The Back Rooms Story 〜Fanmade〜 作:犬社長
お待たせしました。パート6です。
…おかしいな…パート1で『3話位で終わる』『そんなに長くない』って言った筈なのに、2倍の話数費やしてるし、なんならまだ終わって無いっていう(絶望)
あと今回の話は一万文字超えました(長くないとは?)
こんな感じでグダグダですが、どうぞ↓
Level 183 〈
ーーーーーーーー続いてトム達が辿り着いた地は、極寒の中に閉ざされた山間の村だった。
トムの体が埋まってしまうほど分厚い積雪と、半端ではない吹雪で前が見えない。
「さ、寒ぃぃぃぃぃ!!」
「ψψψψψψψψ!!」
二人して凍え上がる、トムとポリゴン。
『停車時間は25分です。…車内保温の為、ドアが閉まります。ご注意下さい。』
車掌さんが機転を効かせてくれたのか、開いた電車のドアは直ぐに閉まった。
『ココに居るのは、エンティティの〈
そんな車掌の言葉通り、このレベルはただただ降りしきる雪の中に閉じ込められた寒村を、電車の窓越しに見るだけで終わった。
「あの村、住んでる人は誰も居ないの…?」
『ええ。誰も。』
ーーーー電車がこのレベルを去る際など時、トムはそう車掌に訊ねてみた。……彼の目には、雪に閉ざされた誰も居ない村が、とても寂しく見えていたのだ。
「なんだか……。さみしいね。…あの村に住んでいた人は居たの?居たのなら、何処へ行ったの??」
車掌は曖昧に頭を振る。
『さぁ…。どうでしょうか。ーーーーーーーー少なくとも、
「…………そう、なんだ。」
ーーーー凍りついた村の中を、銀の電車は疾走する。
積もる雪など意に介さず、何も無いかのように。
やがて、山に開いた大きなトンネルの中に電車は入り、凍てついた寒村は見えなくなっていったーーーーーーーー
Level 245〈
トムとポリゴンを乗せた電車が辿り着いた4個目のレベルは、煮え滾る溶岩と真っ赤な岩塊が至る所に転がる、地獄の様な洞窟の中だった。
「うっわ…。今度は暑いよ車掌さん……。」
「≯ζ…@eeeeee〜〜〜………。」
ドアが開くなり、溶けたマグマの熱気がムワッと車内に押し寄せてきて、トムとポリゴンは顔を顰める。(のっぺらぼうなのに、顔を顰められるとはコレ如何に。)
『此処はそういうレベルですからね。…不快でしょうが、仕方がありません。』
一方、車掌は涼しい顔をしていた。…さっきのレベルでもそうだったが、彼は暑さや寒さを感じないのだろうか??
「車掌さん。……このレベルは、やっぱり危ないの?」
電車が停まっている直ぐ側を流れるマグマの川を見ながら、トムは車掌に問いかけた。
『そうですね。主に〈
スマイラー以外トムには分からなかったが、取り敢えずココは危険な場所であるらしい。……見た目的にも当然だろう。
「そ、それにしても…暑い……。さっきの所はすっごく寒かったのに……。差が激しすぎるよぉ………。」
車掌が提供してくれたアーモンドウォーターを飲みながら、トム達は何とか停車時間をやり過ごした。
ーーーー車掌曰く、次のレベルも危険極まりないレベルらしい。
だが、取り敢えずトムにとってはこの灼熱地獄から出れるのなら、ソレだけで良かった。
Level 301 〈
辿り着いた次のレベルは、無限に続くように見える灰緑色の草原と、何故かは知らないが、常に轟々と燃えている木が生えた丘で構成されたレベルだった。
空気は常に焦臭く、空は煙で暗く閉ざされ、息を大きく吸うことも憚れる様な嫌な匂いがする。
草原は塵と灰に塗れ、黄土色のひび割れた大地が露出していた。
「……なんか…すごい所に来ちゃった…。」
「dmjiap≯∩kjbrrq……。」
車窓から見える荒れ果てた地を、唖然としながら見つめるトムとポリゴン。
『レベル301は、荒廃した不毛の地。…停車時間は15分を予定しております。ーーーー敵対的なエンティティの襲撃を受ける可能性が有りますので、皆様は武装の準備を。』
そう車掌がトム達に告げた。
「ぶ、武装って言ったって、僕は何も持ってないよ…?」
『ご安心下さい。ーーーー
そんな車掌の声と共にガシャッ!という音がして、車内の椅子の下部がスライドし、中から金属の棚がガコンと飛び出して来た。
…中には、ズラリと金属の銃が並んでいる様だ。
そしてドアの上の電光掲示板に、『車内乗客緊急保護システム起動中』の赤文字が流れる。
「……ar≯ζvu!」
驚いた様なジェスチャーをとるポリゴン。
そんな彼に、車掌は金属の棚の中に安置されている銃を手渡す。
『コチラは〈カルソフ・ライフル〉です。ーーーーフリントロック式のリピーターライフルですが、一度に複数発の弾薬装填が可能なので、平均的な射撃間隔は一秒から二秒と、非常に連射性に優れています。』
「…oo〜〜.∩≯ζlrbdbj!www!!」
ポリゴンは、謎の決めポーズを決めてカルソフライフルを構えた。……気に入ったらしい。
「銃だ…!本物なんだ……凄いや。格好良いよポリゴンさん!」
「isvnjkllk〜!」
感心するトム。…トムの家にも防犯用の銃が有り、時折父親は仕事仲間と射撃場に行くこともあるが、トム自身は銃を触った事は無い。
「ほんとに格好良いや…。で、僕には何かあるの?車掌さん。」
トムの問いに、車掌は別の棚から灰色のマントを取り出してきて、彼に渡した。
「……?コレは??」
肌触りは滑らかで、鳥の羽の様にとても軽い。
『〈透明マント〉です。着用者を文字通り
「わぁ……なんか、ゲームに出てきそうなアイテムだね!」
銃では無かった事にほんの少しがっかりしたトムだったが、マントを着てみると、そんな思いは飛んで消えた。
「hot,emjvv?」
ポリゴンが、驚いた様にマントを着たトムを指差している。…恐らく彼の目には、トムの姿は見えないのだろう。(目は無い筈だ、とか突っ込んではいけない。)
「…これ、僕ほんとに透明になってる?」
『ええ。バッチリです。何も見えません。』
「ふーーん。」
試しに、トムは目の前に立っているポリゴンに、マント越しに手で触れようとしてみた。
しかし、伸ばした手はポリゴンの体をスルリとすり抜けて、背中側の景色を掴む。
「わ…!ほんとに僕、すり抜けちゃった…!!」
そのままトムはポリゴンをすり抜けて、反対側に立つ。
ポリゴンは、彼が自分の体内を透過して行ったことに気付いていないようだ。
「こっちだよ、ポリゴンさん。」
「bbkrr!nfoxwyzz!」
マントを脱いでポリゴンに話し掛けると、ポリゴンは大袈裟に驚いてみせた。
さっきの決めポーズと言い、中々にジェスチャーが激しい人である。
「あはははは!びっくりしたでしょ〜??」
「jruuvoζψ!wwwww」
そうやってワチャワチャする2人を見ながら、車掌は小さく呟く。
『……さて。発車まで何事も無ければ良いのですが…。』
ーーーーしかし、やはりと言うか、そう上手くは行かなかった。
…最初に感じたのは、
「…ん?なんか……窓の外からーーーー」
「∩??」
トムがその羽ばたきが聞こえた方向に目を向けたと同時に、
「うわぁッ?!」
「€oooo!?!?」
『おっと。』
ドスーーンッ、と巨大蛾の体当たりを受けた車両が揺れる。そして、巨大な翅から鱗粉がワッと散った。
しかも、巨大な蛾は一匹だけでは無い。
同じ様な蛾が何匹も、まるで光に集まる虫の如く、電車によってたかって体当たりを繰り返して来るのだ。
その度に、電車は右へ左へと激しく揺れる。トムはマントを急いで着ると、電車の椅子にしがみついた。
「し、しゃ、車掌さん!!大丈夫なのこれって!?ーーーーてか、あのでっっっかい蛾は何?!」
『ーーーー〈
そういうなり、車掌もまた〈カルソフ・ライフル〉を手に取る。
そして車両の窓を勢いよく開けると、此方に向かってきた〈
ターーーーンッ!と乾いた音が鳴り、〈
そのまま彼は、立て続けに何匹かの〈
その手際には一切の迷いも狂いもない。
『ポリゴンさんも、反対側の窓から射撃をお願いします。私1人ではカバー出来ませんし、なにより銃に関しては素人なので。』
「m≯lynll¶¶!?」
それで素人はおかしいだろ!?ーーーーとポリゴンがツッコミを入れた気がする。
……兎にも角にもポリゴンも射撃に参戦し、〈
車内には硝煙の匂いが立ち込め、諦めずに電車へ特攻を仕掛けてくる〈
………そして、電車の周りに落ちる〈
『ーーーーーーー終わりましたね。』
銃口から煙を吐くカルソフ・ライフルを構えながら、車掌は電車の周囲を見回して呟く。
「tklldro〜〜。」
疲れた〜、と言わんばかりにポリゴンが銃を抱え持って、床にへたりこんだ。…戦い慣れはしていないのだろう。
『…お疲れ様です。助かりましたよ。』
車掌がカルソフ・ライフルを元の場所にしまい込んで、ポリゴンを労った。
ポリゴンは床に座り込んだまま、親指を立てる。
こうして電車に押し寄せた危機は去りーーーーーーーー
「E??」
「え?」
『おや。』
…
「な、何??」
脱ぎかけたマントをまた着たトムは、後部車両へ繋がる扉を見る。
『…車両に何か入り込んできましたね。乗客の方か……或いはーーーー』
銀の儀礼剣を構えながら呟く車掌。
ーーーーバコンッッ!!!
瞬間、扉が勢いよく弾け飛ぶように破られる。
そして、背が高く、白く窪んだ目をした、青白い人型の怪物が、トム達の居る先頭車両へ侵入してきた。
生気の無い白目が、車掌達を舐めるように見つめる。
「ひいッ?!?!」
透明マントの効果を完全に忘れ、トムは車掌の後ろに隠れた。
『〈
そう言いながら、車掌は銀の儀礼剣を引き抜く。ーーーー〈
その青白い太く大きな腕が、車掌を捉えようと伸びる。
「車しょーーーーーー」
『大丈夫です。』
しかし、車掌は一歩後ろに下がるだけで腕を回避した。
そして右手の銀の儀礼剣がキラリと閃き、カウンターの居合い切りが〈
『ーーーーーーーー!!』
しかし、その刃は空を切るだけに終わった。
素早く後ろに飛び退った〈
更に、避け際に車掌の頭部へ蹴りを入れようとしてくる。ーーーーこの攻撃は車掌の左手で防がれたが、衝撃で彼を少し後退させることに成功した。
一瞬の攻防の後、互いに見つめ合う両者。
『……ふむ。やはりクラス5のエンティティは強力ですね。』
そう呟く車掌。
一方で〈
対する車掌は銀の儀礼剣でライフルと切り結ぶ。ーーーーーカッ!と音を立てて、ライフルの銃身が切り飛ばされた。
そのまま車掌は一歩前にスルリと踏み込み、〈
『ーーーー!?』
スパッ、と〈
首から噴き出した半透明の血液が、電車の床と窓、そして天井にまで飛び散った。
(わっ!)
思わず両手で自分の目を隠したトム。
車掌は儀礼剣に付着した血を拭き取ると、パチンと鞘に剣を納めた。
そして、手で車掌帽の位置を軽く直しながら口を開く。
『ーーーーちょうど時間ですね。死体処理が終わり次第、出発しましょうか。』
こうして、トム達はレベル301の脅威を乗り越えたのだったーーーーーーーー
Level 92:〈
続いて辿り着いた6個めのレベルは、青空の下に広々と広がる落葉樹林であった。
空気は澄んでいて、緑に溢れる大地には色とりどりの蝶や鳥が飛び交い、大地には、無数のありとあらゆる種類の花が、咲き乱れている。
そして、咲き乱れる花々の間を、無数の蜜蜂の群れが忙しなく飛び交っていた。
ーーーーーーーーそこは、今までのどのレベルよりも、温かみがあってとても安全に思えたし、実際に安全であった。
「うわ〜…!森だ!!綺麗〜!」
「bcjqnpp〜!」
やっと辿り着いた落ち着けそうなレベルを前に、目を輝かせるトムとポリゴン。
電車は、森の中にポツンとある小さな丘の手前に停車した様だ。ーーーーその丘には、隣り合わせになる様にして建っているコテージの様な物があり、周りには色とりどりの花や観葉植物が均一に映え揃っている。
「ーーーーなんか、家みたいなのがあるよ?車掌さん。」
トムがコテージを指差すと、車掌はにこやかな声で頷いた。
『ええ。アチラはこのレベルの管理者でもある〈庭師〉の家です。』
「にわし?」
オウム返しにトムが呟いた時、コテージのドアがガチャリと開いた。そして、コテージの中から年老いた女性の姿が現れる。
「bba?」
ポリゴンが首を傾げた。
一方で、コテージから現れた老婆は、コチラへ笑顔を向けながら、丘を軽快に降りてくる。
「おやおや。運行者さんじゃないかえ?…しかも、お客さんまで居るじゃないかい!」
しわがれたーーーーしかし優しげなーーーー声で、車掌に話し掛ける老婆。
車掌は電車の外に一歩だけ足を踏み出すと、軽く帽子を持ち上げて頭を下げた。
『こんにちは。〈ヘレン〉さん。相変わらず、此処はいい天気ですね。』
「そりゃ何時でも此処はいい天気さ。それにしてもーーーー」
ヘレンと呼ばれた老婆は、トムの方へ顔を近付ける。
トムも、特に不審に思う事無くヘレンを見上げた。彼女のシワだらけの顔に輝く2つの瞳は、まるで夜空に瞬く星のように彼を見つめている。
なんというかーーーー何百年もの時の流れが、彼女の瞳に宿っている様だった。
「ーーーー坊やは何処から来たんだい??」
優しい声がトムに問い掛けてくる。
トムはニコッと笑って答えた。
「アメリカ合衆国のキャラルトンから来ました!テキサス州にある街です!」
「アメリカ………。そうかい。アメリカから来たんだねぇ。」
ヘレンは何度も何度も深々と頷いた。そして、トムの頭にそっと手を置く。
「電車に乗れたとは言え、ココまで来るのは大変だっただろう?…運行者さんや。停車時間は何分かえ?」
『1時間半です。』
「なら、アタシのコテージで休むと良いさね。ーーーー美味しい果物もたんとあるよ?」
「本当?!」
トムは顔を勢いよく上げた。アーモンドウォーターは確かに美味しいが、アレばっかり飲んでいても物足りなく感じ始めていたのだ。
その反応が嬉しかったのか、ヘレンは何度も頷く。
「本当だとも、本当だとも。ささ、そこの四角い〈
そう言って、ヘレンはトム達を手招きした。
トムは車掌をチラリと見上げる
「車掌さん、行っても良い?」
車掌はコクリと頷く。
『ええ。勿論です。ゆっくりしていって下さい。』
「ーーーー運行者さんもよ。出発するまで、1時間も電車に残るつもりかい?」
ヘレンの呆れたような声に、車掌は特に迷いもせず答えた。
『それが私の仕事ですので。』
「んま〜、相変わらずお堅い人ねぇ。ウチと電車は目と鼻の先なんだから、少し離れたって大丈夫じゃないかえ?」
『しかし…』
尚も遠慮しようとした車掌だったが、ここでトムが彼の手を取った。
「車掌さんも行こうよ??1時間も有るんでしょ?お仕事大変なのは分かるけど、僕のお父さんも『休日は大事』って言ってたし!」
「そうさ、そうさ。どうせこのレベルでは、乗る人も居やしないよ。だから、自由時間だと思って休んでおいき?」
『ーーーー分かりましたよ。……では、少しだけご一緒しますね。』
2人にそう言い寄られては、さすがの車掌も折れるしかないのか、彼は軽く帽子を被り直しながら小さく頷いたのだった。
◇◆◇
案内されて入ったコテージの中はとても快適で、とても綺麗な内装だった。
テーブルの上にはキウイ、モモ、リンゴにバナナやスイカにメロンに至るまで、あらゆる種類の果物が乗ったバスケットが置いてあり、ヘレンはそこから沢山の果物をトム達に分けてくれた。
「なんでもあるからねぇ。好きなだけ食べて頂戴。」
「やったーー!!スイカだ!!」
「koodaxvv…。」
トムはカットされたスイカに齧りつく。一方で、ポリゴンは大量の果物に戸惑っているようだった。
「どうしたのポリゴンさん?食べなよ。美味しいよ??」
口をもぐもぐさせながら、トムはポリゴンに食事を促す。
『トムさん。彼はフェイスリングですよ。食事の必要はありません。』
ヘレンが淹れたコーヒー(コーヒー豆もこのレベルで栽培されているのだ。)を飲みながら、車掌がトムに話しかけた。
「あ、そっか。口が無かったね!ごめんポリゴンさん!」
「iiRuu。」
気にしてないと言う様に首を降るポリゴン。
ヘレンがトムにメロンを切り分けながら、ポリゴンへ話し掛けた。
「ーーーーそれに、
「見慣れない?…確かに見た事無いのもあるけど…コレはただのスイカだよ?」
首を傾げるトムに、ヘレンはそっと話しかける。
「坊やにとってはね。…でも、この世界のエンティティさんから見れば、こういった『坊やの世界』の食物は珍しく見えるのよ。」
ーーーー確かに言われてみればそうかもしれない。…しかし、となると何故、ヘレンは
…トムは疑問に思った事を訊ねてみることにした。ーーーーそもそも、ヘレンはアメリカを知っているような口ぶりだったし、何か元の世界と関わりがあるのかも知れない…と、トムは考え始めていたのだ。
「おばさんはーーーーどうして、スイカとかリンゴとかを育てられたの??それに、なんでアメリカを知ってるの??」
その問いに、ヘレンは果物を切る手を止めて、遠くを見つめる様な顔つきになった。
「……
これにトムは少なからず驚いた。
「ーーーー僕と同じ?!…おばさんも、この世界で迷子になっちゃったって事!?」
ヘレンは静かに頷く。
「細かい事は忘れちゃったけどねぇ。…でも、アタシは元々ここの世界の住人じゃ無かった。ある日、迷い込んできたんだよ。」
トムは、皿の上に食べかけのスイカを置いた。
「……なんで帰ろうとしないの??」
ヘレンは静かに答える。
「元の世界を忘れちゃったから………あと、
「使命??」
首を傾げたトムに、ヘレンは軽く昔話をしてくれた。それは、こんな内容であった…………
ーーーーーーー昔、ヘレンが初めてこのレベルに辿り着いた時、このレベルには森は無かった。
そして、そこには危険なエンティティが数多く生息していたと言う。
…しかし、その当時のヘレンは若く強く、自分が生き延びる為に精一杯の努力をした。
その甲斐あってか、このレベルから凶悪なエンティティは一掃され、そして彼女はここを拠点にしようと思いついた。
ーーーーそして住処となるコテージを建て、所々が荒れていたこのレベルを整備しようとした時、彼女は自分が種を持っていない事に気付いたのだ。
種が無ければ、このレベルは荒れたまま。…それに気付いたヘレンはがっかりしたが、この時『何か』がヘレンに種を与えてくれたのだ。
しかも、彼女が望みつつも諦めていた、あの元の世界に生える植物達の種を。
そして、その種を何者かから与えられたその瞬間から、彼女には〈世界〉から『使命』が与えられた。
ーーーー即ち、このレベルを管理する者で有り続けると言う〈
「…種を授かったのは奇跡さね。ーーーーだけども、代償は大きかった。」
ヘレンは懐古の表情を浮かべながら、トムに語り掛ける。
「あの瞬間からアタシは世界の理から外れ、
「……………。」
トムとポリゴンは、神妙な顔で彼女の話を聞いている。
車掌は静かにコーヒーを飲んでいたが、その態度に微かなやるせなさを滲ませている気がする。
「…だからね。坊や。良くお聞き。」
ヘレンはトムの頭に手を置いた。その星のような黒目が、トムをまっすぐ見つめている。
「坊やは、元の世界の事をちゃんと憶えておくんだよ。そして、帰る事を諦めちゃいけない。…諦めたら、アタシみたいに
「…っ!うん!!僕は絶対帰るよ!!」
ーーーー上位者関連の話は、小さなトムには分からなかった。
しかし、ヘレンが話してくれた『帰ることを諦めてはいけない』と言う言葉は、トムの心に深く響いたのだ。
そして、それは
うーーん……あともう一波乱ありそう。
因みに、本編では結局語られず仕舞いだった『結局、上位者とは何なのか?その誕生の起源とは?』って話も少しだけするつもりッス。
…ま、今回のヘレンさんの話でほぼ説明した様なモンだけどネ()
長くなって来たけれども、あと2話…あと2話で必ず終わらせるから……(デシャブ)