The Back Rooms Story 〜Fanmade〜 作:犬社長
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20XX年 8月27日
アメリカ某州 某所 M.E.G研究施設 第二実験棟
ーーーM.E.Gの研究はゆっくりと進んでいた。
ーーーバックルーム前哨基地…その広さを1日に約100メートルずつ広げて行くという方法で彼らはゆっくりと、しかし着実にバックルームの中に活動場所を広げているのだ。
バックルームの中には、人工的なベニヤ板の仕切りが少しずつ増えていく。…ソレはまるで、バックルームを侵食しているかの様にも見える。
ーーーー最初に比べれば、前哨基地はだいぶと広くなった。そして、機能性も向上している。
様々な機材が壁に沿って整然と並び、扉に最も近い所ではベニヤ板で作られていた仮初の仕切りがなくなって、シャッターの付いた重厚な壁に変わっていた。
そんな前哨基地の中では、多くの研究員達が日夜研究に励んでいる。
今の彼等の目標は、バックルームの全容を把握する事。その為に莫大な予算と最新鋭の技術が湯水のように使われていた。
そして、今日ーーー…政府の役人による初めてのバックルーム訪問及び調査報告会が行われていた……。
「ーーーこちら、報告書です。開通以降の情報は全てこちらに記入されています。」
「…ああ、後で目を通しておこう。」
ーーーー第二実験棟管制室。そこで5人の男達が机に向かい合って座っていた。
1人はバックルーム研究の一任者…裏のプロジェクトリーダーたるDr.ブラウン。
2人目は、Dr.ブラウンの補佐をしている研究員。名前は『ビリー』彼には副リーダーとしての役目もある。
3人目が全米不動産市場のトップにして表のプロジェクトリーダーの背広を着た男。(0話に出て来た人)
残りの2人は国防総省の上役と、この研究プロジェクトを発足させた政府の上層部の1人だ…何処の所属かは分からない。
ーーー実に壮々たる顔ぶれだった。
(…しかし、なぜ国防総省の人間がここに…?)
ビリーは、チラリと斜め向かいに座っている恰幅の良い男を見やる。
…国防総省が、バックルームに関係がある様には余り思えないが…
と、ビリーが考える中で、会議が始まる。
「ーーーで、だ。調査報告の前に、聞きたいことが一つある。ーーー探索チーム失踪の原因たる、バックルーム内部の未知の危険…とやらは解決したかい?」
最初に口を開いたのは、国防総省の男だった。
それにブラウンが答える。
「いえ、まだそれらの特定がなされていません。ただ、探索チーム失踪については、仮説がひとつ有ります。」
「…と言うと?」
「ーーーバックルームは非常に不安定な場所です。我々はこの場所に空間の歪みを幾つか発見致しました。」
「歪み…か。」
「ーはい。この歪みが厄介な性質を持っておりまして、予測が出来ず更に歪みに巻き込まれたモノは何処かに消えてしまいます。そして、もっと厄介なのが、これらの歪みは必ず
話を聞いていた背広の男が腕を組んで唸る。
「うーむ。不思議な話だな。…でも、ソレはつまり見ていれば問題ない…ということか?」
ブラウンは頷いた。
「そう言う事です。ただ、ソレでは根本的な解決になっていないので、現在〈
ソレを聞いた国防総省の男が頷いた。
「うむ。対策を取っていて安心したよ。〈
ブラウンは軽く頭を下げた。
「ありがとうございます。ただ、探索チームの失踪の原因がその歪みであると決まったわけでは有りませんので…あくまでこれは仮説です。」
「…ああ。ーーーーその仮説で合っている事を祈るよ。」
この後、彼等の議題は調査報告とバックルーム移住計画の進み具合へと移っていった。ただ、国防総省の男だけは議題が変わると報告を聞く事もなく、直ぐに帰っていってしまった。…きっと多忙なのだろう。
彼が帰っていった時、ビリーはふと思った。
(あの人…調査報告じゃ無くて、仮説の域を出ないバックルームの危険性について聞く為だけに態々来たのか…?)
まあ、危険がないに越した事はないだろう。しかし、態々国防総省の人間が出てくる事なのだろうか?…ビリーは少し不思議に思っていた。
(国防総省が警戒する…バックルームの危険って…なんだ?)
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20XX年 ?月?日
Back room Level〈the dark metro〉
[トム視点]
「ジョーーーーーーンッ!!!何処だーッ!!!」
俺の叫びは闇の中に虚しく消えた。
「マジで何処行っちまったんだ……!」
呟いても、答えは帰ってこない。
ジョンのいた場所には溢れたアーモンドウォーターが床に染みを作っているだけで、彼がここから動いた様な痕跡も無ければ、化け物に襲われた痕跡も無かった。
ジョンは突然消えてしまったのだと、俺は思うしか無かった…。
(でも、そんな事あり得るのか…?)
疑問に思いながら、彼が居た場所を何度も行ったり来たりしていると、近くに何か落ちているのに気がついた。
「…何だこれ…銃弾?」
闇の中で拾い上げたソレは、1発の空薬莢だった。
(…何でこんな物がここに?)
ジョンが銃を持っていた訳がない。ならば何故こんなモノが落ちているのか、自分ではさっぱり分からなかった。
(ジョン…生きてるのか?それとも…死んじまったのか?)
闇の中でまた俺は独りになった。
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ーーーーー暗がりの中を1人、出口を求めて歩き始める。
でも、ジョンのことを諦めた訳では無い…時折人が隠れられそうな場所を見つけてはジョンが居るかもと覗き込んだりしてみたりした。
…もちろん、何処にも居なかったが。
歩いて行く中で、水没しかけたホームや、崩れかけた幾つもの部屋を通り抜ける。
途中、下水道らしき所も何回か通った。…そして、常に化け物達の気配を彼方此方から感じていた。
歩き疲れたら安全そうな狭い場所を探して眠り、目が覚めたらまた歩き出す……コレを一体何回繰り返しただろうか?
トムはもう何日もこの廃駅に居る気がした。探している溢れたマンホールは…何処にあるのだろうか。
(…俺が化け物達に襲われて死ぬのが先か、マンホールを見つけるのが先か…。)
ーーーーートムはそう思いながら、闇の中を彷徨い続ける。
…そしてーーーーートムは遂に
水没しかけた駅のホームの端…崩れかけたトンネルの中から聞こえる、ゴボゴボと聴き慣れない音に惹かれて来てみれば、床に半分開いたマンホールがあり、ソコから水が噴水の様に湧き出して来ていた。
「ーーー!!こ、これが〈溢れたマンホール〉ッ?!」
トムは、遂に見つけたそのマンホールに近づいて行く。激しく吹き出している水が無数の水滴となってトムの体を濡らした。
「やっと…やっと見つけた…これだろ!…絶対にこれだ!」
このレベルからの出口…溢れたマンホールに、遂にトムは辿り着いたのだ。
(ーーーーージョン…着いたぞ、マンホールに…アンタと一緒にここから出たかった…)
意を決して水に満たされたマンホールの中に飛び込もうとする時、トムはジョンのことを思い浮かべた。
そして、息を止めると溢れ出す水の中に飛び込んだーーーーー…
全身が水に揉まれる。
揉まれる内に、上下の感覚が無くなっていく…そして、自分はマンホールの中に沈んでいって……………。
ーーーーー…
to be continue
随分あっさりした脱出になってしまった…ユルシテ。
次の話が終わったら新章ですかね〜。