予想通り、既に決闘は終わっていた。当然だな、もう何時間も過ぎてる。残っていたサンジが色々と教えてくれた。サンジはロビンが戻ってくるかもしれないと思って、1人で見張りをしていたらしい。
僕の顔を見て、ガラガラの声を聞いて、何があったのか聞いてきた。おかしいな、顔はチョッパーに冷やしてもらったのに。まだ腫れてるのか?まぁいいや。
「何も無いよ。」
「何も無い訳ねぇだろ、そんな面して。声も。」
「ちょっと喉乾いたかな。」
「...クソ強情なヤツ。ほら、レモン水だ。」
「ありがと。こういう時、僕の能力便利だよね。すぐに温められるから。」
「そうかよ。」
ウソップとのやり取りは言わない。なんか告げ口したみたいで嫌だし、事実を言えばサンジはきっとウソップに怒るだろうから。でもウソップの気持ちも理解できるから、怒るに怒れない状況でモヤモヤしてストレスが溜まるだけ。
僕がその状態だからな。そんなメンタルゴミカス状態なやつなんて、1人で十分だろ。
それにチョッパーも言ってたし。ウソップはついカッとなって言っちゃっただけ。僕もそう思う。あれは本心じゃない。本心なら、あんな顔で、声で、あんなに悲しい涙は流さない。そう断言出来るくらい、僕らには思い出があり過ぎる。
「はぁ...。もう良い、宿に行くぞ。」
「ソラ、大丈夫か?」
うん、大丈夫。ちょっと疲れただけだから。平気平気。
宿に着き、取っていた部屋に行っても誰もおらず。屋上へ向かうとゾロとルフィが居た。
ゾロがこちらに目を向けるも、ため息ひとつで何も言わず。ルフィはぼーっと黄昏てる。みんな意気消沈って感じ。ビビと別れた時を思い出すな。
「ルフィ!!あっ、あんたら戻ってきてたのね!!」
ナミ、どしたん。そんな急いで。
「っ、ソラ。落ち着いて聞いて、今町中がパニックになってるの。昨日の夜に、アイスバーグさんが...撃たれたって!」
「アイスのおっさんが!?」
あぁ、悪いことが重なる。ロビンも居ないし、ウソップも出ていくし。
「容態は?」
「わかんない!でも、意識不明の重体って聞いたわ!」
その言葉を聞いた瞬間、舌打ちと共に柵を跳び越えていた。
「あっ!?ちょっと待ちなさい、ソラ!!」
一体何がどうなってるんだよ。無事なのか、アイスバーグ。やめろよ、こんな訳わかんないまま友達を失うのなんて、絶対嫌だからな。
普段は心地よく感じる風をきる音も、今は煩わしさを助長させる。風圧が鬱陶しい。速く、迅く。
「道を開けろぉおおお!!状況が分かんねぇのか馬鹿どもがぁっ!!っちくしょう!!」
人集りができている。沢山のカメラがある。記者たちに囲まれて身動き出来ていないパウリーを発見した。
「何してんの、さっさと行くよ。」
「あぁっ!?うっお、ソラ!?」
初めての時と同様に、肩に担いでジャンプする。そのまま2階のテラスへと跳び乗って、中に居た人に扉を開けてもらう。
「待て、子どもが来るところでは!」
「よせ、アイスバーグさんの旧友だ。」
「えっ!?あっ、そうなんですか!?」
どうでも良い。アイスバーグは?まだ意識は戻らないのか。
アイスバーグの部屋の前には、カクと知らないおじさんが居た。まぁここに居るってことは、恐らく職長なんだろう。そこに秘書のカリファさんがやってくる。涙をポロポロ流しながら。
「皆さん。アイスバーグさんが、たった今...意識を取り戻しましたっ。」
「「「良かった!!」」」
あぁ、ホントに良かった。とりあえずは一安心だな。
部屋に入ると、ルッチと呼ばれる職長が立っていた。お見舞い&護衛なのかな。無表情で突っ立っている。
今更ながら僕ここに居て良いのか?全然部外者じゃん。いや、友達なんだけど。
「ンマー、心配かけたな。ソラも来たのか。」
こくり、と頷く。
「無事で何よりだアイスバーグさん!まぁ今はお休みんなって!造船所のことは俺たちで何とかしますんで!」
ベッドの上に陣取る小さなネズミがいる。可愛い。
「ところで昨夜、俺の部屋に侵入してきた奴らが2人居た。1人は仮面を被った大男。そしてもう1人は、お前には言いづらいんだがな、ソラ。ニコ・ロビンだった。」
「「「えっ!?」」」
は?ロビンと誰かがアイスバーグを撃った?どういうことだ。なんでそんな事をする必要がある。そもそもロビンは何処にいるんだよ。
「お前ら止めろ。ソラに手を出すな。」
僕に対し殺気立っていた職長達をアイスバーグが止める。唯一パウリーだけは動いてなかった。呆然として僕を見ていた。多分僕も同じ顔してる。見えてないだろうけど。
「犯人は麦わらの一味なんじゃろう?つまりお前らじゃ、ソラ。」
「目的はなんだ!?船が直らねぇことの腹いせか!!」
「おいテメェら落ち着け。アイスバーグさんの前なんだぞ。」
「なんじゃパウリー。お前さんは犯人を捕まえるのなんてどうでも良いっちゅうんか。」
「違ぇよ。状況がわからねぇから落ち着けっつってんだ。」
「状況がわからないだと?バカだバカだとは思っていたがここまでかッポー。目の前に犯人の連れが居る、だから拘束し尋問する。それだけだッポー。」
「だからそれをやめろってアイスバーグさんが仰ってんだろうが。」
やいのやいの、ガヤガヤ、ザワザワ。
口論が口喧嘩になり、だんだんとヒートアップしていく。皆アイスバーグのことが心配なんだな。
さて、パウリーの言った通り、落ち着かなきゃ。冷静でいられない状況だからこそ、努めて冷静で居なければならない。これ、さっきも言ったな。
「アイスバーグ。事実確認だ、襲撃者は2人。内1人は仮面を被った大男。もう1人は仮面をつけていなかった。それがロビンだった。犯人は銃で5発、お前を撃った。間違いないね?」
「あぁ、そうだ。」
「ロビンは発砲した?」
「いいや。大男の方に撃たれた。」
ふーむ、なるほど。モヤモヤする。なんだぁ、この感じは。推理なんて柄じゃないんだが。
「犯人の仲間であるお前が何を言おうとも、どうしようもない事じゃ。」
「今更そんなことを確認したって無意味だっポー。」
さっきからポーってなんだ?鳩が喋ってる設定なのか。場を和ませようとしているのか?よく分からんな。後者なら悪手だぞ、なんたって今は皆気が立ってるんだから。
「何故今のやり取りを聞いていて、僕が犯人の仲間だって思うわけ?」
「なんじゃと?」
「ロビンは撃ってないんだろう?下手人と一緒に居たってだけで、犯人だとは限らない。脅されて一緒に行動させられてたのかもしれない。」
「それを確かめるためにも、お前は拘束して尋問すべきだっポー。」
ロビンのことはウォーターセブンに到着した直後から見てないから、僕を尋問したところで何も情報出ないんだが。って言っても無駄そうなので、有益な情報を渡して信用を得る方が得策かな。
「いくつか疑問点が挙げられる。まず、ロビンと一緒に居た大男ってやつを、僕は知らない。そいつは麦わらの一味じゃない。これは手配書を確認すれば裏が取れる。つまり、ロビンは僕らの知らない誰かと一緒に行動してたってことだ。そいつは一体何者だ?」
「それに、なぜアイスバーグは5発も撃たれたのにも関わらず、今なお生きている?確実に殺せた筈だ。そして確実に殺すなら、銃なんて形跡が残る凶器を使わずに、ロビンにやらせれば良かった。確実に実行出来たであろう暗殺が、失敗してる。」
「無礼者っ!!アイスバーグさんが生きていて何が悪いのですかっ!!」
いやそういう話は今してないから。むしろ喜ばしいことだから。
「わざと生かされた、そう言いたいのか?ソラ。」
「だろうね。ロビンが態々顔を隠さずに一緒に居たのも含めると、アイスバーグに犯人は麦わらの一味だと証言させるためだと考えることが出来る。現にこうして僕が今、犯人扱いされてる。」
「逆説的に言えば、僕らに罪を擦り付けている=僕らは犯人では無い、と考えるのが妥当かな。まぁ全部仮説かつ僕目線での話だけれど。」
「「「!」」」
信じるか信じないかはあなた次第です、なんちて。これで信じられないんなら僕は逃げるしかないな。
「なるほど、一理ある。だがそうなると、アイスバーグさんを撃ったやつを見つけねぇと真犯人は分からねぇってこったな。」
「信じるのかっポー、パウリー?」
「その大男が麦わらの一味では無いと言う証拠も無いじゃろう。賞金首じゃないだけかもしれん。手配されていない仲間なぞ他にもおる筈じゃ。」
「言う通り、賞金がかかってない仲間がいるかもしれないね。僕が知らないって言ってるだけだし、君たちにとっては確証を得られない。そう言えば、侵入経路は?」
「分からん。扉や窓に細工された訳でも無いのに侵入された。俺には突然現れたように見えた」
ふーん。特殊技能なり能力なり使ったっぽいな。ワープ系か、壁をすりぬけるタイプか。めんどくせぇ〜。
「アイスバーグ。敵に心当たりあるかは知らないけれど、多分ここに居たら今度はホントに殺される。逃げるなら早めにね。」
「おいおい、5発鉛玉ぶち抜かれてんだぞ。動けるかよ。なぁソラ、今からもう一度ニコ・ロビンに会えるか。」
「それは無理かな。ウォーターセブンに来てから1度も見てない。」
「そうか。」
さて、アイスバーグの安否も確認したし。僕はここに居ない方が良いみたい。そろそろお暇しますかねぇ。やかましい気配が近づいてきてるし。
「うぉおおおおお!!」
「なっ、なんだぁ!?騒がしいぞ、ここをどこだと思ってる!」
ほんまそれな。病人の部屋ぞ。もっと大人しくしろよルフィ。無理か。
さて、ルフィに気を取られてるうちにさっさとお暇いましょうかね。
&&&
【うん、大丈夫だよ。必ず助けるから。え?そんなの関係ないよ、だって仲間でしょ】
【ーーー?ーー、ーーーー。】
【うん、皆で。信じてて、諦めないでね。それじゃ、また後で。】
なんやかんやでサンジと一緒に海列車に乗り込んでエニエスロビーに到着したは良いものの、はぐれて現在一人なう。
うーん、どうしたものか。もうみんな到着してるっぽいし、なんなら各地で戦闘が勃発してる。
そしてここにも、2人。
「久しいね、なぜこんなところに居るのか聞いたら答えてくれるのかな。君らのボスはもう捕まってる筈だけれど。」
「あぁ、お前らがボスをやったんだってな。まぁ俺たちも、まさか王下七武海のクロコダイルが正体だなんて知らなかったわけだが。」
「きゃはは、だーれも知らなかったんだからしょうがないんじゃない?Mr.5」
「そうだな、ミスバレンタイン。で、俺らがなんでここに居るかって?決まってんだろ、お前をぶっ潰すためだ」
なるほどね。目的がはっきりしているのはいいことだ。それに。
「二人とも、強くなってるみたいだね?短期間で随分成長したらしい。何があったのかな」
「あんたの言った通りにするのなんて癪だったんだけどね。それ以上にあんたに負けっぱなしなのが気に食わなかったのよ。だから言う通り、武術を学んだ!」
「お前を倒すためだけに、俺たちゃ他人に頭下げてまで強くなったんだ!師匠の強さは本物だ、なんてったってボスと同じ王下七武海の魚人だからな!その名も…」
「「海峡のジンベエ師匠!!」」
…わぁ、懐かしい。元気にしてるみたいで良かったよ、ジンベエ。でもジンベエが育てた弟子が旧友に敵対するって知ってたら、きっと怒るなり落ち込むなりするんだろうなぁ。
まぁでも、そうか。つまり君らは僕の、弟妹弟子みたいなもんか。僕の人技もジンベエとかから習ってるし。まぁ武術の師匠はジンベエだけじゃないけど。
「はっ!驚きすぎて声も出ねぇか!?」
「今更怖気づいたって遅いわよ!はぁっ…魚人柔術・渦潮崩し!!っち、剃!!」
「おっと…はやいね、魚人柔術か、やるね。それに六式まで使えるのか」
「よそ見か余裕だなぁ!?剃っ、魚人爆撃空手・
「まじか、オリジナルの魚人空手に六式使い…なるほど、厄介だな。どうしよう」
「「どうしようもこうしようもあるかっ!お前を倒す!!」」
やる気満々かよ。やるきマンマングローブかよ。
「「魚人双空手・
「紙絵!!」 「爆!!」
ほう、前後に挟んでからの正拳突きか。爆撃を追加することで威力を高め、傷つかないように片方は紙絵を使って避ける工夫も凝らしてる。匠の技だな。そして何より気になったのが。
「
「「えっ!?そうかな!?(嬉)」」
「うん、本当に。僕の扱う武術は人技って言ってね、習得できなかった魚人空手と魚人柔術の苦肉の策として編み出した、いわばそれらの劣化版というか廉価版みたいなものなんだよ。だから、武術の才能という点に関しては、それらを習得しかつオリジナルの技まで昇華させてる君たちのほうがずっと高い。」
「…べっ、別に嬉しくなんかねぇかんな!!」
「そっ、そうよ!全く褒められなかった私たちを懐柔しようとでもしているの!?あんたが私たちに勝ったんなら考えてあげなくもないけれど!!」
「え?そんなつもりじゃなかったけれど…でも、そうだな。そういうご褒美があるんなら、ちょっと頑張ってみようかな。」
「「えっ?」」
よっし、いっちょやりますか。
魚人柔術・人技
魚人空手・人技
「「っ!?」」
「魚人柔術・引潮一本背負い!!!」
「魚人爆撃空手・
うむ、なかなかやるな。
「「な、なんで劣化版の癖に相殺される!?」」
「それは単純に練度の差だよ。君らまだまだ初めて数カ月でしょ。僕はもう15年近くやってるからね。」
「そ、そんな前からっ!?」
「うろたえるなミスバレンタイン!逆に言えば俺たちは数カ月でこいつの15年に追いついたってことだ!いけるぞ!」
「そうね!私たちの努力は間違ってない!たとえ師匠に褒められなくても!」
「最後の一言草生えるんだけど。」
まぁ、でも言う通りなんだよなぁ。はぁ、萎える。僕の年月が彼らの数カ月なんてそれ無理ゲー。つらみー。牛のつらみって旨いよな。(急に)
「まだまだ行くぜ!」
「えぇ、これからよ!」
魚人機動柔術・
魚人爆撃空手・猛獣正拳
魚人空手・人技
魚人機動柔術・
魚人爆撃空手・
魚人空手・人技
魚人機動柔術・
魚人爆撃空手・
魚人柔術・人技
魚人機動柔術・
魚人爆撃空手・
魚人空拳・人技
「っち、このままじゃ埒が明かねぇ!決めるぜ一度も成功したことのない大技!!」
「やるのねMr.5!力を貸してください、ジンベエ師匠!!」
「魚人機動柔術・双奥義
「魚人爆撃空手・双奥義
「うん、大体(ルールは)分かったぜ。今ここで創ろう、人の業を超えた神の御業を。」
―――魚人日輪空手・
&&&
「「調子に乗ってすみませんでした。」」
ウケる。ガチ萎えしてんじゃん。そんなに自信あったんだ。まぁ僕の精神的ダメージの方がでかい自信あるけど。だって15年が数カ月で追いつかれたんだもんね。はぁ、マジ意味わかんねぇ。修行しよ。(ガチ)
「じゃあ君たち僕の部下ってことでいいの?」
「まぁ、そういう約束だし。その代わり!変なことさせたりは無しだから、良いわね!?」
「そーだそーだ!俺なんて約束もしてねぇのに!」
まぁそんな変な事させるつもりはないけど。普通に手足として使うくらいだし。そのためにも、もっともっと強くなってもらわないとな。
「オッケー、とりあえず自己紹介といこうか。僕はソラ、よろしく。」
「俺の名はジェム、殺し屋だった男だ。これからはお前の手足となって動いてやる。」
「きゃはは、本名を名乗るのね!あたしはミキータよ!負けたのは悔しいけど、まだまだ実力不足ってことね。それで、あんたの本名は?」
「うん、とりあえず君たち2人には上下関係をしっかりと刻んでおくことにするよ。絶対に裏切ることの無いように。御覧?」
「「え?」」
傘をしっかりと差し、フードをとって眼帯をずらす。
―――妖技・宵の魔眼。
「「…き、綺麗。」」
そうでしょ?僕の自慢の顔と眼だ。
「ジェム、ミキータ。君たちのご主人様はだれ?」
「「あ、貴方です。ソラ…様。」」
「そうだね、2度も君たちのプライドをバキバキにへし折ったわけだけれど、僕に従う意思があるのかな?」
「あり…ます…。あります!」
「それではここに契りを交わそう。魂の契約だ。君たちは、僕の配下となる。この眼の下に誓いなさい。」
「俺、ジェムは貴方様に絶対の忠誠を誓います。生涯を貴方様に捧げます、ソラ様。」
「私、ミキータは貴方様に絶対の愛を誓います。生涯を貴方様に捧げます、ソラ様。」
「うん、よし。此処に契約は相成った。これからよろしく、ジェム。ミキータ。」
「「こ、心よりお喜び申し上げます!」」
さて眼帯を戻してっと。
「そういえばさっき気になることを言っていたね。僕の本名がどうとかって。なんでソラが本名じゃないと思ったのかな?ミキータ」
「いえ、なんとなく…勘です。特に深い意味があったわけでは。お忘れください、ソラ様。」
「俺はなにも感じませんでしたが…。」
「いいよ、契約はもう済んだから、言葉遣いは好きにして。そうだね、僕の本名か。ちょっと、生まれが特殊でね。僕の名前には強い力が宿っているんだ。だから知りたいのなら覚悟して聞くといい。」
「「わかった、聞きたい。」」
そう。僕の名前は、ソラ。月詠ソラだ。
はい、ということでソラくんの本名がでましたね。それとソラくんの個人的な配下となったMr.5ことジェムとミスバレンタインことミキータでした。このふたりの本名しらなかったです。調べて初めて知りました笑