結構長めです。
9年前。
ある日の出来事。とある海のとある船が、観客ごと嵐に飲まれ沈没した。無情にも平等に、襲いかかる波に為す術なく。
略奪を行っていた海賊船の船長と、船のコック見習いの少年だけが一命を取り留めた。打ち上げられた岩場には、動物も、魚も、木の実も。世に存在する食料のどれひとつとして、ひとかけら程もありはしなかった。
地獄が始まった。
「こいつがお前の取り分だ。打ち上げられた食料、普通に食えば5日分って所か。せいぜい頭使って食うんだな。」
「はっ!?待てよ!!お前の方が全然多いじゃないかっ!3倍はある!!」
「当たり前だ、俺は大人なんだから。胃袋のデカさがちがう。」
元々、略奪する側とされる側。最悪と言える関係の中、食糧配分は死活問題である。少しでも自分の取り分を多くしたい。そう思うのは当然のこと。
「こんな状況なんだ、助け合って生きていこうじゃあねぇかよ。なぁ、クソガキ。」
「クソジジイ...!!」
「分けてやってるんだ、有難いと思うべきだろ?」
少年は目の前の男を射殺さんとばかりに睨みつける。自分は無力で、例えここで暴れた所でこの男に殺されるだけ。少年には戦うだけの力はなかったが、考える頭を持っていた。
だからこそ、心底悔しかった。自身の頭を踏みつけながら、横暴を働くこの男に一矢報いることさえ出来ない自分の無力さが、心の底から腹立たしく思った。
2人は別れ、それぞれの方角を見張り、船が来るのを待つこととなった。
幸運を祈る。大嫌いな男から投げかけられたその言葉が、いつまで経っても頭から離れなかった。
数時間が経ち、悪夢の始まりである1日が終わりを迎えようとしている。水平線の彼方までひと目で見渡せるのにも関わらず、1隻の小舟の影さえない。
少年の腹の音が鳴る。目の前に食料がある。決して多くはないが、あるのだ。
食べたい、食べたい、食べたい!!...でも。
少年は考える頭を持っていた。
そして同時刻。
男は覚悟を決める。誇り、プライド、夢、過去。男を男たらしめる全てを、自らの手で捨ててでも生き残る覚悟を。赫足と謳い恐れられたその右足に、終止符を打つ覚悟を。
2日目。
「あのクソジジイ、船見つけたって絶対教えてやるもんかっ!さっさとくたばっちまえばいいんだ。」
「おれは、1人で生き残るんだ。」
「5日分の食料を20日に分けて食べよう!1日1食以下になるけど、20日も生きてりゃ必ず船は通るんだ!簡単だ。」
少年は自分に言い聞かせるかのように、気丈に言葉を発する。絶望的な状況である。そう理解しているからこそ、あえて言葉を口に出すことでその思いを払拭するかのように振る舞う。
育ち盛りの少年にとって、1日1食にも満たない食事生活というのは耐え難い苦行であった。そしてそれは、少年自信が決めたものであるからこそ、決意が揺らぐ。
「も、もう少しだけ...食べようかな?」
目の前に、食料はあるのだ。食べられる、食べてもいい。少年が自分の意思さえ曲げてしまえば、この耐え難い空腹を満たすことが出来る。
「...っ!だめだっ、だめだ、だめだ!!み、水を飲むんだ。そしたら空腹だって、少しは!」
岩の窪みに出来た水たまりに頭を丸々突っ込んで食料から目を離す。5日分、という少しの余裕があるからこそ、決意がぶれる。
食べられない、と、食べないは違う。自分の意思が、思考が介在する余地があるか、ないか。
少年には理性があり、考える頭を持っていた。
5日目。
雨の降る日。雲と雨、雷が走り抜ける。悪天候の中で、少年は奇跡的に船を発見した。
「あっ!!船だ!!!おーーい!!おーーい!!」
雨と雷の音にかき消され、無情にも声は届かない。火を起こそうにも、雨に濡れて火種もつかずどんどん焦りが生まれてくる。
「くそっ、木がしめって火がつかねぇ...!!」
ここで少年が、対岸にいる男を呼び協力していたのであれば、あるいは助かっていたのかもしれない。
「まって...!行かないでくれ...!!おれがここに居るんだ!!ここに人がいるんだよぉぉぉーーー!!!おぉーーーーいっ!!!」
「助けてくれぇぇぇ!!!!うわああああぁーー!!!!」
少年は叫び続けた。喉が焼ききれても良い、声が出なくなったって構わない。今ここで助かることが出来たなら、それ以上の喜びはないのだから。
船は去る。少年に気づくことなく。
25日目。
「最後のパン...カビ生えてら。」
少年は思い出していた。つい1か月前までは、いつ通りの平和な日常の中にいたことを。自分はコック見習いとして、厨房で仲間と共に料理の腕を磨いていたのだ。
作ることが楽しい。客に料理を提供し、美味しいと笑ってもらえることが嬉しい。料理人としての幸せを感じる日々を送っていたのだ。
大切なものは、失って初めて大切だと知ることが出来る。それはかけがえのないものであり、この広い海の中、奇跡に等しいバランスの上で成り立っていたものであるということ。
料理人は食料が無ければ何も出来ない。目の前にある食材を、調理し提供する。食材そのものを生み出すことは出来ないのだ。
涙が溢れ、こぼれ落ちる。当たり前の日常を思い返してしまったが故に、気丈にピンと張っていた糸が緩みはじめる。
ポロポロ、ぽろぽろ。
何故こんな目にあっているのか。ただ、料理をしていただけ。いつもの通り、厨房で仲間たちと楽しく語り合いながら。
海賊が来て、襲われ、奪われ。嵐に飲まれ、船は沈み。そして。
あぁ、そうだ。オールブルー。
イーストブルー、ウエストブルー、ノースブルー、サウスブルー。全ての海に住まう魚たちが一堂に会する伝説の海。全ての料理人たちの楽園であり、夢。
「しんで、たまるか。」
少年には夢があった。
恐怖の対象でしかなかった海賊に立ち向かってでも、足に噛み付いてでも必ず生きて見つけたいと思うほどの夢。つよい、つよい夢があった。
70日目。
「あのクソジジイは、もう死んだかな。」
少年は、ふと男の存在を思い出す。窪んだ眼孔、カサついた肌、痩せこけた頬、浮き彫りになったあばら骨、細く萎びた手足。
限界などとうの昔に過ぎていた。にも関わらず、自分にこれほど動く体力が残っていたのかと、少年自身が驚いたほどだった。
「あいつまだ生きてる...、え、食料があんなに!あんなに、食べるものがある...!!」
男の傍には大きな麻袋が転がっていた。それは少年にも見覚えのあるものだった。食料だ。男の取り分だと言って、男が持っていったもの。自分に渡されたそれより、ずっとずっと大きな袋。
「もともとあのクソジジイが悪いんだ。全部あいつのせいでこんな事に...!殺したって奪ってやる。おれは...生きたい!!絶対に生き残るんだ!!」
少年は男に近づく。
「何しに来たチビナス。船が...見えたのか?」
違う、と少年は言った。
「お前の食料を奪いにきたんだ...!殺せるもんなら殺してみろよ...どうせ、おれはもうこれ以上食えなきゃ死んじまうんだ。」
手に持っていた包丁で、大きな麻袋を切る。
「...は?」
ガシャり、と。金銀財宝がこぼれ落ちる。財宝?なぜ?ここには食料が入っているはずだ。いや、違う、そうじゃない。入っていなければならない。
「なん、で?ぜんぶ、宝だ...。おい、袋いっぱい全部、宝だぞ...、?」
「...金はあるのに食えねぇってのは、滑稽な話だな。」
男の言っている意味がわからない。少年には、もうほとんど考える力さえ無くなりつつあった。
「しょく...りょうは、!?お前、今までどうやって生きてきたんだよ!!!俺より胃袋でかいんじゃなかったのか!?」
少年は男に掴みかかる。自分と同じ、痩せ細った身体。淀んだ瞳、ボサ着いた髪の毛。これがあのおっかない海賊なのか。自分を蹴り飛ばし、踏みつけた足さえもやせ細って。
やせ細って...、?
「なん...だよ、その、足。おまえ''...っ、自分の足!!食ったのか!!!?」
「...そうだ。」
少年がいくら叫ぼうとも、男は目を合わせなかった。まるで、まずいものが見つかったとでも言っているかのような。
「食料はっ!おれに、くれたのが全部だったのか!!?」
「...そうだ。」
「その足っ!!無かったらお前もう...海賊出来ないじゃないかっ!!!」
「...そうだな。」
「っよけいなことすんなよ!!おれはお前のこと殺す気だったのに!!お前にっ...優しくされる覚えなんかない!!なんでだよぉ!!」
男は静かに言った。
「おまえがおれと、同じ夢を持っていたからだ。」
「...!!オール、ブルー?でも、お前の仲間だってそんなのないって!」
男は断言した。必ずある、と。1年の航海でこそ見つけることは出来なかったが、その可能性を掴むことは出来た。
「海は広くて、残酷だなぁ。長い海賊人生、ものを食えねぇこういう危機に何度も陥ってきたが、その度に思う。」
「海のど真ん中にレストランでもありゃ、飢えて死ぬやつらも減るだろう。」
「レストラン...!」
「あぁ、そうだ。この岩の島から生きて出られたなら、俺ァ最後の生きがいに、そいつをどーんとぶっ建てようと思った。」
海賊時代に抱いていた自分の夢は絶たれてしまった。これはもう、仕方の無いこと。あの日、覚悟は決めたから。今更ぐちぐち言うつもりもない。
今後また動けるようになったとしても、それは身体の話。あの仲間たちがいない以上、もう一度海賊をやりたいとも思わない。
だから、新たな夢を持つ。海上に揺蕩うレストランだ。
「...よ、よし!俺もそれ、手伝うよ!!だから、まだ死ぬなよジジイ!!」
男が倒れ、今にも死にそうなほど衰弱している。自分よりも、ずっと。
少年は声をかけ続ける。共にその夢を叶えようと。
「っは!てめぇみてぇな貧弱なチビナスにゃ無理な話だ。」
「強くだってなってやるさ!!!だから、なぁおい、死ぬな!!!」
そんな時、少年と男は、耳慣れない音が近づいてきていることに気づいた。
なにかの唸り声のような、雄叫びのような。
ヴォンヴォンヴォォォオオーーーーン。
それは
&&&
「うーみーはーひろいーなーおおきーぃーなー。しーまぁーのーひとつーもー、みえやーしーなーーーぃ、とくらぁ。」
マジで。こんな綺麗な海は前前前世含めて今まで見たことないよな。海って偉大だなぁ。偉大だなも!(たぬき)まぁ僕の記憶は前世までしか無いんだけどね。
いやー、それにしてもこの船ほんとに気に入ったわ。作って貰えて良かった良かった。熱エネルギーと光エネルギーを使って動かしてるから、ほぼほぼ僕専用だけど。速度もめっちゃ速いし、見た目も要望通りスマートだ。1人用にしちゃ船内も広い、総合的に大・満・足!4~5人は乗れそう?それだとちょっと狭いかな?
まぁ設計図渡した時は、御三方も相当興奮してたし。1人は声が出ないほど爆笑してたからな。過呼吸になるんじゃない?って結構心配したわ。あぁいう笑い方なのね。そもそもこの世界って笑い方独特なやつ多いよなー。キャラ付けか?読者に覚えてもらおうと必死なんだな。
「...ん?なんだろ、あんな何もなさそうな岩場に人が。えぇぇ?なんでぇぇ?どうやって登ったのぉ?」
そういえば前世のどっかの企業は、新入社員研修に1週間くらい無人島でサバイバルさせるみたいな企画を立てていたような。そういうあれか?飯だけやるから生き延びてみせろ、的な?そんな企画は絶対無理。超ド級Z世代代表だぞ舐めんなよ!!!
よく見たらなんか違くね?ガチヤバいやつじゃね?爺さんと少年がいるぞ。家族か?少年って言っちゃったよ。肉体年齢的に僕と同じくらいだけど。まぁ少年が少年を少年って言っても少年は少年であることに変わりないから少年であるわけであばばばばばば。
...え、つかなんか見たことある希ガス。あれ、サンジとゼフじゃね。
...っ!?やばいやばいやばいやばい!!
これはマジで気が狂う程ヤバいやつじゃん!シャレになってない。急いで助けんと手遅れになるかもしらん!テンパり過ぎて方言出た!とか言ってる場合じゃねぇんだわ!!
航海用の調理器具1式、食料も大丈夫。いや、固形物よりもまずはスープとか流動食の方がいいな!やせ細って筋肉なんて見えやしない。骨と皮だけだ。顎動かすのだって辛いはず。
よし、卵ベースのスープは完成した。あとは少しの米を入れて、9:1くらいの超水っぽいお粥の出来上がり!温度は保証してやる!もちろん味も!!保証期間は2秒だけな!!
兎に角いそげいそげっ!!
&&&
「っは!てめぇみてぇな貧弱なチビナスにゃ無理な話だ。」
「強くだってなってやるさ!!!だから、なぁおい、死ぬな!!!」
喋ってるってことはギリギリセーフだな。これ、原作だと助かる直前くらいだろ。あっぶねぇ、見つけられてよかった。めっちゃ偶然だけど。
「もし。そこの御二方。」
「...え、?」 「...なん、だ?」
有り得ないものを見るかのような目で僕を見る2人。まぁ黒コートで全身隠れてる眼帯付きの傘さした得体が知れない美少年(見えてない)だ。属性盛り杉子さんかよ。いやだれ意味不〜ってなるのは分かる。
「こ、こども...?なんでこんな所に...!」
子どもて。お前もじゃろ。少年が(ry。
「積もる話は後にしましょう。まずはこれを。固形物は体が受け付けないでしょうから、お粥を作りました。食べてください。」
食べて?飲んで?まぁいいやどっちでも。さぁ、温かいスープをどうぞ?味は割と自信あるよ。料理については数年間学んでたし。今世で。
あっ、でもこの2人どっちもプロのコックだったわ。神の舌レベルでダメ出しされたら立ち直れない。もぅマヂムリおぅちかぇろ...。僕おうち無いけど。
サンジは恐る恐ると言った感じでスープに口を付ける。直後、涙を流しながら一心不乱に飲み始めた。そんなに急いで飲んだりしたらゲロりんちょしない?大丈夫そ?
ゼフは体を起こすのも無理そうだな。...老人介護って思ってるのバレたら蹴り殺されそう。そういえばゼフって懸賞金いくら位なん?知らんのやが。
「失礼、頭を抱えますね。力を抜いてください。大丈夫、大丈夫です。貴方がたはもう、助かりましたから。よく頑張りましたね。」
ゼフの頭を抱えて胸(というか腹?)で支えつつ、スープを口まで運ぶ。こくり、こくり。ゆっくりと少しずつではあるが、確実に喉を通っていく。
抱えた頭が震えている。支えた僕の手に滴る透明な水。僕は何も見てない、何も見えてない。
それからしばらくは、スープを飲む音と嗚咽が響いていた。
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さて、飲み終わってほっと一息。因みにホットスープとかけた訳では無い。あれ、これ言わなきゃ誰も気づかなかったんじゃね?はい墓穴〜。そしてそこに入る僕〜。穴があったら入りたい?甘ったれんな!!てめぇで掘っててめぇで入るんだよ!!!
とりあえず2人を船内に運んで、簡易ベッドに転がす。ありえないほど軽かったぞ...、運んでる時どれだけ怖かったことか。まぁそこそこ重い傘を常時持ってるから割と鍛えられてる方だけど。それにしても...ねぇ。ほんとに辛かったろうな。
予備のベッドがこんなに早く役立つとは思わなかった。オプション付けてて良かったわ。設計図渡した時に、要らないだろって特徴的な青年2人に突っ込まれたが。こういうこともあろうかと、というやつだよ。
こんだけ衰弱してるのに、1人はソファで寝てね♡なんて言えるわけないし。かと言って添い寝も嫌だろうし。...嫌だよな?
とりあえず近くの島を探そう。ゼフの足も心配だし。一応簡単に応急手当はしたけど。僕、応急手当技能は65くらいしか振ってないんだ、ごめんよ?(イア!イア!)
「なぁ...、助けてくれて、ありがとう。お前は命の恩人だ。」
「...俺からも、礼を言う。助かった。」
ええよ。
「困った時はお互い様と言いますからね。貴方がたが助かって良かったです。」
ほんまに。
「おれ、サンジ!お前の名前は?」
「僕の名前はソラと言います。」
「...ソ、ラ?お前、ソラって言うのか!?」
え?うん。そう言うたやん。え?なんかめっちゃ嬉しそう、なんで?(困惑)大丈夫か、つか寝なくて平気なん?
「え、えぇ。そうですけど。」
「そっかぁ...ソラ。ソラかぁ。良い名前だなっ!」
「はぁ、どうも?」
ありがとう...?なんだろ、よく分からんけど。同い年くらいだし、歳近いから嬉しいんかな。で、爺さんの名前は?(圧)まぁしってるけど。
「おいジジイ!お前も名前言えよ!」
それnあっあっあっ、止めたげてぇ!!身体ゆするのらめえぇぇ!!老体だから!!(煽り)痩っぽちなんだから!!(煽り)掴んでる腕見てみろよぉ!ポッキーだぞ!?(違う)
「触んじゃねぇボケナスが。チッ、ゼフだ。」
「なんだよその態度!」
「うるせぇチビナス。」
んん、絶賛警戒中って感じかな。手負いの獣を連想させる。まぁその反応は正しい。だってどこからどう見ても、主観的に見ても客観的に見ても怪しいもん。僕。
日差し確認、良し。大丈夫、フードとって顔見せても問題ないな。
「そうですか。ゼフさんと、サンジさんですね。よろしくお願いします。」
フードを取りつつ、にこりと微笑む。あ、サンジがフリーズした。
「...てんし?」
「いや違いますね。」
気持ちは分かる。かわいいよな、僕。僕っていうかこの顔。いやまぁ僕なんだけど。(どっちだよ)
「テメェは俺のことを知らねぇのか。」
「はい?」
俺のこと?なに、なにが?ゼフについて知ってること。ってどれのこと?えぇ、なんかジーッと見られてる。止めてよあんまり凝視されると照れる。凝視っていうか睨まれてる?目つきが悪いのは生まれつきなんか?顔がいいから許されるんだぞ!!覚えとけよっ!!
あ、なんだっけ知ってることだっけ?とりあえず爺さんについて知ってること全部言うかな。どれが当たるやろ。なんのこっちゃ分からんし。
「栄養失調、筋肉量の低下、脱水症、熱中症、
「そういうこと言ってんじゃねぇ。」
なんなんだよ!!!そういうことだろ!?!?違うのか!?んんと、じゃあ。
「赫足のゼフ。クック海賊団船長にして、コックを務める海賊。戦闘において一切手を使わずに勝利を収める足技の達人。つい最近グランドラインの航海を経て、イーストブルーに帰還した。」
「...知ってんじゃねぇか。じゃあ何故助けた。」
えぇ、どういうこと。これは誘導尋問だ!!無効だ!!!(なにが?)
「何故、って。助けなきゃ、貴方が死んでしまいます。」
「俺ァ海賊だぞ。無法者だ。」
「そうですね。」
「「...。」」
やべぇ、何が言いたいのかマジでわからん。どういうこと?僕、察しは良い方なのに。なんなん?はっきり言えやおらぁっ!?難聴系主人公に!!ぼくはなるっ!!!いや別に目指してないけどね。
「ソラ、ジジイは海賊で、無法者で、今までたくさんの人から金品を略奪してきたヤツなんだ。」
おんおん、それで?
「なんで怖がらないんだ?一般人を不幸にさせてきたヤツで、人殺しだってしてるかもしれないだろ?」
はぁ、せやね。
「だからさ、そんな海賊をなんで助けたのかってことを聞いてるんだよ。ジジイは。」
ほーん、なるほど。完全に理解した。(わかってない)
チラリ、と爺さんを見ると、探るような目で僕を見ていた。サンジが言ったことの答えが知りたいっぽい。
「僕も、海賊に色んなものを奪われました。小さい頃、目の前で母さんを殺されて、住んでいた家を燃やされました。その時に、僕の片目も抉り取られました。」
「「!!!」」
「一時期は海賊に捕まってて、確かに憎いと思ってたこともあります。今でも、もしかしたら心の奥底にそういう感情があるのかも。」
「「....。」」
「でも、親と離れ離れになってしまった僕を、拾って育てて、強くしてくれた人たちがいました。その人たちも、元は海賊だったそうです。」
ちなみにその元海賊だった彼らとは少し前まで一緒にいた。この傘もその人たちから貰った。あっ、なんか思い出したら寒気が。
「だから僕にとっては、海賊だから助けないとか、一般人だから助けるとか。そういう考えは持ってないんですよ。海賊の中にも善人悪人はいて、海賊じゃなくても善人悪人はいます。」
「だから、そういうのを全部とっぱらって考えて。目の前に助けを求めている人がいる。僕に助ける力がある。」
ーーほらね、助けない理由がないでしょう?
フリーーーーズ。なんか2人とも目見開いてびっくり顔晒してる。多分珍しい表情だと思うから、脳内永久保存しとこ。んで暇な時に絵描こう。僕、イラスト描くのしゅきぃ。
てかレスポンスは?良いこと言うた気がしてたんは僕だけかいな?ワンピース史に残る名言として扱ってくれてもええんやで?ん?んん??
「なぁソラっ!!ソラには夢、あるか!?」
え、どしたん急に閑話休題みたいに路線変更して。誰の話が閑話やねん!閑古鳥なんて煮て焼いて食ってやるどぉー!
「夢ですか。んー、とりあえずイーストブルーで気ままに旅をしようと思ってました。会いたい人が2人いるんです。1人は父親で、イーストにはいないんですけど。もう1人はこっちにいるので。」
夢ではないが。目的ではあるな。まぁルフィのことなんだけど。
「じゃあ、じゃあさ!一緒にコックやろう!!」
「んえ?コックですか?」
あ、やべ。変な声出た。いや大丈夫気づかれてない。
「あぁ!ジジイと一緒にこの海の上でレストランを開くんだ!!そうだろ、ジジイ!」
「勝手に話を進めてんじゃねぇ。...だが、テメェのスープは、美味かった。」
「おれ、今まで食べた飯の中で、ソラのスープが1番美味しかったんだ!!ソラと一緒に料理したいんだ!だから一緒にコックやろう!」
くぅ、...眩しい。純粋な瞳が眩しすぎるぜ。直射日光はダメだっていったろ?あ、言ってなかったわ。
「にしし、ありがとうございます。バーで働いていたので、料理はそこそこ出来ますよ。カクテルとかも作れます。」
仕込まれたからなぁ。でも覚えがいいって褒められたし。この身体、リアルにスペック高いから。本格的な料理人としてもやって行けると思うわ。
いんじゃね?バラティエに居たらそのうちルフィ来るだろうし。誘って貰えて素直に嬉しい。
「じゃ、オーナーのお許しが出たら、是非一緒に働かせてくださいな。」
「!!ジジイ!」
「...フンっ。テメェら俺の店で働くからにゃ、こき使ってやるからな。覚悟しろよ...サンジ、ソラ。」
「「!」」
でちゃった。言い方めっちゃひねくれてて素直じゃないけど、OKってことだよね。これ。わぁ、サンジ嬉しそう〜。その表情、撮ります。心のカメラで。
「ところで海上レストランってことは、そこそこ大きな船が要りますよね?あてはあるんですか?船大工とか。」
「「金ならある。」」
なんでそんな2人してドヤってんのか知らんけど、金しかないって解釈でおk?
よっしゃ原作知識を総動員だ!バラティエ設計は任せろおぉいっ!但し設計だけな!!
やっべ、年甲斐もなくテンション上がってきたわ。マジかバラティエ設計できるんだ。う〜れ〜C〜〜。
サンジの母親と主人公の名前が同じとご報告頂きました。
普通に知らんかったです(笑)
ただ、ここから名前変えるのはなぁ、と思ったので
このまま進めました。
母親とおなじ名前を持った同い年くらいの子に助けられて
サンジは懐くと思います。そこから信頼関係を築くはず。
お粥も美味かったし。
ゼフは今まで持っていた考えや自分の価値観をぶっ壊す様な
思考を持つソラに興味と感謝を抱きます。
その考えを気に入って、どんなやつだろうと食いたいやつには
食わせてやるという考えをもつようになります。
サンジもその考えに影響を受けてあぁなります。
ソラはゼフが言ってたことがほんとに分かってませんでした。
海賊だから何?って考えは、原作知識として海賊にはいい人も
悪い人もいると知っていたから。
プラス、過去に海賊に助けられた経験と、現代社会で生きてきた
際に培った考えも持っているので。助けられるんなら助けるでしょ。
って感じの考えでした。
これが3人の出会いであり原点です。たのしかった!!!