The Back Rooms Story 〜Fanmade〜   作:犬社長

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こっからレベル1です!

※追記※
話に出てくるバックルームの内容に一部誤りがあったので訂正しました。



第二章 Level1 <Habitable zone>
7話<トム・マクフライは新しい領域(レベル)に辿りつく>


 

 

 

 貴方がアメリカをーーーーーー別にアメリカのどこでも良いが、散歩していたとしよう。

 

きっと直ぐにおかしな事に気づく筈だ。

 

ーーーーーーー行方不明者の張り紙が多すぎる事に。

 

 それは例えば電柱の柱に、駅のホームに、スーパーの中に、或いはくしゃくしゃになって側溝に落ちているかもしれない。

 

 誰もが、誰かを探していた。それは異常な事だときっと貴方は思うだろう。

 

 

 実際アメリカの年間行方不明者数は8月から急激に増加していた。それと同時に不審な現象が多く発生している。

 

 例えば、高速道路を走る車が突如消えたり、脱出不可能な筈の刑務所から何の痕跡もなく囚人が消えたり……このような異常はあちこちで起こっていた。

 

 しかしそれらは、世の人の目に触れる前に闇に消える。もとい揉み消されている…。

 

 明らかな異常、しかし何も明かされず続く日常。一部の人たちは囁きを交わす。

 

「国は何かを隠している。」

 

「失踪する人が多いのはそのせいだ。」

 

「非人道的な実験が秘密裏に行われているんだ。」

 

「いや、もしかしたら宇宙人が地球に来て人を攫っているのかも。」

 

 

 しかし答えは誰も知らない。知り得る筈が無い。いなくなった人たちは皆、バックルームと呼ばれる異世界に行ってしまったのだと。

 

そんな事、一体誰が想像できようか。

 

 

 

 

ーーーーーーーー()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆

 

 

 

…冷たい床の感触がする。

 

 

トムはゆっくりと目を開けた。

 

 膝を抱えて座っていた筈なのに、どうやら床に寝転がってしまったみたいだ。

 

「……うぅ…。頭がクラクラする…。」

 

 頭を抱えながら起き上がる。そして辺りを見渡した時、周りの世界が一変している事に気がついた。

 

 

「…ん?何だ此処…さっきまでいた黄色い部屋じゃ無いぞ?」

 

 

そこはもう、あの黄色い世界(レベル0 )では無かった。

 

 其処は無機質な灰色のコンクリートの壁と床から成る広い倉庫のような場所だった。所々鉄筋が剥き出しになっていたり、発生場所の分からない濃さのまちまちな霧が立ち込めていたりしている。

 

 依然として蛍光灯は天井に点在し、あの煩いハム音を響かせていた。

 

 

黄色い世界(レベル0 )より多様で、広大な空間を持つ世界。

 

 

ーーーーーーーー此処の名は〈レベル1 Habitable zone(生存可能領域)

 

 

「……黄色の次は灰色の世界か…。」

 

トムは呟いて立ち上がった。

 

「…さっきのトコよりかは…マシだと良いな。」

 

 少なくとも、此処にはあの黄色い世界(レベル0 )の様な精神を侵して行く雰囲気が幾らか和らいでいる気がした。

 

 トムは歩き出す。不思議と頭はスッキリして居た。まるで、丸一日寝た後の様だ。

 

「だけど…腹減ったなぁ…いくら頭が冴えても、腹が減ってちゃ何にもならないよ、まったく…。」

 

 そんな事を呟きながら歩き続けている時にふと、トムの行手に何か箱の様なものが見えてきた。

 

「お?何だこれ?」

 

不思議に思ったトムは近づいてみる。

 

…何の変哲もない箱だ。

 

 軽く押してみようとしたが、思ったより箱が重たくて少ししか押せなかった。

 

「なんか入ってんなコレ…開けちゃって良いかな…?」

 

 ダメと言う者はここには居なかったーーーーーーまぁ、良いと言う者もいないが。

 

「……よし、開けよう。」

 

意を決したトムは箱の蓋に手を掛けて箱を開けた。

 

 次の瞬間何か小さいモノが箱から勢いよく飛び出して来た。

 

『チュチュッ!!』

 

「うわっ!?ネズミィ!?」

 

その正体はネズミだった。思わず開けた箱の蓋を落としてしまう。

 

『チュッチュ〜〜〜〜ッ!!!』

 

落とした蓋に驚いたネズミが逃げて行く。

 

「……ビックリした。ネズミ居るんだ…。」

 

 ネズミが逃げていった方を見ながらトムは呟いた。正直、ネズミはあまり好きじゃない。

 

「…まぁ良いか。箱の中身を見てみよう。」

 

気を取り直し、箱の中身をチェックする。

 

 まず目についたのは古ぼけたリュックサックだ。埃にまみれているがまだ使えそうだ。因みに中には何も入っていない。

 

「おー、使えそうだな。」

 

 次に取り出したのは何だからよくわからない薬の包みだ。包みは真っ白で名前も用途も何も書かれていない。

 

「…何だかわかんないクスリを持ってくのはヤダな。」

 

コレは箱に戻した。

 

 次に出て来たのは使いかけのクレヨン、紫色の液体で満たされた注射器、どこの国の物なのかわからない硬貨、そして一冊の本だった。

 

「うん〜…ガラクタばっかだな…この注射器とかなんだよ、いかにも毒みたいな色してるし。…本はーーーーーなんじゃこりゃ、読めねぇぞ?どこの国の言葉だよ…。」

 

 この中で興味を引いたのは一冊の本だけだったが、何が書いてあるのかトムにはさっぱりだった。読み取れるのは、表紙に書いてある著者名だけだ。

 

「……作者『ブランシュ』か。まあ、読めない本なんて持ってく意味ないよな。うん、この本結構デカいし。」

 

 そう言ってトムは箱に本を戻したが、ふと思い留まりまた拾い上げるとリュックに本を突っ込んだ。

 

(いや、何やってんだ俺。こんな本いらないって…)

 

 そう思いはしたものの、なぜか本をまた戻す気にはなれず、トムは次の箱の中のものに取り掛かった。

 

 最後の荷物は飲み物らしきボトルが5本、それで終わりだった。

 

「やっと使えそうなモノが出て来たな…飲み物か?」

 

一本手に取ってしげしげと眺める。

 

「えっと、アーモンド…ウォーター…か。ふむ…。」

 

 栓を開けて匂いを嗅いでみる。ほんのりと甘いバニラの香りがした。

 

「良い香りだ……飲めるのかなコレ…今腹減ってるし、丁度良いな。」

 

 まずは試しにと、一口飲んでみる。飲んだ瞬間、口の中にアーモンドとバニラの風味がふわりと広がった。

 

(コレは……悪くない、むしろ良い!!)

 

 思わず二口、三口と飲み続け、気がつくと一本空にしてしまっていた。

 

「美味い……コレは良いモノ手に入れちゃったんじゃないか!?」

 

 心なしか、さっきよりも頭がさらに冴え渡り、気力が湧き出て来たのを感じた。

 

残り4本はリュックに詰め込んでおく。

 

「…よし、なんかいける気がして来た!

 

 この世界に迷い込んでから初めて、トムは元気が湧き上がってくるのを感じていた。今なら、どんな恐怖にも打ち勝てる気がする。

 

 リュックサックを背負い、歩き続けるトム。しかし、彼はまだ知らない……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 進み続ける彼の後ろで、天井の蛍光灯が不規則に点滅を繰り返す。

 

 

 

 ずっと向こうの闇の中に()()がチラリと現れて消えたーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





アーモンドウォーターには栄養補給だけじゃなくて、集中力の維持とかにも使える万能飲料なんですよネ。

これが有るのか無いのかでバックルームでの生存難易度が大きく変わります。

飲んでみたい……
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