The Back Rooms Story 〜Fanmade〜   作:犬社長

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前回言った通り、今回はレベル11の戦いの最中の描写不足分補完回です。

コレでも、全て補完された訳じゃ無いと思いますが……




37話〈解き放たれた街〜あの時、あの人は〜〉

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

…この話は、Level11の戦いが決着するより、少し前の話である。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

[ジョン・ピーター・ジェニファー視点]

 

 

 

「「「うわああああああああああああああッッッッッッ!?こっち来んなぁぁぁぁぁぁ!!!」」」

 

 

 

……Level11の中を叫びながら逃げているのは、ジョン達3人組である。

 

 彼等は今、光る目を持つ灰色の蛇の様な怪物に、追いかけられていた。

 

 

ーーーーーー覚えている人は居るだろうか?……この怪物は、〈Level 8〉の洞窟で、ピーターとジェニファーに襲い掛かった巨大蜘蛛を、最後に捕まえて去って行った()()灰色の蛇と同一のエンティティである。(26話参照)

 

…Level11と他のレベルが繋がった時に、レベル8から、コッチに迷い込んできたのだ。

 

 

 前回レベル8に現れた時は、結果的にピーター達2人を助ける形になった訳だが、残念ながら今回は、そんな事にはならなかった。

 

「ーーーーーアイツまだ追ってくるぞ!!まるで地面を泳いでるみたいだッ!!」

 

後ろを振り向いたジョンが叫ぶ。

 

 その巨大な蛇ーーーーーー改め、〈掘り進む者(ラングラー)〉はその長い身体をドリルの様に回転させながら、地面を掘り進んでジョン達3人に近づいていく。

 

「ーーーーーやべぇ…!追いつかれる!?」

 

ーーーーーーーーみるみる内に距離が縮まり、3人の一番後ろを走るジェニファーに追い付きそうになる。

 

「…嘘ーーーーーー私これじゃ食べられちゃう!?」

 

 ジェニファーが直ぐ後ろまで迫りきた〈掘り進む者《ラングラー》〉を見て、悲痛な叫びを漏らした瞬間だった。

 

 

 

キィーーーーーーーン…

 

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()が、頭上から聞こえたかと思うと、3人に迫りきていた〈掘り進む者(ラングラー)〉の長い身体に無数の弾丸が降り注いだ。

 

 

ーーーーーーーーガガガガガガガガガガゥンッ!!!

 

 

「ーーーーーへッ!?」

 

 

 驚く3人の上を戦闘機が一機、通過していく。

 

「おい…あれF-16だぞ。ーーーーーーーバックルームにアメリカ軍が来てるってのか!?」

 

 ピーターが、過ぎ去っていく戦闘機を指差して呟いた。

 

「分からん……一体このレベルで何が始まっているんだよ……!?」

 

 ジョン達は、現実世界でよもや、Level11を手に入れようとして居る者達が居る事なんて全く知らないし、今何が此処で起きているかも殆ど理解していない。

 

…そう言う点では、戦いに巻き込まれた〈顔無き者(フェイスリング)〉達と、同じ境遇なのだ。

 

「……で、でも私助かったのね…?」

 

 ジェニファーが、地面に横たわる〈掘り進む者(ラングラー)〉の死体を見て、そう呟く。

 

… 〈掘り進む者(ラングラー)〉の身体は、F-16の固定武装…M61A1バルカン砲から放たれた20mm弾によって、ちょっとした蛇肉のミンチみたいになっていた。…中々にグロい状態である。

 

 

… 兎に角、〈掘り進む者(ラングラー)〉との逃走劇が、終わった事により、3人の間に周りを見渡す余裕がやっと生まれた。

 

 

 

「ーーーーーなんて事だ……あちこちで戦いが起きてんじゃねぇか…。」

 

 

 3人の眼前には、エンティティと闘う軍隊(B.R.C.U)の姿が、彼方此方で見受けられていた。

 

……3人には状況が分からない。ーーーーーーーーー故に取り敢えず、戦いに巻き込まれない様、近くのビルの中に避難する事にした。

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

「ーーーーー一体何が起きてるんだ?空が割れたと思ったらバックルームにいつの間にか軍隊が居て、そいつ等が怪物と戦ってる…。一体何をしに来たんだよ…アレは。」

 

 ピーターがビルの一角で、そう呟く。…元々此処に居た〈顔無き者(フェイスリング)〉達は皆、何処かに避難したのだろう…このビル内には、誰も居なかった。

 

…そんな誰も居ないビルの中を、外からひっきりなしに聞こえる戦闘音が反響して響く。

 

『ーーーーーーマズ…間違イナク明確ナ意思ヲ持ッテ、アノ軍隊ハ来タノダロウ。』

 

 ピーターの呟きに応える様にして、〈丸っこい者(ブロブキャット)〉のテレパシーが、3人の脳内に響いた。

 

「…猫も、そう思うか。…俺、最初軍隊がこの世界にたまたま迷い込んじまったのかと思ったのよ…一個大隊ぐらいの規模が一度に迷い込むとか、そんな訳ねぇけどな……やっぱ、このレベルに用があって来たんだ…あの軍隊は。」

 

「…でも、一体ココに何の用だよ?こんな、めちゃくちゃなマネをしてまで、一体……。」

 

「……用…か。」

 

 ピーターはビルの窓から、空を見上げた。……空の裂け目の向こうには、他のレベルの景色が相変わらず浮かんでいるーーーーーーーーしかし、少しずつ、その裂け目が閉じていく様に3人には感じられた。

 

 

「ーーーーージョン。俺たちがバックルームを開いたのは…何の為だったっけ…?」

 

 そんなピーターの謎掛けみたいな呟きに、答えるジョン。

 

「…人間の居住地を異世界に見つける為だ。」

 

「…そうだな。でもよ、ジョン。考えてみてくれ…あのレベル0に人が住めると思うか?…あんな孤独と不安で、息が詰まりそうな世界に。」

 

ジョンは首を振った。

 

「無理だな…1日滞在しただけで気が狂う。」

 

…横でジェニファーも、頷いていた。

 

「ーーーーーだろ?だから俺思ったんだよ…もしも、現実世界の奴らが、レベル0より住みやすい場所を見つけたら?ーーーーーーーレベル11みたいな住みやすそうな大都会を、もし現実世界側の連中が見つけたら?」

 

 それを聞いたジェニファーが、ボソリと呟いた。

 

「…それは……欲しいでしょうね…。」

 

ピーターは頷いた。

 

「…な?俺が思うに、あの軍隊はこのレベルを手中に収めるために来たんだ。…ちょっと強引な手段でも使ってな…それがあの空の裂け目であって、そしてあの軍隊は、この街を手に入れるつもりなんだよ。」

 

 

 

…ピーターのこの考察は、完全に当たっていた。

 

 彼が知らないこととすれば、この街が存在すると言うこと自体は、もうずっと前から分かっていた事…ぐらいである。

 

 彼はこのレベルで起きている事を、ほぼ完璧に理解したのだ。

 

ジョンが首を振って呟く。

 

「し、しかしそんな事…完全な侵略行為だ…現実世界がバックルーム側に戦争を仕掛けた様なもんだぞ…?」

 

「…最初からその気なんだよ…だからこその、この軍隊だ。」

 

「…………。」

 

 

 

ーーーーーービルが微かに振動する。…何処かで大きい爆発が起きたのだろう。

 

「…どうなるんだこの戦いは…。」

 

小さくジョンは呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーそして、時は車掌と司令官の話し合いが、決裂した所まで進む事となる。

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

[ニードルス・カトリ視点]

 

 

 

 怒り狂う〈顔無き者(フェイスリング)〉と〈B.R.C.U〉との戦いの最中で、負傷したニードルス・バックヤードはカトリの手で、戦いに巻き込まれない様、離れた場所まで引き摺られて運ばれていた。

 

 

 ニードルスを引き摺るようにして歩くカトリの後ろでは、引っ切りなしに銃声と、怒号が響いている。

 

 

 

「ーーーーーーーーごめん。」

 

 

カトリが小さく呟いた。

 

「ーーーーーーーーーー何が…?」

 

「……アタシが勝手に飛び出したから……アンタが撃たれた。」

 

カトリの後ろで、ニードルスが小さく笑う。

 

「…娘を守るのは…親の役目じゃないですか…。」

 

「…本当の娘じゃない……コレは…タダの()()()()()なのに…。」

 

そう呟くカトリ。

 

…ニードルスは、黙っている。

 

ーーーそんな彼を背負ったまま、喋り続けるカトリ。

 

「ーーーーーアタシが最初に言い出した事なんだ……巻き込まれたアンタが、このごっこ遊びに命をかける事なんて……。」

 

話の途中でニードルスが、口を挟んだ。

 

「カトリ……私はこの家族が好きですよ…。ジョナサンが居なくとも…私達は家族なんです…私はカトリのパパで、ジョナサンにとっての()()()()()…そんな役割(role play)が…嫌いでは無かった。それこそ、命を賭けれるほどにね。」

 

…カトリは誤魔化す様に軽く咳払いをした。

 

「ーーーーーコホン。……それってやっぱ、今でも続いてんの…?」

 

「ーーーーー勿論。…だから私はカトリを庇ったんですよ。アナタは私の娘だ。…親である事…この役割を続けることが、ジョナサンへの最大の手向にもなりませんか?…彼とアナタが作った家族が…この世界で永遠に続く事ーーーーーーーーそれはきっと…彼の生きた証にもなりますから。」

 

 カトリは何も言わなかった。もし、彼女に目があるのなら、その目はきっと泣いているのだろう。…戦いによって、形に残る思い出が無くなった悲しみと、それでも一番身近な所ーーーーーー心の中に、形に残らない…しかし確かな思い出が残っているのだと言う、安堵で……

 

「ーーーーーじゃあ…尚更死ねないね…パパは。」

 

 

 そう呟いたカトリの頭上の青空に、線路のレールが敷かれていく。

 

 

「…ええ、死にませんよパパは。ーーーーーーー知ってますか?親は子供より先に死なない様に…生きるんですよ?」

 

 

…そう言ったニードルスが、空を見上げた。

 

…レールの先が、空に浮かぶ漆黒のモノリスに突き刺さる。

 

 

「ーーーーー生きている限り、私達の思い出は、誰にも侵せませんから。」

 

 

 ニードルス達の見上げる先で、空に浮かぶモノリスが、電車と激突して爆散したーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーそして時は、〈パンドラの壁〉が破壊され、〈B.R.C.U〉と〈反撃する者(カウンターエンティティ)〉が戦闘を開始した所まで飛ぶーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

場所:Level 906 〈シグナスの書庫〉

 

 

 

 

 

「ーーーーー!!壁が壊されましたね…!」

 

 車掌によって、レベル11を閉じ込めていた〈壁〉が破壊された事に、直ぐ上位者達は気付いた。

 

 それまでずっと、椅子に座って居たトム・マクフライは、それを聞いて安堵した。

 

(車掌さん……やったんだね…。)

 

 

ーーーーーと、同時に少し不安にもなるトム。

 

(…でも、一体レベル11で何が起きているんだろう?…俺も行けたら分かるのになぁ……)

 

 トムは、レベル11で何が起こっているか詳しくは知らない。ただ、上位者達の話を聞くに、ーーー何かレベル11で事件が起きて、車掌さんが唯一の頼りであるーーーという事を感じ取って居た。

 

 

 彼の横に座るブランシュが、立ち上がって口を開く。

 

「ーーーーー〈運行者〉によって、世界を隔てる壁は壊されました。…〈管理者(キーマスター)〉、〈審判者(アルゴス)〉、〈決闘者(RED knight)〉…この3名は、直ぐにレベル11に私が送り出します。ーーーーーーそれで良いですか?」

 

呼ばれた3人の上位者は互いに頷く。

 

 

「良いとも。」

「勿論だ!!ーーー早く裁かせろ!!」

「………うむ。」

 

 

「分かりましたーーーーーーーーでは、ご武運を。」

 

 返事を聞いたブランシュが、軽く手をあげた。ーーーーーーーーーーー次の瞬間、トムの目の前から3人の姿が、パッと消えるーーーーーーーーブランシュの手によって、レベル11へと転移されたのだ。

 

「頑張ってね〜。」

 

芸術者(アーティスト)〉の呑気な応援が、転移する3人にかけられた……

 

 

 

ーーーーーーーー三名の上位者が、レベル11に送られると共に、残った上位者達も椅子から立ち上がって動き始めた……とは言っても、ここに残ったのは戦闘力の無い上位者のみなので、彼等がする事と言えば、ただ帰るだけであるが…。

 

「ーーーーーあの3人に加えて、彼方に〈運行者〉も居るのであれば侵入者がどんな奴であれ、如何にでも成るだろうさ。私は私のレベルに帰らせて頂こうかな?」

 

 そう言うのは犬の王様こと、バーソロミューⅢ世。

 

「アタシも帰らなくっちゃ!ーーーギャラリーで、描いてる絵の続きが有るからね!」

 

 茶髪の幼女こと、〈芸術者(アーティスト)〉もそう言ってその場から去って行った。

 

 監視カメラ頭の〈監視者(Aiden)〉も、軽くお辞儀してから立ち去っていく。

 

 後に〈数学者(Mr.フリーマン)〉が続き、彼が消えると書庫に残るのはトムとブランシュ、そしてアンブロシアだけとなった。

 

 

 

「ーーーーー私もレベル11へ行こうかしら?…侵入者退治はあの3人に任せてしまっても良いけれど、レベル11の秩序維持には、私が必要だと思うから。」

 

皆が去った後で、アンブロシアが言う。

 

それを聞いて、ブランシュはちょっと考えてから頷いた。

 

「ーーーーーうん…そうね。ーーー貴方の役割はソレだもの。〈運行者〉や〈管理者(キーマスター)〉はともかく、ほかの2人に秩序維持が出来るとは思えないし…いってらっしゃいな。」

 

「ありがとう。じゃ、行ってくるわ。」

 

ーーーーーーーーそう言って、アンブロシアもレベル11へ転移して行った。

 

 最後に残されたトムが、これからどうしたものか…と考え込んでいると、横からブランシュに話しかけられる。

 

 

「ーーーーーさて、貴方はどうしたい?トム・マクフライさん。」

 

「…えっと…実を言うと、レベル11が気になっては居るのですが…。」

 

 レベル11で、一体何が起きているのか…ソレは、トムとしても少し知りたい事であった。故に、トムもまたレベル11行きを望んだのだ。

 

 ちょっとだけブランシュが、考えごとをするかの様に視線を宙に彷徨わせる。

 

「ーーーーーうーん…貴方にとっては少々危険かも知れないけれどーーーーーーーーーーーまぁ、レベル11とレベル906の間では、相当な時間の隔たりがあるし…コッチで1分もすれば、レベル11の方では1時間は軽く経つから、もう安全になってるかしらね?」

 

そう言って、ブランシュは軽く手を振った。

 

「…じゃ、貴方もいってらっしゃいな。ーーー念の為、アンブロシアの近くに送っておくわ。」

 

トムは頭を下げた。

 

「ーーーーーありがとうございます!」

 

こうしてトムもまた、レベル11に行く事になる。

 

 

 

 

ーーーーーーーーー放浪者4人が出会う瞬間は、もうそこまで来ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

The Time of Reckoning

 

 

 

…to be continue

 

 

 






次回、全員集合ッ!


…まぁ、まず間違いなく、後三話以内には終わるでしょう…(コレで終わらなかったら馬鹿です)ハイ。

……レベル間移動するときに使う電車無くなっちゃいましたケド、果たしてどんな終わり方になるのか………

ほんじゃ、また次回。


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