The Back Rooms Story 〜Fanmade〜   作:犬社長

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16話〈Turning Point〉

 

 

◇◆◇◆◇

 

20XX年 8月20日

 

アメリカ某州 某所 M.E.G研究施設 第二実験棟

 

 

 バックルームに繋がる扉の周りを、幾つもの人影が慌ただしく動いている。

 

ーーーその扉の先、〈バックルーム〉内部。

 

 扉近くのスペースには、大量の機材類がフロントルーム側から持ち込まれていた。

 

 更にそこに、黄色いベニヤ板で仕切りが作られており、小さな研究室の様になっている。

 

〈バックルームの前哨基地〉…そこは、そう呼ばれていた。

 

 

 

 

 その前哨基地の中で、モニターを睨んでいる人が1人……あの白衣の男である。(0話・2話に登場した人物)

 

「……実に厄介ですね。」

 

白衣の男が、そう呟いた。

隣に居て、その呟きを聞いた研究員が首を傾げる。

 

「…?何が厄介なのでしょうか…Dr.ブラウン。」

 

 白衣の男…改め、Dr.ブラウンはモニターに映るバックルームの景色を指差した。

 

「この世界の性質です。全てが不安定なのですよ…たとえば、あそこにある壁は次の瞬間には無くなっているかも知れないし、まだあるかも知れない。ここでは全ての存在が揺らぎ続けている…我々ですらも、このバックルームの中において、確固たる存在を維持する事が出来ない…。」

 

ーーーだから、とDr.ブラウンは続ける。

 

「ーーーバックルームで消えた探索班2人も、そんな風にして消えていったのでしょう。……生きているのか、死んでいるのか…分かりませんがね。」

 

ーーーそう言って、黙り込むDr.ブラウン。

 

 

 

 この世界は未だ、彼等に全容を見せなかった。8月11日に扉が開いてから、手に入れた成果はこの前哨基地を作った事のみ。

 

ーーー前哨基地より先は、未だ未知の領域のままだった。

 

 

「……上層部が、成果をしきりに要求してきています。彼等からしてみれば、かつての〈フィラデルフィア計画〉以来の大実験。…今度は、何としてでも成功に導きたい様です。」

職員が黙り込んだDr.ブラウンに告げる。

 

ブラウンは小さく顔をしかめた。

 

「…私とて、国の要求は理解しています。…とはいえ、焦りすぎな気もしますがね。」

 

職員も賛同する様にうなずいた。

 

「…最近の国際事情の所為かと。」

 

ブラウンがため息をついた。

 

「…それも含めて…実に厄介ですね……。」

 

 バックルームは、そんな人間の事情など知らないと言わんばかりに沈黙を保っていた………

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

20XX年 ?月?日

 

Back room Level〈the dark metro〉

 

[トム視点]

 

 

 

…身体が痛い…。

 

…腕が鉛の様に重い。

 

顔が腫れて、ひどく痛む。

 

見ると、腹や脚に青痣が幾つも出来ていた。

 

…でも、自分は立っていた。

 

生きて、立っていた。

 

ーー今、感じる痛みや苦しみは、生きている証なのだ。

 

 

 

「はぁ、はぁ、…やったぞ…俺は…やったんだ…!」

 

崩れ落ちる様に床に座り込むトム。

 

戦場となった事務室は血の濃い臭いで満たされていた。

 

 そして、血溜まりの中に〈繋ぐ者(クランプ)〉が力無く倒れている。その開いた口も、伸ばされた手も、もうトムに届く事はない。

 

「……イテテ…疲れた…これは…しばらく痛むな…。」

 痛む身体の彼方此方を抑えてトムは呻いた。この痛みは2、3日は続くだろう。

 

ーーーガラクタの山を掻き分けて、トムはアーモンドウォーターを探す。…アレを飲めば少しは力が戻って来るかも知れない。

 

「…おぉ、あったあった。よし…。」

 

 幸いにもそれはすぐ見つかった。キャップを開け、中身を一気に飲み干す。

…体の痛みが引いていく。アドレナリンの過剰放出で、疲れきった脳にも、スッキリとした気分になる気がした。

 

「あぁ、生き返る……もうこれ無しじゃ、この世界で生きてけないな。本当に万能飲料だよ、コレ。」

 

 口を拭って、トムはリュックサックに詰め込めるだけ残りのアーモンドウォーターの缶を詰め込んだ。途中、ボロボロになっているが清潔そうなタオルを見つけたので、それで返り血だらけの顔や服を拭う。

 

「…あーあ…タオルが真っ赤になっちまった。よくコレだけのことが出来たな…俺。」

 

呟きながら、床に倒れ伏す〈繋ぐ者(クランプ)〉を見やる。

 

 ソレはもう動かなかったが、トムは今にもソレが起き上がって来る気がして、あまり落ち着かなかった。

 

「取れる物取って…さっさと出よう。」

 

 ガラクタの山から幾つか使えそうな物を拾い集めると、事務室から足早に離れた。

 

「ジョンの所に半分アーモンドウォーターを置いておこう…大丈夫かな…アイツ。」

 

ーーートムは一旦ジョンの所に戻ることにした。アーモンドウォーターでリュックサックが一杯になったので、分けられるだけ渡して置こうと思ったのだ。

 

「相当辛そうだったからな…包帯とかは見つからなかったけど幾つか役に立ちそうな物もあったし…渡してやらないと。」

 

 置いてきたジョンがどうなっているか心配に思いながら、トムは来た道を戻る。

 

 幸いにも道に迷う事もなく、ジョンの居る埃っぽい通路に戻ってこれたトムは、通路の奥に叫んで自分が来たことをジョンに伝える。

 

「おーい!ジョンー!アーモンドウォーターいっぱい見つけたから幾つか分けに来たぞー。」

 

 

……返事は無い。

 

 

「…?ジョン?…いや、まさかな。」

 

呟いて、通路に入るトム。

 

ジョンが座っている筈の場所をライトで照らすとーーーーーー…

 

 

 

 

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「ーーージョン?…通路を間違えた?…いや、でも…。」

 

 トムが近寄ると、そこには開封されたアーモンドウォーターの缶が床に転がっていて、溢れたであろう中身が床を濡らしていたーーーーーー…

 

 

 

「…ジョンが……消えた?」

 

トムの呟きが、闇に吸い込まれていった。

 

 

 

     to be continue

 

 

 

 

 





ここがターニングポイントです!(╹◡╹)

この物語は30話ぐらいで完結予定なので、この章終わり次第、話がぶっ飛んだ方向に変わっていくと思います。

予定通り行けば30話辺りで終了かと…
まぁ、私の人生の中で予定通りに物事が進んだ事なんて無いけどネ。




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