器用貧乏な麦わらの一味   作:millseross

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久々の投稿。しかもストック分。つまり書いてない。。。
だれかワンピースの漫画かして、、、
ネトフリでアニメを流しつつ書くしかないこの状況。
展開早くてタイプが追い付かないよぅ…(´;ω;`)


ウォーターセブン編
水の都と職人たち


青雉が自転車に乗って凍った海を渡って行って、僕も船へ戻った。めっちゃ心配された。特にロビンには超申し訳なさそうに謝られた。いやいや全然気にせんでええよ。特になんもなかったから。ちょっと実力試しみたいな感じでやり合っただけだし。まじで実力差ありすぎ問題。あれが敵の最大戦力かァ...嫌んなるな。

 

これが比較的温厚な青雉だったから良かったものの、他2人ならどうなっていたことやら。考えたくもねぇな。まぁ最も、その2人は青雉みたいに個人で動くことなんて無いんだが。動くとしたら戦艦単位だ。つまりエンカウント=詰み。QED.

 

そんなこんなで。

 

クロールするカエルが海列車に吹き飛ばされるのを目撃し、(ルフィはあれを食おうとしていたらしい)灯台にいたおばあさんと子どもちゃんと猫ちゃんの話に乗って進路を決め、水の都 ウォーターセブンに到着した。

 

今ここ。

 

ウォーターセブンかぁ。前世の記憶ではもうこの辺りからほぼ知らないんだよな。でもルフィが船大工探してここに来てるから、ここで仲間を増やすんだろうな。(メタ読み)楽しみだ。(本心)

 

それに、久々に会いたい人たちも居るし。

 

「懐かしいな。」

 

「なんだ、来たことがあったのか?」

 

サンジ。あれ、言ってなかったっけか。

 

「僕のラーキレス号、ここの職人さんに造ってもらった。設計図渡したら、面白いって笑いながら作ってくれた。」

 

「へぇ、なるほどそりゃ良いな。あんだけ高性能な船を造れるんなら、腕だって信用出来そうだ。」

 

「うん、世界一の造船技術者の巣窟だからね。しないと思うけど、法外な値段で値切ったりとか辞めといた方が...って、あれ。ナミが居ない。」

 

1番聞いておいて欲しかったのに。人を探しに行ったの?あ、アイスバーグって名前。黄金の換金も一緒に。はー、こりゃ着いてった方が良かったかな。

 

ま、良っか。どうせ僕も降りるんだし。適当に見てまわろう。んでも入り組んでそうだよなぁ、ここ。うし、久々に屋根伝いで行こう。10年前もそうしてたし。

 

ぴょーーーんとな。

 

上からウォーターセブンを見て回って、不思議に思ったことが幾つかある。

 

ひとつは、以前と街の様相が全然違うこと。大発展、大改革って感じだな。市長の腕が半端ないらしい。ちなみにその市長、名前はアイスバーグ。市長になっとんのかーい。出世してるやん。会ったらおめでとうって言わなきゃ。そういうおめでた報告ってニュースクーとかで教えてくれても良くない?って思うけどまぁ良いや。あっ、もしかしたらもう僕のことを覚えてないのかもしれない。そんなに長い間一緒にいたわけでもないしな~。そうだったらしょうがない。

 

ふたつ目に、仮面を被った人達が沢山いること。仮装パーティーがあるらしい。ほー。まぁ僕は年中無休でマント被ってるから仮装もクソも無いんだけど。

 

そして最後に。僕を見た時の島民の反応だ。みんな最初は笑顔で手を振ったり叫んで呼びかけてくれるのだが、直後に不思議そうな顔をする。その反応の意味が全く分からぬ。なんじゃらほい、って感じ。まぁ特に害はない。ちみっ子達からのバイバイには全力で応えるさ。空中で縦横10回転とか余裕なんだぜ。ローリンローリン。傘で花火だって打てちゃう。炎色反応は子ども達の味方だ。ワーキャー喜ばれた。可愛いなぁ。前世の義務教育様々やで。

 

そんな中ふと視線を下に向けると、追われているお兄さんを見つけた。おいおいどしたい、大丈夫そ?つか、相手数人居るけど明らかにお兄さんの方が強そうなんじゃが。なんで反撃しないんだろ。訳アリか?仕方ないな。助けが要るようには見えないけど。

 

「「「待てパウリー!!!」」」

 

「うぉぉおおおお!!しつっけぇなテメェら!!!」

 

たんっ。

 

「失礼。」

 

「うぉっ!?なんっだおま、うぉおおおおおおおおういっ!?!?」

 

肩に担いで、ぴょーーんっとな。

 

黒スーツの人達が何か叫んでる。何なに、ふざけんなてめぇ金返せ?あれ、これもしかしなくても、悪いのこいつじゃね。

 

...ぼく、しーらないっ。ソラ、子どもだから、わかんないっ。

 

「いや~助かったぜ。サンキューな、ガ...坊主。」

 

屋根に跳び乗りお兄さんを降ろしてやると、戸惑いながらもお礼を言われた。助けたこと、若干後悔してるけどな。つか今ガキって言いそうになった??なったよね???突き出してやろうか。

 

「別に。何で追われてたの?」

 

「ん、あー、いや。それはほら、そのー。お、大人の事情だ!」

 

「ふーん。」

 

ゲスい事情っぽいなぁおい。まぁ僕の知り合いにも似たような人居るから、別に軽蔑とかはしないんだけどさ。ちゃんと返してやんなよね。そんなばつが悪そうな顔するんなら尚更。いやこの表情は僕(見た目小さな子ども)に対して借金してるって言えないからか。借金自体には対して何も感じてなさそうだな。

 

「つかお前、見ねぇやつだな。なんでマントなんて...、訳アリか?」

 

僕がお兄さんに思ったこと、そのまま返されたわ。まぁ訳アリっちゃ訳アリだな。

 

「僕、海賊。」

 

「海賊ぅ?お前みたいな子どもがか?はーん、色々あるんだな。」

 

「そだね。僕にもお兄さんにも、追われる相手も、その理由も、色々有るよね。」

 

「ぐっ...。そ、そういや名前は何て言うんだ?お礼になんか奢ってやるよ。ウォーターセブン名物を!なっ?」

 

めっちゃ話し逸らすやん。

 

数本道を挟んで、屋根から降りながら言葉を交わす。ここで降りて大丈夫なんか?

 

「ソラ。ねぇ、ここで良いの?さっきの場所からそんなに離れてないよ。すぐに追いつかれるんじゃない?」

 

「ソラな。俺ぁこの島を知り尽くしてる。どの道をどう行けばどこに着くのか、なんてのは全部頭ん中に入ってんだぜ。あそこからじゃどんなに頑張っても、ここに着くまでに20分はかかる。ソラと違って奴らは地上しか走れねぇからな。問題ねぇよ。」

 

へぇ、詳しいんだな。お兄さん何者?

 

「パウリーだ。お兄さんなんて柄じゃねぇから、名前で呼べよ。呼び捨てで良い。俺ぁここで船大工してるんだ。」

 

ほー、船大工なのか。そりゃあ都合が良い。

 

「僕ら、船の修理と仲間になってくれる船大工を探してここに来たんだ。良かったら、ウチの船見てくれない?」

 

「船を?あぁ、海賊つってたな。それくらいならお易い御用だぜ。なんなら俺が直してやろうか。じいさん、水水肉2つ。」

 

「おいおいパウリー。お前さんデートは良いが、金はあんのか?いっつも借金取りに追われてるだろうに。」

 

「ばっ、!ってかデートじゃねぇ!!こいつは男だっ!!」

 

あらら、借金取りって言っちゃったよ。パウリー必死にしーしーって誤魔化してる。良し、聞かなかったことにしよう。それにしても、デートねぇ。小さいから女性に見られたのかな。頭からマントかぶってるから性別なんてわからないだろうし。まぁ顔見れたとしても中世的だからワンチャン女の子って思われるけど。

 

「金くらい持ってるに決まって...あれ。ん、待て待て。あるよ、あるって...ある......。」

 

「帰れ。」

 

いや草。一刀両断してるじゃん。清々しいおじいちゃんだな。

 

パウリーの株が上がったり下がったりして安定しないぞ。仕事の付き合いなら頼りになる(たぶん)けど、プライベートはNGって感じか。金銭関係は特に。

 

「おじいちゃん、それ2つくださいな。」

 

「かーっ!子どもに払わせるなんざ甲斐性のねぇ野郎だなパウリー!ほら、サービスだよ坊や。沢山食べて大きくなりなさい。」

 

うわわわ、ちょ、こんなに要らないんだが。え、お金は?いや、要らないってそれこっちのセリフ...あっ、ちょ、マントを引っ張るなパウリー。

 

「後で、また来る、から!ちゃんと払いに!」

 

にこやかに手を振っているおじいさん。待て待て、そもそも僕は子どもじゃねぇ。19歳だぞ。

 

「お前を連れて歩いたら、色んなもんタダで食えそうだな。」

 

「やめて。」

 

割とクズい考え方だぞそれ。詐欺師かよ。海賊と五十歩百歩とか言わないで。あ、肉うま。うまうまのうまやで。

 

「よくよく考えてみたら、その身体でよく俺を担げたよな。しかもカクみてぇにぴょんぴょん跳び回りやがるしよ。お前って結構すごい奴なのか?ソラ。」

 

知らん。上には上が居るからな。僕を小指でちょんって出来るやつも居るだろうさ。まぁ下には下が居るんじゃが。それとカクって誰や。

 

「一応、懸賞金は付いてるけど。」

 

「はーん、いくらだよ?」

 

「5,900万。」

 

「...。」

 

なんだおい。こっちをじーっと見るな。まさかこいつ、僕のことを金蔓として見てないか?指折り曲げて何を数えてるんだ?

 

よしこの辺でいっちょぶっ飛ばしとくか。地の果てまでヤっちまうぞ???首、コキコキ鳴らしてやる。

 

「冗談だっての。恩人を売り飛ばすほど、俺は落ちぶれちゃ居ねぇよ。」

 

ホントだろうな。少しでも怪しかったらアイスバーグに突き出してやるぞ。

 

「で、船は何処に停めたんだ?」

 

「どこ...ここがどこだか分かんない。方角的にはあっちの港。」

 

「あー、そりゃそうだな。よし、もっかい担いで跳んでくれよ。今度は楽しみてぇ。」

 

腕を広げられても...え、何おんぶしろっての?パウリー身長幾つ?あ、195cm。約30cm差か。別に良いけど、いけるかなー??

 

「なんだお前160cmねぇのか。ちっせぇ訳だぜ。もっと食ってでっかくなれよ。」

 

「早く乗って。」

 

「おう、それじゃ安全運転でぇぇぇええええええええっ!?!?」

 

え?なんか叫んでる?聞こえないなぁ。風の音が邪魔をしている。いや?別に?ちっちゃい発言が癪に触ったとかじゃないから。事実だし。うん、全然そんなことは。ぜんぜんぜんぜん。気にしてないけどコイツには教育が必要だと思うんだ。お前らも思うよな???(同調圧力)

 

「ぅぉおおおおおおお!?いででででっいでっ、いてぇ!?!?足!足引きずってんだよちょま、一旦止まれてめぇぇえええっ!!?」

 

「えー?なぁーにぃーー?ちょっとよく聞こえない〜〜。」

 

なんか言ってるな。ん?なんだ、なんか違和感が。誰かが隣を走っているぞ。僕の他にも屋根を伝って走るやつが居るなんて、もの好きだなぁ。って鼻が長いな四角いな。なんだなんだ、ウソップと同じ種族か?いやウソップは人間だけど。

 

「む?何じゃお主、わしと並走するとはやるのう。担いどるのはパウリーじゃないか?儂の同僚じゃ、何処へ連れてく気じゃ?」

 

「かっ、カクカクカクかくぅう!!ちょ、こいつ止めてくれぇええ!!!」

 

「船を見てもらおうと思って。担いで欲しいって言ってきたのはパウリーの方。」

 

ほう、この人がカクか。しかもこの人も船大工なんだ。なるほど、この光景を見たら確かに似てると思うかも。

 

あっ!!!だから街の人は不思議な顔してたのかー!見知った顔が屋根を走ってると思ったら全然違う黒マント不審者ちみっこ野郎だったから。納得〜。今ちみっこで納得した奴校舎裏な?(急に)

 

「わはは、なるほどのう。楽しそうじゃな、パウリー。」

 

「楽しくねぇぇぇええええっ!!テメェちゃんと聞こえてんじゃねぇかソラぁっ!!足見ろってぇぇぇえ!!!」

 

うるさいなぁ。あ、足曲げてなかったの?早く言ってよ。(すっとぼけー)

 

高くジャンプし、不安定な状態のパウリーの足を引っつかみしっかり抱えて固定させる。これで文句ないだろう。全く、注文の多い。そういうのは料理店だけで結構です。何のために料理人になったと思ってるんだ?お前を調理するためだよっ。

 

「おーいててて...ちっきしょう、覚えてろよテメェら。」

 

「運んでもらってる癖に。」

 

「わしは何もしとらんぞ。」

 

運搬料を請求してやろうか。そういえばカクも走ってる方角一緒なんだが、もしかしなくてもメリー号に向かってるのかな。まぁ着いたら分かるか。てか着いたわ。

 

目的地はメリーだった。やっぱり。2人は真剣な表情で船を見ている。内緒話をしているぞ、気になるな。

 

「おい、なんだアイツら。」

 

「起きたんだ、ゾロ。あの2人は船大工だよ。メリーの具合を見てもらってる。」

 

「はーん。ウソップみてぇなやつだな。」

 

鼻だけな。

 

査定が終わったらしい。厳しい表情でこちらに近づいて来るパウリーとカク。

 

「ソラ...この船はもう、何処へも行けねぇ。」

 

「ここまでお主らを運べたのが奇跡じゃ。わしらの腕でも直すことはできん。」

 

は?えー、と。ちょっと待って。

 

「傷が深すぎるんだ。直したとしても、次の島に辿り着く前に沈む。もうその段階まで来ちまってる。」

 

「...そりゃ、事実か?」

 

「わしらはプロじゃ。仕事に嘘はつかん。」

 

でも見た目はそんなにボロボロって訳でも無いぞ。ってことは見えない部分がやられてる?まさか。

 

「竜骨、が、やられてる?」

 

「知ってるんなら話が早ぇな。その通りだ。見た目はそれほど酷くねぇ。修理箇所も見たが、どこも適切に処置してある。応急処置にしちゃ上出来だ。」

 

「じゃが船の命、土台とも言える竜骨に深刻なダメージが入っておる。ここをやられたら、どんなに他を修理してもダメじゃ。全てを支える根幹に傷が入っておるんじゃからな。」

 

すぅー、ふぅーーーーー。

 

なる...ほどね。

 

「その竜骨を変えるのは?」

 

「それは無理だよ、ゾロ。竜骨を変えるってことは、船そのものを1から造り直すってことと同義だ。新しく作られるメリーは、今までのメリーとは違う。それはもう、全く新しい別の船だ。」

 

「...。」

 

「どうする?つっても直すのは無理だから、新しい船を作るしかねぇぜ。カタログ見せてやろうか?」

 

「いや、僕ら2人で決められる案件じゃなくなった。船長に報告する。ゾロ、僕ルフィに伝えてくるから。」

 

ゾロがひとつため息を付く。そりゃそうだよなぁ。僕より長いことメリーと一緒に居るんだ。辛くない訳が無い。

 

「俺が伝える。あいつら何処に居る?」

 

「良いよ。ここ結構入り組んでるから、僕が上から行った方が早い。」

 

バツが悪そうな顔をするゾロ。

 

「悪ぃ、嫌な役目任せちまう。」

 

「別に。誰かが伝えなきゃでしょ。」

 

ルフィ達が居る方角は大体分かるから、そっちへ向かって適当に行こう。

 

「決まったか?わしが案内するぞ、ついて来い。」

 

おぉ、そりゃありがたい。遠慮なくストーカーしよ。

 

「おいカク、1番ドッグだろ?俺も連れてけ。」

 

「嫌じゃ。」

 

「なんでだよっ!」

 

「むさ苦しいからじゃ。」

 

パウリーが叫んでる。あーもうギャーギャー言わないでよ。僕が運んできたんだから最後まで面倒見るっての。

 

 

&&&

 

 

「いやはや、快適だぜ。ソラ、お前ここで運び屋でもやったら相当儲かるんじゃねぇか?乗り心地も悪くねぇし、着地の時の衝撃も苦じゃねぇ。」

 

「気を使って跳んであげてるの、感謝して。まぁでも儲かるって言うんなら運搬料くらいは貰っておこうかな。手始めにパウリーから。」

 

「げっ、冗談だろ!?言わなきゃ良かったぜ!」

 

「わはは、仲良いのうお主ら。」

 

そうか?パウリーは子どもだと思ってる僕に運ばれてる今の状況をどう思ってるんだろうか。恥ずかしさとかは微塵も無さそうだが。単純に移動費が浮いたとか思ってそうだな。出会ってからここまでの短時間で、既に当たらずしも遠からずな思考を読めている件。別に嬉しくねぇ。

 

「そろそろ着くぞ、あそこが1番ドッグじゃ。」

 

あ、ホントだ。ルフィとナミが居る。すたんっ、とな。猫みてぇ。高いところから落ちても、猫は怪我しないらしい。絶対に足から落ちるんだと。すげぇよな。

 

「ソラ!?それとさっきの人も!...と、誰?」

 

「無事にアイスバーグと会えたんだね。良かった良かった。」

 

「おいソラ。なんでアイスバーグさんのこと呼び捨てに...ってぐわぁああっ!?てめぇ何て格好してやがるんだハレンチ女!?」

 

うるさっ!耳元で騒ぐなよ。何、ハレンチ女って。ナミのこと?大体いつもこんな格好だけど。まぁ良いや、ほっとこ。

 

「おいおい...驚いたな。随分と久しぶりじゃないか?」

 

「なんだ、覚えてたんだ。ビックリさせようと思ったんだけど。と言うより、顔見えてないだろうによく分かったね。市長になったって聞いたよ。おめでとう、アイスバーグ。」

 

「忘れる訳ねぇだろ。お前の作るカクテルは最高だったぜ、ソラ。」

 

「酒かよ。」

 

こいつ...10年くらい経ってるってのに、まだ覚えてるのか。ラーキレス号を造ってくれたお礼にってことで1晩だけ付き合って振る舞っただけだぞ。どんだけ酔い痴れてんだ。

 

「トムさんのことは。」

 

「うん、知ってる。」

 

「そうか。」

 

ヒュんっ!と風を裂くような音が鳴る。

 

「無礼者っ!なっ、なぜ避けないのですか!?」

 

なんか蹴り入れられそうになったぞ。寸止めするだろうと思ってたから微動だにしなかったけど。でも、妙だな。敵意じゃなくて、殺意を感じた。にも関わらず寸止めされた。

 

なんだ、この違和感。そういえば、さっきも似たような違和感があった様な?

 

「ンマー、カリファ。良いんだ、そいつは旧友でな。昔、船を造ってやったことがある。ちゃんと乗ってるか?ラーキレス号。」

 

「相棒だよ。時間あったらメンテお願い。」

 

「あぁ、暇な時にやっとく。」

 

市長に暇な時が有るのかは知らんが、まぁよろしく。

 

ルフィもナミも、僕とアイスバーグの話を聞いて察したらしい。早速メリーの話に移る。

 

「ソラ!見てみろよこれ、大金だ!1億ベリー!!あとの2億はウソップが持ってんだ!これでメリー号も直せるぞ!!なっはっは!!」

 

っ、!

 

「その事について、伝えなきゃいけないことがある。ルフィ、ナミ、ちゃんと聞いてね。メリーは、もう直せないんだ。」

 

「「...えっ!?」」

 

「直せないってどういうことだっ!?だってよ、ここはすげぇ船大工がいっぱい居るんだろ!?」

 

「どういうこと、ソラ!?」

 

うん、ウォーターセブンの造船技術は世界一だよ。政府御用達な程に。でも腕の問題じゃないんだ。

 

「船の命と言っても過言じゃない、船首から船尾までの全てを支える竜骨って部分が損傷してる。それも深刻なダメージを負ってるらしいんだ。その竜骨を、修理することは出来ない。だから。」

 

「っでも、金は有るんだぞ!?」

 

「金の問題じゃないわい。いくら出そうとも、もうあの船は直せんのじゃ。」

 

食い下がるルフィに対し、冷静に返答するカク。冷たいようだが、これが事実なのだ。彼らは今まで何度も似たような場面を目にしてきたのだろう。故にこそ、騒ぎ立てることなく冷静で居られる。

 

ナミは竜骨の存在を知っているみたいだ。だから辛うじて納得はしている。ただ、やるせないって思うのは仕方ない。

 

でもルフィは納得も理解もしていない。きちんと分かるように説明しなければ。

 

「じゃあ、その竜骨ってのから造り直せば良いだろ!?もう一度メリー号を造ってくれよ!!」

 

「無理なんだよルフィ。設計図は確かに僕が持ってる。だから、それを元に新しいメリーを造ることは出来る。でも、それは新しいメリーであって、今までのメリーとは違う。全く別の船だ。姿形は同じでも、些細な違いを誰よりも如実に感じるのは、メリーに乗ってた僕ら自身なんだよ。」

 

「っでもよ!!」

 

埒が明かないと思ったのか、アイスバーグが割って入る。

 

「ソラの言うことは正しい。形あるものはいずれ壊れる。寿命ってことだ。良い機会じゃねぇか、新しい船を買って行けよ。金はあるんだろう?」

 

正しい選択だ。でも、メリーを仲間だと思ってる僕らにとって、それはそう簡単に取れる選択肢じゃないのも確か。考える時間が必要だろう。

 

「乗り換える気はねぇ!俺たちの船はゴーイングメリー号だ!修理すれば走れるはずだろ、ソラ!!」

 

詰め寄ってくるルフィをナミが窘める。ここで言い争っても意味は無い。事実を受け入れるしかない。時間がかかっても良い、それは必要な時間だから。

 

「ルフィ、あんたちょっと落ち着きなさい!」

 

「うるせぇ!!信じられる訳ねぇだろ!!ずっと一緒だったんだぞ!?今日だって快適に乗ってここまで来たんだろうが!!ソラは信じるのか!?今日突然もうメリーは走れねぇって言われて納得出来んのか!メリーは仲間だろ!?」

 

「副船長が、仲間を見捨てるのか!?こいつらが嘘付いてたらどうするんだっ!!!」

 

違う、見捨てるんじゃない。送り出してあげるんだよ。仲間だから、メリーを思うのなら、ここでさよならを伝えるべきなんだ。

 

そう言えたら良かったのに、言えなかった。これは、先に手を出した僕が悪い。

 

気がついたら、ルフィをぶん殴っていた。

 

「がっ!?お前ぇ...!!」

 

「ちょっ、止めなさいソラ!ルフィ!」

 

ごめん、ナミ。心配させちゃって。でも、さっきの発言は許容出来ない。

 

右拳が伸びてくる。その勢いを利用して、足払い、胸ぐらを掴みそのまま一本背負いで地面に叩きつける。

 

バゴォッッ!!!

 

地面が蜘蛛の巣状にヒビ割れる。それだけ、威力の強さを物語っていた。

 

「ぐっ、う!」

 

うつ伏せになって起き上がろうとするルフィ。再度足払いを仕掛け、立たせない。両手両足を強制的に曲げさせ、そのまま腰の辺りで重ね合わせた上で、傘の先端を突きつけ完全に拘束する。

 

「離せっ、ソラ!!!」

 

「甘いね。船長としても、戦闘員としてもそう。何よりその考え方が、甘えきってるんだ。もうすぐ前半の海も終わる。そんなんでこれからやって行けんの?」

 

「なんだと!?」

 

「嘘、付いてるって?ルフィ。」

 

首を回し、必死に僕を睨みつけている。フーフー言ってるのは、拘束を解こうとしてるからか。怒りを沈める為にか。どっちにしろ、これだけは教えておかなきゃならない。

 

「世界一の造船職人が集うこのウォーターセブンで敏腕を振るい、職長として日々研鑽を積んでいる2人だ。その2人が、修理不可能と言う結論に至ったんだ。分かるか?一流のプロが、そう判断した。その判断を信じられないが為に、お前は嘘だと否定したんだ。素人のお前がだ、ルフィ。」

 

「っ...!」

 

「例えばの話をしよう。船でコックを務め、僕らの食生活を管理するサンジが丹精込めて作った料理を、マズいと言って捨てたことがあるか?」

 

「っある訳ねぇ!!」

 

「今まで航海士としてその才能を遺憾なく発揮し、数々の危険を回避してきたナミの判断を疑ったことは?」

 

「無ぇよ!!!」

 

「どんなに大怪我した時でも、必死になって治療してくれたチョッパーの処置を否定したことは?」

 

「だから!!無ぇっつってんだろ!!!疑う訳ねぇだろうが!!!」

 

何が言いたいのかとルフィが叫ぶ。ナミはもう気づいたみたいだ。

 

「皆それぞれの分野で1流と呼ぶことが出来る程の実力と経験を持っている。ガレーラに務める船大工だって同じなんだ。何も変わらない。今まで必死に努力して、必死に修行して、世界一と呼ばれるに至ったんだ。」

 

「彼らを嘘つきだと否定するのは、世界中の1流と呼ばれる人達全ての腕と、1流になる為にその人達が賭けたそれまでの人生全てを侮辱することと同義だ...!」

 

「人の努力を!!夢を!!お前だけは否定しちゃいけないんだよルフィ!!!」

 

「!!!」

 

暴れる手足がピタりと止まる。目を見開いて、呆然としているルフィ。海賊王という途方もなく偉大な夢を追い続けるルフィだからこそ、その夢を否定されるのは許容出来ないはずだ。自分はそれと同じことをしてしまったのだと、たった今、気づいてくれたらしい。

 

怒りと戸惑いで視野が狭くなって、ついカッとなって言ってしまったんだろう。疑う気持ちも少しはあったんだろうが、決して100%嘘だと思っていた訳じゃない。でも、それでも言って良いことと悪いことがある。今回のは、悪いことだ。

 

「ガレーラカンパニーに務める皆様。この度は、私共の浅はかな発言により不快な思いをさせてしまいました事、心よりお詫び申し上げます。大変申し訳御座いませんでした。」

 

ルフィの上から退いて、深く深く頭を下げる。慌てて、ルフィも頭を下げる。ナミも一緒になって謝罪しくれた。

 

「すみませんでした!!!」

 

「ごめんなさい!!悪気は無かったんです!!」

 

それまでルフィに対して敵意を向けていたガレーラの皆の空気が和らぐ。特にカクとパウリーは、目の前で素人に嘘つき呼ばわりされたんだから。怒鳴ったり、殴ったりして当然だ。甘んじて受け入れる覚悟だったが。

 

「ルフィと言うたか。仲間に恵まれたのう。」

 

「けっ!今回限りだ、次はねぇと思えよ。」

 

「っあぁ!ありがとう!!」

 

良かったぁ。ホントに良かった、許してもらえて。これから船をどうするかって時に、職人さんの気分を害したなんてあっちゃどうにも出来ないし。

 

ルフィも反省して、自分の非を認めて謝った。こういう素直な面をカクもパウリーも汲んでくれたんだろう。

 

ありがたい。

 

「まぁ、とりあえず話は一旦終わりだな。船を買う気になったらまた来い。世話してやる。カリファ。」

 

「はい。どうぞご検討を。弊社が取り扱う船のカタログです。値段の参考に。」

 

ルフィがカタログを受け取り、僕に渡してくる。

 

あぁ、いけない。何しらっとしてんだ僕は。馬鹿かよ。

 

「ルフィ、殴ってごめん。」

 

「ん?あぁ、良いよ!俺が悪かった!ごめんな、ソラ。嫌なこと言わせた。」

 

「ううん、気にしてない。」

 

「ほんっっとに、あんたらの喧嘩なんて迷惑極まりないないんだからね!気をつけなさいよ!!」

 

「「うん、ごめん。」」

 

ほんとに。良かった、ナミもルフィも笑ってくれた。仲直り、仲直り。ひび割れた地面も見ないふり。きっと誰かが直してくれるはず。

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