The Back Rooms Story 〜Fanmade〜 作:犬社長
◇◆◇
ウィィィ………ン……ガコン。
「ーーーお、止まった。」
「ーーーそうですね。」
ーーーーー2人を乗せて降下していたエレベーターは、如何やら目的地に到着した様だった。
スッとドアが開いて、2人の前に新たな
ーーーーーーまるで其処は放棄されたオフィスの中の様だった…
「ここは…オフィスか?何も無いけど。」
先にエレベーターから降りたピーターが、辺りを見渡して呟いた。
ジェニファーも降りて同じ様に辺りを見渡す。ネズミと〈
見渡している内に、ジェニファーはある事に気づく。
「…ねぇ、ピーターさん。」
「ーーーん?何だ?」
振り返ったピーターに部屋の端を指差して、ジェニファーは気づいたことを伝える。
「今気づいたんですけど、ここは
彼女が指差した方を見てピーターは少し驚いた様に声を出した。
「…お?本当だ、窓あるじゃん。」
窓に近づく2人。窓は不自然なぐらいに明るい光を、この廃オフィスに投げかけていた。
「…変な窓だなぁ。眩し過ぎて、外何も見えないぞ?」
ピーターが窓際で外を見ようとして呟いた。
確かに、窓の外には真っ白な光が満ちているだけで、景色とかは何も見えない。そんな窓がこのオフィスには一定間隔で、設置されているのだ。
「ま、それ程気に留めるモノでもないか。この窓のおかげで明るいしな。」
ジェニファーは頷いた。
「…そうですね。取り敢えず、周りを探索してみましょう。」
「…ああ、そうだな。さっきのパイプだらけの場所みたいに、変な目に遭わなきゃ良いが……。」
2人はこの廃オフィスーーーーー正式名称:Back room Level 4〈the Abandoned Office〉ーーーの探索を開始した…
◇◆◇
ーーーーー窓から明るい光が差し込むオフィスを歩き続ける。
このオフィスには、今までの場所よりも遥かに多くの物資が入った箱を見つけることが出来た。
中にアーモンドウォーターが入っている確率も、かなり高くなっている様だ。
「ーーーーーおお!またあったぞ箱!…凄いなこの場所は。ーーーさっきの所は、箱探してだいぶと歩き続けなきゃいけなかったが、ココはあっちこっちに箱が落ちてやがる!」
ーーーとある一室でピーターがニコニコしながら箱を開けている。ジェニファーもアーモンドウォーターを飲みながら、同じ部屋にある別の箱を開けていた。
一つの空間に2つ以上の箱が置いてあるのを見るのは初めてだ。本当に此処は、アイテムが手に入り易い場所だった。
◇◆◇
更に、その後2人はウォータークーラー(…しかも実際に水が出るのだ!)を見つけたり、自動販売機(…硬貨の代わりにアーモンドウォーターのボトルを入れると、コンビニとかでよく見るエネルギーバーが出て来る)を見つける事が出来た。
「ああ……モサモサしてるけど、うんめぇ……20日間アーモンドウォーターしか口にして無かったからよ……20日ぶりの固形物だぁ…。うぅ…(泣)」
(な、泣いてる⁈)
自動販売機からアーモンドウォーターと交換で手に入れた、カ○リーメイトに似た食べ物を頬張りながらピーターは、感極まったかの様に泣きながら呟いていた。そして全部食べ終わった後で、満足げにため息をつく。
「…ふぅ…。ここ最高の場所じゃね?今までの場所では手に入らないモノだらけだよ…水も、この美味いバーも、何もかもだ。それに明るい!…コレに尽きるな。今までの場所は基本、電気の灯りだけで照らされてたから暗い場所もあったが、ここはそれが無い。発光源こそ謎だけど、ここほど明るい場所は初めて来たね。」
窓から差し込む明かりは、2人の心の安定にも一役買っている。
今までの場所に漂っていた死の気配は、この場所では完全に鳴りを潜めていた。
……だから、
故に、直前まで気がつかなかった…背後の壁から、
「…ニャーーーーーーーッッ!!」
「ーーーーーーきゃっ!?」
ジェニファーは突然飛びかかってきた〈
ーーーーーコンマ1秒後、ジェニファーが立っていた場所を
「ーーーな、何だ!?壁から手がッ!?」
ピーターが慌てて壁から離れる。ジェニファーもまた、尻餅をついた体勢のまま、壁から距離を取った。
(ね、猫ちゃんが突き飛ばしてくれなかったら、あの手に捕まってた……。)
ジェニファー達の前で壁から突き出した手は、音もなく壁の中に戻って行った。
ガサ…ゴソッ…ガタン…
「ピ、ピーターさん…壁の向こうに何かいますッ!」
「分かってる!…見たか今の?手が壁をすり抜けてきた…壁に穴も開けずにッ…。」
…動き回る音はしばらくの間聞こえていたが、やがて何処かに行ったのか、聞こえなくなったーーーーーーーーーー。
◇◆◇
やはり、ここも結局、未知の危険が存在していた…。
2人はあれから、壁に気をつけて移動する事にしていた。ーーーさっきの手の主が、どこにいるか分からないからだ。
やがて、歩き続けていた2人は、更衣室とトイレが併設された部屋に辿り着いた。
「トイレ…か。ちょっとトイレ休憩しようか?」
「…そうですね。私は大丈夫ですけど、ピーターさんが行きたければどうぞ。」
「ん、じゃあ行ってくる。」
そう言ってピーターはトイレに入って行った。ジェニファーは彼を待つ間に更衣室を覗いてみる。
(わぁ…クローゼットが、沢山…。)
更衣室には大きなクローゼットが沢山置いてあった。一つ開けて見る事にしたジェニファー。
中には沢山の新品らしき服が詰め込まれていた。
「こんなに沢山の服が…!凄い。」
ジェニファーはその沢山の服の中から、気に入った服を何着か取り出して持っていく事にした。
丁度、前のパイプだらけの場所で沢山汗をかいて汚れたので、着替えが欲しいと思っていたからだ。
「…こんな所で、服を変えれるなんてね。…思ってもなかったわ。」
着替えを終えた所で、ピーターもトイレから出てきた。
「すまん。お待たせ…ってめっちゃ服あるじゃん!?」
たくさんの衣服を見てピーターが驚く。
「ここは更衣室みたいね。ピーターさんも、その汚れた黄色いコスチュームを変えたら如何かしら?」
「ぜひ、そうさせてもらおう。ずっとこのクソだっさい防護服を着てなきゃならん事にうんざりしてたんだ。…今更、防護服が役立つ事なんて無いだろうし。」
そう言ってピーターも防護服から動きやすい服装に着替える事にした。
◇◆◇
着替えを終えた2人はこの部屋を後にする。
時折、現れる自動販売機やウォータークーラーでこまめに休みながら歩き続けていると、前方にまた、エレベーターが見えてきた。
「…!エレベーターか…。出口かな?」
「きっとそうでしょうね。ここから出ますか?」
ジェニファーは一応ピーターに尋ねた。ここは食べ物、衣料品、物資等に全く困らない場所で、此処から離れればきっともう、こんな場所には辿り着けないだろう。
アレから結局出くわさなかった
それでも……やっぱり…
「勿論でるさ。此処の設備には世話になった…けど、俺が…俺達が目指してるのは元の世界に帰る事さ。幾ら居心地がいいと言っても、此処にいても帰れはしないんだ。ならば、進むのみ…だろ?」
ジェニファーは大きく頷いた。
…そう、やっぱり元の世界が一番だから。
故に2人はこのレベルに別れを告げて、エレベーターに乗り込んだ。
エレベーターは2人を乗せて動き出す。
(次は一体何が待ち構えているのかしら…。)
ジェニファーは降下するエレベーターのドアの外を見つめながら、次のレベルに想いを馳せていた。
to be continue
壁から伸びた手の正体は〈ダラーズ〉というエンティティです。
壁越しに放浪者を認識して、長い手で捕まえようとしてきます。が、実は案外臆病な性格でこちらから近づいていくと逃げていきます。後、アーモンドウォーターが苦手らしいです。
Back room Wikidot版の設定より