メゾン・ド・チャンイチの裏事情   作:浅打

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GAT-TAI

離れ離れに

 

散り散りに

 

 

 

 

 

 

 

「俺と卍解して戦え!!」

 

瞬歩を交え、刀を交え、それでも互いに譲ることは無い。

 

「貴様如きの矮小な存在が、卍解の名を口に出す事すら恥と知れ」

 

『ハッ!恥だってさ!!』

 

「恥っていうのは、なんの事を言ってるんだ?」

 

互いに間合いをとって、言葉を交わす。間合いを図る様に、切っ先を向けながら。

 

「アンタ、自分で言ったよな。朽木ルキアを自分の手で処刑するってな」

 

「言った、それがなんだ」

 

「なんでルキアを追わねぇ、なんで恋次を見逃した」

 

「―――貴様を斬ってからでも遅くは無い」

 

「それで、何時俺を斬るんだ?俺はまだ無傷だぜ」

 

「安い挑発には乗らんぞ、旅禍の首魁よ」

 

「こうやって話している間にも、時間は経ってるんだ」

 

 

 

 

「ルキアが逃げる時間を稼ぐために引き延ばしてるんだろ?アンタっていい奴だよな」

 

 

「―――恥も知らず、よくも妄言をそこまで垂れるものだ」

 

 

 

 

黒崎一護の破廉恥極まりない言葉に、ついに感情を僅かに発露させる朽木白哉。

 

誇りある行いを、苦渋の決断を、突いて回して唾を吐く。

 

背負うものという重圧を黒崎一護は知らない、しかし彼も背負っているのだ。

 

護るものという重圧を朽木白哉は知っている、しかし彼は見失ってしまった。

 

 

「貴様ごときが私の卍解を受けるなど、千年を以っても度し難い」

 

 

桜の樹の下には屍体が埋まっている、それは桜の樹と一つになって分かたれる事は無い。

 

 

――――散れ、千本桜。

 

 

桜を綺麗だと言う人は、もう誰も居なくなってしまったから。

 

 

斬魄刀の刀身が層が剥がれ落ち、剃刀の様に、花弁の様に舞って散る。

 

 

花弁が光を反射して、風も無く軌跡を残して黒崎一護に襲い掛かる。

 

その花びらの舞は、黒崎一護が放つ怒涛の一撃で全てが蹴散らされた。

 

「ワリィな、当てるつもりは無かったんだ」

 

「―――それは、貴様の斬魄刀の能力か」

 

その溜め込まれた一撃の余波は朽木白哉の腕を負傷させ、届かぬ筈の牙が一矢を報いた瞬間である。

 

 

 

「俺の霊圧を圧縮して、斬撃の瞬間に刀の切っ先から放つ。別に特別なもんじゃないだろ?」

 

 

 

「今のは、ただの剣圧だよ」

 

 

 

 

「それよりも悪いな、一発先に当てちまった」

 

 

「今度はそっちから打ってきていいからよ」

 

 

「さっさと出せよ、卍解」

 

 

 

 

ここに到って朽木白哉は黒崎一護への認識を改める、例え塵芥のような存在であろうとも自らの手を下す敵の枠には入ったのだ。

 

 

 

 

「―――よかろう」

 

 

 

 

朽木白哉の持つ斬魄刀が翻って地を向いた。そのまま重力に引かれて地面を衝くと、水面に飲み込まれたかのように斬魄刀が沈んでいく。

 

 

「確とその瞳に焼き付けるがいい、死にゆく貴様の最後の光景だ」

 

 

「卍解―――千本桜景厳」

 

 

葬列の様に巨大な斬魄刀が立ち並び、桜並木の様に咲き乱れ、雨と風に吹かれたように散る。

 

青い空に薄桃の花弁が良く映える。それがまるで空を塗りつぶしたかのように濃さを増していくと、絵画から浮き出る様に幾重にも黒崎一護へ手を伸ばす。

 

「『刀剣解放―――白鞘穿月!!』」

 

黒崎一護は月牙廻天衝を雨傘の代わりに振り回し、ハク様の名を呼んで月牙獅子吼衝で薙ぎ払う。

 

しかし何れも攻防一体の千本桜によって花弁を弾いても攻められ、月牙獅子吼衝は花弁を重ねて防がれる。

 

「それも先の貴様の様に、ただの剣圧だとでも言うつもりか?」

 

「『刀剣解放―――天鎖斬月!!!』」

 

月牙廻天衝で防ぎきれずに、遂に天鎖斬月を解放する。

 

躱しながら攻撃する余裕すら失い、二刀の月牙天衝を纏って花弁の津波を退ける。

 

沈む行く泥船の様に行き場を無くし、柄杓で掬えども焼け石に水。

 

それでも隙を縫うように瞬歩で迫り、朽木白哉に天鎖斬月を振り下ろす。

 

「―――無駄だ」

 

朽木白哉を守る様に、間欠泉の様に噴き出した千本桜が天鎖斬月の月牙天衝ごと受け止める。

 

近いのに、なんて遠い。触れる程近いのに、掌から零れ落ちる桜の花びらの様に。

 

「私に手を伸ばす事すら、烏滸がましいと知れ」

 

至近距離からの千本桜の波動を避けても、追いついて来た千本桜によって圧し潰される。

 

「例え一度(ひとたび)の声が大きくとも、歴史の中では刹那の事」

 

「貴様がただ一冊の書物に落書きをしようとも、皆が持つ書物は何も変わりはしない」

 

「貴様の存在など、貴様の憤りなど、ただそれだけの事だ」

 

言外には己も同じなのだと含ませながら、無駄や途方やと知りつつも声を投げかける。

 

世界は変わらない、変わらないものを守護する事、この無情と重責が貴様には分かるまい。

 

「―――それって、どこの世界の話だよ」

 

僅かに掠れた声に足が止まる。例え息も霊圧も絶え絶えだとしても、その息吹が燻る焔を大きくする。

 

「一度呼んでも届かねぇなら、どうすればいいか教えてやろうか?」

 

絶えた筈の希望が、二本の足で立ち上がる。

 

「腹の底から、叫ぶんだよ!!」

 

朽木白哉が身体を向け、陥没した地に立つ黒崎一護を見下ろした。

 

「叫べば、世界は変わるのか?」

 

「変われないのはお前が勝手に思っているだけだ、朽木白哉」

 

黒崎一護が天鎖斬月と白鞘穿月をゆるりと持ち上げ、一定の高さでぴたりと止まる。

 

 

 

「『俺は、変わる』」

 

「『俺は、強くなる』」

 

「『俺は、お前に勝つ』」

 

 

 

白い鞘に、黒い斬魄刀が納められる。

 

 

 

「『俺達の、卍解で!!』」

 

 

 

卍解とは、尸魂界においては歴史に刻まれる大偉業として知られている。

 

護廷十三隊の隊長となる為の暗黙の了解とも呼べる慣例も存在し、あるいは卍解と同等とも言える能力を認められなければ隊長として認められないと言われる程。

 

死神の能力として代表的な斬拳走鬼の内の一つの究極。

 

その領域に至れる者は四大貴族でも至れるのは数世代に一人とも言われている。

 

黒崎一護はルキアの死神の力を奪って手に入れた、それは死神の力を手にしてから一年すら経っていないという事。

 

あり得る筈はない、例えハッタリだとしても許される事ではない。

 

 

世界(アンタ)を超えてやる」

 

 

「俺達も、アンタ達も苦しい世界なんてブッ壊してやる!!」

 

 

「これが、俺の覚悟だ!!!」

 

 

 

(『GAT)(-)(TAI』)!!」

 

 

 

 

 

 

「『盈月(えいげつ)(ついたち)!!!』」

 

 

 

 

 

 

 

『卍解は出来ましたか?』

 

『出来ませんでした……』

 

『じゃあ三日間返せよコラァ!!!』

 

特訓部屋の中で行われた三日間の修行、それはオッサンと一護のホワイトにとっては寝耳に水の話であった。

 

ハク様からは確かに斬魄刀を作成する指示を受けていた。

 

黒崎一護の霊威が上がるにつれて制御できる能力が向上し、喜々として天鎖斬月を召し上げたのだが。

 

『おーいいじゃん!!』

 

『苦労したんだぜ、ここまでのクオリティを維持するのはよぉ!!』

 

尸魂界に突入する前からかなり真剣に斬魄刀の作成を行っていた一護のホワイトは大層に自慢げだった。

 

黒崎一護の事は、黒崎一護の虚である自分が同じく知っている。

 

故に特殊な能力は付けずに、黒崎一護の霊圧制御に振り切った斬魄刀を作り上げたのだ。

 

『じゃあコイツはさっそく投入するか』

 

『え?さすがに卍解を使えるようにするには早いんじゃないのか?』

 

「私も流石に時期尚早だと思うが、何を考えている」

 

『卍解?何言ってんだお前?これは―――始解(刀剣解放)だ』

 

一護のホワイトはキレた、袖白雪とオッサンが慌てて逃げ出す位に暴れた。

 

『尸魂界編の前に破面編が始まってる謎のインフレ時空でこのまま戦えるわけねぇだろうが!!』

 

『知らねぇよ!ていうかまだ先があるのかよ!!』

 

『ありまぁす!!!』

 

月牙天衝と虚閃が飛び交う黒崎一護の心象世界の中で大いに暴れた結果、オッサンもキレた。

 

そしてぶっつけ本番の更木剣八戦で天鎖斬月のお披露目となったのでさっそく使ってみたが欠点が見つかる。

 

なんと全てのスペックを向上させる為に霊圧操作にスキルを振った結果、燃費が悪すぎるのだった。

 

特に常時月牙天衝の負荷が重く、そして虚化がトドメだった。

 

せっせと斬月と穿月に充電する為に霊圧を封印していたのに、ほぼほぼ使い切ってしまったのだ。

 

その為、四楓院夜一の霊力を使用しての卍解の修行と温泉は黒崎一護の霊力の回復に役に立った。

 

オッサンと黒崎一護が卍解習得の為の修行()をして時間を稼いでいる間に黒崎一護の卍解を完成させなければならない。

 

『こうなったら、()()しかねぇな』

 

『胡散臭ぇ、最初から狙ってたんだろうが』

 

元々は一つだった一護と真咲のホワイトの一時的な再結合である。

 

ハク様、つまり白鞘穿月としての能力は吸収と解放である、実際は違うのだが現時点ではそうである。

 

白鞘穿月が使う能力の内、吸収は滅却師で言う所の聖隷(スクラヴェライ)であり真咲を生存させる際にオッサンから一度借りて覚えている。

 

解放については()()()()吸収した霊子構造物を再現する力であり、つまりはコピー能力である。

 

ただし霊子構造物を丸ごと吸収できる状態でなければ完全にコピーは出来ず、斬魄刀の吸収は難しい。

 

それが出来るのが星章化(メタライズ)なのだが詳細は省く。

 

つまりハク様の能力は不完全ながら滅却師の様に霊子の吸収と充填が出来る、これを天鎖斬月に付与すればいい。

 

外付けの増槽のようなもの、或いは太陽光発電システムのようなものだ。

 

そして最終的に斬月はこうなった。

 

 

斬月(始解(?)破面の斬魄刀(?))

 

天鎖斬月(刀剣解放(?)、始解(?)卍解(?))

 

盈月(刀剣解放(?)、卍解(?)、滅却師の能力(?))

 

 

『なんか戦闘機と装甲戦闘車両と軍用艦船を合体させたみたいになってんな…あーもう滅茶苦茶だよ』

 

『何で全部にクエスチョンついてんだよ!!』

 

『○○について、まだ記事が書かれていません!』

 

『なんで分からねぇんだ!!?』

 

『だって……盈月を卍解だとすると天鎖斬月は始解になるし、天鎖斬月が始解だと斬月の本当の名前になるし、そもそも斬月って何?って話になるし……』

 

「だったら盈月が天鎖斬月の本当の名前でいいだろう」

 

『それだと三日間の修行どころか尸魂界突入一日目で卍解使えた事になるけど、修行って何だったのってならない?多分一護からの信頼が大分削れると思うんですけど!!』

 

『クソがぁ!!!』

 

「計画性というものがないのかお前は」

 

『テメェのせいでもあるんだぞクソ髭!!!』

 

 

 

そして、戦闘は終盤に突入する。

 

 




仕事は 終わり無きが故に

それを畏れ

誤字報告、とても感謝しております。
今後とも評価と感想とここすきと推薦をお待ちしております

石田、茶渡、織姫の戦闘シーンっている?

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