アラバスタの首都アルバーナヘ辿り着くことが出来た。本当に本当にお疲れ様でしたイガラムさん。
アラバスタに到着してから、日が出ている間に自分の足で歩いた記憶がねぇぞ。暑い中僕を運んでくれたイガラムさんが居なかったら、ここに来るまでもっと時間がかかっていた。
良かったぁ、一緒に来て。エターナルポースを渡さなかったあの時のイガラムさん、まじでナイス。
日中はイガラムさんが僕を背負って移動して、夜は眠る。逆に、僕は日中に体力を回復し、夜は寝ているイガラムさんを担いで爆走。二人三脚の精神で、ノンストップでここまで来たのだ。
途中でカトレアという町に寄り、反乱軍の情報を収集したため少々遅くなったかもしれんが。まぁ概ね予定通りだ。
「なんという...ことだ...!黒幕はクロコダイルだと...!?海賊とはいえ王下七武海、政府側の人間が、この国を乗っ取ろうとしているとはっ!!なんという悪い冗談だ...。」
そうなんだよ。ビビとイガラムさんが命をかけて集めてくれた情報だ。つか2人がバロックワークスへの潜入捜査を国王に知らせてなかったとは。驚き桃の木山椒の木。報連相って大事。
「イガラムよ、礼を言うぞ。敵組織に潜入し情報を得てくれたこと。そしてその情報を、よくぞ持ち帰ってくれた。ありがとう。」
「なっ、頭をおあげ下さい国王様!!私一人では到底何も、何も出来ませんでした...っ。ビビ様をお守りする事さえ!ソラ殿を始めとした麦わらの一味の皆様にお力をお貸し頂けたからこそ、ここまで来ることが出来たのです!」
「そうだったな。君にも心からの感謝を。ありがとう、ソラくん。」
「問題ありません。では、今後のことを話し合いましょう。」
「あぁ、そうだな。事態は一刻を争う。」
それじゃまずは、持っている情報の整理をしよう。アラバスタの地図と、なにか書くものあるかな〜。あ、ありがとうイガラムさん。
コブラ王と、イガラムさんと、イガラムさんの同僚であるチャカさんとペルさん。そして僕の5人が頭を突っつき合わせ、以下のことを書き出した。
【国王軍】
・アラバスタ国 国王 ネフェルタリ・コブラ様の存在
・戦力的にイガラムさん、チャカさん、ペルさんが三強
→チャカさん:イヌイヌの実 モデルジャッカル
→ペルさん:トリトリの実 モデルファルコン(1人を乗せて飛行可能)
・国王軍 兵力30万
・首都アルバーナを拠点としている
→地図上では北側に位置している
勝利条件:BWの消滅並びに反乱軍への説得(又は鎮圧?)
【反乱軍】
・リーダーであるコーザの存在
・反乱軍 兵力70万
・カトレアを拠点としている
→地図上では、アルバーナから大陸続きに南下した場所に位置している
・2日前に立ち寄った際、武器が集まり次第アルバーナへ総攻撃を仕掛けると話していた
→ソラの暗躍により武器庫を襲撃済み
→国王軍が武器商人、武器屋を統制している
→武器が集まるまで暫くの猶予あり?
勝利条件:コブラ王並びに国王軍の制圧
【BW】
・王下七武海 サー・クロコダイルの存在
→スナスナの実のロギア系能力者
→アラバスタ国民からの支持があつい
→ツンデレ
・ミスオールサンデーの存在
→ハナハナの実の能力者(ソラのみ把握)
・オフィサー・エージェントの存在
→No.1ペア、No.2(オカマ)、No.3ペア、No.4ペア
→能力者多数(正確な数、能力不明)
・BW社員約1000人
→内、7割以上を鎮圧済み
・レインベースを拠点としている
→地図上では、川を挟んでアルバーナの東側に位置する
勝利条件:国王軍と反乱軍の衝突による国の滅亡
【麦わらの一味】
・一味各位
・アラバスタ国 王女 ネフェルタリ・ビビ様の存在
勝利条件:BWの殲滅並びに反乱軍の説得
【不確定】
・白猟のスモーカー率いる海軍の存在
→クロコダイルが怪しいと情報を与えたため、調査に動いている最中
以上
と、こんなもんかな。さ、意見のある人手ぇあげて〜。しーん。え、ちょ、主体性は?積極的にヨロ。
「改めて見てみると、これは...。」
「普通に無謀ですね。」
「黙りやがりなさいソラ殿くらぁっ!」
イガラムさんはツッコミキャラ、と。メモメモ。あぁーん、ペン返してよ〜。
「とりあえず、BWについての対応は考えなくて結構です。我々が考えるべきは反乱軍をどうするか。それとビビ王女の保護、この2点のみです。」
「BWは考えない?それはどういうことだ、ソラくん。」
まぁ突っ込むよね。
「今、ビビ王女を連れて僕の仲間が、ここアラバスタへ向かっています。BWは彼らが対処しますので問題ありません。」
異議あり!!とのこと。発言を認めます。(裁判長)
「し、しかし...!ここに書いてある通りなら、BWには相当の戦力が集っておりますぞ!?そもそも、我々は貴方様のお仲間を存じ上げませぬ!数も、強さもです!」
「チャカの言う通りです。クロコダイルだけでも厄介であるのに、配下さえも能力者が多数とは。ソラ殿のお仲間が奴らを下せる根拠を、どうかご教示頂きたい。」
しかしイガラムさんから反論。彼らの強さは信頼出来ると。されど云々、しかし云々。わちゃわちゃしてんなぁ。えぇい黙りおろう!わし、裁判長ぞ!(違う)
「えーっと、すみません。ちょっと伝え方が悪かったかも、です。正確に言いますね。」
「「「?」」」
そもそも論だ。
「麦わらの一味がBWを殲滅できなかった場合、残る対抗手段が存在しません。国王軍が戦ってどうにかなるレベルでは無いので、考えるだけ無駄という意味です。」
「なっ、」
「...。」
コブラ王が目を閉じて腕を組んでいる。思考中、思考中。
まぁ、正確に言うと僕というジョーカーが残ってるんだが。クロコダイルに顔は割れてないだろうし、戦闘力も未知数だ。そもそも、ロビンが僕の存在を報告していない可能性も微レ存。
でも、僕がクロコダイルと戦うのは本当に最後の手段だ。なぜか、クロコダイル率いるBWの動きが読めない以上、どうしたって後手に回ることになる。そうなった時、僕が国王軍から離れていたら、彼らを守ることが出来ないからだ。
「よし、分かった。では反乱軍への対応策を考えよう。誰か意見がある者は居るか?」
「反乱軍はつい先日、武器を見張っていた国王軍の者達を襲っています。我々は現状、後手に回っている状態なのです。」
「次はこちらから打って出る、というのも手では無いでしょうか。」
え、やっちゃっていいの?それなら話は簡単なんだけど。僕がもう1回カトレアに行けば済む話だよ。
「ならん!やられたからやり返すなぞ、子どもの喧嘩では無いんだぞ!!」
「し、しかし国王様。このままでは国の存亡に関わります!現に元々60万だった国王軍も、その半数が寝返っており...!」
「だからどうした!反乱軍であろうとこの国の民であることに変わりは無いのだぞ!」
あーだよね、やっぱりそうだよね。なるほど、コブラ王とイガラムさんは穏健派。チャカさんとペルさんは割と過激派って感じか。んでも、コブラ王の事を心から慕っているから、そのご意向に背くことは無い、と。理解理解。
「私に不満があるが故の行動なのだ。全ては王として至らぬ私が原因...!国とは、人なのだ!!民を傷つける王が何処にいる!!!」
めっちゃかっけぇやんけ。すんげぇなぁ、この人。でもちょっと間違い。
「後半の意見には賛成ですが、前半は反対です。貴方様は民を思い、今まさに行動しておられます。こうなった原因は貴方様にあるのでは無く、クロコダイルにあります。貴方様の部下も、民も、貴方様のことを心から信じておられますよ。」
そうですよね、御三方。
「「「無論!!!」」」
「...!」
即答。はい、上司と部下の絆レベルアップ。とかやってる場合じゃねぇんだわな、これが。
さて、参ったことに解決策が思い付かん。そもそも戦力で負けているのに対して、敵を攻撃せず説得する必要があるという点が無謀に過ぎる。説得って、ある程度の抑圧できる力があって、始めて成り立つものだと思うんだよ。はっきり言って、手段を選べる様な状況じゃないんだよなぁ。
ってことで、提案出来るのは2つだ。
「ぱっと思いつく限りでは、2つですかね。いずれも良い案とは言えませんけど。」
「おぉ...!何か考えがあるのだな、聞かせて欲しい。」
はいな。
「まず1つ目は、比較的現実的な方法です。優先順位を決めます。」
「優先順位?」
そう。守るために必要な、とても残酷な優先順位。
「国王軍側の核は、コブラ王並びにビビ王女です。なので、僕が貴方がた御二人を連れてアラバスタから逃亡若しくは国内で匿います。ほとぼりが冷めるまで。」
「「「!?!?」」」
「それ、は...!」
「なるほど、一理ありますね。確かにコブラ王とビビ王女さえご存命であれば、国の復興は可能です。」
「ならん!!!!」
はい、次。え、早いって?もっと粘れって?いやぁ、この王なら拒否るだろうなーとは思ってたし。これ採用するってことは、2人に仕える全ての部下を見捨てて逃げるって事だから。
そもそも、これは国王軍の中でも臣下側の意向に沿った策であって、王の意向には沿ってないからな。さっき言ってたしな、コブラ王。国は人だって。これを国王が言えるってのがすげぇんだ。尊敬する。
つまりコブラ王は、自分やビビが生きてさえいれば国が蘇るとは考えてない。国民が死ねば、国は滅ぶとそう考えている。そしてその考えは正しい。
では、どうするか。
「では2つ目です。これはあまり現実的とは言えませんが...。」
「言ってくれ。」
「では、反乱軍とBWの勝利条件を見てください。」
メモした文章を指さしつつ。ここな、ここ。おぉ、皆じーっと見てる。ちょっと面白い。
【反乱軍】
勝利条件:コブラ王並びに国王軍の制圧
【BW】
勝利条件:国王軍と反乱軍の衝突による国の滅亡
「それがどうかしたのですか?」
うむ、良い質問だなチャカくん。
「2つの勢力の最終的な目的は異なりますが、目下の目的は同じと言えます。」
「...なるほど、国王軍と反乱軍が相対することか。」
「仰る通りです、コブラ王。」
つまりその点さえ回避出来れば、この2つの勢力の目的が達成出来なくなる。
「しかし、我々の拠点がここアルバーナである以上、それは時間の問題かと思われます。」
うむ。その通りだな、ペルくん。
「その点も、仰る通りです。ところでコブラ王、ひとつ質問が。」
「ん?どうした、ソラくん。」
ーーーこのお城に、未練はお有りですか?
「「「..........。」」」
「わっはっはっはっは!なるほど、城を捨て全軍で逃げ切り勝負か!!大胆なことを考えるものだな!!海賊とはかくもこうなのか?」
それは知らん。でもこれも却下なら、もう何も考えつかんぞ。嫌ならなんか案出して。
「行けると、思うか?ペル。」
「正直、分からない。物資の問題もある。城を捨て30万の兵士と共に砂漠を移動など、1度たりとも経験が無い。」
「しかし、確かにこれ以外は。」
お、なんや意外と好感触。割と無謀だと思うけど。
「コブラ王!!!皆様!!!カルーが、帰って参りました〜!!!」
カルー...。カルー!ここへ来い!!(某大佐風)この空間に癒しが欲しい!!!オッサンとお兄さんしか居ないぞよ!!!割と頭使ってそろそろ疲れた休憩したい!!!!
「...うむ、間違いなくビビの筆跡だ。イガラムとソラくんの報告通りだな。やはり元凶はクロコダイル、やつだ。」
「む、左手を怪我しているのか?見せてみろ、カルー。」
「クエッ、クエーっ!!」
はたかれてる。ウケる。つかそれ仲間の印じゃね?あれ、僕そういえばこの印付けてねぇな。え、大丈夫そ?そう言えばこの印ってなんの為に付けてたんだっけ。あーーーー、いかん忘れた。
とりあえず撫でてよろし?あ、良いの。ありがとう〜。可愛ええんじゃあ〜。ええのぉええのぉ。ん、ここか。ここが好きなんか?うへへへ、顎の毛と胸の毛フワフワ〜。フワッフワッしたいならどうぞ〜♪っとくらぁ。
わ、わ、わー。やめれフードはダメだってば。うへへ、くすぐったい。あ、フード取れちゃった。まぁ室内だからいっか。
「「「...はっ?」」」
「え?」
え、何ぞ。どしたん皆めっちゃこっち見て。カルーも目飛び出てんぞ、それ大丈夫か?あんまその顔するなよ、ぶちゃいくだから。でも可愛い。ぎゅー。
「ソラ殿、は、男だろう?そうだよな?」
「え?はい、そうですけど。」
今更???なんだめっちゃこっち見てくるぞ。超真剣じゃん、こわい。ちょ、やっぱりフードかぶっとこ。
「うむ。会議中はフードを取っていたらどうだ?ここは私の寝室だからな、他人が入ってくることなぞほとんど無い。それに、室内とは言えその格好では暑いだろう?ん?」
「え、いや大丈夫です。」
こわいし。さっきカルー帰ってきたって言いに人来たやん。信ぴょう性ゼロかよ。
「王の命令で...。」
「止めなさい国王コノヤロウ。」
「...で、あるか。」
であります。(蛙軍曹)
「そう言えばソラ殿、髪の色がひと房違っていますが...?」
んえ。髪の色?なになにどゆこと?
「あぁ、綺麗な白金色の中に少しだけ紅い髪が混ざっているな。絹のような美しさとは、このような髪を言うのだろう。」
ほーん、あ、鏡さんすく。わーほんとだ、全然知らんかった。心当たりはもちろんある。左手の件だろ、どうせ。でもまぁ、見た感じ似合ってるしいっか。白金に彩やかな赤メッシュとか。オサレ。
さて、そんじゃそろそろ続きといきましょ。詰めるだけ詰めて、できるだけ早く実行しないとだしな。
コブラ王、好きです。賢王って感じで。遊び心も持ってて素敵。