非常に良く晴れたある日。甲板に居るはずのルフィの笑い声が船内まで届いてくる。
「なっはっはっは!!おれ達はお尋ね者になったぞ!!3千万ベリーだってよ〜!あ!ソラ、見てみろこれを!3千万ベリーだぞ!」
「聞こえてたよ。」
初頭手配額がイーストブルー平均額の10倍。狂気の沙汰だな。どうやったら最弱の海でルフィみたいなのが生まれるんだが。時々いるよね、こういう突然変異。
ウソップが後頭部映ってるってサンジに自慢してる。しかもサンジ悔しがってるし。うける。なんの自慢にもならねぇだろ。べっ、別に悔しくねぇし!!!負け惜しみとかそんなんじゃねぇから!!!
「そういや、ソラもあのネズミ野郎に恨み買ってたよな。」
「そうね。でも手配書はルフィのだけみたい。」
ほーん。なんでやろ?めっちゃ叫んでた割に大したこと出来てなくて草。(煽り)まぁ戦闘実績が(見られたのは)海軍とのいざこざだけだし。それじゃ賞金首にするには足りないと思われたんやろな。知らんけど。
「おい、島に着いたぞ。」
「もう着いたのね。ここには有名な街があるのよ。''ローグタウン''、別名''始まりと終わりの街''。」
海賊王 ゴール・D・ロジャーが生まれ、処刑された街。その代名詞につられてか、割と多くの海賊が訪れる街なのだが。騒ぎを起こす輩は不思議なほど少ないらしい。ワンピースに有るまじき民度の高さ。ここだけ異世界か?そんなこたァない。この世界まるっと異世界だぜ。
治安の良さは全て海軍のおかげなのだ。ふははははは。かの有名なアイスズボン大佐。海軍本部所属 白猟のスモーカー。うへぇ、おっかねぇ。でも見たい!!!もちろん見るよなぁ!?当たり前だよなぁ!?
「よし、俺は死刑台を見てくる。」
お。
「おれは装備を集めにいくか!」
あっ。
「俺も買いてぇもんがある。」
あっあっ。
「貸すわよ?利子3倍で。」
...。
「ここはいい食材が手に入りそうだな。」
で、出遅れた...だと...!?どどどどどどどうしよう。つかこんな個性的なメンバーの中で自分を出して目立つとか無理だからぁ!!(泣)海賊王のクルーはみんな特徴的なんだな。むしろ、個性限界突破の奴らの中に1人だけ普通()が居たら逆に目立つんじゃね?
普通王に!!僕はなるっ!!!語呂悪いな、やめとこ。
「何してんだソラ、さっさと行くぞ。」
ふぁっ!?(驚愕)えっ?(困惑)えっ!?(理解)えっ!!(歓喜)僕も一緒に行ってええのん??うへへへへへ、さすがサンジ、ぼっちを見捨てない男。やさぴっぴのうれぴっぴ。飴ちゃんくれるんならホイホイ着いてきゅ〜。
「うっほ〜〜〜!!すっげー美女!!♡やっぱでかい街は違うなぁ!!」
せやな。てか、この人混みの中で美女を察知するその慧眼に感服するわ。見えねぇって。どこやねん。僕にも見せろや!!
「何買うの?」
「一通りは揃えるつもりだが、とりあえずは肉だな。船長があれだから。あと魚と、野菜と、酒と調味料と...。」
全部やんけ。これ、別れた方が効率良くね?なんで一緒に歩いとるんや。(恩を仇で返すスタイル)
「へぃらっしゃいらっしゃい!兄ちゃんら見てって寄ってってー!」
「ん?おおっ!?おいおい何だこのファンキーな魚はよぉ!」
エレファント本マグロやんけ。デカイなー、切り身じゃないのは久々に見た。え、これ一本釣りしたの?おっさん何者?おっさんもすげえけどこいつの引きに耐える竿もパネェな。
「切るかい?」
「いや、丸ごと貰う!ソラ、持てるか?」
「え?いやいや金髪の兄ちゃん。そりゃあ流石に...。」
「ん。(ひょい)」
「「「!?!?」」」
僕はソラ、19歳!身長162cm、握力594kg!(嘘)全身黒コーデの日傘をさした眼帯色白白金髪の器用貧乏な男の子!よろしくね!★
てかこの魚、全長が僕の3倍くらいあって持ちずらいな。なんで今買ってん。取り置きしてもらって最後に買えよ。持ち歩くと邪魔だし周りにも迷惑やろがい。それ持ってここ歩く気?迷惑〜って感じで見られてる気がする。この視線に耐えられるのは未来の海賊王かそのクルーだけだ!!!僕じゃん。
「僕、一旦船に戻るね。これ降ろしてくる。」
「あぁ、悪ぃな。お前も何か買いたいもんあれば買っとけよ。材料切らしてたろ。」
「うん。予想以上に売れちゃった。」
「そんだけ美味かったってことだ。良かったじゃねぇか。」
それな。何度か甘いものを作って振舞ったが、ルフィにもウソップにもナミにも好評だった。ゾロは何も言わなかったが、黙々と食べておかわりしてた様子を見るにまぁ気に入ってくれたのだろう。たぶん。きっと。めいびー。パティシエ冥利に尽きるぜ。
ただちょっと食いっぷりが良すぎて、材料の消費が激しかった。ローグタウンに着く直前なんかは、ほんとに簡単なパンケーキとかプリンとかしか作ってあげられなかったからなー。それでも美味しいって言ってくれたけど。世界は優しさで出来ている。
てかこれまじデケぇな。街中通るよりも建物の屋根伝ってった方が楽そう。めっちゃ見られてるし。そんな心配せんでも、周りの迷惑は考えまっせ。え?ほんとに海賊か、だって?僕は良識のある海賊なのだ。ピースメイン代表。
ん...なんか、空が。いや、晴れてんだけど。雨、降りそうだな。伝えとくか。
「サンジ。僕、このまま屋根伝ってくから。荷物多いようならビニール袋貰った方が良さそうだよ。」
「ん?そうか、分かった。気ぃつけろよ。」
うい。よっこい、ぴょーんと。
&&&
さて、マグロも置いたし材料も買った。残念ながらゾロの妖刀ぶん投げチキンレースは見れなかったが、そんなこたァどうでもいいと思えるくらいにはさっさとここからおさらばしたい。
なぜか。
この街にやばい気配がある。まじで意味わかんなくらい存在感が強すぎてやばい。なんで今まで気づかなかったのか不思議なくらいにやばい。不思議ってか不自然?何がやばいって、鷹の目と相対した時もそうだったけど。実力に差がありすぎる。情報もないし。つまり敵対したら勝てる見込みゼロってこと。
そして僕が気づいてるってことは、向こうも僕に気づいてると思った方が良いだろう。つまりどういうことかと言うと、少しでも機嫌を損ねたら小指でちょん(殺)されるってこと。ガクブルだわド畜生め。
なんなん、まじなんなん。怖いんやが。誰だよ、なんでこんな街に居るの?ふざけんなよ!!こんなRPGで言うところの始まりの街に居ていい様なやつじゃないだろ!!!RPGじゃなくてもここは始まりの街だったわ!!えっ、始まりと終わりの街ってそういう意味?終わっちゃうの...?無理無理無理無理。
とりあえず、そいつがルフィ達を狙うようなら全力で足止めして先に逃がすしかない。そんで頃合いを見て僕も逃げる。逃げられるかわかんないけど。最悪マジで死ぬかもしれんが、さすがにこんな民衆の前でドンパチやらんやろっていう一般常識に賭けるしかない。祈るわ全力で。それか命乞いでもするか。
とか思ってる時期が僕にもありました。
「まさかこんな所でお目にかかれるとは思わなかったぞ。紅衣の王よ。」
「...初めまして、?紅衣の王、ですか?人違いでは。」
やんだァもう何この人ずっとついてくるぅ。目付き怖い。顔に刺青あるし。フード被ってるから怪しいし!!!(おまいう)
「すみません、先を急いでいますので。この辺りで。」
「待て。」
いや無理。一昨日来やがれ。ひぇっ、腕掴まれた。あっあっ、暗がりに連れ込まれるぅ...!路地裏の世界にぃ...!やだやだ、明るい所が良い!!お天道様の元で生きたいよぉ!!あっ、お天道様も敵だったわ。生きる場所なくて草も生えない。世界はもっと僕に優しくすべき。
「少しで良い、話がしたいのだ。」
「はぁ...なんなんですか。人違いですと言ったでしょう。」
「革命家ドラゴン。この名に聞き覚えは?」
そりゃあ知ってますとも。世界最悪の犯罪者とも称される、世界転覆を目論む革命軍のトップだろぉ!?そんな世界の常識とも言える名前を知らない奴なんて居ねぇから!!まぁ名前くらいしか知らんけどな!!!
で、なんな訳?普通こういう時ってまず自分の名前言わない?なんでわざわざ革命家ドラゴンなんて仰天ワードがでて、きて...。
「...まさか、貴方が?」
頷いた。ゴシゴシ、目がおかしいのか。目見えてないけど。もう一度聞くぞ?...頷いてる。ゴシゴシ。ゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシg
「おい、目が腫れてしまうぞ。」
うるせぇぇぇぇええええ!!!!!心配してんなよ!!!!優しいかよ!!!!ふざけんなよ何でこんな所に居るんだよぉ...。怖いよぉ、助けてサンジぃ...。
「もう一度問う。紅衣の王で相違無いな?」
あります。違います。無理です。ちょ、とりま手ぇ離さん?さっきから、絶対逃がさないマンになってるやん。一旦、一旦はなそ?マジで振り解けねぇぞ、どないなっとんねん。こういう時の力つよつよ設定やろがい。
「ではこんな話を知っているか?かつてマリージョアに囚われていた多くの奴隷を、たった2人で助け出した者たちがいた。1人はタイの魚人 フィッシャー・タイガー。そしてもう1人は、子どもの姿をしていたらしい。」
いや、離して。まじで。
「紅い外套を身に纏い、魚人の背に捕まりマリージョアへと乗り込んだ子ども。かつて、天竜人の奴隷だった者はこう言っていた。」
「地獄の底で神を見た、と。」
「!!」
まずいっ、まずいまずいまずい!!逃げないとっ。
「知らないです。いい加減に...!」
「あくまでもシラを切るか。仕方がない。少し手荒になるが、赦せよ。」
既に手荒な件。
悲報:初対面の相手の腕を掴み路地裏に連れ込むのは手荒でも何でもないらしい。(彼社比)
つらたん。
瞬間、見えない刃に身体中を切り裂かれる。しかし、本来なら出来るはずの傷は無い。代わりに、身体が赤く、燃えて。
「ぐ、ぅう...!?」
「やはりお前は紅衣の王だ。あの...。」
「ぁぁぁぁあああああ''あ''あ''っっっ!!!!い、ぎぃ、、あ、つい...!あついあついあついあついあついあついあついぃぃいいいいい''い''!!!」
「!?」
ペン...ダント!!ペンダントペンダントペンダントペンダントペンダントペンダントペンダントペンダントペンダントっ!!!!
「ぐ、ぁあ、は、ぁ、はぁっ、はぁっ...!」
「どういう...ことだ...。
あ、やば、フードと眼帯が...外れ...。
&&&
男は歓喜した。長年探し続けてきた人物が、ついに見つかった、と。しかし、喜びのあまり事を急いてしまったことを後悔することになる。
病的なまでに白い肌。白金色の髪。そしてほんの一瞬ではあったが、男は確かに見た。眼帯の下に隠された、アメジストの様な紫の瞳。光に照らされたその瞳は、伝承通り赤にも藍にも見えるのだろう。それは、紛うことなき。
気絶した小さな身体の青年を抱きかかえ、悲痛な面持ちで独りごちる。
「よもや...
「だが、お前には我々の象徴となってもらわねばならんのだ。その運命に屈さぬよう、俺が鍛えてやる。共に世界を変えよう。」
青年を丁寧に抱え直した男は、空が雨雲に覆われ雨が降ってきたことを確認し、ある場所へ向かう。
そこには、海軍と戦闘する息子の姿があった。
「悪運尽きたな、麦わらのルフィ!」
「そうでも無さそうだが?」
「!?政府はテメェの首を欲しがってるぜ...!」
海軍の男は驚愕する。ここに居るはずの無い人物が居ることに。
「なんだ!?誰だ!?誰だ!?」
「世界は我々の答えを待っている!!」
突風が吹き荒れ、息子の身体を攫っていく。上手く仲間と合流できたらしい。船へ走り去る背を見送り激励を飛ばす。
「フフ...行ってこい!!それがお前のやり方ならな!!」
「何故あの男に手を貸す!?ドラゴン!!!」
「男の船出を邪魔する理由がどこにある。」
己の声が届いたのか、息子が振り返る。そして、その顔色が驚きに染まる。
「ソラぁあ!!!!!!!」
「!?まさか!」
ピクリ、と。両手に抱える青年が動き、そして。その眼が開かれる。
「っ! ?''■■空■・
「ぐっぉお!?」
&&&
「...っ!?」
なんでこいつの顔がこんなに近くにあるんだよっ!?っとか言ってる場合じゃねぇ!!とりあえず、吹き飛べ!!!
「''■■空■・
「ぐっぉお!?」
よっし、不意打ち成功!!みぞおちにぶちかましてやったぜ!!ざまぁ!!さぁ逃げろっ。あっ、ルフィが居た!!りょーかいそっちな!!!
「はぁっ!?!?おい、待ちやがれテメェ!!」
は!?あっ!?スモーカーじゃん!!わーハンサム!!でもすまん!!今は無理!!!
「待てっつってんだろうがァ!''ホワイト・アウト''!!」
うっわ煙じゃん!だる!!でも割と遅いな、何とかなりそ!!
「''
「なんだと!?」
目くらまし完了、辺り一面は霧の海だ。見聞色でもない限りは察知不可能だろう。そしてこの霧はただの霧じゃない。
ビュォオオオオオオン!!!
「...は!?」
ちょ、ま、は!?!?いや、は!?!?!?秒で消えたんやが!!!(激怒)あ、でもなんか知らんけどスモーカーも飛んでった。
ひぇっ、フード野郎と目合った。ブルブルブルブル。
「フフ...!なるほど、ルフィの船に乗っているのか。血は争えんな。」
こわ。なんか笑ってる。
「行け!!!次に会った時は、お前を攫うぞ!海賊とは奪うものだろう?つまり、奪われるのもまた海賊という訳だ!」
言ってることあたおか過ぎてやばたにえん。何でも良いけどもうこの人と関わりたくない。こわい。さよなら!!!
いつの間にか雨降ってるしぃ!!!最高かよ。ぅぅうなれ僕のアキレス腱んんんん!!!!
この話は、まっっったく考えてなかった内容です。
まじで、書きながら、考えました。
思いつくままに。さぁどうなる事やら。。。