The Back Rooms Story 〜Fanmade〜   作:犬社長

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特に理由などないけど、1日開けてしまった…ゴメンナサイ。




32話 Level 33 〈The infinity Mall〉

 

 

 

20XX年 9月10日

 

 

場所:Back room Level 33 〈the infinity mall〉

 

[ジョン・ピーター・ジェニファー視点]

 

場面説明:靴が壊れた為、新しい靴を探してLevel11を歩き回っていた3人。やがて、大きなショッピングセンターらしき場所を見つけて中に入る事にした。…しかし、そんな3人を追う黒い影が………

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 3人が入ったショッピングセンター…改め、Level 33〈the infinity mall〉とは、レベル11から自由にアクセス可能な無限の広がりを持つショッピングセンターである。

 

 しかし、このショッピングセンターはただのショッピングセンターではない。ーーーーーーどう言う事か?……入れば、直ぐに分かるはずだ…

 

 

 

 

ーーーーーー3人が店に入った時、まず感じたのは死んだ様な静けさだった。

 

 

 

 

 手入れの行き届いた綺麗な店舗の中には、人の気配がせず、館内放送も流れていない。

 

 此処にいると暫く忘れていた孤独への不安と恐怖がまた掻き立てられる……そんな気がした。

 

「……空気変わったな。」

 

入った瞬間、ピーターがポツリと呟いた。

 

 ジェニファーもまた、思っていたのと違う店内の様子に少し面食らう。

 

「……誰も居ないじゃない?!ソレに…()()()()…。」

 

ーーーーーーそう、普通なら沢山の売り物が陳列しているはずの店内には、空き棚ばかりが目立ち、品物が置いてある場所が殆ど無かったのだ。中にはシャッターが閉まっている場所も有る始末だった。

 

「……こんな所に本当に靴屋さんとかあんのかね?」

 

 ピーターが静寂に包まれたモール内を見渡して首を傾げる。

 

「まだ、分からないわ…もうちょっと奥に行ってみたら有るかも……。」

 

 そう言って、ジェニファーは奥へと足を進める。ピーター達もその後に続いた。

 

 

ーーーーーー店の奥ーーーーーー

 

 

 

「…おい、2人とも見ろよ…これユ○クロの服だぜ?コッチはadi○asだ。…みんな、俺たちの世界のブランド品じゃないか!?」

 

 

 とある服売り場らしき場所で、ピーターが棚に無造作に置かれていた服を見て驚いていた。

 

…確かにソコには数が少ないとはいえ、現実世界のブランド品が並べらている。

 

 ジョンも、ジョンで誰しもが知っている様な店を発見していた。

 

「……ここ、スタバじゃん。ーーーバックルームでまさかこの看板を目にする事になろうとは……。」

 

 

ーーーそう、Starbu○ksである。

 

 

 あの特徴的な看板の女性像のロゴが、バックルームでも変わらない微笑みを浮かべて居た。…相変わらず中には何も無いが。

 

「不思議な場所だなぁ〜此処は。まるで現実世界に帰って来たみたいだ…テンション上がるな〜。」

 

 ピーターがジョンの横で辺りを見渡しながら、そう言った。

 

「ハハハ…そうだな。ーーーでも、中に何も無いんじゃあな…スタバあっても意味無いし。」

「ーーーあー、コーヒー飲みたいな…。このスタバに無いの?…アーモンドウォーターも美味いけど、コーヒーとは全く違うからね。」

「…オレはピザが欲しい……。バックルームには無いんだよ…美味いもんが。」

「……また、ピザかよ。太るぞ?…お前バックルームで折角痩せたみたいなんだし、カロリーには……」

 

 

「ーーーーーーーーん?ちょっと待てピーター。ジェニファーさんは何処行った?」

 

 

 ジョンとピーターはスタバの前で立ち止まって話し合って居た所為で、いつの間にかジェニファーが遠くへ行ってしまっている事に気が付かなかった。

 

 そして、ジョンがそれに気付いた時、モールの更に奥の方から、何かが倒れるような音と共に、()()()()()()()()()が聞こえてきた。

 

 

「ーーーーーーーーきゃぁぁぁぁぁぁぁッッ!?」

 

 

サッと顔色が変わる2人。

 

「何だ!?」

「…ジェニファーさんッ!?」

 

 慌てて、2人は悲鳴の聞こえた方へ駆け出す。悲鳴の出所は、少し離れた場所にある靴屋だった。

 

……靴屋が見つかったのかーーー、なんて一瞬思ったのも束の間、ジェニファーが転がるように靴屋から飛び出してくる。

 

「ウィルソンさん!!一体何がーーーーー」

 

「ーーーーーーー()()()よッ!!」

 

 ピーターが最後まで言い切る前にジェニファーが叫んだ。

 

「ね、猫…?それってあの丸い猫のーーーーーーーー」

 

 丸い猫の事か…と、ジョンが言いかけた時、靴屋の中から黒い影がぬっ、と現れて3人の前に立ち塞がった。

 

 

 

「な…!!ーーー()()()()()()()()()!?」

 

 

 

ーーーーーソレは、影を切り取ったかのように真っ黒な体を持つ〈顔無き者(フェイスリング)〉だった………

 

 表情のない真っ黒な顔をこちらに向け、手には刃渡りの大きい包丁の様な物を握っている。

…そして、その包丁からは真っ赤な血がポタポタと垂れていた。

 

 この、闇から現れたかのような見た目の〈顔無き者(フェイスリング)〉には、特別な名前が付けられている。

 

 

 その名は〈シャドウフェイスリング〉……闇から出でし、悪意の化身である。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

ーーーーーー〈シャドウフェイスリング〉が、悪意に満ちた眼差しを3人に向けてくる(眼差しを向ける目なんて無いのに)。

 

「「ーーーーーーーーッッ!!!」」

 

 怖気付いて思わず、一歩後ろに下がるジョンとピーター。

 

 無理もない…凶器を持っている者と相対すれば、訓練された者でもない限り恐怖を感じるのが普通だろう。

 

「…ど…どうする、ピーター…。」

 

「ーーーし、知らねぇよ…殺されるのは御免だぜ?」

 

 じわりと距離を詰めてくる〈シャドウフェイスリング〉。3人はゆっくりと後ずさる。

 

 後ずさりながら、ピーターはジェニファーと一緒に居るはずの、〈丸っこい者(ブロブキャット)〉が見えない事に疑問を抱いていた。

 

(あの猫…どうなったんだ?ウィルソンさんは猫殺しって言ってたが……あの包丁の血…まさかな……)

 

…例え、〈丸っこい者(ブロブキャット)〉が包丁で刺されたのだとしても、Level8の洞窟で蜘蛛の大群を蹴散らした時の異常なまでの耐久力を思うに、そんな包丁で刺されたぐらいじゃ、くたばる事なんて無いのではないか……とピーターは思っていたりした。

 

……とは言え、〈丸っこい者(ブロブキャット)〉が現れないのも事実である。

 

(死んじまったのか?あんなにタフな奴が?)

 

 あの猫の異常性をこの目で見ていたピーターは、にわかには信じられ無かった。

 

 

「ピーター!!」

「ーーーーーーーー!!」

 

ジョンの声で我に帰ったピーター。

 

 

ーーーーーーーー次の瞬間、シャドウフェイスリングが、包丁をこちらに向けて斬りかかって来た。

 

 

「ーーーーうおっ!?」

 

身を翻して、迫り来る凶刃を避けるピーター。

 

しかし、返す刃が胸に迫り来る。

 

「…くそがぁッ!!」

 

……避けられないーーーーーーそう悟ったピーターはせめてもの抵抗に足でシャドウフェイスリングの腹に蹴りを入れた。

 

 

 腹に蹴りが当たるーーーーーーと、同時にピーターの脇腹にも包丁の刃が突き刺さる。

 

 

「ーーーーーーーうぐっ?!」

 

「ピーターッッ!!!」

 

 ピーターが膝から崩れ落ちた瞬間、ジョンが捨て身のタックルを仕掛けてシャドウフェイスリングを吹き飛ばす。

 

 靴売り場にあった大量の空き箱を撒き散らしながら、床に倒れ込むシャドウフェイスリング。手から離れた包丁が、磨き上げられた床のタイルを滑っていく。

 

「大丈夫か!?ピーターッしっかりしろ!!」

「あぁ……クソ…やられちまった……ッ。」

 

 ピーターは駆け寄って来たジョンに捉まりながら、立ち上がった。

……脇腹が熱く痛む。包丁で刺されるなんて初めての経験だった……もう二度と経験したくはない。出血の影響か、視界が軽く歪んでは元に戻るを繰り返していた。

 

「なんてこった…酷い血がーーーーーーーー取り敢えず、アーモンドウォーターを…。」

 

 ジョンの声が横からする…しかし、その声は遠ざかりつつあった。

 

(やばい……意識がーーーーーー)

 

 

 

 

「…ジョンさん!!後ろッッ!!」

 

ジェニファーの声で、ジョンは振り向いた。

 

 床に倒れていたシャドウフェイスリングが、起き上がってジョンに飛びかかって来る。

 

 側にピーターがいた為に避けられず、床に押し倒されるジョン。首に異常な程冷たい手が掛けられる。

 

(ーーーなんなんだコイツはッ!!何がコイツにこれだけの殺意を抱かせるんだ!?)

 

 身をもって感じるあまりに強い殺意に、ジョンは完全に怖気付いてしまった。

 一体何が、このフェイスリングを突き動かすのかジョンには分からなかった……

 

 

 

 ただ、ひとつ言っておくと、ソレに理由なんてないのだ。

 

ーーーシャドウフェイスリングは悪意と殺意の申し子。

 

 ただ、他者を殺す為に存在する者であり、その殺意に意味など無い。考えるだけ無駄というものだ。

 

 

 

 

 首を絞められて、ジョンの顔が歪む。

 

(マズいーーーーーーーー息が……)

 

…そのまま意識が飛びそうになるが、そうなる前に横やりが入る。

 

「ーーーージョンさんから手を離しなさーーーーいッ!!!」

 

 ジェニファーが何処から取り出したのかスリッパを手に、シャドウフェイスリングの後頭部を思いっきり叩いたのだ。

 

 

スパーーーーンッ!

 

 

と、小気味良い音がしてシャドウフェイスリングの手が緩む。その隙にジョンは握り拳で、馬乗りになっているシャドウフェイスリングの股ーーーーー即ち、()()()()を殴りつけた。

 

「ーーーーーーーーッッッッ!?!?!?!?!?」

 

 流石にこれは効いたのか、シャドウフェイスリングがジョンから手を離して悶絶する。ーーーーーなんなら、殴った側のジョンも痛そうにしていた。

 

「あら、痛そう。」

 

ジェニファーが小さく呟いた。

 

「ーーーーーージェニファーさん!!今の内に逃げるぞッ!!」

 

ーーーーーーーともかく、これで隙が出来たので、ジョンはピーターを抱き起こすと、その場からジェニファーと一緒に逃げだした。

 

 

 ただ、思いの外シャドウフェイスリングの復帰は早かった。

 

 

 バネ仕掛けの人形の様に、シャドウフェイスリングが飛び起きると、こちらに走って迫ってくる……心なしか、さっきより殺意が倍近く高まっている気がするが。

 

 こうなったら、もう逃げるしか無い…ピーターは手負いなのだ。戦っても勝つビジョンは見えない。とにかく、追いつかれない様に逃げ続けるだけだ。

 

 こうして、レベル33で殺人鬼(シャドウフェイスリング)との命がけの鬼ごっこが始まったーーーーーーーー

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

…どれぐらい走っただろうか?気がつくと、3人は大きな工具売り場らしき場所に辿り着いていた。

 

……辺りは少し古びた内装に変わっている。品物の無い空き棚には錆が目立ち、壁には所々腐食している所があった。更に、天井の照明も所々消えているせいで薄暗い。

 

 そんな比較的広い工具売り場で、ジョン達は身を潜める事にした。

 

…何か使えるものがあるかな…と思いながら、辺りを見渡すジョン。しかし、使えそうな物は鉄パイプが1本有るのみであった。

 

「…武器が無いよりかはマシか。」

 

そう言って、鉄パイプを手に取るジョン。

 

 重傷を負ったピーターを抱えた状態で追いかけられながらも、此処までなんとか逃げれているのは、ひとえに最初にあった時に食らわせた金的がまだ効いていたからだろう。だがその痛みも、もう流石に無くなった筈だ。

 

 

ギャリギャリギャリギャリ…………

 

 

…とその時、床に金属が擦り付けられる様な音が近づいて来るのにジョン達は気が付いた。

 隠れていた空き棚の裏から、少し顔を出して様子を伺うジョン。

 

…シャドウフェイスリングが、大きなバールを床に引き摺るようにして工具売り場を彷徨いていた。…この音はバールが床のタイルを削っていく音らしい。

…シャドウフェイスリングの動きを見るに、如何やらジョン達が此処に逃げ込んだ事には勘付いて居ても、何処にいるのかは分からないらしい。

 

「ジェニファーさん…アイツ俺たちに気づいて無いぞ。ーーー今がチャンスだな。」

 

 ジョンは売り場を彷徨くシャドウフェイスリングに聞かれない様に小さな声で囁いた。

 

ジェニファーが無言でうなずく。

 

……今、シャドウフェイスリングは自分達が隠れている棚から約60メートル程離れた位置で、頻りに辺りを見渡しながら、歩き回っている。

 

ーーー間違いなく、自分達を探しているのだろう…これ以上、近づかれる前に逃げるのが吉だ。

 

「………行くぞ。」

「ええ…。」

 

 ジョンはピーターを背負い直すと、ジェニファーと一緒にその場から出来るだけ音を立てない様に動き出した。

 

……シャドウフェイスリングは気付いていない。

 

 そのまま、3人はなんとかその場を後にする事に成功したのだったーーーーーーーー。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

ーーーーーーーー工具売り場から足早に離れた3人は、シャッターが半分閉まりかけた売店の1つに隠れて休む事にした。

 

……工具売り場からはだいぶと離れた場所なので、もう休んでも大丈夫だろう。

 

「……此処で隠れた方が良いな。シャッターのおかげで身を隠しやすい。」

「ーーーーそうね…。」

 

なんとか落ち着けたが、2人の顔色は暗いままだ。

 

…何故なら、ピーターが重傷を負っているからである。

 

 ジョンに背負われている間、ピーターはただ、荒い息をするのみで、一言も話をしていない。

 

「ピーターさん…大丈夫?猫ちゃんみたいに…死なないわよね…?」

 

ジェニファーが、壁にもたれかかるピーターに心配そうに寄り添った。

 

「ーーーーーーーアーモンドウォーターで、出来る限りのことはした…傷口から血が流れるのは止まったが、止血するまでに失った血の量が多すぎたんだ……輸血が出来れば一番良いんだが…。」

 

 そうジョンは苦々しく呟く。…彼は自分の経験を元に、アーモンドウォーターで治療を試みていたのだ。結果として、ピーターがこれ以上血を失うことは無くなったが、失った血はアーモンドウォーターでは戻ってこない……。

 

早急になんとかする必要があった。

 

ーーーーーーが、如何したら良いのか…2人には分からなかった。此処はバックルームなのだ…病院がすぐ見つかるわけでは無い。

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

「……ところで、ジェニファーさん。ーーーそもそも何であんなヤツに絡まれたんですか?」

 

 ジョンの疑問に、ジェニファーは困った様な顔をして首を振った。

 

「…分からないの…あの真っ黒なヤツは、いきなり私の後ろにやって来て…包丁で私を殺そうと…。」

 

「ーーーーーーそして、猫ちゃんが私を庇って刺されたのよ。ーーーソレから先は、ジョンさんの知っての通りだわ。」

 

ジェニファーの顔色は暗い。

 

ジョンもあの不思議な丸っこい猫を思い出していた。ーーーそれとピーターが言っていた事も。

 

「……ピーターはあの猫は凄い…みたいなこと言ってたけど…実際どうなんだろう?」

 

……そうジョンが言った時だった。

 

 

 

『…()()()()。』

 

 

 

 ()()()()()が、念のため降ろしておいたシャッターの向こうから聞こえたのだ。

 

ジェニファーが顔を上げる。その顔には困惑の表情が浮かんでいた。

 

「ーーーーーーーーえ…?猫ちゃん!?」

 

 ジェニファーがシャッターに駆け寄って、閉めていたソレを開ける。

 

 すると、開いたシャッターの隙間から、スルリとあの不思議な丸っこい体が転がり込んで来た。

 

 

「ニャーーーーーッ!!」

 

 

 そう、鳴き声の正体は五体満足な〈丸っこい者(ブロブキャット)〉だったのである。

 

「ーーーーーええええ!?猫ちゃん生きてるナンデェ!?」

 

 死んだと思い込んでいたジェニファーが、驚きの声を上げてブロブキャットを抱き上げた。

 

「ニァ〜オ。」

 

「ーーーーーちょ、ちょっと猫ちゃん!大丈夫なの?刺されたんじゃ……!?」

 

 ゴロゴロと喉を鳴らす〈丸っこい者(ブロブキャット)〉。ジェニファーは刺された跡を探して猫の身体中を隈なく探っていた。

 

ーーーが、刺された跡など何処にもなかった。何事もなかった様に綺麗さっぱり無くなっていたのである。

 

「うっそ……血まで出てたのに……。ーーー傷が見当たらない…一体何が起こったの?私、てっきり死んじゃったとーーーーーー」

 

 ジェニファーがそう言った瞬間、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

『…勝手ニ殺サナイデ欲シイナ。』

 

「「ーーーーーーーー誰!?」」

 

 驚く2人。最初は誰かが話しかけて来たのかと思ったが、直ぐにそうでは無いと2人は思った……耳では無い、直接脳内に語りかけて来るこの感じはーーーーーーーー

 

「テ、テレパシー?!」

 

『ソノ通リ、2人ノ頭ニ直接話ヲシテイル。コノ方ガ、言葉ノ壁ニ邪魔サレナイカラネ。』

 

 頭に声が響く…声というよりかは、頭に言葉の意味が直接伝わって来る感じだろうか?ソレは不思議な体験だった。

 

そして、このテレパシーの主はーーーーーー

 

「……これって、まさか猫ちゃんなの?私達に話しかけているのは!?」

 

『ソウダヨーーーーーー私ダ。』

 

ーーーーーーーーまさかの〈丸っこい者(ブロブキャット)〉本人…本猫(?)だった。

 

「え、こんなこと出来たの?知らなかったわよ!?」

 

『…シテ無カッタカラネ。』

 

「嘘ぉ……。」

「…マジか。テレパシー機能搭載ネコかよ…。」

 

2人は呆気にとられた。

 

 実はLevel6からLevel8へと向かう時に、一度だけテレパシーを使ったのだが、その時聞いていたのはピーターだけで、しかも直ぐにLevel8へと転移してしまったので今まで誰も知らなかったのだ。

 

 

「………しかし、テレパシーが出来るのは分かったけどさ…何でこのタイミングなんだ?」

 

『……マズ、無事ヲ伝エニ来タノト、コレ以上先ニ君達ガ進ムノヲ止メサセル為ダ。』

 

「ーーーーーーどういう事なの?先に進んじゃダメだって…そりゃ、私達だって最初の場所に戻りたいけど…あの黒いヤツから逃げてる内に道がわかんなくなって……。」

 

『コレ以上先ハ危険ダ。コノLevelハ、奥ヘ行ケバ行ク程危険ガ増ス。』

…それは知らなかった。ーーー確かに、奥に行けば行くほど店の中が散らかって、薄暗くなっていくのを2人は何となく感じ取っていたが……

 

「…そうだったのか?ーーーてか、何でそんな事知ってんだ?」

 

『ソレハ私ガ、〈丸っこい者(ブロブキャット)〉ダカラダ。』

 

「……ソレは理由になってるのか??」

 

ーーージョンの疑問も尤もだが、〈丸っこい者(ブロブキャット)〉は単独、または集団で旅行する習性がある事を彼は知らない……つまり、〈丸っこい者(ブロブキャット)〉は複数のレベル間を移動する事も勿論あるわけだ。…長く生きている個体であればある程、バックルームの様々な場所を知っている。………この〈丸っこい者(ブロブキャット)〉の様に。

 

「……ともかく、これ以上奥にいっちゃダメなのね。分かったわ。教えてくれてありがとう猫ちゃん。ーーーでも、生きてるなら、もうちょっと早く教えて欲しかったなぁ。」

 

『刺レタ後、吹キ飛バサレタ時ニ頭ヲ打ッタンダ。ソノ所為デ暫ク気絶スル羽目ニナッタ。』

 

 そう言って、〈丸っこい者(ブロブキャット)〉は体を伸ばした。丸い体が餅みたいに横に伸びる。

 

 溶けたチーズみたいに良く伸びる体だな…と思いながら、ジョンは〈丸っこい者(ブロブキャット)〉を見つめていたが、再び閉めたシャッターの向こうから、微かにあのシャドウフェイスリングが重たいバールを引きずって歩く様なガラガラという音がしてきた事に気付いて、サッと表情が変わった。

 

(…!あの黒い奴が歩いてる時の音だ…まさか、もうこんな場所まで…?)

 

 警戒するジョンだか、やがてその警戒心は薄れていった。

 何故なら、このガラガラ音はバールが床を擦る音では無かったからである。

 

 ソレに気付いた時、ジョンは嬉しくも感じたが、困惑も感じた。

 

(……まさか!…いや、でもーーーーーー此処は店の中なんだぞ?そんな場所に…()()のか?)

 

ーーーーーーずっと前に聞いたことがある、懐かしさすら感じるこの音は………

 

 

「……あら?何かしら?なんだかまるで電車が走ってるみたいな音ね?」

 

 ジョンが思っていた事口にするより先に、ジェニファーがそう言った。

 

…そう、このガタンガタンと響く音はまるであの電車が走る様な音で………

 

『…オヤ?良イモノガ来タミタイダナ。』

 

そう、〈丸っこい者(ブロブキャット)〉が言った時だった。

 

 

 

ーーーーーージョン達が隠れている店舗の前に、陰鬱とした薄暗い店の壁を突き破る様にして、()()()()()()()()()が滑り込んで来たーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「…嘘ッ!?本当に電車が来たッ!?」

 

 ジェニファーが目の前に現れた電車を見て、驚愕の表情を浮かべる。

 

 ジョンはその電車を見つめて、呆然としていた……何もかものタイミングが最高すぎる。

 

「………すげぇ……コレは奇跡が起きたぞ。」

 

思わず、そうジョンは呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

   to be continue

 

 

 





ストーカー野郎はシャドウフェイスリングでした。

ソレと、ブロブキャットに関する情報は全て、バックルームWiki(Wikidot)の物です。

後、今回も区切りどころがなかなか見つからず、変な区切り方になってしまいました……どっかで区切らないといけないと思いながら、中々区切りがつけにくいんですよね。巧く話を切り上げてる人尊敬です。

最後に、遂に電車がやってきましたね…ちょっと前に車掌さんはレベル33に移動中って伏線(?)を書いておいたので今回の展開は超(無理矢理)展開じゃないはず……シランケド。

次回、みんな揃います…そしてーーーーーー…って感じです。

ではまた〜

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