器用貧乏な麦わらの一味   作:millseross

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アラバスタ編
はらんなか!


現在、リヴァースマウンテンの海路(山)を下り急加速中。目の前に、山。ではなく、クジラ。クジラ。クジラぇぇぇ。これアイランドクジラやろ。クソデカナメクジかよ。クジラだっつってんだろ。

 

ブォオオオオオオオオオ!!!

 

「ここまで近づくとただの壁だな!まず目はどこだよ!?」

 

「あっ、そっか!向こうが私たちに気づいているとは限らない!」

 

「まだ気づかれてないよ。意識はレッドラインに向いてるみたい。」

 

「左に抜けられる!取り舵だ!!」

 

おっけー、取り舵。進みまーす。え、ちょ、水圧に負けて舵が...!ふんぬぅぅうおおおおお!!!!

 

「そうだ!!良いこと考えた!!」

 

良いこと。(警戒)まってやめて!今やってるってば!!

 

ドゥウウン!!

 

嘘だろ!?だから今やってるってユッケジャン!!(パクリ)噛んだ、言ったじゃん!!言ってないけど!!(ボロボロやな)あれ、でも気づかれてない。いや、なんか当たったなー位には思われてそうだけど。奇跡か?

 

ばきん。と嫌な音。

 

めっ!?メリーーーぃぃいい!?!?!?うぉぉぉおおおおおい!?く、首ぃぃいい!?

 

お前の犠牲は無駄にはしない!(最低)

 

よし、よしよしよし!抜けそう!いけるいける、このまま!!このまま!!(大事なことだから2回言った)

 

「オレノ...特等席...!お前ぇえ、おれの特等席に何してくれてんだぁぁあああ!!!」

 

「「「「アホーーー!!!!」」」」

 

眼球を殴る。パワーワード。しかも効いてねぇし。あ、こっち見た。え?ちょ、ちょっと可愛いじゃん?まん丸おめめが素敵ですね。(イケボ)

 

「かかってこいこの野郎ぉ!!」

 

「「てめぇもう黙れ!!!」」

 

こんな時にコントやめてぇ。吸い込まれてるってやばいやばい。呑まれた、終わった。最悪ゾロと2人で中から斬りまくって風穴空けるしか。可愛いからそんな事しないけど。

 

とか思ったら空が見える。てかいつの間にかルフィ居ねぇ。1人だけ呑まれるの回避したん?ずるくね?

 

「こりゃ、夢か?」

 

そうかも。クジラの腹に大空を見た!!(髑髏の右目に黄金を見た風に)まぁ偽物の空だけど。

 

「この空、絵だよ。本物じゃない。」

 

「絵ぇ?これがぁ?なんでわかるんだよォそんなこと〜。」

 

テンション低いなウソップ。いつもの陽気なキャラに戻っておくれ。

 

「太陽がないのに空が青い。雲が動いてない。肌がヒリヒリしない。」

 

ほれ、手出してもなんとも無い。人生で初めてこの体質が役に立ったな。皆も納得してる。せやろがい。なんか水の中から近づいてくるぞ。

 

「で、あの島と家はなんなの?」

 

「幻だろ。」

 

「じゃ、これは?」

 

「「...ダイオウイカだ!?」」

 

出現と同時に刈り取られたイカ。イカって...美味いよなぁ。あれ潜って拾い上げてくれないかな、サンジ。イカ食べたい。あ、浮かんできた。ラッキー。

 

「人が居るらしい。」

 

「人だと良いな。」

 

「そこは保証する。まぁどんな人かは知らないけど。」

 

出てきた。...ん、?あれ、あの特徴的な頭は見覚えが。

 

「花だ!いや、違う!花頭の人だ。」

 

わぁー、懐かしい。何年ぶりだろう。

 

「何もんだあの爺さん。ダイオウイカを一撃で仕留めやがった。」

 

めっちゃサンジと睨み合ってる。ポッキーゲーム方式な!!目逸らした方が負け!!

 

あ、新聞読み始めた。はい、クロッカスさんの負け〜!!(煽り)

 

「なんか言えよてめぇ!!?」

 

今日もツッコミが鋭いね。そういや、なんであんなムスッとしてんだろ。便秘か?もういい歳だからなぁ。元気なジジイなんていっぱいいるけどな。

 

「や、やるなら戦るぞ、この野郎!!こっちにゃ大砲があるんだっ!」

 

ほ?珍しく交戦的じゃん。大砲ごときでどうにかなるような相手じゃないけどな〜。

 

「止めておけ、死人が出るぞ。」

 

「へぇ、誰が死ぬって?」

 

「私だ。」

 

「お前ぇかよ!!!!!!」

 

コントかよ。おもろ。

 

ゾロがなんか質問してる。人に名を尋ねる時はまず自分からだってクロッカスさんに説教されてるわ。そりゃそうだわ、ナイスブシドー。

 

「私の名前はクロッカス。歳は71歳。双子座AB型だ。」

 

「アイツ斬っていいか!?!?」

 

知り合いだからダメ。

 

「で?そんな所で何をしているんだ、お前は。」

 

「「「「...!?」」」」

 

やーん、みんな一斉に僕を見てる。照れるわァ。そんなにこの顔が(ry。

 

「久しいね、クロッカスさん。」

 

「ソラ、あんた知り合いなの?」

 

うん。顔見知り程度には。応急手当のやり方とかはこの人に教わったんだよ。教え方が丁寧で凄くいい先生だった。

 

「まぁアレに比べたらな。」

 

「その話はしたくない。」

 

何わろてんねん。こっちは毎度毎度死にかけたんや。怪我してもあんたが治すから、また直ぐに修行という名の拷問が始まったんだよ。負のスパイラル。

 

「ってことは、医者か?」

 

せやな。ハイパーウルトラグレートデリシャスワンダフル凄腕の医者。

 

「いやどんだけだよ。」

 

マジなんだよなぁ。

 

「うぉっ!?なんだ、急に動き始めやがったぞ!!」

 

「溶ける前に出ちまおうぜ!出口はあっちらしい!」

 

なんで出口あるの?ん、てかそもそもクロッカスさんは何故ここに??

 

やばい情報過多すぎて処理が追いつかねぇ。しかもなんか、人の気配が。

 

お?ルフィと、知らん2人が吹っ飛んできた。こいつらか。胃酸の海に落ちたけど。ほっときゃ死ぬなぁ。助けるのは良いんじゃが、いかんせんカナヅチなもので。

 

おまいらメリーに土足で上がるとは良い度胸じゃん?

 

「私の目が黒い内は!!ラブーンに指一本触れさせん!!!」

 

「「我々はもう腹の中!この胃袋に風穴を開けることだって出来る!!」」

 

え、僕と同じこと言ってるじゃん。冗談のセンスが似てんのかな。は?何バズーカほんとに撃ってんの?冗談じゃなかったの?クロッカスさんも庇おうとしてるし。いやいや、普通に無理なんだけど。全く許容できない。治せるから傷つけて良いとでも思ってんのか??そういう謎理論で武装して弱いものいじめする人苦手〜。

 

「''刃技(じんぎ) (あま)綴雪(つづりせ)(ごう)''。」

 

「「はっ!?!?」」 「むっ!?」

 

斬撃が胃酸の海を突き進み、砲弾とクロッカスさんの間に雪の壁を作り上げる。それがクッションとなり、誰も砲弾の被害に遭わなかった。クロッカスさんも、アイランドクジラも。

 

結果論だけど。

 

「きっさまぁ〜!邪魔だてするとタダじゃ...ぎゃぁ!?」

 

なに?こいつら。普通に意味不なんだけど。なんでお前がキレてんの。顔見えてない筈なのになんか怯えてるし。認証バグか?

 

「とりあえず凍っといてよ。邪魔だから。」

 

 

&&&

 

 

このクジラがラブーンという名前であること。50年もの間、いずれまたここに来るであろうかつての仲間を思い続けていること。レッドラインに、頭をぶつけ続けていること。

 

クロッカスさんから話を聞く限り、その仲間たちは恐らく死んでる。でも、ラブーンは生きてると信じて、1人で吠え続けているらしい。

 

50年かぁ、壮大な話だな。前世と合わせてもそんなに生きてないし。想像もつかねぇ。パないの!(吸血鬼)

 

うわ、外に出ちゃった。しっかりフード被っとこ。今までも被ってたけど。あと傘も忘れずに。

 

不審者2人も海に蹴落としたらなんか言いながら泳いで消えた。バイバイベイビー。

 

「しっかし随分待たせるもんだなぁ、その海賊は。」

 

「アホか、ここはグランドラインだぞ?2,3年で戻るつって50年戻らねぇんだ。死んでんだよ、答えは出てる。」

 

同意見。まぁ死んでると見限るのか、生きていると信じて待ち続けるのかは当人(当クジラ)次第だから、外野がごちゃごちゃ口出しする話でもないけど。

 

「てめぇは何でそう夢のねぇことを言うんだよ!わっかんねぇだろうが!美しい話じゃねぇかよ、仲間との約束を信じ続けるクジラなんて!」

 

夢のないことととるのか。なるほどねー、僕はすごく現実的だと思ったけど。

 

「だがその仲間達は逃げ出した。季節、天候、海流、風向き。その全てが常識におさまるものではない。自身の持つ常識その全てが通じぬ海で航海し続けられるのは、確かな心の強さを持つものだけだ。」

 

まぁ生きてるにせよ、死んでるにせよ。もうラブーンがその仲間たちと生きて会える日が来るとは思えないな。

 

ラブーンはきっと、クロッカスさんの話を理解してる。その上でなお信じ続けてる。僅かだけど、また会えるという可能性は確かにあるから。

 

僕なら無理。そんな心の強さは持ってない。だから、ラブーンを心の底から尊敬する。すげぇや。

 

「ぅぉおおおおおおお!!!」

 

めずらしくしんみりした空気出してたのに1人平常運転な奴がいるな。ほぼ垂直なクジラの身体を登ってんだが。なんだあれ、どこの船長だ?(すっとぼけー)つか手に持ってるそれ、メインマストって言わない??

 

「ゴムゴムのぉぉおお!!生け花っっ!!!」

 

ルフィ生け花って概念知ってるの?まずそこに驚き。そんな教養高いように見えないけど。(超失礼)

 

「ブ、ブォオオオオオオオオオ!!!?」

 

「「「「何やっとんじゃお前ぇええ!!」」」」

 

超ハモってんな。

 

「ソラ!!!何とかしろお前の船長だろうが!!!」

 

「いや無理。」

 

何とか出来た試しがない。うーわぁ、アイランドクジラと喧嘩する人間を初めて見た。あれを人間とカウントして良いのか疑問だな。頑張れラブーン!!お前なら勝つる!!(おい)

 

「引き分けだっ!!!!」

 

引き分けかぁ。そういうシステムね。言ったもん勝ち、的な。

 

「俺とお前の勝負はまだついてないから、俺たちはまた戦わなきゃならないんだ!お前の仲間は死んだけど、俺とお前はライバルだから!!」

 

「俺たちがグランドラインを一周したら!!また!!もう1回喧嘩しよう!!!」

 

クジラと人間の友情が芽生えた瞬間に立ち会えたことは、多分人生の宝になるはずだ。

 

こういう時、あぁルフィに着いてきて良かったなぁって思える。器がでかいと言うか、なんというか。豪快だよな。知ってたけど。

 

ちなみにラブーンの額に描いた絵は爆笑しすぎて腹筋崩壊した。崩壊したのは腹筋であって表情筋では無い。

 

さて、アフターケアが必要だな。なんのって?もちろん、メリーのメインマストと船首だよ。(ブルブル)おい、昼寝をするな寝太郎剣士。手伝え緑ゴリラ。

 

「ウソップ釘打ちお願い。」

 

「おうよ!ってうぉお!?すげぇ!?段面が綺麗になってる!?あんなにバッキバキだったのに!」

 

「頑張った。」

 

超削った。かんなとヤスリで。でも途中で気づいたんだ。これ、刀で斬った方が早くね?って。ゾロに任せれば良かったんだよ!!これも修行だろ?え?出来ないの?(笑)未来の大剣豪ともあろう者が?(煽り)って。一生寝てやがるんだこいつ。アロンアルファで口を接着してやりてぇ...。

 

「あーーーーっ!?!?コンパスが、壊れちゃった...!!」

 

「おい、お前たち。ソラに何も聞いとらんのか?呆れたもんだ、死にに行くのと変わらんぞ。」

 

「どういうこと?」

 

「グランドラインに浮かぶ島々は、それぞれが磁気を帯びている。通常のコンパスなど何の役にも立たん。」

 

「し、知らなかった...。あんた知ってたのね!?教えなさいよそういうことは!!あらやだ、スベスベ。」

 

「きかれへなひもん。」

 

いひゃいいひゃい、やめ、ちょ、や、やめろよ!!!!頬をつねるな!!!顔はダメって言ってるだろ!!!!そういうのはルフィにやれよ!!!面白いから!!!

 

「船長を売るんじゃねぇよ。」

 

船員に売るならセーフじゃね?

 

なんやかんやあって、クロッカスさんからログポースを貰い(僕も持ってるけど)、これまたなんやかんやあってあの怪しい2人が交渉しに来てる。船に乗せて欲しいんだと。

 

「ウイスキーピーク?何だそれ?」

 

「我々の住む町の名だ...です。」

 

「ふぅん?クジラを殺そうとしてソラに邪魔されて、悪態付きながら逃げた挙句、船がなくなったら掌返してそこへ連れてけって?すこーしムシが良すぎるんじゃない?」

 

「そもそもお前ら何者なんだよ?」

 

「王様です。」

 

「へぇ...?どこの?なんて言う所?人口の数は?土地面積は?その土地の特産物は?気候状態は?植生は?何が有名?そもそも君らの名前も知らないね??」

 

「「ひぇっ...。」」

 

「落ち着けバカ。」

 

至近距離で詰問してたらゾロに襟首を掴まれた。バカにバカって言う方がバカなんですぅ〜!あれ?今認めなかった?

 

つぅかー?王(笑)がこんなところで何やってんだよ。僕の知ってる王族なんて、城下に降りただけで臣下たちが大騒ぎするぞ。

 

「「言えません!!しかし町に帰りたいのです!!受けたご恩は必ずお返しいたします!!」」

 

...ふーん。なんだ、ふざけた態度じゃなくって、(おまいう〜〜〜)ちゃんと頭下げられるんじゃん。ちょっと見直した。

 

「いいぞ、乗っても。」

 

言うと思った。僕も最初よりは嫌悪感薄まったな...かな?やっぱり人間、正直が1番だよなぁ?面の皮厚あつ選手権なら負けねぇけど!!!

 

ん?なんかあっちでクロッカスさんが呼んでる。なんじゃらほい。

 

「ソラ、義眼の調子はどうだ。」

 

「特に問題ないよ。でも、やっぱりバレる人にはバレる。」

 

「ほう?気づいたやつが居るのか。誰だ?」

 

「鷹の目。」

 

「鷹の目ぇ?わはははは、なんだ。目をつけられたのか?まぁ、お前はこんな入り口に居るような実力じゃないことは確かだな。」

 

しらん。稽古みたいなことされた。ちなみに拒否権は無かった。うぇぇえーん、鷹の目に傷物にされたよぉ〜。もうお婿にいけなーい。じいじ〜。(ぴえん)

 

「それで?情報は集まったか。」

 

「ぜーんぜん。最近は特に動いてないし。この船乗ってると、そんな時間無いから。」

 

「わはは、随分気に入ったらしい。」

 

「ま、ね。シャンクスのお気に入りなだけあって、面白いよ。ルフィは。」

 

帽子と左腕を賭けるくらいだからなぁ。相当入れ込んでたんだろ。

 

「だろうな。さぁ、呼ばれているぞ。ログが溜まったらしい。もう行きなさい。」

 

うん。それじゃあね、クロッカスさん。またいつか。

 

「あぁ、いつか。...ソラ!」

 

どしたん。

 

「たまには、連絡の1本でも入れてやれ。声を聞いたら、安心するだろう。お互いにな。」

 

「あー、まぁ、機会があれば。」

 

「なんだその腑抜けた返事は。なんなら儂から一報を...。」

 

「ぜっっっっったいやめて。」

 

「わははは。」

 

笑い事ちゃうねん。死活問題やぞ。どんだけ虐められたと思ってんだよ。...まぁ感謝もしてるけど。

 

それじゃ、クロッカスさん。行ってきます。

 

「あぁ、果てまで行ってこい!」


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