The Back Rooms Story 〜Fanmade〜   作:犬社長

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トム、マクフライ編終了!(早い)


6話<トム・マクフライはノークリップした後どうなったか>

 

 

 

20XX年 8月 15日 某州 某保安局

 

 

 

 

「…はい、分かりました。はい…はい、では情報が確認され次第、連絡致します…はい、失礼します。」

 

 冷房の効いた室内で太った保安官が電話をかけている。

 彼が受話器を置いたタイミングで、その部屋にいるもう一人の保安官が声を掛けた。

 

「…また、行方不明者の届け出か?」

 

「ああ、そうさ。今日で5件目だ。」

 

 太った保安官はため息をついて自分のデスクに座り直す。

 

「8月に入ってから行方不明者は増える一方だ。ここだけじゃない、アメリカ全体でだぞ?このまま行ったらアメリカ国民全員どっかに消えちまうんじゃ無いか?」

 

「んー…流石にそれは無いだろって言い切れないのが、怖いな。」

 

 二人の保安官は顔を見合わせてため息をついた。依然、彼らの仕事は増える一方である。なぜ行方不明者が増えるのか、彼らは疑問に思えどそれ以上深く考えはしなかった。

 

 

 

そう、人間知らない方が幸せな事だってあるのだ。

 

 

 

◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆

 

 

同年 8月 10日 バックルーム  lobby

 

 

 

「う……痛ェ…。」

 

頭に響く痛みでトムは目を開けた。

 

「くそ…誰だよあんな場所にコード引いた奴…いや、俺なんだけどもさ。」

 

 呟きながら辺りを見渡すトム。最初は自分のリビングにいると、そう思っていたがどうやら違うようだ。

 

「…あれ?ここ俺の家じゃ無いぞ?何だ此処?」

 

不思議に思いながらキョロキョロと周りを見る。 

 

「ん〜?…マジで何処だここ……。」

 

 辺りはきみ悪いぐらい黄色一色で統一されている。床に手をつけば、湿ったカーペットの感触が帰ってきた。そして自分はちょっと広めの部屋の中に居るらしい。

 

「なんかカビ臭いし、蛍光灯がうるさいし、嫌な場所だな。…少なくとも、頭打って天国に来た…なんて事はなさそうだな。」

 

 ここが天国だったら[ビブリカ]に聖書に書いてある天国と実際の天国が違いすぎるって文句言ってやる…なんて思いながらトムはとりあえず歩き出した。

 

 

 

 

「それにしても、誰も居ないし…ドッキリ番組か何かか?これは?」

 

  黄色い部屋に彼の声が響く。しかし、その声に答える者はいない。

彼はそのまま、あても無く黄色い部屋を彷徨い続ける。

 

「…あぁ、にしても…腹減ったなぁ…朝メシ食べてないんだよ…。」

 

 一体どれぐらいの時間が経っただろうか。何も持って来なかったトムに、時間を確認する手段は無かった。

 

「……ここ時計も、何も無いもんなぁ…おーい!!誰かいないのかぁ!?」 

 

叫んでみるも、返事は無い。

 

「やっぱり誰も居ないか……クソ…。」

 

 疲れ果てたトムは、黄色い壁に寄り掛かるように座り込んだ。しかし歩くのをやめて立ち止まった瞬間に耐え難い孤独と不安が押し寄せてくる。それはトムの精神を酷く削っていった。

 

「………頼む、どうか、夢であってくれ…。」

 

 トムは呟いて膝を抱える。そのまま、トムは目を瞑った。出来れば、次に目を開けた時この孤独な世界が終わりますようにと思いならがら…………。

 

 

 

 

 

 

◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆

 

 

 

 

夢を見ていた…

 

無限に続く黄色い部屋を…

 

何処から聞こえてくる人ならぬモノの叫びを…

 

 

 

 

夢の中で、トムは不思議な経験をしていた。

 

目の前にナニかが立っている。

 

 針金を絡み合わせたかのように細い四肢。真っ黒に塗りつぶされたような顔。〈()()〉そんな言葉がよく似合う。

 

 ソレはトムに手を伸ばしていた。誘う様に…もしくは救いを求める様に…。

 

(……キミは……寂しいのかい?)

 

手を伸ばすトム。その手が化物の手に触れようとした時。

 

 

『やめておいた方が良い』

 

 

すぐ横から声が聞こえた。

 

「え?」

 

 思わず手を引っ込めて、横に顔を向ける。いつの間にか()()が自分の横に立っていた。

 

 まるで車掌の様な紺色の制服を着こなし、車掌帽を目深に被っている。

 

 顔は分からない。と言うよりか、顔にモヤのような物がかかっていて顔をしっかり見ることが出来ない。

 

 不思議な人だ。何処かであったような気もするが、トムには思い出せなかった。

 

『アレの名は〈名を奪う者(ネームレス)〉。手を取れば、キミの()は意味を失う。もしも、自分の人生を振り返った時に、誰か一人でも自分の名前を覚えて置いて欲しい人が居るのであれば、アレの手を取るのはお勧めしない。』

 

「……!!」

 

 トムは両親の顔を思い浮かべた。学生時代の友達の顔も、仲の良かった親戚達の顔も。彼等に忘れられるのはゴメンだった。…ビル(幼馴染み)?逆に忘れたいわ。あんな奴。

 

『……そう。それで良い。キミがこの世界に飲まれるのには未だ早すぎる。』

 

不思議な車掌は小さく呟いた。

 

その時ふと、遠くから何か()()()()()()が聞こえてきた気がした。

 

車掌が右手を見る。手首には腕時計がついていた。

 

『出発の時間だ。トム・マクフライ君…。』

 

 自分の視界が急に狭まっていくのをトムは感じた。あたりの音も遠ざかっていく。自分はこの夢から覚めようとしている。それに気づいたトムは車掌に向かって叫んだ。

 

「待ってくれ!!!」

 

車掌がこちらを見たーーーー気がした。

 

「此処はどこなんだ!?地球なのか!?俺は一体どうなるんだ!?…と言うかアンタはいったい誰なんだ!!」

 

車掌の声が遠くから聞こえる。

 

()()。そして、()()()()()()。この世界は()()()()()()だけ、それ以上の意味は無いよ。』

 

声がどんどん遠ざかって行く。

 

『しばしの別れだ。トム・マクフライ君。キミが辿りつくべき場所に来た時に、また会おう…。』

 

 

小さくなった車掌の姿が闇の向こうに消える。

 

 

『さあ、目を覚ましたまえ。』

 

 

 

暗転ーーーーーーーー

 

 

 

 

◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆

 

 

 

ピチョン…ピチョン…

 

 

 あの黄色い世界で、今まで聞いたことの無かった()()()()()()()が聞こえて来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ビブリカ・・・旧名[国際聖書団体]

私は聖書ニワカなので、聖書の内容に不満点がある時にどこに文句言ったら良いかわかんなかったんでとりあえずビブリカ出しときました。

普通、聖書の内容に不満点なんてないか……
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