麦わら帽子とぬいぐるみ 作:緋色
電伝虫のプルプルは鳴き声だけどガチャも鳴き声なんだよな…
取引
☆1
プルルルルプルルルルルルル
ガチャ
『おれだ…「七武海」をやめたぞ』
ドフラミンゴはシーザーを取り返すために世界政府が取り決めた略奪のライセンス『王下七武海』から脱退した。
海軍から再び追われるリスクを背負っても人造悪魔の実『スマイル』の生産及び四皇との取引を選んだという事。それだけ四皇は強大な存在なのだろう。
「出たぞ!」「出た!」「ギィ!」「ドフラミンゴか!」「しーっ!しーっ!お前ら声が入るだろ!」
ドフラミンゴは裏取引を得意とする海賊らしいので頭の良さそうなトラ男君に交渉は任せることになっている。作戦とかと無縁なうちの一味だと交渉以前に要求叩きつけて殴り込みになるから妥当な判断だろう。
「もしもしおれはモンキー・D・ルフィ!海賊王になる男だ!」
「お前黙ってろっつったろ!」
受話器を取ったローの横からルフィは叫ぶ。話聞いてなかったのか。
「おいミンゴ!『茶ひげ』や子供らをひでェ目にあわせてたアホシーザーのボスはお前かァ!シーザーは約束だから返すけどな。今度また同じような事しやがったら今度はお前もぶっ飛ばすからな!」
「ギィギィ!」
よっぽど腹に据えかねてたらしい。そこには同意するが落ち着け!
『「麦わらのルフィ」…!兄の死から2年…バッタリと姿を消しどこで何をしていた』
「…それは!絶対言えねえ事になってんだ!」
『フッフッフッ…おれはお前に会いたかったんだ。お前が喉から手が出るほど欲しがるほど欲しがる物をおれは今持っている。運命ってやつかもしれねえな…』
「お…おい。それは一体どれほどおいしいお肉なんだ…!」
肉とは一言も言っていない。
さっきまでのカッコよさはどこに行ったのか。
「麦わら屋!奴のペースに乗るな!」
「お肉が一匹♡お肉が二匹♡」
「ルフィ!気をしっかり持て!それが必殺『奴のペース』だ!」
「ギィ!?」
「ジョーカー!余計な話をするな!約束通りシーザーは引き渡す」
正気を失ったルフィを戻そうとウソップが平手打ちしている間も交渉は進む。
『フッフッフッ…まずはウチの大事なビジネスパートナーの無事を確認させてくれ』
「ジョーカー!すまねェおれの為にアンタ七武「今から8時間後!『ドレスローザ』北の孤島『グリーンビット』『南東のビーチ』だ!『午後3時』にシーザーをそこへ投げ出す。勝手に拾え――それ以上接触はしない」
『フッフッフッ!淋しいねェ成長したお前と「切れー!こんなもん!」
ガチャ
「ふーっ危なかった!また『奴のペース』にやられるとこだったな!」
「キィ!?」
「大丈夫だおれは負けねェ」
いや目が肉のままですけど!?
「おい待て相手の人数指定をしてねえぞ!相手が一味全員引き連れて来たらどうする!」
「――いやそれでもかまわねェ。すでにこの作戦に置いてシーザーの引き渡しは囮のようなもんだ」
「じゃあその隙に『スマイル』の工場を潰す方が目的って事か」
『スマイル』の生産を止めてドフラミンゴと四皇のカイドウをぶつけて戦力を削る策だと言っていたが、その要であるシーザーを返す理由はそれだったらしい。
「ああ…だがそれがどこにあるかがわからねェ」
つまり今回の任務はシーザーの取引で時間を稼いでる間に工場を探し出し破壊して逃げるという事だ。
「トラ男~お前そこに行った事あんのかよ。ドレスろうば!」「ローザだ」「ローザ!」「――ない。奴の治める王国だぞ」
「ほんじゃ全部ついてから考えよう!しししし冒険冒険っ!楽しみだなードレスローザ!おれ早くワノ国にも行きてェなー!」
「馬鹿言え!何の計画もなく乗り込めるような…」
「サンジ!腹減った!朝飯なんだ!?」「サンドイッチだ」「わー!おれわたあめサンド!」「私は紅茶だけで」「おれはパンは嫌いだ」
はっ!
「キィ?」
「何が言いたい人形屋!」
だいぶ馴染んできたねトラ男君。
★
何の因果か知らねえが麦わらの一味にはオモチャの仲間がいる!――シュガーの存在が割れてる事は確実だろう。
だが、この『メラメラの実』の存在を知れば『麦わらのルフィ』は必ず手に入れようとする。同盟なんてのは裏を返せば枷になる!
同盟した程度で調子づいたガキどもには消えて貰う!
☆2
――ドレスローザ海岸
「着いたァ~!」
「声がでけェつってんだろルフィ!ここはもう敵地だぞ!」
「キィキィ!」
「楽しみだなドレスローザ!」
「アーウ!今週のおれはスーパーだぜ!工場の一つや二つ!さっさと見つけてドカンだ!」
いつも通りの騒がしい上陸、人目につかない海岸だが監視などはされてないらしい。
「いい事思いついたぞ!飛べ!モモ!」
「キィ!?」
ルフィは龍に変身したモモの助君に飛び乗って飛ぶように言うが
「重い!のけい!せっしゃとべぬし!島へは入らぬ!父上の申しつけゆえ!」
「何言ってんだよ~!お前飛んだじゃねェか!こいつ飛んだんだよ!」
「翼もないのに?」
翼が無くても飛ぶやつは飛ぶ。ロケットだって風船だって飛ぶ。
そういうものでは?
「だから言うておろう。せっしゃその事を覚えておらぬ!万が一飛べたとしても…!そんなおそろしいこと…!せっしゃ二度とせぬ…!空など飛んでたまるかァ!」
「キィ~キィ~」
「なるほど。高い所コエーのか!」
「きさま無礼でござるぞ!武士にコワイものなどない!」
「やめろコンニャロ―!何がブシだ!おれはいつか『海賊王』になる男だばーか!」
「ふんっ!ではせっしゃはワノ国の『将軍』になる男でござる!あほーう!」
喧嘩するルフィとモモの助ここでもめないで欲しい。
「ルフィさん相手8歳ですよ」
「キィ~」
「ガキじゃねえよ!」
「武士でござる!」
「モモに言ったわけじゃねえよ!」
「やめいモモの助!…恩人であるぞ!すまん!ルフィ殿大目に見てくれ。童なれどワノ国の武士――気位が高い!しかしわずか8歳相手にムキになるお主もどうだ」
「おれ意気地なし嫌いなんだ」
「…!ちくしょうおナミ!サルのやつが」
「よしよし」
モモの助を慰めるナミ。
モモの助の顔さえ見えなければ子供を慰めてるお姉さんだ。
「「「キサマ離れろォ!」」」
「何なのよ」
「キィ~」
男どもはこれだから…。
――?
今誰かに見られているような?
辺りを見回しても誰もいないが視線は感じる――気のせいか?
そうこうしているうちに地図を囲んで作戦会議を……ちょっと待ってサンジ君にどこ行くの?
慌てて追いかけるとそれに釣られたのか工場破壊&侍救出チームは一足先にドレスローザへ乗り込むことになった。
この国を訪れた者たちはいくつかの事に心を奪われるだろう。
一つは香しき花々とこの国自慢の料理の香り――
――また一つは…疲れを知らぬ女たちの情熱な踊り
――そしてもう一つは町に溶け込みごく自然に人間と共存する命を持ったオモチャ達の姿である。
「ギィ……」
「なんだこの国!?ウタみたいなオモチャ達がたくさんいるぞ!」
「この国出身だったんだろう。ベガパンク級の天才でもいるのか?」
「……ウタ?」
男が刺されたという騒ぎが日常とされる愛と情熱の国
――ここは愛と情熱とオモチャの国
”ドレスローザ”
『運命ってやつかもしれねえな…』
確証はない。
それでも嫌な予感は消えてはいない。
この国を訪れた時にこの国が歪だと気が付いた。
一つは町に溶け込みごく自然に人間と共存する命を持ったオモチャ達の姿。
「ギィ……」
楽しそうな雰囲気とは裏腹に人に縋るようにオモチャとして振舞うオモチャ達。
「なんだこの国!?ウタみたいなオモチャ達がたくさんいるぞ!」
「この国出身だったんだろう。ベガパンク級の天才でもいるのか?」
「……ウタ?」
ここでは忘却と支配が蔓延っていた。
――ここは絶望と諦観の蔓延るオモチャの国
”ドレスローザ”
――きっと