The Back Rooms Story 〜Fanmade〜 作:犬社長
前回、1話で二つのレベルを進むって言ったけど結局、1話1レベルになりました。
私の文章構築技術の無さが招いた事ですユルシテ。
次回はきっと二つのレベルを1話で進められると思います。
◇◆◇
…長い階段を下った先は、完全な暗闇だった。
「…暗いな…ちょっと待ってくれ、ライトを点けるから。」
そうピーターが言って、リュックから懐中電灯を取り出すと、カチリとスイッチを入れた。
……しかし、ライトの光は2人の先を照らしてはくれなかったのだ。
「…?なんでだ?暗いままだぞ。」
ピーターがライトを振りながら呟く。
確かにライトはついていた…しかし、ライトの光はまるで、暗闇に吸い込まれるかのように、放たれた側から消えてしまっているのだ。
ーーー如何やら、ココではライトが使えないらしい。
ジェニファーが闇の中を手探りで右に進んでみると、すぐに冷たい壁の感触を手に感じた。反対側に進んでも、すぐに壁に突き当たる。
…どうやら、狭い廊下に2人は立っている様だった。
「…ピーターさん…さっきのホテルに戻りましょうか?」
お互いの顔すら満足に見れない程の暗闇の中で、ジェニファーはそう提案した。
ピーターが闇の中で頷いた気がする。
「ああ、そうした方が良いかもな…此処ではまるで、可視光が全部空気中に吸収されているみたいだ。」
2人は踵を返して、ホテルの中に一旦戻ることにした。
◇◆◇
Back room Level 5 〈the Hotel〉
場所:〈メインルーム〉
「困ったな…」
階段のそばの廊下で、ピーターが座り込みながら呟いた。
「此処に居たって、ちょくちょく聞こえてくる幻覚に悩まされる事になるし、かと言って闇の中を手探りで進み続けるのもなぁ…。」
頷くジェニファー。
今も、近くに飾ってある絵画の目が、こちらを見つめている気がして目を逸らした所だった。
2人の足もとでは〈
それを見てジェニファーは呟く。
「…ねぇ、猫ちゃん…灰色の世界では私達を出口に導いてくれたよね…やっぱり、今回はソコが出口なの?」
「…ミァオ。」
…そうだよ、と言われた気がした。
「…そう。」
ジェニファーは階段の先を包む闇を見つめる。
…闇は2人を試すが如く、黒々と広がっていた。
「ーーーーーやっぱり、いきましょう…ピーターさん。」
……ジェニファーは覚悟を決める事にした。
「…お、そうか?正直言って、あそこを通り抜けるのは難しいと思うぞ?」
「分かってる…でも、先に進む道はきっとこれしか無いのよ。」
「………。」
ピーターは顎に手を当てて、呟いた。
「…そっか……なら、やっぱりその中を行く必要があるのか……うん、ウィルソンさんが覚悟を決めたのに、俺が躊躇っててもしょうがないな。ーーーよし、行こうか。」
立ち上がるピーター。ジェニファーも彼の後に続く。そして、〈
ーーーーーBack room Level 6〈lights out〉へと、足を踏み入れた。
◇◆◇
…お互いの姿すら見えない闇の中を手探りで進んでいく。
如何やら、このエリアは様々な材質で作られた廊下がパッチワーク状に組み合わさっているらしい。
だからなのか床を歩く度に、足音の響き方が違っていた。
(なんて、真っ暗なの…まるで…まるで私1人だけになってしまったみたい……)
先の見えない闇の中で、不安になってきたジェニファーは思わず叫んだ。
「ーーーピーターさん!!何処にいるの!?」
「ーーー俺はここにいるよ!ウィルソンさんこそ、ちゃんと前にいるのかい?」
思ったよりも近くで彼の声が聞こえた。
少しホッとするジェニファー。
「…ちゃんと前に居るわ。だから、ぶつからない下さいね。」
「ああ。気をつけては居るけど、うっかりぶつかってしまっても許してくれよ?」
…前すら満足に見れない暗闇の中では、お互いの位置を足音や声で判断しなければいけない。
手探りで進みながら、ジェニファーは前を行っている筈の〈
(…猫ちゃんはちゃんと私の前にいるのかしら?…というより、ちゃんとこの闇の中でも歩けて居るのかしら?)
ーーーーーそんな事を思って居ると、ジェニファーはふと闇の中から声が聞こえてくる様な気がしてきた。
…闇の中で誰かが、自分の名前を遠くから呼び続けて居る。
(…ジェニファー……ジェニファー……)
「誰…?誰が私を呼んでるの…?」
闇の中で耳を澄ますとそれは、いろんな声になって聞こえてきた。
昔の友達の声…自分の親の声…会社の同僚の声、上司の声…遠くなったり近くなったり、それは狂気的なまでに自分の名前を叫び出す。
(…じぇにふぁー……!ジェニファーー……!ジぇニふァーー…!!
思わず、ジェニファーは耳を押さえて蹲った。
(ーーーーーー嫌!!これは幻聴よ!そうに決まってるじゃ無い!!こんな闇の中でーーーーー)
(ジェニファァァァーーーー…!!じぇ二ふァァァー…!)
(ーーー私の名前を呼ぶ人なんてーーー)
(
「ーーーーー静かにしてよッ!!もう私の名前を呼ばないでッッッ!!」
思わずジェニファーは顔を上げて、闇の中に向かって叫んだ。
そしてその瞬間、ジェニファーは
ーーーーー
そして、それは自分ただ1人をジッと見つめて居るのだ!!
「ーーーいやああああッ!?」
ジェニファーは取り乱して近くにいる筈の人の名前を叫ぶ。
「ピーターさん!?ピーターさん!何処にいるの!?助けてください!目が…!目が私を見てるのッッッ!!」
ーーーーーしかし、
「…ピーターさん!?」
闇の中にいくら叫ぼうとも、返事は返ってこない。手を伸ばしても、ただ、何も無い暗闇が広がって居るだけだった。
…いや、自分は本当に手を伸ばしただろうか?助けを求めて叫んだだろうか?…
「…あぁぁあれ?…私は…ワタシは…私はちゃんと…ワたシなの?」
闇の中で、徐々に自分の心が狂い始めるのをジェニファーは自覚した。
そして、その狂気は止めよう無く加速していく。
「アァァ……見える…聞こえる!………あぁ…私の周りの闇が…ワタシを消し去ってしまう…!!」
ーーー闇の中から這いずる音が聞こえてくる。
ーーー誰かの呼吸音が自分の呼吸音に重なって聞こえる。
ーーーーー人のモノでは無い囁き声が耳元から聞こえる。
これは全て、幻聴や幻覚の類だ。だかしかし、それに気付けるほど、ジェニファーはもうまともな心理状態にはなかった。
彼女はもう自分が一体何処にいて、何をして居るのかすら曖昧になってきていたのだ。
そして彼女は闇の中を走り出す。ーーーただ、ここから逃げるために。
「ニャニャッ!?」
少し先を進んでいた〈
(もう、嫌だ!!ーーー私をココから出して!)
…今の彼女に出来る事は、ただ不安と恐怖に押しつぶされ、何度も転けたり、壁にぶち当たりながら闇から逃れようと必死になってもがき続ける事のみ。
ーーーーーこれを俗に…発狂状態と言う。
◇◆◇
[ピーター視点]
ピーターもピーターで、繰り返し訪れる幻覚と幻聴に苛まされていた。
「ーーーあぁくそっ!!こんないきなり急におかしいだろ!有りもしないもんばっかり見せてきやがって!!」
悪態をつきながら、闇の中を進み続ける。既に余裕はだいぶと失っていたが、発狂まではしていなかった。
しかし、闇の中は彼の恐怖を限り無く増幅させていく。
コレは自分の気が触れるのも時間の問題かもしれない…とピーターは思った。
「ーーーーーピーターさんッ!」
遠くから、ジェニファーが焦った様に叫ぶ声が聞こえる。ただ、困った事にコレが幻聴なのか、彼女が本当に呼んでいるのか彼には分からなかった。
…やはり、彼女もこの幻覚に悩まされて居るのだろうか。
ーーーーーなら、せめて自分がしっかりして、彼女を落ち着かせてやらなければいけないとピーターは思った。
「…ここに居るぞ!!ウィルソンさん!しっかりするんだ!!少しこっちにきた方が良いんじゃないか!?」
闇の中に向かって叫ぶ。しかし、ピーターの耳に彼女からの返事は聞こえなかった。
代わりに、闇の中を彼女が走り去っていく様な音が聞こえる。
「ウィルソンさん!あまり遠くに行かないでくれ!!」
闇の中に置いてきぼりにされるのは嫌だ、とピーターは思いながら、後を追いかけて走り出した。ただ、前も見えない暗闇の中故に、あちこちに体をぶつけてしまう。
「ーーー痛ッ!ちょっと!ウィルソンさん!何処にいくんだ!?暗いから逸れると大変な事になるぞ!!」
その時、前を行く足音が突然途切れた。
ジェニファーの悲鳴らしき声が聞こえる。そして自分たちに先立って進んでいた筈の猫の鳴き声も。
「キャーーーーーーッ!?」
「ニャーーッ!!」
「どうした!?何があった!?」
…返事は無い。
何があったのか分からないまま、ピーターは声の聞こえた方向に足を向けた。
そして、数歩進んだ時だった…
『マッテ!アブナイ!』
「…えっ?」
初めて聞く声がしたと思った瞬間、ピーターの足下の地面の感覚が消失した。
ーーー続いて感じる浮遊感。
如何やら、暗闇の中で気が付かなかったが、床に穴が開いていたらしい。
(嘘だろ!!穴がこんなところに空いていたのかッ!?)
闇の中、手を伸ばすが既に時遅い。
ピーターの体は穴の中へと落ちていったーーーーー。
◇◆◇
[〈
「ミャオ…。」
せっかく、
まぁ、仕方ない。
そして、その先の道に穴が空いてるなんてのも思いもしていなかった。
私は身を乗り出して、穴から吹き出す風の匂いを嗅いだ。
……あまり好きじゃ無い香りだ。
「ニャ〜…。」
とはいえ、この際好き嫌いなど言ってられない。
「ナウゥ〜。」
放っておけば、この先で彼女が死んでしまうかもしれない。男はどうでもいいが、彼女は私に食べ物をくれたのだ。それ相応の恩は返さなければいけない。
「…ニャーーーッ!!」
ーーーーー私は、穴に身を投げ入れた。
◇◆◇
「うぅ…身体が痛い……アレ?」
ジェニファーは、薄っすらと目を開けた。
…何かが、私の顔を覗き込んでいる。
「…あれ?猫ちゃん?」
覗き込むモノの正体は〈
近くにはピーターさんも倒れて居る。
そして周りはもう、さっきのあの場所では無かった。なぜなら、ピーターさんの手が落ちたであろう、懐中電灯が
その光に照らされて広々とした空間が、ジェニファーの視界に広がっていた。
…そこはまるで……
「ーーーーー巨大な洞窟…かしら?また新しい場所にやってきたのね…私達。」
…ここはBack room Level 8 〈The Cave System〉
ーーーーー無限に続く、巨大な地下空間である。
to be continue
レベル6からの脱出方法。
①階段を登ると Level5に出ます。
② Level 6 で、潮の香りを辿って進み、ドアを見付けて開けると Level7に移動します。
③Level 6 でノークリップすると、Level 9 に移動する。
④Level 6 の穴に落ちると、 Level 8 に移動する。
ジェニファー達は①の方法で最初一旦戻り、最後は④の方法で脱出しました。
また、プロブキャットは②の脱出方法をしようと思っていた様です。
Back room Wikipedia (fandom)より