かの者はやり直したい!(完結)   作:ハヤモ

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いよいよプライマー絡みの牙が剥く……。


11.怪物

結婚式当日。

美しい花嫁のリンダと、婚約者のEDF隊員は都市内の教会で向かい合う。

着慣れた軍服ではなく礼服に身を包み、花嫁は美しいウェディングドレスに身を包む。

誓いの言葉を述べ、互いの手が触れ合う。

 

 

「リンダ、必ず幸せにするよ」

 

「ええ。 ありがとう……」

 

 

そう言い、唇が触れそうになった刹那。

 

 

「怪物だーッ! 逃げろ! 逃げろーッ!!」

 

 

式場に悲鳴が響く。

瞬間、教会の扉を突き破り現れたデカブツ。

ゾウ程の大きさ、強そうな牙、素早く動き回り壁や天井を這い回る招かねざる客。

 

 

「な、なんだ!?」

 

「きゃあああ!」

 

 

招待状もなしに現れた無礼者。

いや者ではないが、リア充の式典をぶち壊す怪物達。

擲弾兵がいたら爆発騒ぎになったところだが、幸い怪物1種類のみ……α型しかいなかった。

 

逃げ惑う招待客。

這い回る怪物の群れ。

 

そんな突然の光景に、冷静に対処出来る者はいないかに思われたが。

 

 

「狙撃だけじゃ無理だったか」

 

 

他より遅れ、静かに立ち上がる作業着の男。

同時にドローンが展開。

流れる動作で、隠し持っていたビーコンガンを怪物に向けると、迷わず発射。

怪物の体に付着すると、それ目掛けてドローンが突入。 一定の距離をキープしつつ機銃を撃ち始める。

 

 

「思い通りにならない。 それが本番だ」

 

 

作業着の男、ストーム1は呟く。

勇敢で無謀な姿勢は、この場に於いても顕在。

それは新郎新婦や出席者には頼もしく見えた英雄、ヒーローであった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーEDFーーーーーー

 

 

 

 

 

かの者の作戦はこうだ。

結婚式当日に、地球にこっそり仕掛けた転送装置を使用して怪物を仕向ける。

教会の近くまでは地中を移動させ、時間を見て地表に沸かせる。

騒ぎになったところを、教会近くのビル屋上に陣取る狙撃部隊ブルージャケットが対物狙撃銃KFF50等で撃ちまくり掃討。

撃ち漏らした場合に備え、中距離にスタンバイしているPA-11SLS装備の只野や曹長含むレンジャーが倒す。

それでも駄目なら、教会内にいるストーム1が何とかする、というもの。

暇してる、或いは油断しているコマンドも遅れて来るだろう。 負傷者は出ても、死人は出ない筈だ。

 

これら騒ぎの目的は、怪物という異形で非日常を人目に触れさせる事にある。

そうする事で、EDFの重要性を認知させつつ、同時に対応の速さから生物兵器説等の陰謀を囁かせる。

 

総司令部は251に疑いを掛けるだろう。

 

だが世間が大きく騒げば対応に追われるし、そこに更に追加の怪物やアンドロイド軍を投入してしまえば、最早構っていられない。

かの者のテレパシーを感知、傍受、妨害する術は地球人には恐らく無い。

プロフェッサーは疑うだろうが、そこでも知らぬ存ぜぬで通せば良い。

 

後はEDFの仕事である。

プライマーの存在を公表しようにも、宇宙船は使用していないから証拠は出ない。

怪物やアンドロイドが神出鬼没に現れる様では、民間人も安心出来ない。

それを鎮めて人々の平穏を取り戻す。

EDFの兵士が戦って都市防衛をしつつ、かの者が頃合いを見計らってEDFがプライマーにしてきた3年に渡る仕打ち(主に かの者に対して)をバラし、世の同情を買う。

EDFへの不満、重要性を世間に分からせたところで、プライマーが交渉。

平和条約や外交を結び、Pルートといく。

 

 

「そう上手くいけば良いがな」

 

 

作戦開始直前、ストーム1は曖昧に言う。

何でも上手くいく訳がない。 やるだけやるが、危険も伴う。

取り返しのつかない事になりそうなら、止めるつもりである。

 

 

「怪物の殺傷能力は弱めてる。 自殺願望がない限り、死ぬ事はない筈よ」

 

「はず、だろ。 危険な事に変わりない」

 

「リスクを冒さず事は成し得ない」

 

「怪物とやらはプライマーの技術で転送されてくるとして、隊員はどうする?」

 

「251の出入口は1箇所だけじゃない。 密かに造られた非常用ハッチから夜な夜な這い出させるわ。

日の出までには展開を終わらせる。 EDF隊員なら余裕でしょ?」

 

「成る程、夜逃げも出来そうだ」

 

「必要な事よ。 このまま地下暮らしで人生終わりたくないでしょ?」

 

「やれやれ」

 

 

そして今。

ストーム1は機銃を下げたドローンを展開し応戦。

バックパックから追走・カプセルを床に放ると、別の小型ドローン……カプセルソルジャーが生まれ出て、ストーム1を援護射撃。

細かな攻撃を行い、とうとう怪物を殲滅した。

 

休む間もなく、無線を飛ばし状況確認。

 

 

「教会内殲滅。 外は?」

 

「こちらブルージャケット。 民間人や車両を避けながら撃つのは難しい」

 

「そうじゃない。 敵は? 殲滅したか?」

 

「レーダーを見てくれ。 それが結果だ」

 

「了解。 直ちに撤収」

 

「よし撤収ッ! ズラかるぞ!」

 

 

無線が切れ、隊員らは逃げる様に基地へ戻る。

総司令部やコマンドが平和ボケしていたお陰で展開出来たものの、帰るまでが任務。

捕まる訳にはいかない。 逃げるんだよぉ!

 

 

「新郎新婦」

 

 

そんな中、ストーム1は若き2人に言う。

 

 

「結婚おめでとう。 幸せにな」

 

 

そう言い残し、ストーム1も去っていく。

嵐の如く。

その後姿をポカンと見つめる周囲の人々。

 

 

「な、なんだったんだ……あの人は?」

 

「ヒーロー……の撮影だったのかしら?」

 

 

怪物と銃撃でボロボロになった教会。

最悪の結婚式となってしまったが、生きていれば儲け物。

それを確かめ合うように、ふたつの影は重なったのであった……。




擲弾兵「(リア充爆発しろ)」
曹長「駆除を始める」
只野「に、人間を撃つより!」
コマンド「またアイツらか!?」
軍曹「撃て! 撃てーッ!」
ブルージャケット「長篠の(ry」
EDF:(^人^#)
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