The Back Rooms Story 〜Fanmade〜 作:犬社長
どうにかしてきました。
◇◆◇
20XX年 9月 10日
場所:アメリカ合衆国 ネバダ州レイチェル エリア51
時刻:午後1時頃
ーーーーーーーーエリア51…… ラスベガスから北北西に約200km、…アメリカ合衆国ネバダ州リンカーン郡にある、アメリカ空軍の航空基地の名称である。
随分と昔から、エリア51には様々な噂が飛び交っている。オカルトに詳しい人なら、何度も聞いた話だろう。
…例えば、UFOの研究をしてるだとか、宇宙人がエリア51には居るだとか…そう言う類の都市伝説をーーーーーーーー。
…ただ、残念(?)な事に、実際にはエリア51に宇宙人は居ない。勿論、UFOも無い。
しかし、今日この日、そんな都市伝説も霞むような出来事がこのエリア51で起こるのだ。
バラバラバラバラバラバラ………
…………青空にヘリコプターが一機、プロペラの音を響かせながら飛んでいる。
…もしも貴方がそのヘリに乗っていて、ヘリの窓から地上を見下ろした時、貴方は不思議なものを目にするだろう。
エリア51内にある大きな乾燥湖ーーーグルーム乾燥湖に、直径にして200メートルほどの、巨大な円形の構造物が鎮座しているのだ。
茶色の荒野に悠然と聳え立つ、黒色のソレは凄まじい存在感を放っている。見た目はドーナッツに似ていて、中心には穴が空いており、反対側の景色が見える。
…が、勿論ソレは黒色のドーナッツのオブジェなんかでは無い。
ある組織から、ソレはーーーーー〈
……そう、コレは巨大な〈
……何故そんなに大きな〈
ーーーその答えは地上を見れば、すぐ分かるだろう。
〈
更にその後ろに目をやれば、急ごしらえの簡易的な滑走路に、何機もの戦闘機が発進の時を待つ様にして、ズラリと並んでいた。
そして、輸送車両と戦闘機の近くには、銃を持ち、迷彩色の頑丈な防護服に身を包んだ500人を超える兵士らしき人達が直立不動の姿で立っている。
ーーー事情を知らない人が見たら、『一体この軍隊はなんだ?戦争でも始まるのか?』と、思う事間違いなしだろう。
ーーーーーーーーまぁ、間違っては無い。
今から始まるのは、人類史上初の
「…18次中間報告から、4日…まぁ、これだけ揃えられたら、充分じゃろ。」
ーーーーーーーー少し離れた場所から、その軍隊を見ている人影が2つ。
スーツを着こなした背の高い男と、一目で高級品だと分かる豪華な飾り付きステッキを持つ、腰の曲がった老人だった。
「ーーー翁…私はアレでは過剰戦力だと思ってるんですがね。」
背の高い男が、そう口を開いた。
「……油断するな。〈フィラデルフィアの証言〉によれば、バックルーム には〈B.R.C.U〉が4日前に戦った化け物以上の存在がうじゃうじゃ居るのじゃぞ。やるなら、確実に…じゃ。」
〈フィラデルフィアの証言〉……ソレは前にも説明した通り第二次世界大戦中に、アメリカ軍が行なっていた軍艦のステルス実験こと〈フィラデルフィア計画〉…その実験の途中に起きた、軍艦がワープして実験場とは全く違う場所に出現し、その後また再ワープして元の場所に戻ってきた…という事件から生還した軍艦の乗組員達が記述した証言である。
…その証言曰く、ワープした軍艦の乗組員達は、全員不思議な異世界に飛ばされ、そこで恐ろしい怪物に遭ったり、黄色い部屋や、灰色の倉庫…そしてホテルや小麦畑…はたまた大都会に至るまで様々な場所を彷徨ったらしい。
その異世界から生還した彼らの証言は、アメリカ政府に異世界の存在を知覚させ、そしてその研究の為に、政府直属秘密機関〈The First〉が創設された。…しかし、当時の技術力では、異世界に辿り着くことは出来なかったのだ。
…結局、予算と時間がかかり過ぎた為に〈The First〉主導の異世界到達計画は一旦白紙化され、しばらくは何の音沙汰も無くなった。
しかし、技術力が以前より高い水準になった現在。ーーーーーーーー再び、異世界到達計画は組織を新たにして始動したのだ。新組織の名は〈M.E.G〉……そして、長い研究と実験を経て遂に異世界は人類の前に姿を現した。
ーーー 〈The First〉の意志を汲む者達にとっては、漸くやって来た実験の成果。地球人口の増加によって逼迫した居住地枯渇問題の対処も兼ねて、バックルーム はなんとしても、獲得せねばならない地となっていた。
その障害が〈フィラデルフィアの証言〉に有った、バックルームの怪物である。計画者達の頭を悩ませるその怪物対処の為に〈B.R.C.U〉が生まれ、つい4日前…怪物撃破という初めての成果を出した。
しかし、あの怪物は氷山の一角であると、証言を知る誰しもが思っていた。証言では怪物には様々な種類が居て、其れ等全てが異なる力を持っていると記述されていたのだ。
…ならば、もっと強力な手段が必要で有ると計画者達は考えた。
ーーー考えた結果が、今回の異世界侵攻作戦である。〈B.R.C.U〉が持てる全ての戦力でバックルーム を制圧する事…それが今作戦の目標なのだ。
……とは言え、流石にバックルーム の全てが手に入るとは誰も思っていない。制圧する場所はもう決まっている……とある1人の船員が残した、バックルームのある場所に、大都市が有る……という証言、この証言を元に、この軍隊達はその大都市を目指していた。
ーーーーーーつまり、制圧目標は、 〈Level 11〉である。
……さて、この軍隊達の目標はわかった訳だが、 Level 11への行き方を彼等は知っているのだろうか?ーーーーーー答えはNOだ。
ーーーしかし、策ならある。
ーーーーーーーーそれこそが〈
…一度発動すれば、バックルーム に凄まじい変化を巻き起こすとされる、最強の〈バックルーム専用磁気兵器〉……ただし、今はまだその
「ーーーーーーーさて、そろそろ〈
そう言ったスーツの男に向かって、老人は鼻を鳴らした。
「……フン。ワシはまだ耄碌しとらん。バックルームへの門が開き次第、〈パンドラの壁〉を投入……発動して効果が確認されたら、〈B.R.C.U〉の突入じゃろ?分かっとる。」
スーツの男は頷いた。
「ええ、その通り。ーーーでは、始めるとしますかな…。」
彼らの前で、〈
◇◆◇
20XX年 9月 10日
場所:Back room Level11〈the endless city 〉
[ジョン・ピーター・ジェニファー視点]
……時は
3人は相変わらずレベル11で〈ヴォイド・ドア〉を探していた。
ただし、今は朝早いのでまだ街には出ずに、ニードルスの家に居て朝食を取っている最中である。
(…と言っても、このレベルは常に正午ぐらいの時間が保たれている為、時間計算で朝…という意味だが)
「ーーーーーーーーあの〜私、新しい靴が欲しいと思っているのだけれど…何処かに売ってたりしないのかしら?」
朝食(ニードルスさんが何処からか持ってきたパンみたいなナニか)を頬張りながらジェニファーが部屋に居る皆んなに尋ねた。
(ちなみにニードルスさんは外出中で不在)
ピーターが片眉を上げる。
「ーーー靴?そりゃまた何で?」
ジェニファーは片足を上げる。片足に履かれている靴は、靴底が少し剥がれかけていた。
「…ホラ、靴底が剥がれちゃったのよ。バックルーム に来てから歩きっぱなしだったし、これからも沢山歩くと思うからそれで……」
「ああ〜…なるほど。でも俺、この街でお店とか見たことないけどなぁ…。」
ピーターがそう呟く。
それについては、ジェニファーも最近街に出た時に思っていた事だった。ーーーーーーこの街には、店らしき物が無い、もしくは異常に少ないのだ。
それを聞いていたジョンが、口を動かしながらジェニファーに言う。
「…んでも、ジェニファーさん。この家探したら、靴の一足や二足普通に出て来そうだがな…。」
…確かにこの家に溜め込まれた品々の中には靴の一足や二足、あるかも知れない。ーーーそうジェニファーは思った。
「ーーーそうね…探してみようかしら…?」
ーーーーーーーーと、いうことで。食事を終えたジェニファーは家の中で靴探しを始める事にした。
部屋に山積みの品々を掻き分けながら、靴を探していくが、これが意外と見つからない。
「……んー…これだけいろんな物があって、靴が無いなんてね……どうしようかな…。」
一階はあらかた探したので、二階に上がりながらジェニファーは考えていた。半分壊れかけた靴を長く履いていたくなど無いし……
「ーーーーーー!」
その時ふと、彼女の足が止まった。
二階…普段固くドアが閉ざされているニードルスさんの娘ことカトリの部屋が半分開いている。
(あら、珍しい……カトリちゃんが部屋を開けているなんて…)
ここに来てからまだ4日ぐらいだが、その間カトリはピーターやジェニファーと一切話をしていない。ジェニファーは余り気にしていないが、ピーターは気にしている様でなんとか彼女から話を引き出そうと躍起になっている。
しかし、それでもカトリから話をする事は無かった。ーーー基本二階に引き篭もって降りて来ない彼女の部屋が開いている……ジェニファーはほんの少し気になって、彼女の部屋に近づくと中を覗き込んでみた。
「…カトリちゃん?居るの?」
……部屋の中に彼女は居なかった。ジェニファーはちょっと躊躇いながらも部屋の中に入る。
何の変哲も無い部屋だった。壁の片隅にあるベットとテーブル、椅子に本棚……いかにも普通の部屋だったが、ジェニファーはベットの枕元に小さな額縁が飾られているのに気がついた。
近づいて見てみると、一枚の写真が額縁の中に入っている。
…そこには身長の高い短髪ブロンドヘヤーの青年と、カトリが写っていた。ーーー青年の方にはちゃんと目鼻と口がある。〈
「………!」
近くのテーブルに目をやれば、錆び付いた大きい年代物のカメラと、銀色に磨き上げられたライターがあるのをジェニファーは見つけた。
「…このライター、バックルーム のものじゃ無いわね……カトリちゃんみたいな女の子が持つものでも無いし……。」
それを見ていたジェニファーは机の上に名札らしき物が置かれているのに気づいた。
「……『名前:ジョナサン 所属:レントン班 二等水兵 実験記録係』…あのお墓の人の名刺だ……。」
その側にはまたべつの写真が二枚ある。最初の写真より歳をとって中年ぐらいになったジョナサンらしき人の写真、そして老人になり、白髪になったジョナサンの写真……カトリはいつも側に写っていて、いつまでも少女のままだった。
「………これは…。」
「ーーーーーーーー何してるの?」
後ろから声が聞こえてジェニファーは軽く飛び上がった。
いつの間にか、カトリが後ろにいたのだ。
「…あ、カトリちゃんーーーーーごめんね。部屋のドアが開いてたものだからつい……。」
ジェニファーは頭を下げて、両手を合わせる。
カトリは暫くジェニファーの方に顔を向けていたが、小さくため息を吐いてポツリと呟いた。
「……出てって。」
「ーーーう、うん。ごめん…。」
ジェニファーは、やっぱり酷いことしちゃったな…と思いながら、カトリの横を通って部屋から出る。
カトリがドアを閉めようとした時、最後にジェニファーはどうしても聞きたいことがあって彼女に話しかけた。
「……カトリちゃん……やっぱり、カトリちゃんはーーーーーーーー」
……ジョナサンが好きだったんだね。とジェニファーが言うより前に、俯いたカトリがドアの隙間から小さく呟いた。
「…………これから先もずっと…ね。」
ーーーーーーーーバタン!
ジェニファーの前でドアが閉まった。
◇◆◇
「ーーーーーーーーソレは知らんかった……なるほどなぁ…だからか。」
ーーーーーーアレから、結局良い靴は見つからなかった。…なので街に出て店を探してみる事にしたジェニファーは、一緒に付いて来ている2人にカトリの事を話していた。
「…カトリちゃんが、私達に話しかけたりしないのは、彼女の心の中にまだジョナサンが居るからなのよ。彼女は失う事を心底悲しんで、恐れている……。」
「なるほど……なぁ、ピーター…コレは、あんまり深入りしない方が良いんじゃないか?2人の関係は俺達ほぼ知らないんだしさ。あんまりその…ね。」
ジョンがそう言って、ピーターが頷いた。
「そうだな。……限りある命と限りなき命の間に生まれたいつか必ず引き裂かれる恋か……辛いなこりゃ。」
「…ジョナサンはどの写真でも笑ってた…彼が最後まで幸せそうだったのは彼女にとって救いだったかもしれないわね。」
そう話しながら歩いていた3人は、いつの間にか大通りに出てきていた。
ーーーーーー大きな道路の両脇に高層ビルが立ち並んでいる。そして、沢山の〈
「………結構街の中心みたいな場所に出て来ちゃったわね。お店あるかしら?」
ピーターが頷く。
「ーーーこんだけ、でかい場所だったらワンチャン…てか、ジョン…こんなニードルスさん家の近場に中心街みたいな場所あったっけ?」
ジョンは地図を見ながら、軽く首を振った。
「地図では分からない……ただ、今まで無かった気がするから、昨日か今日出現したんだろう。此処は時々、街の並びが大きく変わる…生きているみたいにね。」
「ーーーーーー住みにく!!何もしてないのに住所が勝手に変わる街なんざ、俺は住みたくないね…郵便物届かないじゃん。」
「ーーーそもそも、ずっと昼間ってのが住みにくすぎる。ニードルスさん家で寝るときみたく、厚いカーテン下さなきゃ寝れないぞ。」
そんな事を2人が話している時、ジェニファーは〈
(あ!あれってお店じゃない!?)
ジェニファーはやっと店らしき物を見つけた事で、ほっと安堵した。コレで新しい靴が買えるかも知れない。彼女は2人に伝えた。
「ーーーーーーピーターさん、ジョンさん。アレお店ですよね?私靴あるか見てきても良いですか?」
ピーターはジェニファーが指差す方を見ておお、と驚きの声を出した。
「マジか、本当にあった…探せばあるじゃん。俺も行くよ、初めてこの世界のお店に入るしね。」
ジョンも頷く。
「…良いんじゃないか?その為に街に出たんだし。」
ーーーーーーーーこうして、3人はショッピングセンターの中に入って行ったーーー………
3人は知らないが、このショッピングセンターには、ある名前が与えられている。
このショッピングセンターの真の名はーーーーLevel33〈the infinity mole〉ーーーーー…立派な別レベルの1つなのだ。
……そんな場所に入って行く3人。
ーーーーーーソレは、3人が店に入店したのを見ると、
to be continue
補遺
〈フィラデルフィアの証言〉156頁 元軍艦エルドリッジ所属 レントン・ローダンの証言
[音声データ]
「ーーーーーーーー大都会の事について教えろと?」
「…良いですよ……いやぁ(感動した様なため息)アレは凄かった。船のテスラコイルがどうにか安定化してきたのでね、最初のワープ時のショックで放り投げ出された奴ら以外で、何とか船がワープを繰り返すのを止めようとしてたんですよ。」
「みんな、怖くて仕方なかった…黄色い世界では、甲板に上がってきた化け物が皆を殺そうとして来ましたから…運良く死者は居ませんでしたがね。」
「元の世界を目指して、何度もワープを繰り返す内に、見ただけでやばそうな場所を幾つかも通りました。一瞬で死んじまったヤツも居ましたし、恐ろしい怪物共相手に船内で格闘戦までしましたよ。」
「(咳払い)ああ、大都市の話でしたね。アレも繰り返すワープのうちの一回でしたが、確かに見たんですよ。ーーーーーーどんな街よりもでっかい大都会を!あれが地球だったとは思ませんね…高い空からどの方向を見渡しても地平線の果てまで街が続く場所なんて無いですから。」
「我々の船はその街のどうやら、空に出現したっぽいです。テスラコイルがまだ安定化しきって無かったので、地面に激突する瞬間、別の場所に飛んでしまいましたけど。まぁ、安定化してたら、地面に激突してたんで、逆に不安定な状態に救われましたかね。」
「ーーーーーーーー残念なことは、その街をよく見れなかったこと…ソレと、私の弟分と言っても良い、ジョナサンって船員がワープのショックで船から投げ出されてしまった事ですね。アイツ、あの街で元気にしてるのかなぁ?」
「(微かに笑う)…アイツ、ずっと昔から、ニューヨークみたいな街で都会人みたいな暮らしがしたいって言ってました。田舎育ちだったんで。夜遅くまでネオンの止まないバーに居たり、真っ昼間から可愛い彼女連れて街で高級車乗り回してデートしたいとか、あわよくばそのまま結婚して都会の外れのこじんまりした一軒家で暮らすんだとか…ハハハッ……もしも、アンタ達の言う異世界への扉が俺が生きている間に出来たら、俺、アイツに会いに行きますよ。で、言ってやるんです…都会の女の相手は大変だろうってね!(笑い声)」
156頁の証言は重要な物を除き、不必要な会話は編集時削除済み。