんは私に嘘を吐いた、職場で失敗して追い出されたなんてサラリーマンじゃあるまいし。
それでも私に不満も不安気な様子も見せずにいつも笑っていた、そんな彼の姿には人を引き付ける一種のリーダーシップの様な安心感があり何時しか私は彼に惹かれていた。
彼の白衣姿が似合わないなんて、偶に見せるタバコを吸う時の手元がカッコイイだなんて少しだけ照れ隠しをしながら私が自ら一心さんに
六月十七日、雨の日の事だった。地元の空手道場での練習を終えた一護を迎えに行った帰りの事。
一護はあえて道路側を歩いて私を守ろうとしてくれていた、そんな一護の姿がとても微笑ましくてトラックが跳ねた水を被った一護の汚れをハンカチで拭いてあげる。
一護と手を繋いで帰るいつもと変わらない幸せな日々、これからもこんな日々が続くと信じていた。
―――ちょっと待ってて母ちゃん。
私は霊力を持っているから例えこの辺りを彷徨う魂魄であってもハッキリ見える。しかし私も一心さんも一護にはまだこの世界の別の一面を教えていない。
未熟な一護は魂魄が見える、しかし―――その影に隠れる恐ろしいモノの姿は見えていないようだった。
恐るべき虚、滅却師の天敵たる虚。私の血を受けた一護にとっても虚は猛毒になり得る!!
「駄目!一護!!!」
幾度となく繰り返した
純血の滅却師としての血筋にしか存在意義を見出されなかった私にとって何かを守る事に特化したこの能力は私の誇りであり矜持だ。
一護を守る為に走り出そうとした時に全身を走る悪寒と脱力、生命そのものを削るような衝撃が私を襲いその手の中から神聖弓が崩れ去るのを見た。
しかし見ただけだった、私の命は誰かの為に使うもの。一護と柚子と花梨、そして一心さんへの心残りが在ろうとも私は家族の為なら例えこの命が尽きようとも構わない!!
――――動け、動け!、動け!!
震える足を交互に動かして走り出し一護を庇う為に覆いかぶさる。なんとか間に合った、だけどダメ押しに静血装を使おうにもうんともすんとも言わない。
ああ、背中に走る激痛。耳がキーンとして目を瞑って蹲る一護の姿が涙でぼやける、いつも一護が産まれる前にやっていたように震える手で愛おしい我が子の髪を撫でる。
「ゴメンね…怖い思いをさせてゴメンね…」
『そのままじゃ二人とも死ぬぜ?』
そんなのは嫌、一護だけでも守らないと。でも死にたくない…本当は死にたくないよ…。
『お前の力はここにある』
本当?私はまだ戦えるの?
『俺の力を使え』
どうすればいい?
『俺の名前を呼べ』
貴方の名前を―――?
『そうだ。俺の名前は――――』
「つまりは―――黒崎真咲を死神にしてしまえばいい」
その虚は独りで語り始める、腐れ縁ともなった滅却師の残滓たるあの男は一足早く一護の中に移っており既にいなくなってしまった。
俺は俺を縛り付ける死神の力が込められた封印の鎖を持ち上げる、随分と緩みきった俺の体に頼りなく巻き付く鎖は俺を縛り付ける事も出来ずに項垂れる様に力なく揺れている。
「
そうして随分と貯め込んだ己の力を解放させる、並の滅却師であればその身を滅ぼしつくすであろう虚の力。
「虚の俺を縛るこの鎖が、俺の力を相殺するって言うんだろ?だったら―――俺の力がデカくなればその分死神の力もデカくなるんだろ!?」
最後の抵抗とばかりに鎖が太く大きくなり俺を絞め殺さんとばかりに絡めとろうとする、しかし今更無駄な事だ。
口元に伸びた鎖に噛みつき喰らう、繋がりを断たれた鎖も全て捉えて片っ端から喰らい続ける。
「貰うぜ、死神の力」
準備は全て整った、滅却師のオッサンが聖別に抗い僅かに残した
「さあ、やろうぜ。これが一護を救う力だ!」
お仕事のせいで筆が進まないけど書いてます、よろしく。
今後の方針
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コメディっぽい方が良い
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今まで通りでいい