「しっかし、本当にこんなしけたところに古代遺跡なんてもんがあんのか?」
「ウタちゃんの言葉を疑うってのか、このクソマリモっ!!」
明かりも少ない城の地下、いつも通りの二人の喧嘩が響く。
あまりの緊張感の無さに肩肘を張っていたウタは思わず力を抜いてしまう。
乱していた調子を取り戻したようで、一度も見たことのない場所にテンションを上げルフィと楽しそうにおしゃべりするまでになった。
少し離れた場所でネズミと何やら頷きあっていたチョッパーがとてとてと戻ってくる。
「みんな!向こうの方に本がいっぱいある部屋があるって!」
「お前はマリモと違って優秀だなぁ、チョッパー!」
「テメェこそ無能だったろうが素敵まゆげ」
「ああ!!!やるってのか!」
「望むところだ!!」
あいもかわらず言い争いを続ける二人に、遂にナミからの強烈なゲンコツがくだり大人しく地に沈む。
ナミって怖かったんだ、とチョッパーが動物と話せることを知りすごいすごいと褒め称えていたウタが少し怯えを見せてつぶやく。
あまり勝手なことはしちゃダメだな、と胸に深く刻んで。
ウタに怯えられているとは露知らず、その拳をもって沈めた二人をズルズルと引きずりながらチョッパーのいう本のある部屋へとズンズン進んで行くナミ。
先頭は俺だ!とルフィがそんなナミを追い抜こうと走る。離れまいとウタもまた追いかける。
元気になって良かったと、ウソップとロビンは走って行くウタを見ながら微笑みあった。
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ところ狭しと本が並べられた広大な部屋。
辿り着いたはいいものの、どこから手を出せば良いのか皆目検討もつかない。
各々が何か手掛かりになりそうなものはないかと探し回る。
そんな中、ウソップは一人、まるで土偶をそのままでかくしたような石像を見上げていた。その大きさは凄まじく、天井にまで届きそうなほどだ。
「でっけー石像だなぁ。今にも動き出しそうな精巧な作りといい、ただの置き物じゃない気するんだが、
・・・ん?なんだ?なんか天井に描いてある?」
大きな石像をじっくりと眺めるうちにそのまま天井にまで目をやったウソップは、天井に描かれた何かを発見した。
「んー読めねぇ。ロビン呼んだ方がいいな。」
同じく奥に配置されていた石像を二人仲良く眺めるルフィや、手に持った本に目を走らせるロビン、そしてどさくさに紛れて金目のものがないか物色するナミ達をウソップは呼びつけた。
呼んだ皆んなと一緒に天井を見上げるが、手に持っている明かりだけでは細部までは見ることができない。そこでウソップはパチンコを使い天井に火を灯した。
「必殺、火薬星連弾!どうだ?ロビン、見えるか?」
「ええ、ありがとう長鼻くん。・・・『人の恐れ、人の迷い。トットムジカの名の下に。怯えよ、逃げよ。』」
次々と読み解いていくロビン。
手にメモ帳を持ち書き留めていく。
そうやってしばらく読み進めていると、突如『ガコンッッ』と大きな音が聞こえてきた。
なんだなんだと辺りをキョロキョロすると、先程まで静寂を保っていたはずの石像が動き出しているではないか。
あまりに突然の出来事にポカンとしてしまう面々。
そんな彼らをよそに、足を踏み出すのと同時に、おそらく目にあたるであろう場所からビームを無差別に放ち出す。
「おいおい!なんなんだこいつは!」
「知るかそんなこと!つべこべ言わずさっさと逃げるぞ!!ナミさん、ロビンちゃん、ウタちゃん!早く!ヤローどもが足止めしている間に!!」
「スッゲーーー!!!!ビームだ!巨大ロボからビームが出たぞ!おい!こいつ持って帰ろう!」
慌てて逃げ出すクルーをよそに、船長は目をとんでもなくキラキラさせてテンションを最高潮に上げていく。挙句に持って帰ろうと駆け寄ろうとまでする始末だ。
「馬鹿なこと言ってないで早よいくぞルフィ!!まともに相手してられるか!!」
「おそらく防衛システムね。ここまでの大きさとなると主な目的は侵入者の排除というより遺跡の守護でしょう。私たちがここから去れば動きも止まるはず!」
「ほら、ロビンもこう言ってんだ!行くぞ!」
「アー〜!!離せよー!!」
「ふふっ!子供っぽくてルフィかわいい!」
最後までジタバタと足掻くルフィを引きずり慌てて戻っていき、扉を抜けて来た道を行く。
背後では、ガコンガコンと音が遠ざかっていくのが聞こえる。
そのまま速度を落とさずに走り、崩れかかっているところも多いやけに長い廊下を抜け、階段を上がり地上へと出た。
元来た地下からは異常は感じられない。完全に動きを止めたのだろう。
一気に走り抜けたことと安心できる地上に出られたことで一同はへたり込み荒い息を上げる。
「怖かったー。いきなりビームは反則でしょ!殺す気か!!!」
「そりゃ侵入者への対応なんだから向こうさんも殺す気でくるだろうよ。・・・それで、おい、ロビン。何か分かったのか?壁画を見る前にも何か熱心に見てただろう?」
安全が確保され言いたいことをぶち撒けまけるナミ。
そんなナミに冷静にツッコミを入れながら、収穫はあったのかとゾロは問うた。
「そうね。おそらくコレが狙いだったんじゃないか、という手掛かりは見つけられたわ。もう早速話してしまいましょうか?ほら、船長さん。しっかりして。」
「う〜ん、俺の巨大ロボぉ・・」
「別にロボではなかっただろアレ」
地下に繋がる階段に向かって未だに名残惜しそうにする船長とタバコに火をつけながらそのセリフを指摘するサンジ。
ウタはそんな皆んなを見て楽しそうに笑っていたが、ロビンの言葉を受けて自分たちがなぜ地下に行ったのかを思い出し真剣な顔をする。
もしかしたら新たな事実が見つかるかもしれないのだ。次の言葉を待つウタの様子に、ふざけていたルフィも背を正して座し、話の続きを促した。
全員が話を聞く姿勢を整えたのを確認して、ロビンは地下遺跡より持ち帰った情報を語り始めた。
「この島が抱える秘密、その名は『トットムジカ』!魔王とも呼ばれる恐ろしい存在がこの島にはいる。いえ、ある。と言った方がいいかもだけど。」
「『トットムジカ』?なんだそりゃ?ある、ってことは兵器かなんかの名称か?」
「兵器かどうかは分からなかったけど、触れてはならぬものと記されてあったわ。話を続けるわよ。」
「『トットムジカ』とは、ある一つの楽譜のことを言うらしいの。正確に言うと、その楽譜から特別な手段を用いて呼び出されるもの、かしら。壁画によれば、『その異形悍ましく、放つ熱線は数多を貫き、響く音色は絶望の色。黒白の腕より齎らされるは破壊の限り。』と。もしコレが解き放たれでもしたら、小さな国の一つや二つ簡単に潰れてしまうでしょうね。その性質上、無敵のようなものだもの。」
ロビンから語られる存在のあまりに恐ろしさに貧弱組三人は顔を青くする。
ウタは自分がいるこの島にそんな大層な伝説が隠されていたことに驚きを隠せない。ゴードンからそんな話は聞かされたことがなかったからだ。確かにこの上ない手掛かりだろう。
そんな恐ろしいものがこの島に眠っているのならばそれを狙った犯行であると考えられるし、そいつが暴れたとも考えられる。島の惨状とも当てはまる。
話を聞き一部に違和感を感じたサンジはロビンに尋ねる。
「ロビンちゃん。今の話だと誰でも彼でもそいつを使えるってわけでもないのかい?『特別な手段』っていったい・・」
「それに、無敵ってのはどういうことだ?どれだけ強くても倒せるもんは倒せるだろ。」
同じく疑問を持ったゾロからもサンジに続き口を出す。
そんな二人にロビンは軽く頷きながら説明を始める。
「剣士さんの疑問とコックさんの聞く答えは繋がっているの。『トットムジカ』をこの世界に完全に呼び出すには、ある能力が必要となる。そう、悪魔の実の能力が。」
「やっぱり悪魔の実が絡んでくるのね。まったく、私たちみたいな一般人には荷が重いわよ。ねぇウタ?」
「え?・・・あっ!ごめん!言ってなかったっけ?私も悪魔の実食べてるんだ。」
「あんたまで!!?!いったいどうなってんのよ偉大なる航海は・・・・」
悪魔の実と聞き、またかと顔を顰めるナミだが、ウタまでもがその実を食していたことを知り仰天する。
当のウタは呑気なもので、「そんなに珍しいんだ。ルフィもチョッパーもロビンも食べてるし、いっぱいいると思ってた。じゃあこの島に五人もいるのはすごいんだね!」なんて言って笑っている。
話がずれ始めたことに気づいたウソップが話の舵をとり、軌道修正して続きを催促する。
「悪魔の実とは言っても、なんでもいいわけじゃないの。歴史上、危険視されタブーとされてきたものは数多くあるけど、その実もまたそんなタブーの一つに数えられているわ。対生物に関して言うならば最強格と言ってもいい代物。泡沫の世界を作り出し、その世界において神にも等しい力をもつことのできるその能力は、使い方次第で世界を滅ぼすとまでされる。ただでさえ厄介な能力に『トットムジカ』まで加わればとんでもないことになってしまうわね。まあ、今回の件に直接関わっているというわけでもないでしょうけど。こんなにピンポイントで能力を持った者がいるとは考えづらいし・・」
「それで、その悪魔の実ってのはなんなんだ?」
痺れを切らし、一人で納得して結論に入ろうとするロビンに更に踏み込んで聞くウソップ。
さっきまでの怯えようが嘘のようだ。
話の流れから、やはりシャンクス達がその楽譜を狙った結果なのだと悲しげな様子のウタの耳にウソップの質問が聞こえる。楽譜があっても意味がないのだからその実もまた狙うだろう。と思い決して聞き漏らすまいと固唾を飲みロビンの答えを待つ。
そんなウタの耳に飛び込んできたのは、本人にとって血の気の引くような、とんでもない衝撃的なことだった。
「『トットムジカ』復活に必要となるその悪魔の実の名前は・・・・・
『ウタウタの実』よ。」
こっから色々捏造入るかもなんで、注意してや〜