器用貧乏な麦わらの一味   作:millseross

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僕がやる

「ねぇ、あれ大丈夫なの。」

 

「いや、まずいだろ。敵挟んで寝ちまってんだから。」

 

「だよね。」

 

左側に男女4人組。右側に新たな男女2人組。その間に挟まれる、腹を風船のように膨らませた我らが船長、ルフィ。

 

あれ、仲間割れか??攻撃しだしたぞ。ルフィに当たらないよね?あぁ、ゴムだから銃は効かないのか。えっ、ちょまっ、銃じゃねぇんだけど。爆発したんだけど!?

 

「罪人の名は、アラバスタ王国 護衛隊長イガラム。そして、アラバスタ王国 王女 ネフェルタリ・ビビ!!」

 

...ふぁっ!?え、あっ、あっ、あぁーー!?!?ビビってビビ!?!?えっ、お前ビビやったんかーーーい!!そういえば髪が水色!!(気づけ)カルガモ!!(気づけ)カルガモ可愛い!!(今じゃない)

 

はっ!?鼻くそ爆発したァぁあーーー!!!さっきの爆発これかよ!!!やばぁ、ばっちぃ。えんがちょ!

 

あれ?ゾロがいつの間にか戦闘の渦中に。

 

「お願いしますどうか!!!たすけてください!!!王女をアラバスタ王国まで送り届けて下されば!!莫大な恩賞を必ず貴方がたに!!!」

 

「その話、乗った♡10億ベリーでいかが?」

 

ナミだ〜。起きてた。つか自分を10億で売り込むって相当な自信家だな。すげぇぞ。めっちゃ驚かれてる。そりゃそうだわ。一家臣が即決で判断できるような内容じゃない。が、そうも言っていられない状況なのも確か。つまりどういうことかと言うと。

 

「どうするの?10億の恩賞を約束するのなら助けてあげる。そうしないと、王女様、死ぬわよ?(にっこり)」

 

こわい。究極の二択過ぎて。まぁ僕ならとりあえずOK出しといて、王女が助かった後で上に投げるかな。まずは何にせよ、王女の命を最優先に考える。

 

「わ、私のような一兵隊にそんな大金の約束は...っ!」

 

「なに?まさかとは思うけど、自分の仕える王女の価値がそれ以下だって言うのかしら?」

 

「イイから出せ♡」

 

「脅迫じゃねぇか。」

 

悪魔的だぁ。(賭博)吹っかけるにしてももっと希望を持たせてあげて。

 

「...!!王女に直接交渉して頂ければ確実です!!」

 

「ふぅん。まずは助けろって訳ね。」

 

「今!こうしている間にも王女の命が!!!」

 

「はぁ、分かったわ。さぁ!!!行くのよゾロ!!ソラ!!」

 

いや草。10億で売り込んだのは自分じゃなくて仲間かぁ。信頼されてるのか利用されてるのか分からんな。

 

「行くかアホがっ!!!」

 

「あーもーバカねー。私のお金は私のものだけど、私の契約はあんたら全員の契約なのよ!」

 

「どこのガキ大将の理屈だそりゃ!!!」

 

おぅーまえのものは、オレのものぅ!オーレのものも、オレのものぅ!!っとくらぁ。

 

ちょっと斬って来ればいい。アホコックと違って使われるのが嫌い。勝てないの。んだとこらぁ。

 

わちゃわちゃしてんなよ!!!

 

「先、行くから。」

 

「えぇよろしくっ!気をつけなさいよソラ!」

 

「てめっ、マジで行く気かよ!?」

 

きぃつける。つか、ゾロがナミに口で勝てるわけないんだから、遅かれ早かれ行くことになるんだよ。別に僕、人助け嫌いじゃないし。

 

 

&&&

 

 

走る、奔る、疾る。

 

爆発男の後ろ姿が見えた。怪力な女性が倒れてる。ビビが傍で狼狽えてる。このままだとビビもやられそう。間に合え間に合え間に合えっ!!

 

「爆ぜろ、ネフェルタリ・ビビ!!...あぁ!?なんだこれ、傘!?なんで壊れねぇ、破れねぇ!?」

 

あっっっぶな。さすがに今のは冷や汗かいたわ。折角の良い夜なのになぁ。結局こうなるんだ、海賊って。

 

「あっ、あんたさっきの!くっ、こんな時に!!」

 

変な刃物を振り回して近づいてくる王女こわ。咄嗟に腕掴んじゃった、不敬罪とか言わないで?てか爆発防いだんだから護りに来たって察してよ。無理か。さっきまでバチバチやり合ってたんだから。僕が相手したのはモーツァルトモドキだけど。

 

「御無礼をお許し下さい、アラバスタ王国 王女 ネフェルタリ・ビビ様。貴女様を無事祖国へ送り届ける依頼を引き受けさせて頂きます、麦わらの一味が1人、ソラと申します。」

 

お見知り置きを。

 

依頼を引き受けたからには、これは仕事。礼に始まり礼に終わる。これ、大事。必殺仕事人は所作も一流なのだ。

 

「まずは目先の火の粉を振り払います。僕の後ろに居て下さいね。」

 

「!」

 

問題無い。この立ち位置なら、あとから来るだろうゾロと挟撃に持ち込める。2vs2になろうが1vs1になろうが、どっちにしろ負けるとは思えない。

 

ボカァァアアアアンっ!!

 

え、なんか向こうでエグい音した。建物が崩れるような。なんなの、新手?ゾロはそっちに対応してんのか?1vs2だとちょっと面倒くさいぞ。救いなのはどっちも武器を所持してないってこと。つまり徒手空拳か、能力者か。はたまたどちらもか。男の方は能力者であることはほぼ確だけど。接近戦も得意ならやりずらいぞぉ。どうしよ。

 

「お前1人か、傘野郎。お仲間も居るようだが、見捨てられたか?」

 

「きゃははは!かわいそー!」

 

いや、それは無い...と思いたい。たぶん。ナミなら有り得る。

 

「君ら2人だけ?」

 

「あぁ、お前ごときを殺すなんざ、俺たち2人で十分お釣りが来る。」

 

ふーん。素朴な疑問なんだけど、明らかに向こうで戦ってる気配の方が強そうなんだよね。君ら下っ端だから知らされてないだけなんじゃないの?ほんとに強いの来てない?大丈夫そ?(下心なし)

 

「「...、!(ピキっ)」」

 

「ちょ、挑発しちゃダメ!そいつらはMr.5とミス・バレンタイン!!エージェントの中でも指折りの強さで上から5番目なの!!オフィサー・エージェントの一角よ!!」

 

上から5番...ほぇぇ〜。それ凄いん?ごめ、組織の規模が分かんないから何とも言えないんだけど...。エージェントって何人?男女合わせて6人くらい?

 

「「(ブチッ)」」

 

「だから挑発しないでって言ってるでしょ!!」

 

いや、素朴な疑問言うたやん...。ピキんなよ、煽り耐性ZEROか?

 

「どうやら自殺志願者らしい...良いだろうそこまで望むのならァ...!俺のこのボムボムの実の能力で殺してやる!!」

 

「きゃははは!!Mr.5がお前を爆破した瞬間に、私のキロキロの実の力で上から押し潰してあげる!!」

 

なんだ煽り返しか?ぼっちにその程度の煽りは効かねぇぜ!!

 

ボムボムってことは起爆人間って訳ね。強くね?そういやボムってパラミシアなん?ロギア??まぁ攻撃すりゃ分かるか。

 

んで、キロキロの実。ふわふわ浮いてるところを見るに、体重操作人間って訳か。強くね?(デジャヴ)おまいらこんな所に居て良い強さなん?(ブーメラン)

 

いやまぁ、能力は強いけど使い手はそうでも無い、のか?さっきも言ったけど、向こうの気配の方が強いし。少なくとも頭は悪そう。だってわざわざ攻撃方法教えるくらいだし。ボムで爆破した後にボディプレスね。おっけー把握。

 

さっきから向こうでバッチバチにやり合ってる奴らさぁ、片方はゾロなんだろうけど。こんだけ破壊音続くってなんなの。どんな戦闘だよ。

 

久々の良い夜に響く音が風の音とか鈴虫の鳴き声じゃなくて破壊音と爆発音とか。さっきの晩酌のひとときとギャップが有りすぎてお腹いっぱいです。

 

「何ボーっとしてやがんだテメェ!!舐めやがって!!鼻空想砲!!!」

 

あー、これ避けたら後ろに被害が出るな。避けるの禁止とかどんな縛りプレイ?とりあえず傘広げて防ぐけど。

 

ボカァァアアン!

 

「ちぃっ!どうなってやがんだあの傘は!!」

 

どうなってるんだろうねぇ。(哲学)

 

魚人がぶん回しても壊れないんだってよ。ホントかどうかは知らないけど。ちなみに僕は信じてる。

 

「魚人だぁ...?んなもん俺の爆発でやれねぇわけねぇだろうがっ!!おらぁっ!!」

 

「あたしを持ち上げられる魚人なんて居ないし!!」

 

おっ、爆発男が接近戦に持ち込んできた。うーん、こっちの方が厄介かな。中距離爆撃は別に悪魔の実じゃなくても再現出来る。でも近距離爆撃かつ自分への被ダメージは0ってなったら、近づいたらほぼ勝ち確だもんな。威力によるけど、この爆発普通に強いし煩い。しかも全身起爆とは。1級品と言っていい能力だ。

 

でも。

 

「もったいないな。」

 

「あぁ!?」

 

「接近戦を挑んできた割に、全く武術の心得がないらしい。」

 

「...っちぃ!」

 

手のひらや拳、ラリアットを仕掛けてくるが全て大振り。当たれば衝撃と同時に爆発が起き、2重のダメージを喰らう。当たれば、だ。

 

攻撃の尽くを傘で防ぎ、爆風も爆炎も全く寄せ付けない。爆煙が立ち込め辺りに充満する前に、傘を一振りし煙を散らす。

 

こうでもしなきゃ、一酸化炭素中毒にでもなったら大変だからな。

 

ところで、何だろう、この。めっちゃ美味しそうな見た目のスイーツなのに、食べてみたら悪い方に期待を裏切ってきた感。マジカルホップキューティーマカロン★って感じなのに、味と食感はよもぎ餅、みたいな。いや、よもぎ餅好きだけどさ?

 

「足はどうした、動いてないよ。全身起爆できるんなら、頭突きに足裏、肘や膝でも攻撃すりゃ良い。こんな風、にっ!」

 

「ごはぁっっ!!」

 

膝蹴りで吹き飛ぶのか、思ったより軽いな。さっきの怪力さんくらい鍛えてて、多少なりとも武術をおさめていたのなら。相当苦戦を強いられた筈だ。見れば筋肉の付いてない細めの体付き、踏ん張りも効いてない。身体の使い方がなってない。だからこんなに簡単に吹っ飛ぶ。

 

「もったいないねぇ、君。」

 

「1万キロプレス!!!っあーもー!よけるなあたんないでしょ!!」

 

ひょいっ、と。本来なら爆煙に紛れて空を飛び、敵の油断した所にって連携なんだろうな。でも残念、煙は吹き飛ばした。まぁあったとしても眼で見てる訳じゃないから僕に意味ないんだけどね!

 

「うーん。君も、惜しいなぁ。」

 

「っきゃぁあ!!」

 

体重を軽くした瞬間を狙って、ボム目掛けて蹴り飛ばす。ほっとんど重さを感じなかったぞ、すげぇな。ダメージもあまり入ってない筈だ。抵抗力がほぼ零だったし。

 

別に高く飛ぶ必要ないよな、この能力。狙撃されたら終わるし。1万キロなんてそうそう持ち上げられるやつ居ないだろ。(前半では)体の一部に触れた状態で1万キロにしたら、ごっそり肉持っていけそうだよな。頭に手を置いて加重したらもげるんじゃない?首がレってなるんじゃない?グロ。

 

もしくは体重を極端に軽くして高速移動で敵を翻弄し、強制的に隙を作り出した後に必殺の一撃をぶち込む、とか?

 

つまり2人とも課題は似てる。いかに相手に近づき自分の制空権を押し付けるか。これに尽きる、気がする。僕も免許皆伝とかじゃないから詳しいとこは分かんないけど。

 

んで、それをやるからには少なからず武術の心得が必要だ。つまり、師が要る。ちなみに武術を習うなら、オススメの師匠は魚人です。

 

にもかかわらず、この2人はまっっっったくダメ。ほんっとうにもったいない。

 

「なってないよ、君ら。出直しておいで。」

 

「''■人空■・人技(じんぎ) 掌底波状槌(しょうていはじょうつい) 蓮華(れんげ)''」

 

「「ぎぃゃああああああああ!!!!」」

 

はぁ、なーんかテンション上がんなかったな。まぁ戦闘を楽しむタイプでも無いからね、僕って。戦わなくて良いならそうするし。

 

「うそ、でしょ...!あの2人が、まるで子ども扱い...。なんでこんな強い人が、こんな入り口に。」

 

子供ねぇ、まぁ似たようなもんだよ。チカラに溺れて努力を怠る能力者なんて、存外あっさり負けるもんさ。なんでここに、の答えについては、故あって逆走したからね。

 

「お怪我はありませんか?ビビ王女。」

 

カルーも。じー。かわいい。かぁいい、かぁいいよぉ!おっもち帰りー!!(鉈女風)

 

「ぇ、えぇ。私とカルーは平気。」

 

とりあえず怪力さんについては、壁に体を預ける形で。火傷も顔に受けたっぽいけどあまり酷くない。日頃鍛えてたのが役に立ったんだな。

 

「なぜ私を助けてくれたの?」

 

「僕の仲間が貴女様の護衛の方と取り引きを行いました。成功報酬10億ベリーを条件に、貴女を助け祖国アラバスタへと無事に送り届けると。」

 

別に僕は10億ベリーが目的じゃなかったけど。

 

「なっ、それは...。」

 

「ソラー!ここに居たのかぁー!なっはっは、良かったぁ見つかって!」

 

「よぉ。」

 

「王女は無事みたいね!良かったわ、さすがソラ!バカ2人とは違うわ!」

 

「「...。」」

 

なんだなんだ、どういう事や。ゾロがボロボロ、ルフィもボロボロ。そして2人とも頭にアイスクリーム乗っけてる。ひぃふぅみーよー5段だな。次は5段を買っちゃったのか、ゾロ。痛そー(笑)

 

「テメェ明らかに楽しんでんじゃねぇか!!」

 

そりゃそうでしょ。面白いもん。バカ2人がバカやって拳骨されたんでしょ、どうせ。

 

「なっはっは、そーなんだよ。おれはてっきり、好物食えなくてゾロが拗ねて斬っちまったのかと思ったんだよなー。」

 

あ、なんかこれゾロ悪くない気がしてきたぞ。慰めた方が良さそ?

 

「いるかっ!!!」

 

「それで、ソラ。どこまで話したの?」

 

ん、とりあえず契約内容だけ。敵を倒した後、割と直ぐに3人が来たからな〜。何も話せてねぇや。

 

「そ、なら早速続きを話しましょ。」

 

はいな。

 

 

&&&

 

 

アラバスタの状況を聞き、全ての黒幕は王下七武海の1人であるクロコダイルであることが判明。うん、クロコダイルが敵ってことはなんとなーく知ってる。ほんとにぼんやりと。で、それを知っちゃったルフィ達は顔が割れてしまい、クロコダイル率いるバロックワークスその全てに命を狙われることになった。

 

ちゃんちゃん。

 

って感じで人生終わりそうなんだが。助けた見返りに刺客を寄越すのか、この王女は。ヤベェやつや。

 

そしたら臣下のイガラム(やっと名前覚えた)が、女装した状態で登場。ビビに扮しているとのこと。ドン引きだよ。僕みたいにマントでも被ってりゃええやん。アホの子なの?ご丁寧に口紅までさしてさぁ。

 

ふむふむ、あーなるほど、囮ね。ふぅん、この人自分の命を犠牲にして王女が生き延びる可能性を少しでも上げようとしてるのか。

 

なんだかなぁ。なんだろ、気に入らない。その考え、嫌いだな。

 

「死にたいの、君。」

 

「なん、ですと?私はビビ王女に仕える身です。例え私の命であろうと、私自身が勝手に落として良い訳がありません。」

 

「でも囮やるんでしょ?矛盾してるね。たぶん死んじゃうと思うんだけど。君、そんなに強くないし。自分でもそう思ってるんじゃない?」

 

「ちょっ、ちょっと貴方!そんな言い方っ!イガラムは死にに行くんじゃないわ!!私の身を案じてっ、」

 

いや、うん。それは分かるんだけど。でも敵の数も不明、強さも不明、手段も何もかも分からない状態で、なんで比較的弱い君が囮をやるの?殿を務めるのって、普通いちばん強い人じゃない?だってそうじゃないと、結局やられて終わっちゃうよね。不確定情報が多いのなら尚更、より多くの時間を稼ぐために、強いやつが残るべきだ。

 

「それ、僕がやるから。アラバスタへのエターナルポース、僕にちょうだい。」

 

「「なっ!?!?」」

 

「何を仰る!!出会ったばかりの貴方に向かって死んでくれと頼む訳にはっ!」

 

なんだ、やっぱり死ぬ気だったの。んじゃ余計にダメだな、許容出来ない。

 

「囮とか、殿ってさ。ほんの一欠片でも、死ぬかもしれないって思っちゃう人は、やっちゃダメなんだよ。だって、じゃないと、絶対に勝てない状況に陥った時。勝てるビジョンが浮かばない相手を目の前にした時。心がさ、折れちゃうから。」

 

「「!!」」

 

大切な人のために命を懸けて、大切な人のために身体を張って。それで自分が死ぬかもしれないと思ったら、大切だった人を死ぬ間際に恨んでしまう。なんでこんな目に、なんで自分がこんなことをって。呪いながら死んでしまう。

 

だから。

 

「絶対に死なない。必ず生きて、また会うんだ。そう思える人がやるべきだと思うな。」

 

「...それ、は。」 「で、でもっ!」

 

ルフィ。

 

「おう、良いぞ。」

 

うん、ありがとう。ごめんね皆。少しの間、船を離れるから。後のこと、よろしく。

 

「しっしっし!気にすんな!」

 

「また後で会うんだろ。」

 

「全くもう。意外と頑固よね、あんたって!良いわ、あとの2人には私から言っとくから。気張りなさいよ!」

 

そりゃあ助かる。特にサンジには、良い感じに伝えといて。

 

「イガラムさん。ちょーだい、それ。」

 

「...いいえ、渡せませんっ。」

 

えぇ、、だから君じゃ無理なんだってば。諦めなよ、これが一番合理的だつってんの。

 

「私も、貴方と共に参ります!!」

 

はにゃ。いや、それは、どうなの。

 

「確かにエターナルポースがあればアラバスタへ辿り着くことは出来るでしょう。貴方の強さも身をもって理解しております!しかし!!アラバスタへ着いたその後は?土地勘がお有りなのですか?」

 

...おぉ、盲点。たしかぁーに。そりゃ無いわ。砂漠ってことしか知らん。そして今、思ったことがある。そう、砂漠。

 

「ねぇ、イガラムさん。」

 

「はい。」

 

「君を吹っ飛ばしたの、僕なんだけど。僕の命令、聞けるわけ?」

 

「それでビビ様の命を、お守り出来るのなら。」

 

...。

 

よし、乗った。君は僕が守ろう。全力で。

 

「んじゃ、行こっか。」

 

「...はい!」

 

ビビがイガラムさんを呼び止める。そりゃ、助けられたとは言え、さっきまで敵対してたやつと自分を慕う家臣を2人で行動させたくはないわな。でもそこはどうしようもねぇ、信じてもらうしか。

 

「僕を信じる必要はありませんよ、ビビ王女。」

 

「えっ?」

 

「今ここで僕が、必ずイガラムさんを守りきり、アラバスタへ連れて行くと言ったとしても。貴女には信じられないでしょうから。」

 

じっと僕の目を見つめてる。多分フードに隠れて見えてないけど、見定めようとしてるのかな。フード、取るか。クロコダイルに顔バレるかもしれないけど。うん、それでも良いや。ここは、ちゃんと誠実に話したい。

 

「だから。貴女様がルフィ達と旅をする間に、ルフィ達を信じても良いと判断したのなら、その時は信じてあげてください。そしたら、」

 

ルフィ達が信じる僕を、少しは信じられるかも。

 

「!!...ありがとう。」

 

いいえー、とんでもない。

 

さーてとっ!久々のラーキレス号、出動だ〜!えい、えい、おー!!


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