The Back Rooms Story 〜Fanmade〜 作:犬社長
放浪者とは、バックルーム内部に迷い込み其処を文字どうり放浪し続ける者たちである。
1話<放浪者① トム・マクフライはその日何をしていたか>
夢を見ていた。
何処までも続く黄色い部屋を…
何処からから聞こえる人ならぬモノの叫びを…
不思議なことにそれらは全て懐かしさの中にあった…
「あぁ…今行くよ…。」
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20XX年 8月10日 米国 某州
「オイ!!開けろトム!!寝てんのかっ?!!」
玄関の扉がやかましく叩かれる音で夢から引き戻された。
枕元の時計を見てみれば時刻は朝の7時を過ぎた頃だった。
(くそ…日曜ぐらいゆっくり寝かせてくれよ)
目を押さえ、頭をふりながらベッドから起き上がる。
何か長い夢を見ていた気がしたが、微かに残った記憶を辿ろうとした途端にその夢の余韻は消え去ってしまった。
依然ドアはやかましく叩かれ続けられている。
(今開けるからそんなに叩かないでくれ…壊れたらどーすんだ。)
足取り重く玄関に向かう。あのドアの先にいるのが誰で、今から自分が何を言われるかわかっているからだ。
「おい、さっさと…。」
「…今開けたよ。」
ガチャリと玄関を開ければ予想通りの顔が目の前に居た。
刈り上げの金髪につり上がった眼。ガタイの良い高身長かつ筋肉質な体
俺みたいなもやし野郎に比べれば相当格好の良い(少なくとも見た目は)男だ。
「やあ、おはようビル…。」
挨拶をしながら俺が差し出した握手の手は軽く突っぱねられた。
「フン、起きてんならさっさと開けねぇか。」
(あんたに起こされたんだよ、こんちくしょうが。)…と思っても口に出せないのが俺の悪いところだ。
「あ、ああ…すまなかったよ。で、何の用事だい?」
本当は聞くまでもないことだ。用件は分かりきってる。
「お前に頼んどいたオレの分の会社の資料作り終わってんだろうな?」
…ほらね、その事だと思った。
「ああ…あれは明日までが期限だと思ったから…。」
「バカかお前。」
ベシッと頭を叩かれた。イタイ
「よく考えろ、オレはお前が持ってきた資料に目を通しておく必要があるんだ。オレがお前に仕事を押し付けてたなんて上司に知られてみろ、オレはクビになっちまう。」
…是非そうなっていただきたいところだ。
「オレに会社をクビになって欲しくないよな?ん?」
俺の肩にビルが馴れ馴れしく手をまわしてくる。
「あ、ああ…なって…欲しくないよ…。」
くそっ!!どーして俺はこんな時に強く出れない糞ナード野郎なんだよッ…。
神様ビルの来世は是非カエルにしていただきたいです、俺が踏み潰すんで。
「ほんじゃ、オレの言いたい事はそれだけだ。お前のことだ、どうせ時間かかるだろうから昼過ぎに取りにくるぞ。分かったな?」
そう言ったビルは俺の家の前に雑に止めてあった黒のカローラに乗って去って行った。
去り際に庭の花壇にタイヤを引っ掛けて壊していくおまけ付きで。
(あーあ…せっかく綺麗に育ててたのに…)
俺のため息が静かな朝の住宅街に消えていった。
…俺がビルの奴に強く出れないのには訳がある…下らないと思うかもしれないが聞いてほしい。
まずビルはケンカが強い。まあ、あのガタイの良さを見たらわかると思うけど、昔から何か気に入らない事がある度にその腕っぷしで何とかしてきた過去を持つ。
昔からそうやって我を通してきたからか態度がものすごくデカい。コイツのせいで苦労しているのは多分俺だけじゃないはずだ。被害者の会作れるんじゃあなかろうか。
そしてこれは実に個人的な話なんだが、彼は俺の幼馴染みなのだ。
…そう幼馴染みなんだ。
…イヤ、俺だってやだよ?できるならジャパニーズ"萌え"アニメみたいな可愛い幼馴染みが欲しかったよ?しかし現実は非情である。
はぁ…と再びため息をついた俺は家の中に戻った。
扉を閉め目を擦りながら朝食を取るためにキッチンに向かう。
しかし朝っぱらからビルに叩き起こされあーだこーだ言われて注意力が散漫になっていたせいなのか、俺は足元のコンセントのコードに気が付かずに足を引っ掛けて転んでしまった。
「あっ」
暗転ーーーーー
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[行方不明者公開情報]
行方不明者を捜しています!
○×州警察では、州内で行方不明者届が提出されている方々の情報を掲載し、皆さんからの情報提供を求めています。
心当たりのある方は、行方不明者届を受理している警察署までご連絡ください。
※最新情報※
【⚪︎×市在住 トム・マクフライ(25)】 掲載年月日 [20XX.8.10]
午前7時過ぎに自宅にいたのを会社の同僚が確認しており、午後1時に再度訪れた際には既に居なくなっていた。
【特徴】
身長170㌢前後。痩せ気味の体型。上下共に青のジャージを着用。
髪色は茶色で短髪。男性。なで肩が特徴との事。
[お問い合わせ先]
○×州警察本部生活安全部人身安全対策課
XXX-△△△-○○○(代)
現実側とバックルーム側の話を交差させながら進める予定です。
ま、まだバックルームにたどり着いていないんですけどね。
(前置きが長い…!)