メゾン・ド・チャンイチの裏事情 作:浅打
愛しき世界
どーも、ハク様です。
遂に原作BLEACHのアランカル編に突入する頃となりました。
そろそろ平子サンもチャンイチにちょっかいかけて来て、一護の内なる虚と戦う名場面が―――起きる筈もなく。
そもそも内なる虚と和解してるもんね、というか虚二体いるし。
原作なんてもう再現なんて出来ないし、あとはノリでなんとかするしかないかなぁ。
―――さっきまでそう思っていました。
古びた廃工場、それが破面となったかつての死神の隊長格であった彼等の隠れ家。
そこに匿われていた人物がもう一人。
「黒崎君、僕と一緒に藍染を倒してくれないか?」
「……ハァ!!?」
「ハク様!説明しろ!!」
『無゛理゛で゛す゛ぅ゛ううううううううううううう!!』
流石のハク様もビビった、何で藍染がいるのか、何故藍染が藍染を倒そうとするのか。
「ドッキリ大成功~!」
「お茶目か!?藍染はお前だろ!?倒そうってなんだよ!ぶっ飛ばすぞ!?」
「まったく、よく見てみたまえ。君が知っている藍染とは違っているだろう?」
声色も、背丈も、霊圧も同じ。そんな目の前の藍染に違う箇所はあるのか?
「ホラ、眼鏡かけてる」
「それだけかよ!」
「君が知っている藍染も、多分違う姿をした方が分かりやすいとしか思ってないと思うよ」
「イメチェン!?」
ツッコミ疲れた一護が藍染への追及を一度止める、しかしこれでも話は終わっていない。
「まぁまぁ、お菓子でも食べて落ち着いて」
「母さん……ありがとう、俺このお菓子好きで―――母さん!?」
「ドッキリ大成功~!」
イエイ!と藍染と真咲がハイタッチ、流石のハク様も言葉を失う。
『え?何?ブックオブジエンド?』
「あああ!誰か教えてくれよぉおお!!何なんだよぉおおおおお!!!」
「つまり、これまでの悪事は藍染の偽物が原因って事か?」
「ああ、そうや。ワイらが尸魂界で事件に巻き込まれた時に藍染もやられとったんや」
「しかも鏡花水月も奪われてね。まったく、鏡花水月の真の能力は誰にも教えていないのに厄介な事をしてくれたよ」
「……それって、藍染の斬魄刀を奪う方がメインだったのか?」
「いや、崩玉を奪う事が最優先だった筈だ。その居場所を特定出来なかったから邪魔者を排除する次いでに奪われたと考える方が自然だろう」
同じテーブルを囲んでの意見交換、その目の前に藍染が居る事に凄まじい違和感を感じる。
「……一つだけ思った事言っていいか?」
「なんや」
「これって、あのゲタ帽子の尻拭いなのか?」
「そうや、と言いたいがどうもなぁ」
「浦原喜助は確かに手段を選ばないが、そこそこの倫理観と日和見的なスタンスだ。実際彼も言っていたよ、ありえないってね」
浦原喜助の親友を自称する藍染が当時の状況を語る。
浦原喜助の知人の中で巻き込んじゃってもいいかぁ、程度の人選で呼ばれた藍染の前に置かれたのは崩玉のサンプル。
「これはこれは……なんという物を作ったんだ浦原喜助」
「いやぁ、弁解だけでもさせて貰いたいですねぇ。これは作ったんじゃない、出来たんです」
「法を破る者の常套句だろう?」
「違います、
「というと?」
「パラドックスですよ、この崩玉と呼ばれる物質は対象の願いを具現化する物質だと考えていましたがどうやら違う」
「この物質は現在の技術力を持っても、条件を揃えても完成しない。言うなれば霊王クラスの領域の技術、その一端に触れる事は例え可能であっても不可能なんです」
「私が崩玉を願い、崩玉が叶え、崩玉が完成する?卵と鶏が逆じゃないですか」
「つまり、鶏が卵を産んだ。崩玉は生成物であり製作者は別と言わざるを得ません」
「何かの理由で私の手元に現れた、そう言わざるを得ないんですよ」
「この、白い崩玉と黒い崩玉はね」
「…白い崩玉と黒い崩玉」
「一つは君も知っているだろう、朽木ルキアの中に隠された黒い崩玉だ」
「もう一つは、何処にあるんだ」
「もう一つも君は知っているだろう?」
「……もしかして」
「かつて黒幕が造り上げた人造虚、黒い姿をした上で「ホワイト」と呼ばれていた」
『藍染パパ、それってもしかして』
「そうだよホワちゃん」
「君は、白い崩玉だ」
突然明かされたホワイトの正体、白い崩玉、霊王と呼ばれる存在に匹敵する物質。
「待てよ、じゃあハク様が母さんの虚だっていう話は」
「それは一部は嘘で、一部は本当だ。君の母の虚はハク様と融合している、見た目に君の母の面影があるのもその影響だろう」
「ハク様は、この事知っていたのか?」
『うーん、知っているかと言えば知っているけど。分からないものは分かんない』
「どういうことだよ、自分の事だろ」
『それは一護も一緒だろ、自分がどうして産まれたのかハッキリ答えられるのか?』
様々な思惑の集合体、それを説明されて知っていても自分が何なのかは分からない。
『お前と一緒、いやお前の方が羨ましいよ。俺が何で産まれて、何故こんななのか俺は知らないんだぜ?』
『少なくともお前は親の望みの下に生まれてるんだ、最初から詳細不明の俺と違ってな』
「その辺りは話が長くなるから一旦止めようか、ここからが大事だからね」
話を切り替える、説明されても納得できる話ではあるまい。
「ハク様を見れば、意思がある事はハッキリ分かるだろう?つまり崩玉には意思がある事は分かる」
「そして黒い崩玉は朽木ルキアの中にあり、白い崩玉は黒崎真咲に託された。」
「不思議ではないかい?藍染を名乗る黒幕は、ホワイトという形で崩玉を手放しているのに黒い崩玉は奪い取っている」
「つまり崩玉と呼ばれる物質と、ホワイトやブラックは別物なんだ。斬魄刀と同じとも言えるかもしれないね、自分の一部でありながら別個の存在だ」
「では問題だ、黒い崩玉を奪った黒幕がいる。ここにはハク様がいる。足りない物は?」
「……白い崩玉の在処」
「そうとも、そしてそれは君の中にあるんだよ。黒崎一護」
得体のしれない物質が、自分の中にあるという事実。その不明瞭な実感が怖気を走らせる。
「次の問題は、何故同時に白い崩玉も回収しなかったのか?これに関しては申し訳ないが情報が足りなくてね、なんとも言えない」
「しかし恐らく、何かしらのアクションは起こるものだと考えられるんだ」
そう言って話を止めると、一枚の紙と筆記用具を取り出した。
「ここに文字や絵を描いてあるとする。ホワイトは消しゴムだとすれば、相反すると思われるブラックは鉛筆だろう」
「ホワちゃんの持つ能力は吸収、かつて尸魂界の流魂街に存在する魂魄を削って吸収していた事もその一端だろう」
「そしてもう一つが放出だ。これは元々そうだったか、黒崎一護の影響を受けてなのかは正直分からないけどね」
「いいバランスだと思わないか?それでは浦原喜助のように、最悪を考えてみよう」
「取り込む、放出する。ここに何の要素が欲しい、何の要素が足りない」
「消化と組み替えやろ」
横から差し込まれた平子の言葉ににっこりとした笑みを浮かべる藍染、平子は逃げた。
「そう、ハク様の能力だけでは死神と虚の境界を突破するには足りないんだ。黒い崩玉が消化と操作だとすれば破面は生み出せる、材料は死神か虚だけで事足りるからね」
「おそらくハク様のように黒幕だけでも崩玉の力を持っているだろうけど、規模は制限される筈だ。そうでもなければ崩玉そのものが必要ないからね」
「じゃあ、そこにハク様の力や白い崩玉の力を足したなら?」
数秒の無言、思考はシミュレーションに動き、共感と試行が動き始める。
「世界を自分の中に取り込み、再構築して、再度世界を構築する」
「ユートピアの誕生だね」
想像のスケールを遥かに超える、世界規模の計画。
「与えて奪う力ではなく、奪ってから与える力」
「遥か昔に語られた錬金術の思想の様に、あらゆる物質を昇華させる秘法」
「ちょうどいいところに霊王という素材もあるわけで、不可能な話じゃない」
「そろそろやる気は出てきたかい?黒崎一護」
「君の敗北が、世界終焉の始まりだ」
誤字報告、とても感謝しております。
今後とも評価と感想とここすきと推薦をお待ちしております。