転生その後
5歳の僕氏、海のど真ん中で漂流してるなう。
みたいな感じでSNSに投稿するなり2chに書くなり出来たらいいんだけどなぁ。
どうやら僕は転生したらしい。王道無慈悲なトラ転からの神様に出会ってチート能力を付けてもらうなんてことはなく、説明もこの世界がどんなところなのかもわからぬままに過ごしていた。
この世界で生きるうちに、海賊や海軍、四皇や七武海なんて言葉をよく目耳にすることに気づいた。ワンピースかよ。
ここがワンピースの世界ということは、気をつけなければならないのはもちろん海賊だ。しかし今の僕は5歳、どうしようも無い。
そして案の定、僕と母さんは海賊に襲われた。蒐眼のメシアと呼ばれる、懸賞金3億超えの女海賊だ。名前の通り、世に存在する美しい瞳を蒐集するのが趣味のキチガイ女郎だ。
もし、僕が生まれなければ、母さんは生きていたかもしれない。だって僕が生かされた理由が綺麗な瞳を持っていたからだ。左眼は奪われたが。
絹のような白金色の髪。透き通った白い肌。そして一際目を引く両の眼。どちらも紫ではあるのだが、赤紫の右眼に青紫の左眼という厨二心くすぐるオッドアイ。それが僕だった。
これは僕たち一族の長としての証らしい。元々は母さんの瞳がこうだったらしいのだが、僕が生まれた瞬間に移り代わったんだと言っていた。母さんの眼は綺麗な金色だ。そっちの方が綺麗だと言ったら、嬉しそうにお礼を言っていた。
今ではもう、遠い過去に思える。ついこの間まで笑いあって居たのにな。父親については知らないし、どこにいるかも分からないが、母さんの遺言から推測することは出来る。
「貴方の父親は...かい...あか...。きっと、助けになってくれるから...。」
海賊、赤髪のシャンクス。これまた王道な展開だな。SSワンピでよく見るやつだと思った。
母さんの遺言を胸に抱き命からがら蒐眼のメシアから逃げられた僕だったが、空腹に耐えきれず、メシアの船から咄嗟に奪ってきた悪魔の実を食べた。周りは海、大波ひとつで転覆するような小舟に乗ってる僕としては、溺れて死ぬか空腹で死ぬかの2択だった。
悪魔の実の力を欲して食べるのではなく、空腹を満たすために食べるやつはきっと僕くらいだろうな。最後のひと口まで食べきったぜ。
突然だが、僕の名前は2つある。どういう事かと言うと、あったことは無い僕の爺さんと婆さんが、それぞれの一族の長だった。長年敵対していた双方の一族だったが、爺さんと婆さんの禁断の逢瀬により和解され、母さんが生まれたことで1つの種族に統合された。
つまり母さんこそが僕たち一族の初代ハイブリッドであり、母さんから生まれた僕は2代目のハイブリッド。その証拠として、オッドアイの紫の瞳があった。
そんな訳で、左右の瞳に与えられたそれぞれの名前があるのだと言っていた。眼に名前をつけるって習慣、慣れねぇなぁ。
青紫の左眼に付けられた名前が月詠ソラって名前で、月詠一族としての僕の名前。赤紫の右眼に付けられた名前は、どうやら口に出せないらしい。奪われた弊害だろうか。
残った左眼にも、奪われた右眼にも、それぞれ特別な力があった。それは、妖魔と呼ばれる存在を認識することが出来るというものだ。
この世界には、至る所に妖や悪魔と呼ばれるモノたちがいて、僕はそいつらの長なのだ。だからそいつらの力を借りて、漂流中の身でありながらも何とか生き延びているって訳だ。
【ソラ様、もう少しでここに船が通ります。ただ、少々問題がありまして...。魚人と呼ばれる種族の男です。】
「魚人...それの何が問題なの?」
【いえ、出すぎた真似を。お忘れください。その者に助けを請いましょう。どうやら悪人では無いようですので。】
「そう、わかった。ありがとう
「おいガキ、こんな所で一体何を...怪我してるのか。それにその格好...何があった。」
「海賊に襲われました。助けてください。」
「俺は魚人だぞ。その俺に助けを求めるのか。」
「?、はい。正直魚人とか人魚とか人間とかどうでもいいのでとりあえず助かりたいです。抉られた右眼の治療もしたいですし。まだジグジグ痛むの、うざったい。」
「ふん、変わったガキだな。いいだろう、ここからならシャボンディ諸島が近い。送って行ってやる。」
「シャボンディ諸島はダメです。あそこは人さらいが多いから、送ってもらったところで奴隷にされるかも。別の場所にしてください。」
「俺の知り合いの人間がいる。そいつにお前を預ける。」
「あったことの無い貴方の知り合いよりも、今目の前にいる貴方の方が信用出来る。貴方に助けを乞うています。」
「...はぁ、分かった。魚人島に連れていく、それでいいな。だがお前、コーティングの知識などないだろう。俺にもないぞ、必要無いからな。」
それは考えてなかった。うーん。いや、何とかなりそうだな。
魚人島ってここの真下なん?あ、そうなの。おけまる水産、なら大丈夫そ。
「
「な、なんだそれは。そんな熱そうな身体、触りたくないんだが。」
「ギラギラの実の能力です、触ったら手が熔けますよ。この身は太陽の化身ですから。先導をお願いします。泳ぐことは出来ませんが、降りることは可能です。僕の周囲1cmは太陽の熱と光のエネルギーにより絶対防御圏内です。海水さえも通しません。」
「なるほど、太陽か。凄まじいな。よし着いてこい、この真下だ。」
「ありがとうございます。」
&&&
「ついた、良かった。結構ギリギリだったな。能力の行使なんて初めてでも何とかなるもんだ。チートか?この身体。」
「お待ちしておりましたよ、人間の子よ。」
「なっ...!?あんたは!」
誰ぞ。なんで分かったんやここに僕が来るって。
「私の名はオトヒメ。ここリュウグウ王国の現王妃です。貴方を王宮で治療します。その代わりに、私の願いを聞いてください。」
「む...いや、でも。」
ちらり、と隣の人物を見る。そういえばまだこの人の名前知らねぇな。
「僕の名前はソラと言います。治療は有難いのですが、助けはこの人だけで十分ですよ。」
「ばっ、ばかやろうが!口答えするんじゃねぇ!俺に構うな、行け!」
「いや、でも貴方の名前も知らないし。お礼も出来てないのに。」
「〜〜〜!!」
「ふふ、分かりました。そちらの貴方もご一緒に来てください。そろそろ臣下たちに気づかれる、急いで。」
あ、それならOK。
「で、おじさん名前は?」
「おじさんと言うな。俺はタイガー、フィッシャー・タイガー、タイの魚人だ。」
「そ、よろしくね。ところで王宮ってこんな簡単に入れるところなのかな。」
「なわけねぇだろ。」
だよねー。まぁいいや、なんかおねがいがあるんだろうし、話だけでも聞いとこ。まぁ結構意識レベルギリギリではあるんだがな。
慣れない能力使ったし、種族と相性最悪なせいで肌もちょっぴりヒリつくし。何より眼の痛みと空腹がヤベぇ。
「オトヒメ、どこに行ってたんじゃもん!心配したぞ!む、お主らは一体...?に、人間じゃもん!?」
「私が連れてまいりましたの、どうか驚かないで。まずは傷の手当てを。お腹も空いているようですね。暖かい飲み物も用意しましょう。」
「わー、ありがとうございます。タイガーの分もよろしくお願いします。」
「ばっ、!」
「ふふ、えぇもちろんですわ。」
さて、ご飯を食べつつ治療を行って貰う。
「なんて酷い傷...さぞ痛いでしょう。よく我慢出来ましたね。しかし、一体何があったというのですか?」
「んー、数ヶ月前に海賊に襲われて、奴隷として飼われて。そこから逃げ出して、ずっと漂流してました。」
「さぞお辛いでしょう。そんな貴方にこんなお願いをするのは大変心苦しいのですが...貴方の力を貸してほしいのです。」
僕の力...どの...?種族としての力か?
「能力を見せては貰えないでしょうか。世に聞く、太陽の力を。」
「まさか...ギラギラの実なんじゃもん!?」
そっちかー。なんでギラギラの実を食べたこと知ってるんだろうか。
「いいですよ。神技・
人差し指をぴんと立て、指先に極小の太陽を顕現させる。
「これは...なんと...。」
「美しいですね。我々が乞い求める太陽が、あなたの身に宿っているのです。」
深海1万mの日陰の世界、それがここ魚人島。まぁ、全部が全部そうって訳じゃない。ちゃんと陽の当たる場所もある。ただ、少しでも太陽の近くで生活がしたいのだと。日光と水と空気があってこその生活だと。至極当然の願いだな。
「具体的に、何をしたらいいですか。恐らく1番の願いは、本物そっくりな太陽をここに顕現させることだと思います。でもそれは、今の僕の実力では不可能です。かと言ってここにずっと住むことも難しいでしょう。」
「我々はそれでも良いのですが...貴方にはあなたの目的があるようですから、無理強いはできません。私の願いは、数年間消えぬ太陽を創って頂くことです。」
数年間...数年間か...。いけるか?まぁ、普段使える能力に制限をかけることになるが、出来なくはないだろう。
「なぜ数年間なのですか?」
「私たちは今、地上で暮らせるようになるために
「なるほど、そういうことか...分かりました。死ぬ訳でもないし、良いですよ。助けて貰った恩は返します。場所を指定してもらえたら、そこに太陽を作りましょう。」
「では、この海岸沿いは誰も住んでいませんので。」
「了解。」
ーーー
ーーー神技・
ーーー神技・
「ふぅー、終わりです。これで数年はもつはずですよ。」
「あ...ありがとうじゃもん!これで少しはみなの生活が豊かになるんじゃもん!」
「ありがとうございます、ソラさん。」
「俺からも礼を言わせてくれ。助かった、ありがとう、ソラ。」
いえいえー。困った時はお互い様やで。僕も助けてらったしな。
&&&
魚人島に来て数日。療養期間ということで暫くはここに滞在することになった。オトヒメ王妃とネプチューン王の子供である3人の男の子と大きな女の子とも顔を合わせた。お友達になったよ。
オトヒメ王妃にはついでに見聞色を教えてもらったら、数日でできるようになった。僕って天才か?
そして、太陽のお礼として義眼と眼帯をプレゼントされた。ありがとう。
今はタイガーと一緒にちょっと治安の悪い地域に来ている。この辺りはタイガーが牛耳ってるらしい。俺の
そして、ちょっと目を離した隙にタイガーが消えた。全くもう、どこに行ったんだよ!子供を1人置いてくだなんて、親の風上にも置けないぞ!(親じゃない)
「む?お前さん、人間じゃろう。何故こんなところに。どうやってここに来たんじゃ?」
「あー、はじめまして。タイガーに連れてこられたんですけど、なんか仲間に会わせたいとかって。」
「ということは、お前さんが例の太陽を創った人間か?小さいとは聞いとったが、まさかこんな子供だとは...いや、年なぞ関係ないか。ワシはジンベエという。まずは礼を、ワシらに太陽をくれてありがとう。」
「数年しか保ちませんけどね。まぁそれでいいって話だったし、そもそも僕の実力不足もありますからこれ以上を求められても不可能ですが。」
「十分じゃ、ありがとう。」
ええで。で、タイガーどこ行ったん。あ、居た。なんかノコギリみたいな鼻の人と一緒に来た。アーロンじゃね、こいつ。がら悪っ。
「よう、済まなかったな。こいつがここらの悪ガキどものトップ張ってるアーロンってんだ。お前に悪さしねぇようにしっかり言いつけたから安心しろよ。お、なんだ、早速ジンベエとも会ったのか。」
「自己紹介したからもう友達だよ。」
「ふっ、自己紹介したから友達か。世界中の人間が、お前と同じ考えだったら良かったのに
なぁ。」
「それはそれで気持ち悪いかな。」
「ま、待て、お主、ワシと友達じゃと?人間と魚人は...友になれるのか...?」
え?いや普通になれるでしょ。あぁ、正確にはなれる人となれない人とならなくていい人やなりたい人なんてのもあるだろうけどとりあえず。
「ジンベエ、友達になろう?」
「も、もちろ「甘ぇっ!!!」...アーロン!!」
「タイの大兄貴もジンベエの兄貴もこいつに騙されてるとなぜ気づかねぇ!?こいつは人間だぞ!!俺たち魚人をヒトとも思わねぇ人間風情が図に乗ってんじゃねぇ!!」
「まぁそういう考えもあるよね。だからさっき言ったろ、なれる人となれない人が居るって。」
「それが甘ぇっつってんだよ!人間と魚人は相いれねぇ存在だ!どうせてめぇも俺らの事を魚と同レベルだとでも思ってんだろうが!」
「思ってないよ。人間と同じだとは思ってるけど。」
「...嘘ついてんじゃ「もう止めろアーロン。」タイの大兄貴っ!。」
「俺たち魚人にも人魚にも、そして人間にも、良い奴悪い奴は居る。そしてソラは紛れもなく良い奴だ。俺がそう信じてる。それで十分だろう。」
「ワシもそう信じるぞ。ソラくん、改めてワシと友になって欲しい。人間の友なぞ初めてじゃ、なんだかむず痒いわい。」
「うん、よろしくジンベエ。ところでお願いがあるんだけど。」
魚人空手、教えてくんない?