結婚式当日。
美しい花嫁のリンダと、婚約者のEDF隊員は都市内の教会で向かい合う。
着慣れた軍服ではなく礼服に身を包み、花嫁は美しいウェディングドレスに身を包む。
誓いの言葉を述べ、互いの手が触れ合う。
「リンダ、必ず幸せにするよ」
「ええ。 ありがとう……」
そう言い、唇が触れそうになった刹那。
「怪物だーッ! 逃げろ! 逃げろーッ!!」
式場に悲鳴が響く。
瞬間、教会の扉を突き破り現れたデカブツ。
ゾウ程の大きさ、強そうな牙、素早く動き回り壁や天井を這い回る招かねざる客。
「な、なんだ!?」
「きゃあああ!」
招待状もなしに現れた無礼者。
いや者ではないが、リア充の式典をぶち壊す怪物達。
擲弾兵がいたら爆発騒ぎになったところだが、幸い怪物1種類のみ……α型しかいなかった。
逃げ惑う招待客。
這い回る怪物の群れ。
そんな突然の光景に、冷静に対処出来る者はいないかに思われたが。
「狙撃だけじゃ無理だったか」
他より遅れ、静かに立ち上がる作業着の男。
同時にドローンが展開。
流れる動作で、隠し持っていたビーコンガンを怪物に向けると、迷わず発射。
怪物の体に付着すると、それ目掛けてドローンが突入。 一定の距離をキープしつつ機銃を撃ち始める。
「思い通りにならない。 それが本番だ」
作業着の男、ストーム1は呟く。
勇敢で無謀な姿勢は、この場に於いても顕在。
それは新郎新婦や出席者には頼もしく見えた英雄、ヒーローであった。
ーーーーーーEDFーーーーーー
かの者の作戦はこうだ。
結婚式当日に、地球にこっそり仕掛けた転送装置を使用して怪物を仕向ける。
教会の近くまでは地中を移動させ、時間を見て地表に沸かせる。
騒ぎになったところを、教会近くのビル屋上に陣取る狙撃部隊ブルージャケットが対物狙撃銃KFF50等で撃ちまくり掃討。
撃ち漏らした場合に備え、中距離にスタンバイしているPA-11SLS装備の只野や曹長含むレンジャーが倒す。
それでも駄目なら、教会内にいるストーム1が何とかする、というもの。
暇してる、或いは油断しているコマンドも遅れて来るだろう。 負傷者は出ても、死人は出ない筈だ。
これら騒ぎの目的は、怪物という異形で非日常を人目に触れさせる事にある。
そうする事で、EDFの重要性を認知させつつ、同時に対応の速さから生物兵器説等の陰謀を囁かせる。
総司令部は251に疑いを掛けるだろう。
だが世間が大きく騒げば対応に追われるし、そこに更に追加の怪物やアンドロイド軍を投入してしまえば、最早構っていられない。
かの者のテレパシーを感知、傍受、妨害する術は地球人には恐らく無い。
プロフェッサーは疑うだろうが、そこでも知らぬ存ぜぬで通せば良い。
後はEDFの仕事である。
プライマーの存在を公表しようにも、宇宙船は使用していないから証拠は出ない。
怪物やアンドロイドが神出鬼没に現れる様では、民間人も安心出来ない。
それを鎮めて人々の平穏を取り戻す。
EDFの兵士が戦って都市防衛をしつつ、かの者が頃合いを見計らってEDFがプライマーにしてきた3年に渡る仕打ち(主に かの者に対して)をバラし、世の同情を買う。
EDFへの不満、重要性を世間に分からせたところで、プライマーが交渉。
平和条約や外交を結び、Pルートといく。
「そう上手くいけば良いがな」
作戦開始直前、ストーム1は曖昧に言う。
何でも上手くいく訳がない。 やるだけやるが、危険も伴う。
取り返しのつかない事になりそうなら、止めるつもりである。
「怪物の殺傷能力は弱めてる。 自殺願望がない限り、死ぬ事はない筈よ」
「はず、だろ。 危険な事に変わりない」
「リスクを冒さず事は成し得ない」
「怪物とやらはプライマーの技術で転送されてくるとして、隊員はどうする?」
「251の出入口は1箇所だけじゃない。 密かに造られた非常用ハッチから夜な夜な這い出させるわ。
日の出までには展開を終わらせる。 EDF隊員なら余裕でしょ?」
「成る程、夜逃げも出来そうだ」
「必要な事よ。 このまま地下暮らしで人生終わりたくないでしょ?」
「やれやれ」
そして今。
ストーム1は機銃を下げたドローンを展開し応戦。
バックパックから追走・カプセルを床に放ると、別の小型ドローン……カプセルソルジャーが生まれ出て、ストーム1を援護射撃。
細かな攻撃を行い、とうとう怪物を殲滅した。
休む間もなく、無線を飛ばし状況確認。
「教会内殲滅。 外は?」
「こちらブルージャケット。 民間人や車両を避けながら撃つのは難しい」
「そうじゃない。 敵は? 殲滅したか?」
「レーダーを見てくれ。 それが結果だ」
「了解。 直ちに撤収」
「よし撤収ッ! ズラかるぞ!」
無線が切れ、隊員らは逃げる様に基地へ戻る。
総司令部やコマンドが平和ボケしていたお陰で展開出来たものの、帰るまでが任務。
捕まる訳にはいかない。 逃げるんだよぉ!
「新郎新婦」
そんな中、ストーム1は若き2人に言う。
「結婚おめでとう。 幸せにな」
そう言い残し、ストーム1も去っていく。
嵐の如く。
その後姿をポカンと見つめる周囲の人々。
「な、なんだったんだ……あの人は?」
「ヒーロー……の撮影だったのかしら?」
怪物と銃撃でボロボロになった教会。
最悪の結婚式となってしまったが、生きていれば儲け物。
それを確かめ合うように、ふたつの影は重なったのであった……。
擲弾兵「(リア充爆発しろ)」
曹長「駆除を始める」
只野「に、人間を撃つより!」
コマンド「またアイツらか!?」
軍曹「撃て! 撃てーッ!」
ブルージャケット「長篠の(ry」
EDF:(^人^#)