メゾン・ド・チャンイチの裏事情   作:浅打

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六月十七日②

 

 

「貴様、死神だったのか。しかしその姿に虚の仮面……貴様は分からん、同類か?」

 

「うるせえよ、雨降って煩わしいからこっちはとっとと帰りてぇんだ」

 

声は黒崎真咲のモノだった。その身躯は死神の象徴である黒染めの死覇装を纏い、容貌を隠すのは虚の仮面、そしてその手には斬魄刀らしき物。

 

斬魄刀の始解と呼ばれるものだろう、女が持つ斬魄刀には鍔が無く刀身は短い、それは匕首と呼ばれる物の様に見えた。

 

「まあ良い、全ては殺して喰えば済む事。貴様のその様な矮小な斬魄刀しか持たぬ死神など一捻りじゃ」

 

「やってみろよ提灯鮟鱇、解体(バラ)して鍋にしてやろうか」

 

「ぬかせぇ!!」

 

こちらを絡めとろうと鬣の様な体の一部を延ばしこちらを絡めとろうとするがそれを歩法で躱し、躱しきれない物は素手で掴んで斬魄刀で切り落とす。

 

グランドフィッシャー、疑似餌のような己の一部を晒しそれに反応した霊的濃度の高い魂魄を狙って襲い己の力を蓄えて来た。

 

行動時以外は現世に表れず、目標を喰い終わればすぐに隠れて強者に対しては逃走を選ぶ厄介な虚。

 

「それって結局ただの雑魚狩りじゃない!?そんな負け犬根性で恥ずかしくない!?俺だったら惨めで耐えられないなぁー!」

 

「―――小童が……良く吼える!!」

 

「一撃も当てられない癖によく言うぜ……でも、もう飽きちゃったなぁ」

 

速度こそ少なからずあるものの鬣を伸ばす以外は四肢や爪による攻撃と噛みつきしか手段の無い相手だ、奇襲に特化した虚の得意技が俺に通じない時点で勝敗は既に決していた。

 

 

 

 

「己を鯨と勘違いしたような分不相応な雑魚が、無辜の人様に牙を剝くなんざ千年早いぞ―――」

 

 

 

「『月牙相制』」

 

 

 

 

そう呟き斬魄刀を振るうと途端に何処からか霊子で構成された杭が槍衾の様にホワイトと虚の間に展開され、振り下ろされたグランドフィッシャーの腕に深々と突き刺さった。

 

「ガァアアアアア!!!?」

 

「策も無しに近づくのは迂闊だって、言われなかったか?雑魚」

 

「貴様…貴様ぁ!よくも儂の左腕をーーー!!」

 

「何だ、おかわりが欲しいのか?あげちゃうよ」

 

そう言って更に斬魄刀を振るえばグランドフィッシャーの全身に杭が撃ち込まれ、その体に穴を更に増やした。

 

 

「ばはーっ!ばはーっ!ばはーーーっ!」

 

 

「そうだ、たくさん穴を開けてやったんだから目一杯吸えよ。そして後悔しろ、お前はここで終わりだ」

 

「ばはーっ!!ふざけるなぁあああああ!!」

 

ズタボロになったグランドフィッシャーは吸い込まれるようにして疑似餌の中に入っていく、今更逃げるつもりなのだが逃走を選ぶ事が出来る生物は極めてしぶとい。

 

「覚えておけ!貴様は必ず殺す!身内も殺す!子孫も末まで呪い殺す!!お前こそ後悔しろ!一生ですら拭えぬ恐怖を刻みつけてやる!!!」

 

グランドフィッシャーは逃げる、篠突く雨の中で天高く飛び上がり見通しの悪い雨天の中にその姿を消そうとする。

 

 

 

「これ、なーんだ」

 

 

 

遠くに離れても聞こえる女の忌々しい声、未だ地上に立つ死神の方を振り向けばその手に握られた細い布のようなもの。

 

「霊絡って虚からも伸びてるんだよな。それに飛んでくれて助かったぜ、流石に地上には人も建物もあるからよ」

 

これは『綴雷電』と類を同じとする、道筋を霊絡に委ねて走る殺意の一撃。

 

死神の斬魄刀、その刀身にグランドフィッシャーの霊絡が巻き付けられると刀身に怖気が走る程の脅威的な霊圧が込められていく。

 

「悪いがお前の役目は終わった、呪いなんて一欠片も残しはしねえよ」

 

霊絡を引き寄せてホワイトが握る匕首が霊絡を虚空ごと断てば、ソレは解き放たれてグランドフィッシャーを滅ぼす為に霊絡を辿って凄まじい速度で迫っていく。

 

 

 

「月牙天衝『戌神』」

 

 

 

 

「ウ、オオオオオオオオオオオオ!?」

 

拮抗したのは精々一瞬、ソレがグランドフィッシャーに命中すると同時に霊体が爆散し重厚な雨雲の一部を吹き飛ばすとそこから日光が差し込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

「これが、俺が見たかった景色だ」

 

いつの間にか気絶した一護、それを庇って抱え込む背を引き裂かれて流血を止めない黒崎真咲の抜け殻。

 

目を覚ました一護が黒崎真咲の体を揺らすが魂魄の抜けた体は何も反応しない。これは俺がいつかの過去に『未来』で見た光景、未来の一護を形成する要因となるトラウマの景色。

 

しかし黒崎真咲は生きている。もしも藍染が観測していれば仔細は全て把握されるだろう、しかしそれでも構わない。

 

「強くなれよ一護、お母ちゃんとの再会はしばしのお預けだ」

 

そう言い残すとその場を速やかに去り目的の場所へ向かう、現世の駆け込み寺である『浦原商店』へ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『一心さーん、こんばんはー!浦原でーす!!』

 

「……浦原、さすがに今はそんな気分じゃねぇ」

 

『この度は御愁傷様です……ですが、奥様の行方を知りたくありませんか?』

 

「生きているのか!真咲が!?」

 

『ええ、これからウチの店に来てもらってもいいですかね?』

 

 

 

 

――――もう、手遅れかもしれませんけど。

 




評価が極端すぎてビックリ、つまり全知全能も絶対って訳じゃねぇな。

今後の方針

  • コメディっぽい方が良い
  • 今まで通りでいい
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