The Back Rooms Story 〜Fanmade〜   作:犬社長

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※オリジナルのエンティティが出ます※

 このバックルーム物語は海外のバックルーム動画の製作者であるkane pixelsさんの世界観設定に多大な影響を受けています。
てか、モロそのまんまです。

 このオリジナルエンティティの見た目はその人の動画に出てくるエンティティそのものと思ってもらって構いません。

だから…こんな話読んでないでKane pixelsさんの動画…見ようネ!



4話<名を奪う者(ネームレス)

 

「で?…どうすんだコレ…。」

 

 力尽きた蛇のように足元に纏まっている切れたテープを持ってベックが呟く。

 

「どうすりゃ良いんだよ…こんなん……。」

 

「…………。」

 

「……。」

 

誰も何も言う事ができない。

 

 この代わり映えの無く、終始孤独な右も左も分からない…そんな世界で彼らは立ち往生してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆

 

フィンが落ちたテープの切れ端を拾い上げて呟く。

 

「…何だか変な切れ方ですよ…誰かが力任せに引き千切ったみたいな…。」

 

「そんな事が出来るはずがねぇ、このテープは滅茶苦茶頑丈なやつだ。絶対に千切れねぇように出来てるんだぞ。」

 

ベックがフィンにそう言葉を返す。

 

少し疑問を持つジョン。

「何でそう言い切れるんだよ?」

 

「…俺が作ったからだ。」

 

「製作者だったか。」

 

ならば納得だ。しかし、疑問はより深まる。

 

「しかし、実際問題切れちゃってるからな…唯一の帰り道が…。」

 

再び静まり返る一同。

 

誰もこの現実を信じたくは無い。

 

しかし、彼らはエリート研究者だ。

 

 頭の回転なら凡人よりも早い。だからこそ、これが現実であり自分たちがどれだけ大変な状況に陥っているか、理解するのは早かった。

 

「てか、いつから切れてた?見た感じ切れたテープの長さはどう見ても三十mぐらいだぞ。切れたんならついさっき切れたことになるし…。」

 

そこまで言ったピーターがハッとする。

 

「三十mかそこらなら、戻れば良いじゃないか。…バカだろ俺たち。さっき通り抜けた場所に戻れば良いんだ。そうすれば残りのテープが見つかるさ!」

 

 そう言ってピーターはクルリと踵を返すと来た道を戻り始める。

ジョン達も後に続く。

 

 先を急ぐピーターの姿が曲がり角の向こう側に消えた。

 

「おい!ちょっと待てよ!」

 

あとを追うジョン。

 

 急いで居たせいで曲がり角を曲がった時、そこに立っていたピーターの背中に危うくぶつかりそうになった。

 

「っ!…危ないなピーター。立ち止まってどうした……。」

 

「無いんだ……。」

 

「は?」

 

ピーターの声は震えていた。

 

「…テープが床に……無いんだよッ…。」

 

「「「はぁ?!」」」

 

 慌ててジョン達は床を(本来ならテープが貼られているはずの)見た。

 

そこには確かに何も無かった。

 

 黄色いカーペットにテープが貼られていた痕跡すら無かった。

 

「………いや、こんな事…オカシイって。あのテープなんだと思ってんだ。切れるのはともかく、入口から今まで引っ張ってきた分まで消えるのはオカシイだろっ!!」

 

思わず叫んでしまうジョン。

 

「………詰みですね……我々。」

 

諦めの混じった声でボソッとフィンが呟く。

 

「…いや、まだだ。やれるかどうかわからんが、記憶を頼りに帰ってみよう。ここのみんなの記憶を合わせれば何とかなるはずだ…。」

 

 ガスマスクの内で相当険しい顔をしているはずのベックが出した提案にジョンは頷いた。

 

「…ああ、そうだな。ぼんやりとなら俺は道を覚えてる…はずだ。」

 

「なら決まりだ。行こう。」

 

 

 

 

 

 

 

こうしてジョン達は歩き始めた。

 ただ、彼らの心に余裕は全くない。記憶を頼りに進んでいってもこの道であっているのだろうか、間違ってはいないだろうかと、不安が自らの心を締め付けてくる。

 そしてバックルームの変化のない黄色い部屋の集まりがその不安に拍車をかけていた。

 

(ダメだ…どこを通っても同じ場所をグルグル回っている気がする…。)

 

既に一時間は経っただろう。ジョンはマスクの内で呻いた。

 

(舐めていた…記憶なんか、この世界じゃ全く役に立たないじゃないか…!)

 

やがて彼らは立ち止まってしまった。

 

「……くそっ!何処だここ…記憶にないぞ、畜生!。」

 

やけに広い部屋の真ん中でベックが床にへたり込みながら悪態をつく。

 

「僕にもサッパリです…こんな部屋通った覚えは無いですね……。」

 

フィンが周りを見渡しながら言う。

 

この部屋からは狭くて暗い廊下が何本ものびていた。

 

…まるでここが何かの分岐点のように。

 

「やっぱりダメじゃ無いか!…お、俺たちはもう出れないんだ…バックルームからっ!!」

 

頭を激しく掻き毟りながらピーターが叫ぶ。

 

彼はかなり追い込まれているようだ。

 

「ピーター…まだそう決まったわけじゃ…。」

 

 ここから出れない。そう言い切って仕舞えば本当にそうなってしまう気がしてジョンはピーターに声をかける。

 

「いや、出れるわけが無い!!帰り道が無い!道に迷ったんだ!遭難したんだよ!!俺たちは!!!」

 

ピーターが叫ぶ。

 

「テープが何故か切れた!しかも元々にあったはずのテープすら無くなってる!何なんだよ!!何があったらそうなるんだよ!!?」

 

「………。」

 

「通信が通じないから助けすら呼べない!!このまま進んでも疲労が溜まる一方だ!これ以上進むのは愚行だよ!」

 

 ピーターの悲痛感すら感じる叫びがバックルームにこだまする。

 

「だけど、此処にこうしていても何にもならないよ…ピーター。」

 

「じゃあ、何処にどうしたら何かなるんだよ?!前も後ろもわからないってのに!」

 

ピーターが大袈裟に両手を挙げる。

 

「…それは…分からないけど…諦めたらダメだ!気をしっかり持ってくれ!」

 

「根性論じゃどうにもならないだろ!ただの遭難とは違うんだ!此処には俺たち以外誰もいない!救助される可能性なんてない!!」

 

それはそうだ、此処は地球ではない。

 

 地球では歩き続ければ誰かが見つけてくれるかもしれない、そんな希望を抱くことは出来るだろう。

 しかし、バックルームには誰も居ないのだ。そこで道に迷うことは破滅を意味する。

 

彼が諦めてしまうのもジョンには分かる。

 

しかし、ジョンは友達にーーーピーターに此処で諦めて欲しく無かった。

 

「でも俺はあきらめて欲しくない!一緒にバックルームから脱出するんだ!!ピーターッ!!」

 

ジョンの声もまた、バックルームにこだまする。

 

 それを今まで黙って聞いていたフィンが、ふと何かに気づいたかのように顔を上げた。

 

「ッ!………皆さん。……何か聞こえませんか?」

 

「え?…何が?」

 

 フィンの方を見るジョンとピーター、そしてベック。

 しばらく耳を澄ませるが、聞き飽きたあのブーーーーーン…という蛍光灯のハム音が響くだけで変わった音は聞こえない。

 

「何も聞こえないぞ?フィン、幻聴でも聞いたんじゃないか?此処で音を立てれるのは俺たちだけだ。」

 

「いや、かなり小さいですが……確かに声が……。」

 

フィンが訝しげに辺りを見渡したその時。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぉーぃ………ぉーぃ………」

 

 

 

 

 

 

 

 微かに誰か、自分たちとは違う誰かが呼ぶ声が聞こえた。

 

顔を見合わせる四人。

 

「なぁ、ここに俺たち以外に誰かいると思うか?」

 

「まさか、バックルームは完全な無人のはず…人がいるなんて…。」

 

「いや、もしかしたらこれって…。俺たちを呼んでるんじゃ?」

 

「……じゃあ、まさか本当に助けが?!」

 

 ピーターの声にサッと元気が戻ってきたような気がした。

ジョンも安堵する。

 

「きっとそうだよ皆!俺たちを迎えにきたんだ!」

 

 足取りをたどるテープがないのに何故、という思いが一瞬頭をよぎったが、ジョンは少し自分達に都合よく考えた。

 

 きっと自分たちは思ったより入り口に近い場所にいるのかもしれない、と。

 

 

 呼び声は部屋から繋がる廊下の一つ、その奥から聞こえてくる。

 

「行こう。こっちだ、声の主が遠ざかる前に気づいて貰わないと!!」

 

ジョンの合図で歩き出す四人。

 

 依然、声は彼らをまるで誘うように遠くから聞こえ続けている。

 

 

「ぉーぃ、ぉーぃ、ぉぉーぃ……。」

 

 

 

 

 

◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆

 

 

 

 歩き続けること少し、彼らの行手にある物が現れた。

 

「ん?あれは何だ……?」

 

「壁に……ドアだと?」

 

「ドアなんかあったんだ…初めて見た…。」

 

それは何の変哲もない木のドアだった。

 

驚く一同。

 

 今までバックルームには蛍光灯以外にドアなどの様な人工物は全く無かったのだ。

 

 ここに来て突如現れた差異に少し戸惑いながらも一行はドアの前に立つ。

 

ベックがドアを軽く開いて中を覗き込んだ。

 

中は電気が通っていないのかうす暗い。

 

「…電気が通ってないのか?暗いぞ?」

 

「そんな事が…今までの部屋はどれも煌々と電気がついていたのに…。」

 

防護マスク越しに顎に手を当てて呟くフィン。

 

「この向こうから声が聞こえてたよな?さっきまで。」

 

「ああ、間違いないと思う…この向こうだ。」

 

「今聞こえなくなってる。様子を見てくるからちょっと待っててくれ。」

 

そうベックは言って暗闇の中に消えていった。

 

後に残った三人は顔を見合わせる。

 

「…本当にこっちから声が聞こえて来たのか?間違ってないか?」

 

「いや、みんなも聞いてたはずだ…こっちで間違い無い。」

 

「ええ、僕もそう思います。」

 

「そうか…ベック早く戻って来てくれねぇかな…。」

 

 

 

 

三人は待ち続ける。

 

 しばらくして暗闇の中から素早い足音が聞こえて来た。

 

「ん?戻って来たか?」

 

ジョンはドアの方を見る。

 

そこから勢いよくベックが飛び出して来た。

 

「おー、ベック待ってたぞ。どうだった?助けは呼べ………」

 

そんなピーターの声はベックの怒鳴り声にかき消された。

 

 

「お前ら今すぐ逃げろっ!!!!」

 

 

「「「は?」」」

 

ベックは声を張り上げて叫ぶ。

 

「アレは……

 

…アレは人間なんかじゃねぇッッッッッッ!!!!」

 

 

 次の瞬間、ベックの背後の壁が内側から勢いよく吹き飛んだ。

 

 

ベコオオオオオオオオオオオオンッッッッッッ!!

 

 

 

「「「はぁぁぁぁぁぁぁっッッッッ?!」」」

 

 

 

黄色い壁が音を立てて崩れ去る。

 

 細かい欠片が辺り一面に散らばり、粉塵が立ち込める。

 

「何だッッッ!?何なんだよ一体!!」

 

叫ぶピーター。

 

「!!!…アレは……!」

 

 霞む視界の中、ジョンの目に黒く、異常なまでに細長い影が映り込む。

 

粉塵の中にナニかが居る。

 

 そして、その決して人では無いナニかが地獄の底から轟くが如き絶叫を上げた。

 

 

『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオイッッッッッッ!!!!!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

ソレの名は<名を奪う者(ネームレス)

 

 

 

 

 このレベル唯一にして最大の脅威がジョン達に牙を剥く。

 

 

 

 

 

 

 

    to be continue……

 

 

 

 





オがゲシュタルト崩壊しました()

本当は一話でエンティティとの邂逅から逃走劇までをしたかったんですが、区切りどこが見つからなかったので二話に分けます。
許して…ユルシテ…。
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