麦わら帽子とぬいぐるみ   作:緋色

10 / 10
ウタちゃんも変装したいお年頃。


ドレスローザの妖精

☆1

「兎も角ここは敵地だ。変装したほうがいいだろう。錦えもん、変装頼む」

「あいわかった。それでは各々頭に石でも葉っぱでも乗せて――どろん!」

 

 試しに頭に石を乗せたら錦えもんの術で変装できた。

 黒スーツに髭。

 気分は潜入するエージェントかな!?

 オモチャの多いこの国では私も一緒にいれば目立たないかも?

 

「髭って安直すぎねえか?」

「素顔よりマシだろ」

「キィ~キィ?」

「似合うよウタちゃん」

「ここが飯屋か。お邪魔します!」

「ギィ!」

「ルフィもああだし飯食いながら作戦会議だ」

 

☆2

 

 ガヤガヤする食堂でいくつかのおすすめを注文を済まして料理を待つ。

 

「拙者このような場所で油を売っておる場合ではない!」

「まァまァ落ち着け。確かに時間はねェが…闇雲に走るよりは情報を掴むべきだ」

 

 仲間を助けたいから少々焦り気味の錦えもんを宥めるフランキー。

 なんだかんだこういう時は落ち着いてて頼りになる。

 

「――しかし妙だと思わねェか?」

「なにが?」「キィキィ?」

 

 周りを観察していたサンジ君が疑問の声を上げる

 

「仮にもこの国の王が今朝王位を放棄したばっかだぞ?おれァてっきりパニックになってるかと」

「キィ~キィ?」

「嫌われてるならもっと喜んでるんじゃないか?」

「知らねェんじゃねェか?」

「んなバカな!」

「聞いてみよう。おいおっさ「やめろ!今朝の一面だぞてめェの顔が載ったの!」

 

 確かに朝刊に手配書の写真がデカデカと載っていたし、ばれないように変装していても気付く人は気付くだろう。でも王位放棄したのが知られていないならこの国には新聞が届いてないのかな?

 説教されてるルフィを横に改めてシンバルを持ったサルのオモチャが料理を運んでくる。

 

「料理…お待たせしたとかしないとか!『ドレスエビのパエリア』『ローズイカのイカスミパスタ』『妖精のパンプキン入りガスパッチョ』!」

「どれもうまほ~!」

 

 冒険の名物、現地の料理!

 料理を見ればどんな国なのか自然とわかる。あと見てて楽しい!

 薔薇みたいな模様があるからローズイカなんだ!ドレスエビは普通かな?

 

「ん?『妖精のパンプキン』って何だ?」

「え~っこの国では妖精の伝説が今でも…信じられているとかいないとか――つまり妖精が出るとか出ないとか」

「妖精が出る?」

 

 食べ進めてる皆を横目に気になる話を店員から聞く。

 これってオモチャが妖精って事かな?

 

「キィ?」

「ウタが妖精だったのか…」

「オモチャだろ」

「妖精もオモチャのようにいるとかいないとか。え~…不思議でしょ?妖精は何百年も前からです。――どうぞ旅の人!お気をつけになるとかならないとか…」

「不思議なのはお前らだろ」

「キィキィ?」

「ウタも不思議だろ。見慣れてるだけで」

「キィ~」

「なぜ照れる?」

「ししし」

 

 気になるおとぎ話は置いておいて、向こう側からヒンの無い笑い声が聞こえる。

 山賊かな?

 

「騒がしいのはルーレットか」

小悪党(チンピラ)共が盲目のおっさんから金をむしり取ってる」

 

 変な仮面をした小悪党(チンピラ)達がルーレットで好き勝手言って騙しているようだ。

 盲目のおじさん結構強そうだけど度胸あるなあの小悪党(チンピラ)達。

 そう考えている間にルフィがルーレットの傍に向かう。興味がわいたのかな?

 

「また首を突っ込む…」

 

 騒ぎ始めた他の客の反応からして小悪党(チンピラ)達は有名人のようだ。

 反応からしてドフラミンゴの部下なのかな?

 

べゴォン!

 

「え~!?何だあいつァー!何をしたァ~!?」

「すげー穴があいた」

「…見えねェ事もまた一興――この人の世にゃ、見たくもねェウス汚いェモンも…たくさんありましょう…」

 

 ルーレットにいた小悪党(チンピラ)達はまとめて押しつぶされるように大きな穴の底へと落ちて?沈んで?いった。

 なにあれ!?怖っ!?

 

「『能力者』…」

「何の能力だコリャ」

 

 どんな能力か知らないけれどわかることは一つ。敵に回ったら強敵だという事だ。

 ルフィに手を出そうとした小悪党(チンピラ)達に怒ってたみたいだから海賊には見えないけど。

 

「あい、すいませんご主人。損害の請求はここへ…」

「はァ…え!ええ!?あんたまさか…」

「失礼しますんで」

 

 騒然とする店内を知ってか知らずかあっさりと盲目のおじさんは去っていく。

 

「おっさん強ェなァ!何者なんだ!?」

「…へへ。そいつァどうやら…言わねェ方がァ()()()()かと存じやす」

「互いの為ェ!?――どえれェ悪名でも飛び出すのか…?」

「キィキィ?」

「どんな立場であれ…只者じゃあねェな…」

 

 急に店内が騒がしくなる。

 

「バッグがない!」「おれは時計が!」「財布がない!」

 

 どうやら店内で盗みが発生したようだ。

 

「――!?さっきのおっさんスリでもやらかしてったのか?」

「ん!?一本足りねェ!」

「ギィ!?」

「どうしたのでござる」

「刀がねェんだよ!ここにあった『秋水』が!」

「何を!?ワノ国の宝が!?」

「ギィギィ!」

「どうしたウタちゃん!?ウタちゃんのバックもないのか!?」

 

 どうしよう!あれにはダイアルとかの小道具や新時代マークとかが入ってるのに!

 

「みんなやられたみたいだな。『妖精』が持ってったんだよ」

「何だよそりゃ!妖精ってのは盗っ人の名前か!?」

「妖精は妖精さ。笑って諦めるんだねェ…。はるか昔から目に見えない『妖精』はドレスローザの守り神。彼らのやる事にゃ目をつぶらなきゃならない」

 

 ドレスローザの住人は風物詩なのかやれやれムードだ。

 いや諦められないよ!?

 

「!?冗談じゃねェ!」「ギィ!」

「そうでござる!あれはワノ国の国宝っ!」

「あァ!?おれの刀だよ」

「おぬしのではござらん!おぬしにはいずれ決闘を申し込み『秋水』はワノ国に返して貰う所存!」

「――フン!いいだろう返り討ちにしてやる!」

「ギィギィ!」

 

 喧嘩してる場合じゃないけど!?早く追い掛けなきゃ!?

 どこに向かったかわかんないけど!

 

「欲張ったな… ()()!逃がさねェぞ!」

「キィギィィイィ!」

 

 何かを見つけたのか走り出すゾロに引っ付き、視線の先を見る。

 荷物が動いてる!?何あれ!?

 

「おいゾロにウタ!どこに行くんだ!?」

「待て待て!てめェはウタちゃん連れて彷徨わせてる時間はねェんだよ!」

 

☆3

 

 凄い速さで逃げる動く荷物の山を追いかけるが入り組んだ道に入ったり、大通りを横切ったりと巧みに逃げ回りついには見失ってしまった。

 

「ハァ…ハァ…何が妖精だ!ただの盗っ人じゃねェか!どこへ消えた!?ウタ!わかるか!?」

「キィ?」

「見失ったか…」

「待てっつってんだろ!刀の一本や二本諦めろ!」

「ギィ!」

「そうはいくか!アホウ」

 

 そうだそうだ!諦められるか!

 

「はっ!あれは!」

「いたか妖精!」

 

 高らかに鳴る手拍子(パルマ)と音楽で踊る魅惑の踊り娘がいた。

 

踊り娘

ヴァイオレット

 

「キ…キレイだ…♡」

「キィ…」

「この国の女は男を刺すと聞いたろ!お前みてェのがやられんだよ!」

「刺されてもいい~♡」

 

 サンジがこうなるのはいつもの事として妖精を探さないと…?

 ふと見上げた先に刀を背負った荷物の影。

 ――見つけた!

 

「キィ!」

「どうしたウタ!」

「キィキィ!」

「あっち…?――!見つけたぞ!盗っ人!」

 

 待てー!バック返せ!

 

☆4

 

 屋根の上を飛び回ること数分、ようやく追いついた。

 

「だりゃ~!捕まえたぞォ!刀は返して貰…」

「きゃああ~!」

 

 飛びついた反動で屋根から落っこち、オーニングを突き破って地面に落ちるゾロ。

 咄嗟にゾロをクッションにして正解だった。

 ゾロに潰されたら大変なことになる。

 

「しまった~!」

 

 そんな事を考えたたら罰が当たったのか落ちてきた荷物に潰された

 ぐえェ~。

 

「イ…イタタタ、大変大変っ!私ったらドジ!人間に見られちゃう!早く逃げなきゃ人間にっ…あ」

「キィ?」

 

 そこにいたのは小さな人?だった。

 これは小人族? 

 

「えーんえーん私ドジだーっ!ドジでバカでアンポンタン!いつかやると思ったんだー!」

 

 逃げようとする前にゾロに捕獲されて

 

「…これが『妖精』の正体?オモチャか?」

「ギィギィ!」

「オモチャとは違うれす。私はトンタッタ族のウィッカ!私を見た事秘密にしてくらさい!」

 

トンタッタ族(小人族)

偵察部隊

ウィッカ

 

「刀を取り返したし構わねェ。あとウタのも返せば黙っててやる」

「う…仕方がない交換条件です。手早くしてくらさい!急いでるんれす!」

「キィ!」

 

 荷物を漁ってバッグを回収する。

 

「あーっ!歩けない…。さっき足をくじいたようれす…。私ったらドジっドジっ」

「何だそのパワー。地面割れてんぞ!」

 

 中身は無くなってない。うん。取り返せてよかった新時代マーク!

 

「お願いれす!私を『隊長』の所へ連れてってくらさいっ!元はと言えばあなたのせいといえばせいですし」

「ギィ!」

「お前が刀を盗むからだろ!」

「私たちはこの土地の『緑の管理者』!この国の大人間たちは私達を『妖精』と呼び色んなものをくれます!」

 

 あげてないよ!?盗んでおいてその認識なの!?

 というか『緑の管理者』とか聞いてないし!

 

「急いでるんれす!私は偵察部隊!ドンキホーテファミリーの居場所を隊長に報告しなきゃ!今チャンスなんれす!ドンキホーテファミリーが『麦わらの一味』の船を襲いに行ったところを確認しました!」

 

 !?

 ドンキホーテファミリーが船を!?

 でも船待機チームにはサンジ君が…。あ、サンジ君一緒に上陸してた…。

 あれ?不味くない?

 

「キャードジっ!私ったら何もかも喋っちゃって!」

 

 レンガ造りの道を叩いて破壊するウィッカ。

 すごいパワーだ。家も傾き始めたし。

 

「オイ本当か今のは!おれもこいつもその『麦わらの一味』だ!」

「キャードジっ!私ったらドジっ!」

「破壊をやめろ!――よりによってあいつらを狙うとは!おれ達もサニー号へ!」

「待ってーっ!先に私をお花畑へ運んでくらさい!そしたらすぐに海岸へ案内するれすから!」

「知るか。おれはすぐ海岸へ向かう!」

「だってそっち真逆れすよ!?あなた場所わかんないんれしょ!?」

「…ウタ!方向は!?」

「ギィ?」

 

 そういえば走り回ってたし方向がよくわからない。

 地図の写しを見てみるけど。――駄目だここがどこだかわかんない。というか地図になってないこれ。

 

「…ええいどっちだ!その花畑ってのは!」

「キィ!」

 

 ――待っててみんな!すぐに行くからね!

 ――ゾロと一緒ってのが不安だけど!




「それ変装れすか?似合ってないれす」
「ギィ!?」
「あとなんで話さないんれす?」
「キィキィ~」
「…わかんないれす」

あはは~
キィ~

「和んでんじゃねェ!」
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