器用貧乏な麦わらの一味   作:millseross

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アラバスタへ!

ヴォンヴォンヴォーーーーーーン

 

大草原は不可避だが、大爆発は可避である。ふははははは。とまぁそういう訳で、現在イガラムさんと2人で航海中なのだ。

 

そう言えば、巨大な亀に乗ってロビンがやってきた。今はミス・オールサンデーだったっけ。僕の顔は知らないみたい。良かった。ちなみにイガラムさんは超警戒してたわ。そりゃそうだよな、クロコダイルの相方やってんだから。

 

とりあえず爆発は演出だけで、実際に爆発する気はなかったとの事。それがホントか嘘かは分からんが。まぁどちらにせよ問題なく対処出来たからぶっちゃけどっちでも〜って感じ。あねあねリョーかいって言っといた。

 

貴方の船長にちょっかい出すけど許してね的なことを言われたが、全然いいよ〜楽しんでねって返したら意味深な微笑みを寄越して去っていった。何だったんや。ミステリアスぇぇ。

 

そして今は一刻も早くアラバスタへ辿り着くため爆走してる只中である。朝も昼も夜も関係ねぇ!!直進あるのみだぜぇ!!

 

毎回思うけど速い。まぁこのラーキレス号。名前の由来はアキレウスが関係してるから、速いのは当然なのだが。

 

もちろんイガラムさんにはちゃんと食事と睡眠をとってもらってる。ベッドもメインの方を使わせてるし。依頼人だからな、もてなさねば。ちなみにイガラムさんは僕が5徹してることは知らない。夜遅くに寝て、朝早くに起きてると思ってる。多分。

 

でも流石に5徹はきついぜ眠いぜ。そろそろ一旦補給もしたいし、どっか島ねぇかな〜。エターナルポースを使う航海って、確かに最速で目的地まで辿り着くんだけど。指針上に補給地点が有るかは割と運要素高めだから、普通は逆算してちゃんと物資を集めて出発するもんなんだ。

 

我々にそんな時間なかったがな!!!なんなら急いだ割に、バロックワークスの平社員共に追いつかれたし。追いつかれたというか、待ち伏せされてた感じ。まぁ本来そいつらを引きつけるために囮やってるんだ、引っかかってよかったと思うべき。当然、切り伏せた。

 

「ソッ、ソラ殿!このぎじ...まーまーまーまー♪この記事を読んで頂きたい!」

 

ん、なんぞ。ほんほんほん、ほー、なるほど。国王軍30万人が、反乱軍へ寝返ったねぇ。クソやばワロチ。まじのすけ?

 

「均衡が崩れる、よね?」

 

「あぁ、元々国王軍が60万に対し、反乱軍は40万の制圧戦でした!しかしこれでは、戦力が逆転してしまう!!」

 

いや半分も寝返ってんじゃんやばぁ。逆に何があったのか聞きたい。問。制圧戦、ほぼ確で勝てるのにわざわざ寝返るメリットを答えよ。情報工作でもされたんか?おまいらそれでも国王兵かぁぁ!!

 

 

30万vs70万か。1人頭2.5人やっちまえば良いって考えたら、そんなに難しい話でもないような気がしてきたな。あれれ〜、おかしいぞぉ〜?(謎推理)

 

「なりません!反乱軍であろうともアラバスタの民であることに変わりはないのです。国王様もビビ様も、国民全員を愛しておられる!民が傷つくことを望む王などおりませぬ!」

 

あぁ、そうか。反乱軍の人達は敵じゃないんだった。疑心暗鬼になり国王のことを信じたくても信じられなくなった人たちの集まりだった。国の内乱は対応が難しいなぁ。

 

まぁ今回は敵がはっきりしてるからやりやすいっちゃやりやすいか。

 

「なんにせよ、バロックワークスを潰せば良い話。急ごう。」

 

これまでのエンカウント数は大体500人くらい。全員沈めたけど、まだまだ居るんだろうなぁ。エージェントっぽいやつも居なかったし、アラバスタに集結してるって考えた方が良いか。

 

「えぇ...しかし、その前にどこかで補給を。たしかこの先には島があったはずです。無人で森しかない閑散としてる島ですが、補給はできるでしょう。」

 

「そ。」

 

んじゃ、行きますかね。いや待って、もう見えてね??あれじゃろ、森島。フォレス島と名付けよう。(思いつき)

 

「おかしい...ここは、こんなにも暑いはずがない。炎が見える訳でもない、何故こんなに気温が高いのだ。」

 

「ここ、なんか不思議な感じ。身体はここを拒絶してるのに、心は、魂は引き寄せられている、みたいな。」

 

「どういう事ですかな?」

 

さぁ??なんだここ。へんなの〜。まぁいいや、とりあえず物資調達。

 

「「ギャォォオオオオオ!」」

 

「イガラッパ!!」

 

はいズバん、と。ふーむ、動物も多い、木の実や果物、きのこ類。山の幸も豊富だ。植生的にも比較的温暖な島のハズなんじゃが。

 

島の中央に、何か有るんだよな。意味わからん気配が。生き物じゃない、んだけど。なんか濃密というか。密度高ーい、みたいな。

 

魂が震えてくらぁ!!!そして若干肌もピリついてくらぁ!!!

 

「この暑さは、確かに炎じゃない。ただの炎なら僕には効かない。肌がピリつくこの感じ...間違いない。日光だ。」

 

「日光ですか?陽の光は変わらず有りますが、特別何かがある様には見えません。」

 

そうなんだけど、んー、何だろう。変なんだよ、傘とマントはいつも通り完全防備なんだが、いつも通りで居られるような場所じゃ無いはずなんだよなぁ。こうやって中央の気配に近づけば近づくほど、この暑さは強くなる。

 

「ぐっ、はぁ、はぁ。ソラ殿、申し訳ない。私には、これ以上進めそうにありません。」

 

なぜ先に根を上げておるのか。

 

「そっか。僕、ちょっと奥まで行ってみる。先に船に戻ってて。これ、使っていいから。傘にも武器にも盾にもなる。」

 

人の気配は無いし、野獣の強さもそこまでじゃないからイガラムさん1人でも対応できると思うけど。一応傘を渡しておく。

 

「しかしそれではソラ殿が。」

 

問題ない。傘は無くてもフード被れば何とかなる。

 

「見て。地面に黒い粉みたいなもので線が書かれてる。ここら一帯をぐるっと囲んでるみたい。」

 

「これは...灰、のようですな。数年前、この島に来たことがありますが、こんなものは無かった筈。」

 

「つまり人工物。誰かが意図的にこの円を書いた。まるで、ここから先は禁踏区域(テリトリー)とでも言うように。」

 

「!!! 何者かが、この奥に?」

 

いや、それは無いと思う。人の気配は感じないから。

 

「人じゃないナニカなら、居るかもしれないね。」

 

「...ゴクっ。」

 

まぁ、とにかく僕だけ先に進むから。本来なら護衛しなきゃいけない立場なんだけど、この島には危険もあまり感じないし。何より、この先にあるナニカに興味が有る。

 

という事で、船でお昼寝でもしてて。じゃ。

 

線の内側に足を踏み入れる。その瞬間、線から空に向かってドーム状に半透明のオレンジ色の壁が突き上がる。きれー、結界みたい。ROOM!シャンブルス!!(笑)

 

でもこれ、何の意味が?特に何も無さそうなんじゃが。

 

あーるーこ〜♪あーるーこ〜♪わたっしはー原キー♪原キーでうーたーおーー♪

 

お、なんか建物がある。小屋みたいな。もちろん入るよなぁ!?当たり前だるぉぉおお!?!?

 

「おしゃまんべ。(意訳:お邪魔します)」

 

ふーむ、ベッドに机、椅子。そして。

 

「日誌、か。」

 

うわ、なんか汚ぇ。埃、じゃないやこれも灰か?黒灰だ。火山でも噴火したんけ?

 

まぁ汚れてるのは表面だけみたいだし。とりま手がかり(何の)はこれだけだ。すまんな、読むぞ。誰のか知らんけど。

 

【この日誌が読まれている時、私は既に死んでいるだろう。】

 

うむ。ありきたりな1文から始まったぞ。つか遺書かよこれ。

 

【私は転生者だ。ここはワンピースの世界であり、世界の狭間で出会った神に願い、私が望んでここに来たことを、まず初めに記しておこうと思う。】

 

いや、急に。しかも転生者ってコイツ立場同じ〜。同郷だし。ねぇ君どこ住み〜?地球〜。ま?僕もー。

 

【原作クラッシャーとしてNAISEIしたり俺TUEEEEしたり。そんな大きな希望と期待と好奇心を胸にこの世界へ舞い降り数百年が経った。転生してからずっと、私はいっっっっこうに原作キャラに会わなかった。何故だと思って調べてみると、なんとここはワンピースの過去の世界。ふざけろ神。あの芋ジャージぜってぇ許さねぇ。いつか焼き殺す。】

 

【海賊もまぁ居るには居るが、少ねぇから俺TUEEEEしても大して面白くない。NAISEIはそもそもの地頭が足りない。芋ジャージの神は私を見捨てた。手違いで殺し、手違いで転生とは。呪われたいのかあの芋ァ...!まぁ有名所は結構回ったが。

 

転生して悠久の時が経ち、ゴール・D・ロジャーが処刑され、海賊の時代の幕開けとなった。さぁやっと原作(それでも過去)が始まるぞと思ったその時には、すでに私の寿命は尽きかけていた。】

 

【私は死ぬ。じきに死ぬ。だが、こんな何も出来ないまま、なんの軌跡も残せないままでワンピースの世界から旅立っても良いものなのか。いいや、良い訳がない。(反語)私は、私の能力と私の残りの生命その全てを賭して、ここに創ろうと思う。】

 

【永劫輝く太陽を!】

 

【ここに来ることが出来るのは、私と同じ者だけだ。つまり、私の後に地球からやってきた転生者で、かつこの実の能力者となった者のみがこの部屋に来ることが出来る。】

 

【この実は特別であることを、既に感じ取っているかもしれない。そしてそれは正しい。悪魔の実は不滅。能力者が死んだ場合、その実はどこか別の場所でまた実る。しかし、次に能力者になった者はその能力をLv.1の状態から使用することになる。】

 

【だがこの実は違う。これは、人間の手によって作られたものでも、自然によって作られたものでも、悪魔によって作られたものでもない。芋ジャージクソ引きニートとは言え、正しく神に作られた実。】

 

【''ギラギラの実''とは、神造(じんぞう)の実である!】

 

【太陽は有り続ける。大空に、天空に、宇宙に。高く大きく偉大なその存在を、人は時として神と崇める。】

 

【私以外にも、この世界に転生を望み、最強の能力を欲する者は多く居たらしい。その全ての者に、あの芋ジャージはギラギラの実を与えたと言っていた。転生者は2人同時に存在することは無いということだ。】

 

【これを読んでいる君と話すことは出来ない。だが、君に残すことは出来る。私には辿り着くことが出来なかった。世界中の海を探し回ったが、一体どこにあるのやら。君がその場所を見つけてくれることを祈るとしよう。】

 

【餞別だ。君に力を授けよう。数百年を共にした私の力、きっと役に立つはずだ。どうせ、君も大冒険を繰り広げることになるのだから。】

 

【さぁ、掴むが良い!その掌に太陽を!!】

 

部屋の中に異変が起こる。

 

赤い、紅い、朱い。光と炎を凝集し濃縮し、爆発と破壊と再生を繰り広げているそれは。

 

小さな太陽が顕現した。

 

「ぐ、ぅぅううううう...!!!!い、ぎっ、あ、つ、いた、いっ...!!!」

 

左手を伸ばす。本来なら、普通であれば、サラッと掴む所なんだろうが。こちとら死活問題なんだよ。火傷した端から治っての繰り返しなんだクソ暑いわボケ。

 

「う、が、ぁぁあああああ!!!」

 

太陽に触れた、その瞬間。その莫大なエネルギーが掌から吸収されるのを感じる。エネルギーはそのまま肩口までを侵食し、手が、腕が。

 

「はぁっ...!はぁ、はぁっ!これは、太陽の...左腕。」

 

あかい、あかい腕。明らか人間のモノとは違う。人差し指を立てると、炎の玉が現れる。これも、極小の太陽だ。なんだこれ、マジか。

 

見た目、変えれる、、?あっ、できた。普通っぽい!

 

「チートじゃん...。僕芋ジャージとなんて会ってねぇんだけど。」

 

今まで、この体質でギラギラの実の能力は使えなかった。子どもの頃はこの体質もこんなに酷くなかったから使えてたんだが。体が成長すると共に、この体質もより一層厄介なものになっていったんだ。

 

能力が使えなくなるかもしれないと分かったから、あんなに地獄的修行の日々を過ごすことになったのだが。まぁ今はその話は良いだろう。つか一生話したくない。

 

とにかく、この左腕は太陽と同化したと考えて良いのだろう。日に当たっても痛くない。なぜって太陽そのものだから。つまり、この腕があればまた。あの時みたいに戦える...!!

 

「良い拾い物をした。感謝するよ、同郷さん。」

 

【P.S. 因みにこの技を''永久恒星''と名付けたのだが、どうだろうか?】

 

知らんわ。もう無くなっちゃったぞ、その永久恒星。

 

 

&&&

 

 

つ、ついたぁーーーーー。そして。

 

「無理。普通に無理。暑すぎて。」

 

「命令ってこれの事ですかソラ殿っ!?!?」

 

うん。イガラム特急、城までおぶってもらうんだ。あ、あそこなんかいっぱい人居るけど。海兵もいるね。

 

「あれは...どこぞの海賊ではっ!?いかん、民衆が人質に!!」

 

君が行ったらバレるでしょ。特徴的すぎるんだから。

 

「しかし、あれを放っておく訳には!」

 

「ほら、来た。」

 

「なっ、あいつはっ!!」

 

王下七武海の1人 サー・クロコダイル。アラバスタの英雄と呼ばれてるらしい。ヒーローねぇ。SMASH!!!ってか?どうみたってヒーローの顔じゃねぇけどな。

 

「騒ぐんじゃねぇ愚民どもが!!俺はお前らの命に興味はねぇ。ただ、そこの海賊共を狩りに来ただけだ。」

 

愚民て。クロコダイルって、こんなキャラなの?ツンデレなの?あ、民衆を騙してるんだった。騙すためにツンデレを演じてるの?なんでそのキャラチョイスしたんや。あの顔でツンデレは狙いすぎでしょ〜。ちょっとねぇ、あざといわよねぇ〜。

 

嘘だろ民衆クロコダイルのこと好きすぎかよ。みんなツンデレに飢えてんだな。僕もやってみるか、ツンデレ。

 

「くっ、皆騙されているというのにっ。」

 

「ちょっと、殺気抑えなよ。バレたら終わりだと思って。」

 

一応マントで顔は隠してるけどな。それでもイガラムさんの顔は割れてるから、慎重に行かなきゃまじで詰む。

 

とか言ってたら秒で終わったぞ。砂の能力者か、ロギアぁぁ。ロギアは全員後半の海に行ってくれない??前半でわちゃわちゃしてんなよ。懸賞金8100万とか嘘だろ。そんなレベルじゃねぇからこいつ。

 

例えば僕が1vs1であのクロコダイルと戦るとして、どうするか。見聞色は使えるけど武装色は使えない。砂の弱点をつくしかねぇ。水だな。砂漠で?水を使って戦うの???無理ぽ〜。霧でいいかな?湿気とか?

 

相手の攻撃も当たらないけど、こっちの攻撃も当たらない。硬直状態だな。なんなら僕は一撃でも喰らえばマントが破れて日光に焼かれて終わる。もしくは体の水分...は、大丈夫か。太陽だし。なんなら能力的にはこっちのが上だわ。溶かせるのか、砂?

 

「クハハハハハ。海賊としての格が違ぇんだよ。」

 

だろうな。この辺じゃ強すぎるよ君。

 

「失礼しました、そろそろ移動しましょう。王へ謁見しなければ。」

 

せやな。でもその前に一旦お店寄っていい?お腹空いた。

 

「ではあの店に入りましょう。」

 

おけ。何食べよ〜。

 

カランカラァーン

 

「まいど、何にします?」

 

いや、ちょ、早い。商売根性たくましいかよ。まだ席にもついてねぇぞ。答えるけどな!

 

「チャーハンください。サラダセットで。」

 

「ソラ殿、バランスよく食べなくては。お肉もありますよ、どうですか?」

 

んぇえ、そんなに入んない...。半分食べてくれるなら。

 

「ではこの肉を。」

 

「まいど。」

 

カランカラァーン

 

...、おや。なんぞそこそこ強いやつが。誰じゃこれ、オフィサー・エージェントってやつかな。

 

「水と肉を。」

 

「まいど。」

 

この店員さん、さっきからまいどしか言ってないけど仕事できる感ビンビンなんだよな。バラティエに来てくれないかな。無理か、遠すぎて。さてはこやつ...必殺仕事人だな?わかるよ、僕もそうだからね!スパイダーセンスで1発さ!(嘘)

 

「必ずこの国に来る筈だ。俺に見つかった時がテメェの最後だぜ...麦わらァ...!」

 

おっと〜?スモやんじゃありませんか。ローグタウンぶり〜。顔バレしてないし、大丈夫だろ。こういう時は堂々としてないとね。まぁこんな所でエンカウントするなんて思ってなかったけど、料理注文したしなー。無駄にはできん。

 

ちょいとイガラムさんや、その冷や汗どうにかならんのかね。ホントに潜入捜査してたん??ってくらい正直なんやが。身体は正直ってか?誰得だよ。あ、ちょっとこの傘、イガラムさんの身体で隠しといて。見つかったらめんどくさいから。

 

「こんにちは、お仕事ですか?大変ですね。」

 

「あ?あぁ、まぁな。テメェはここに住んでんのか、ガキ。」

 

ガキ。餓鬼。ガッキー?

 

「いいえ、旅の者ですよ。観光に立ち寄ったんです。僕の生まれ故郷はとても寒い冬島だったので、砂漠や熱風が新鮮です。」

 

「そうかよ、わざわざご苦労なこった。1人で旅してんのか。」

 

目付き鋭い〜。顔バレてなくてよかったわ。声で気づかれるかな?大丈夫か。知らんけど。

 

「えぇ、そうです。今は隣のこの人に、この辺りを案内してもらっているんですよ。」

 

あ、ご飯来た。いただきまーす。

 

「てことは、見た目ほどガキじゃねぇってこったな。」

 

見えてねぇだろマント被ってんだから。

 

「えぇ、19です。そういえば、ここアラバスタにはクロコダイルという海賊が居るって聞きました。その海賊を捕まえにいらしたんですか?もぐもぐ。」

 

「...違ぇ。そいつは王下七武海。つまり俺達海軍直属の海賊だ。腹立つことに、捕まえるこたァ出来ねぇんだよ。」

 

「へぇ、そうなんですね?それって、例えばその王下七武海が悪事を働いていたとしてもぐもぐ、ですか?」

 

だからこっち見んなしイガラムバカヤロウ。そんなもうやめてほっといてご飯食べてさっさと逃げましょうみたいな顔して。護衛隊長なんだから、君は別に逃げる必要なくね?あ、僕のためか。うへへ、ありがと。

 

「...そりゃまた話が別だ。軍直属である以上、一般人に被害を出した時点で権利は剥奪。俺も引っ捕らえることが出来る。おい、食ってる時に喋ってんじゃねぇ。ったく。」

 

「コク、ン。なるほどなるほど。もう1つ質問です。貴方は、強い海兵さんですか?」

 

「...さぁな。何が言いてぇ。」

 

おや、はぐらかされた。発破をかけてやろう。こいつを味方に出来たら、民衆の流れる血の量が減る。

 

「んー、海兵さん、強そうなので。内緒のお話です。さっき、こんな噂を耳にしたんです。今この国で起きているクーデター。国家乗っ取りを目論むサー・クロコダイルの仕業だと。」

 

「!?」

 

はい、食いついた。

 

「皆さん、旅人である僕に色んなことを教えてくれるんです。どこの香水の出来が良いとか、どこの砂漠には危ない植物があるとか。そんな中、気になったのがこの噂。」

 

「その話、信憑性は。」

 

「さぁ、あくまで世間話として話した程度ですし。すぐにこの国を去るであろう旅人にする話ですから。ですが、火の無いところに...。」

 

「煙は立たねぇってか、なるほど...。奴のこたァ前から気に食わなかったんだ。詳しく調べる必要がありそうだな。」

 

モクモクの実を食べたスモーカーだからそこは言いたかったんだな。めっちゃ被せてきたぞ。笑かすなし。

 

「ふん。情報提供、感謝する。じゃあな。店主、つりは要らねぇ。」

 

「あれ、お肉食べて行かないんですか?美味しいのに。」

 

「そいつはテメェが食え。情報料だ。ガキはもっと食ってデカくなれ。」

 

余計なお世話だぞおい。19だっつってんだろ。

 

「あ、海兵さん。お名前教えて下さいな。」

 

「スモーカーだ。お前は。」

 

「ソラです。また、機会があれば。」

 

「あぁ...次会った時も小せぇままだったら、また肉を食わせるからな。」

 

それは困るわ。もうこれ以上おっきくならねぇのに。それに、案外早くまた会うかもよ。




ついに出せました、実の名前。

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