The Back Rooms Story 〜Fanmade〜   作:犬社長

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トム・マクフライ記録補完その⑤〈電車でGO!バックルームの旅〜低画質の同乗者〜〉

 

 

 

 

ーーーーーーーーこうして、トムは車掌と共にあらゆるレベルを巡る事となった。

 

 

 

目指すは、終点〈The・Metro〉。

 

 

 トムが乗っているのは『普通列車』なので、〈Metro〉に辿り着く為には、実に多くのレベルに停車する必要があるらしい。

 

 

『更に、各(レベル)毎に停車時間も決められていますからね。…長旅になりますよ?』

 

そう車掌さんは丁寧に教えてくれた。

 

『ーーーーもっとも、停車するレベルの中には、物資の補給が出来そうなレベルもちらほら見受けられますから、そういったレベルに停車した際、待ち時間を利用して物資補給をするのも良いでしょう。』

「うん、分かった。車掌さんは手伝えるの?」

『ーーーー勤務中は電車からは離れませんからね。申し訳有りませんが、出来かねます。』

「ふーん。お仕事って大変だね。」

 

 

…そんな会話を交わしている間に、トムを乗せた電車は2個目の〈レベル〉へと滑るように到着したのだったーーーーーーーー

 

 

 

 

 

◇◆◇NEXT LEVEL ◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

Level 117 〈Bus Stop(バス停)

 

 

 

 

 

ーーーー辿り着いた2個目のレベルは、夜の闇に包まれた小さなバス停だった。

 

 周囲は、明かりのない真っ暗な街のようで、バス停の前には永遠に続いているかの様な真っ直ぐな道が続いている。

 

………明かりが灯っているのは、バス停のみだ。

 

 そして、電車はバス停の真ん前に横向きになって停まっている。

 

 

「車掌さん…。」

『なんですか?トムさん?』

 

トムは電車から外を見渡して呟いた。

 

「………電車なのに、バス停に停まって良いの?」

『さぁ……?その質問は私の理解の範疇を超えていますので。』

 

淡々と答える車掌。

 

 もう一度バス停へと視線を向けたトムは、バス停の中に誰かが座り込んでいる事に気が付いた。

 

「…??なんか、誰か居る??」

 

『ソレ』は、少し欠けたプラスチック製の椅子に腰掛け、此方を興味深そうに見ている。

 

ーーーー最初は、人かと思った。しかし、よく見ると、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の様になっており、極めつけには()()()()()()()()だったのだ!

 

「うわぁ?!ーーーーカクカクの顔無しお化けぇ?!?!」

 

トムは素早く車掌の後ろに隠れる。

 

 一方で()()()()()()()()()()は、普通に電車に乗り込んできた。

 そしてトム達と同じ先頭車両にやって来た『彼』は、車掌を見るなり、スタスタと近付いてくる。

 

…近くで見ると、より()()()()()が際立って見えた。普通の生き物が、こうも解像度の悪い画像のようになるのだろうか??

 

「gibcclwqsv@Moo!」

 

〈カクカクのっぺらぼう〉が、車掌に向かってなにか話しかける。(話す口なんて無いのに。)

 

『おやおや。〈()()()()()()()()()()()〉とは、珍客を拾いましたね。こんにちは。』

 

 車掌は恐れもせずに、〈ポリゴンフェイスリング〉と呼ばれた〈のっぺらぼう〉にお辞儀をした。

 すると、〈ポリゴンフェイスリング〉もお辞儀を返してくる。

 

……どうやら、悪い人では無いようだ。

 

「え、えーっと…?」

 

 困惑するトムに、車掌は〈ポリゴンフェイスリング〉の方を手で指し示す。

 

『この方は、〈顔無き者(フェイスリング)〉の一種である〈ポリゴンフェイスリング〉です。…不運にもーーーー或いは不注意にも、〈ノークリップ〉してしまった〈顔無き者(フェイスリング)〉達の一部が、体を構成する要素を『落として』しまう事で、この姿になるのですよ。』

 

トムは頭に大量の疑問符を浮かべた。

 

「ノークリップ?フェイスリング??…車掌さんが何言ってるか分かんないよ?」

 

『ふむ…そうですね。ーーーーでは、ノークリップから説明いたしましょう。』

 

そう言って、車掌は〈ノークリップ〉についてトムに教えてくれた。

 

 曰く、ゲームにおける『壁抜け』の概念に近いらしい。

 

 

「ーーーーつまり〈ノークリップ〉とは、時空間の連続性を無視して、異なる場所へ移動する行為の総称です。…私達は《外れ落ちる》や《落ちる》とも言いますがね。」

「瞬間移動って事なんだね。…なるほど。」 

 

漠然と理解して頷くトム。

 

 続いて、車掌はポリゴンフェイスリングの方を手で指し示し続けながら、フェイスリングについての説明を始める。

 

「ーーーーそして、〈顔無き者(フェイスリング)〉についてですが、顔のパーツを欠いている事以外はトムさん達と何ら変わりません。〈住まう者(エンティティ)〉ではありますが、危険はありませんよ。……少なくとも、この方に関しては。」

「…そ、そうなんだ……。」

 

 車掌はそう言ってくれたが、いかんせん『のっぺらぼう』に慣れるまでには、相当時間が掛かりそうだ…とトムは思った。

 

 こうして説明を終えた車掌は、ポリゴンフェイスリングの方へ顔を向ける。

 

『ーーーーーーーしかし、ポリゴンフェイスリング。…貴方は何故こんなレベルに?』

「A〜〜、gkm〈Level11〉dxyytqrs//g。bat,pram€『9』mj!」

『……ふむ。なるほど。』

「……なんて言ってるの?車掌さん。」

 

 彼の話す言葉の意味が分からないトムに、車掌は彼の話を通訳してくれた。

 

『ーーーーーーー〈レベル11〉で転けて、運悪く〈ノークリップ〉してしまったようです。既に9ヶ月間ものあいだ、ランダムなレベルを彷徨っているのだとか。』

「…僕と同じで迷子になっちゃった、ってコト??」

『その様ですね。』

「…そうなんだ……。それは…大変だね。」

 

 トムは、ちょっと彼の事を気の毒に思った。……心なしか、彼の背中からは哀愁が漂っている気がする。

 

「qrkjvm€、¶≯yl∩……。」

 

 しょげかえったまま、言葉を紡いでいくポリゴンフェイスリング。

 

『体がポリゴン化してしまったのは、元のレベルへ帰ろうと、ムリなノークリップを続けた所為…だそうです。』

 

車掌がそう翻訳してくれる。

 

「そっか…。僕も、ぽりごん?ふぇいすりんぐさんと同じで、お家からココに迷い込んじゃったんだ。…でも、大丈夫だよ?だって、車掌さんが居るんだから。絶対お家に帰れるよ!僕はそう信じる事にしたんだ!」

 

 余りにもポリゴンフェイスリングがしょんぼりしているので、トムは思わず慰めの言葉を掛けていた。

 

『…あまり期待されても困りますがね。』

 

 そう車掌は苦笑交じりに言っていたが、ポリゴンフェイスリングは少し元気を取り戻したようだ。

ーーーー言葉は通じなくとも、トムの〈心〉は伝わったのだろう。

 

 

『ーーーーさて、では出発いたしましょうか。このレベルは、長居する程の場所ではありませんから。』

 

 

 そう車掌が締め括って、このレベルの旅は終わりとなった。

 

銀色の電車はバス停を離れ、次のレベルへと向かう。

 

『me.『porgon』≯pp,aolζrlefm。』

 

 電車がレベル117から離れる直前、ふとポリゴンフェイスリングがトムに話しかけて来た。

 

「??」

 

首を傾げるトム。

 

『ーーーーーーーポリゴンフェイスリングだと長いので、『ポリゴン』だけで結構です、と言っている様ですよ。』

 

車掌が素早く翻訳する。

 

「そっか。じゃあ、宜しくね!ポリゴンさん!」

 

そう言って、トムは彼に右手を差し出した。

 

「yrsk。」

 

 軽くお辞儀をしてから、トムに握手を返す〈ポリゴンフェイスリング〉改め、『ポリゴン』。

 

 

ーーーーその手のひらは、やはりカクカクしていた。

 

 

 

 

 

 

◇◆◇NEXT LEVEL ◇◆◇

 

 

 

 

 

 

Level 9 〈The Darkened Suburbs(暗闇の郊外)

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー冷たい横殴りの雨が降っている。

 

 

 トムとポリゴンを乗せた電車は、そんな雨降りしきる中を走っていた。

 

 両側の窓からは、暗い雨の夜の闇の中に佇む、何件かの民家が見える。

 

なんというか、町外れの住宅街のようだった。

 

「町だ……。家がいっぱいある。」

 

 窓の外を見ながらトムは小さく呟く。………一瞬、屋根の上に長い手足をもった『何か』が見えた気がしたが、きっと気の所為だろう。

 

『Level 9です。……非常に危険なレベルとなりますので、遠くまでは行かない事をお勧めします。』

 

運転席から、車掌が2人に忠告する。

 

ーーーーそして、銀色の電車は、レベル9の濡れた道路の上にある駅らしき場所に、滑るように止まったのだった。

 

『両側のドアが開きます。ご注意下さい。』

 

 車掌のアナウンスと共に、電車の両側のドアが開き、車両の中まで冷たい雨混じりの風が入ってくる。

 

「うわ……雨が中にまで…!」

「¶sxxokvveψ…!」

 

 トムは雨に当たらないよう、ドアから離れた椅子に座り込むことにした。

 ポリゴンも、同じ様に吹き込む雨を避けてトムの隣に座る。

 

『このレベルでの停車時間は1時間です。発車まで、しばらくお待ち下さい。』

 

ノイズ混じりのアナウンスが、車内に響く。

 そして車掌が運転席から出て来て、トム達の隣に立った。

 

『このレベルは常に暗く、〈笑う者(スマイラー)〉を始めとした敵対的なエンティティが数多く生息しています。…なので、電車からはなるべく出ない方がーーーーーーーー』

 

ーーーーふと、車掌が口を閉ざした。

そして、電車の前方を静かに睨みつける。

 

…釣られて見ると、多くの方から何か光を放つモノがコチラに近づいて来ているのが、トムにも見えた。しかも、1つでは無い。

 

『………〈見回り〉ですか。』

「??どういう事?…あの光は何??」

 

困惑するトムに、車掌は光を見つめながら答えた。

 

『……トムさん()、後ろの車両に身を隠した方が良いですね。』

 

車掌がトムに、手で後ろを指差しながら口を開く。

 

「どうして?あの光は危ないヤツなの??」

『アレは〈郊外の監視者(ネイバーフットウォッチャー)〉です。……レベル9の闇の中を動き、放浪者を見つけては殺害するエンティティ。ーーーー見つかると厄介ですよ。早く。』

 

それを聞いたトムは、素早く頷く。

 

「分かった。…電車の後ろに隠れよう!ポリゴンさん!ーーーーって、あれ?居ない!?」

 

 そう言って、トムは横に居るはずのポリゴンに話し掛けたが、其処にポリゴンは居なかった。

 

『ーーーーあぁ、彼なら既に一番後ろの車両に避難していますよ。』

「逃げ足はやッ?!?!」

 

 口をあんぐりと開けるトム。……彼が9ヶ月間もの間、この世界で生き残れた理由を知った気がする。

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

ーーーー兎に角、トムは車掌の言いつけに従って、後ろの車両へ身を隠した。

 

 車掌が〈郊外の監視者(ネイバーフットウォッチャー)〉と呼んだエンティティは、電車の横を通り過ぎているらしい。

 

ーーーーバシャ、バシャ、と足音が聞こえる。

 

 後部車両の椅子の下にしゃがみこんで隠れたトムが、好奇心に勝てずにチラリと上を覗き見てみると、窓の外に巨大な目玉が蠢いているのが見えた。

 

 目の下部から垂れ下がる神経や血管の束を足のようにして、水溜りに覆われた道路の上を歩いている。

 

 

「ひっ…!」

 

 

思わず声が漏れた。

 

『………………???』

 

 ぬるっ、と目玉が動いて、トムが隠れる車両の中を見つめる。

 

(やばい……!気付かれた……!?)

 

 トムは息を殺して、床に這いつくばるように体を隠した。

 

 自分と〈郊外の監視者(ネイバーフットウォッチャー)〉を隔てているのは、電車の壁一枚のみ。しかも、ドアは開いている。

……その気になれば、中に入ってこれるのだ。

 

『………………』

 

 〈郊外の監視者(ネイバーフットウォッチャー)〉が、ゆっくりと窓ガラスに目を近づけた。

 トムが這いつくばって居る直ぐ真上で、雨に濡れた大きな目玉が、車両の中を舐めるように見渡す。

 

 

 そのまま、3秒、5秒、10秒と時が経ち、〈郊外の監視者(ネイバーフットウォッチャー)〉は緩慢な動きで窓ガラスから離れていった。…電車の中まで見ようとはしなかったらしい。

 

ーーーーーーバシャバシャと、水溜りを踏む音が遠ざかって行く。

 

 

 

……脅威は去ったようだ。

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

ーーーーーーーーその後、無事最後尾の車両で〈郊外の監視者(ネイバーフットウォッチャー)〉から隠れきったポリゴンと合流し、電車が出発するまでの間、駅の直ぐ側の家の中に隠れる事にした。

 

車掌曰く、『家の中は絶対に安全。』との事。

 

 一応、ポリゴンが目指すレベル11への入口はココにも有るらしいのだが、危険が多すぎるという事でポリゴンの下車は見送られた。

 

 そして、そこから先は特筆すべきことも無く、無事トムとポリゴンは停車時間を乗り切り、再び動き出した電車に乗ってこのレベルを後にすることが出来たのだった…………

 

 

 

 

 

 






コレは更に続きそうですね……。

なるべく多くのレベルを登場させたくて、ウィキ見ながら書いてるんですけど、見てるだけで時間が立ってしまう……

ま、気長に待ってて下さい()
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